ハルヒは言う。
「東中学出身、涼宮ハルヒ」
ごく普通の自己紹介ー涼やかな声。俺は振り向かない／その必要など無い。
ハルヒは言う。
「ただの人間には興味ありません」
ハルヒは言う。
「この中にこの中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
大いなる直感／ロクでもない出来事=期待しているもの。
俺は振り向いた。綺麗な黒髪ロング／整った顔立ち／長い睫毛／意志の強そうな大きな黒い目／白に血を少したらしたような色の閉じられた唇。クラス全員の視線を受け止めている－傲然と。
印象的な白い喉。輝いて見えた。とてつもない美人。まるでヴェロニカ・レイク。
ジェイムズ・エルロイ
クラスの自己紹介は退屈だ。どこの中学を出た誰なのか。それだけだ。こんなことはやらなくてもいいのではないか、とキョンは思う。しかし形式ということの意味が分からない程キョンは子供ではなかった。
なんとなく外を眺める。晴れた空。白い雲。いい日だ。いい日に、退屈な自己紹介を聞かなければならないというのはやはり嫌だ。中学校の入学式のころも、こんな感じだっただろうか。もう、なんとなくしか思い出せなかった。ただ、二人か三人はふざけたことを言うやつがいたと思う。たった三年間だ。だがその三年間の間に、皆確実に何かを失っているのだと思う。
一つ後ろの席の生徒が立ち上がる音で、意識が教室へ引き戻される。
「東中出身、涼宮ハルヒ。」
やはり、普通の自己紹介だった。退屈だ。振り返る必要は、感じなかった。凛やかな声という印象だけは受けた。
「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
さすがに振り向いた。とてつもない美人が視界に映った。ぞくりと身体が震える。後ろの席の生徒、涼宮ハルヒはクラス中の視線を傲然と受け止めていた。
神林長平
春の暖さに抱かれ桜の花が咲く 4 月。
入学式の後の自己紹介が退屈だったということを覚えている人も多いはず。私の思い出について少し書かせてもらう。
私の後ろの席に座っていた女子生徒が非常に印象的な自己紹介をしたのだ
「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
私にはいくつかの大きな出会いがあった。例えば Perl コミュニティとの出会いである。私は Perl コミュニティを通じて多くの魅力的なソフトウェア技術者と出会うことが出来た。コミュニティとの出会い、彼らとの出会いが無ければ今の私はないだろう。
涼宮ハルヒという女子生徒との出会いは、私にとってそれと同じくらいかけがいのない出会いだった。だから、私は涼宮ハルヒの自己紹介を聞いて驚いて振り向いた時に目に入った彼女の喉の白さまで、はっきりと覚えている。
Dan the Kyon
入学式後には一般的にクラスでは自己紹介が行われる。県立北高校でも同様である。一般的に自己紹介はフォーマットに則って行なわれ、以前に所属していた学校や氏名を述べ、よろしくお願いしますなどといった言葉で閉じられる。少数ながら例外があり、以下のようなものが知られている。 「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。 この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」† 一般的なフォーマットから外れた自己紹介を行なった場合、以後のクラス内でのコミュニケーションに支障が生じる可能性がある。詳細については次章以降で記述する。
† この自己紹介を聞いたハルヒの前の席の生徒は振り返り、ハルヒはとても美人な生徒であるという印象を抱いた。
オライリー