Per discussion started by @cophnia61, consider the appearance of these seven kanji in 512 texts comprising Segment 1 of the Innocent Japanese novel corpus, specifically their appearances as stand-alone non-compounds. 等, 筈, and 隊 are far more commonly used as stand-alone kanji than the others. What follows is (approximately) complete sentences containing these stand-alone kanji.
(The list of compounds using these kanji is much, much longer, though that alone can answer @cophnia61's question: which sentences with compounds containing these kanji is MeCab incorrectly parsing as stand-alone non-compound kanji? See https://gist.github.com/fasiha/a6907a3319a062d2a9c4 for this more interesting list.)
智
心の中に、智と力を持つ誇りがよみがえった
以前の|無《む》|智《ち》な|野《や》|卑《ひ》なところは失せ、いかにも賢そうでした
イザベラはその|頃《ころ》十八の美しいお嬢様で、様子は子供じみていましたけれど、|智《ち》|慧《え》は鋭敏、感情も鋭敏、それに怒るとずいぶん|癇《かん》の強い方でした
そういう意志があれば、あいつの病身がかえって|智《ち》|恵《え》を鋭くして、力の代りになるものを見つけるだろう」
あの青年の正直な、温かい、|聡《そう》|明《めい》な生れつきは、育ちのためにかかった|無《む》|智《ち》と|野《や》|卑《ひ》との雲を|速《すみ》やかに散らしてゆきました
かうなつたら、皆にお願ひするほかは無い――智よりも寧ろ勇無きを恐れる人達、法の改正を躊ふよりは国体の大事を重んずる人達、ただ長生きするよりは立派な生き方を欲する人達、このままでは死を免れぬと思へば、どんな荒療治の危険も冒さうといふ人達――構ふ事は無い、直ちにあの大衆の代弁者面をしてゐる男達の舌を引抜いてしまふがいい、こいつらには毒にしかならぬ権力の甘味が味へぬ様にしてやれ
おお、自然の掟《おきて》に縛られて身動きできぬ人間どもが気に食わぬ、それで人《じん》智《ち》の測り知らぬ謎《なぞ》を投げかけ、人間どもの胆《きも》を冷やそうという魂胆か
不義といおうか乱倫といおうか、その生れついたる邪《じゃ》智《ち》奸佞《かんねい》、女を惑わす才にたけ、手《て》練《れん》手《て》管《くだ》を弄《ろう》して、操《みさお》ただしき妃《きさき》をたぶらかし、恥ずべき邪淫《じゃいん》の床に誘《いざな》った
ホレイショー、この天地のあいだには、人《じん》智《ち》などの思いも及ばぬことが幾らもあるのだ
万事このとおり、われら、智《ち》慧《え》と先見の明を誇るものはだ、つねに直接法を避ける
あの大空、世にも美しい天蓋《てんがい》も、それ、その頭上のすばらしい蒼穹《そうきゅう》、火と燃ゆる黄金の星をはめこんだ壮大無辺の天井《てんじょう》、それが毒気のこもる濁った密室としか思われぬのだ――そして、この人間、まさに自然の傑作、智にはすぐれ、五体、五感の働きは精妙をきわめ、つりあいの美しさ、動きの敏活、天使のごとき直観、あっぱれ神さながら、天地をひきしめる美の中心、ありとあらゆる生物の師表
一方、明かにこのサクソーから借りたベルフォレーの『悲劇物語』には、「アムレス」の「異常な気《き》鬱《うつ》」という性格は、それとはっきり書いてないし、またポローニアスの前身と思われる男の才《さい》智《ち》、わが子の毒舌に傷つく母親の苦悩など、サクソーにあってベルフォレーにないものである
「智《かしこ》きもの慧《さと》き者に隠して、嬰児《みどりご》に顕《あらわ》したまえり」とトムは低い声で言った
「おお、旦那さま、旦那さまは、たった今、神が智《かしこ》きもの慧《さと》き者に隠して、嬰児《みどりご》に顕《あらわ》したもう様子をお読みになったのではごぜえませんか
その若さですでに老熟の智をそなえておいでだ。あなたの舌は天使が操っているとしか思えない
神の権威《ちから》と いや高き智と
ああ、いとも高い智よ。なんというおん神の業《わざ》が、
その結果は、一方ではかりそめのことにわずらわされたという後悔だったし、他方では永遠なもののあとにふるい立ちはじめた決断と、神聖な智に対して無条件にみずからを捧げることだった
そういう働きをする器官を彼は認めていないのだ〔アリストテレスは、人間の智恵を二つに分けて、一つを潜在的な智、他を能動的な智、と呼んだ
能動的な智は魂から分離し、非情であって不死である
潜在的な智は死滅するし、能動的な智を欠くことはできない
アヴェロエスは、この説によって、能動的な智は分離し、個性がない
そのように、アヴェロエスが魂からの分離をいったのは能動的な智のことだが、ダンテはそれを潜在的な智のことをいったとばかり思っていたらしい
彼女はダンテとならんで歩いて、「兄弟」と呼びかけて、いろんな予言をして歩く。智と信仰の関係について、かなり哲学的なやりとりがある
父君は人間のなかから逐《お》いたてられ、野馬と住いをともにし、雨の日も晴れの日も獣のごとく乾草を食みおられたが、やがて、神の恵みと智によって、天にまします神こそは、よろずの国、よろずの生物をしろしめすものであることを悟った
不信用から起ったことだ。智のたりない話だ
「仁、義、礼、智《ち》、信、忠、孝、悌《てい》の八つを失くした者でございます
かくして自然の神秘の蘊奥《うんおう》を極めることによりて、学者たちは病気と自然老衰とにはうち勝つの力を得たのであったが、世におのれよりも勝れて智あり気高きものを亡ぼさんとする愚人の暴力のみは、いかんともする能《あた》わなかった
隊
自分よりも体格の良い兵が次々と列を離れてしまうことが不思議だったし、かれらのほとんどが大体止や小休止のあいだに隊へ復帰することはなお不思議だった
黒衣の肩に白い刺繍《ししゅう》、そして、濃緑色のマントを身に着けているのは、|アード=ケナード隊《バンダル・アード=ケナード》の傭兵である
数ある傭兵隊の中で、最も雇い主の信頼厚い隊《バンダル》の一つだ
この建物こそは、伝統を誇るウェントワース・ホールで、銀河パトロール隊の精鋭、レンズ部隊への編入を目指して訓練を受ける地球人候補生たちが、生活し活動している場所である
われわれの壮途《そうと》であり、隊の全員が注目しているのだ……」
世界最高の軍楽隊が≪われわれのパトロール隊≫を演奏しはじめたのだ
「全能の神かけて、わたしは銀河パトロール隊の名声をけっしてはずかしめないことを誓います」キニスンは敬虔《けいけん》にいった
それは、立ち会った者のすべての目に、たえず変化する炎の輝きで、≪銀河パトロール隊≫レンズマンの誕生を告げていた
彼らの大多数が、パトロール隊からはねられたわけだ。その中にも、優秀な人材はたくさんいた
これらの人々は、レンズマンの階級の下にあって、油さしから、最上級の現役将校に至るまでの、われわれのこの組織を構成している、このことはすなわち、諸君もすでに知るように――銀河パトロール隊こそ、一つの軍旗のもとにおける知的生物の最高の団体であるということだ
その理由をはっきりさせるためには、このパトロール隊の歴史と背景を考える必要がある
「こんな事情から、三惑星間パトロール隊や、銀河パトロール隊ができた。しかし前者は、まことに貧弱な組織であった
「で、誰もが知っているとおり、その当時、三惑星間パトロールの首班《しゅはん》であったバージル・サムスが、ファースト・レンズマンのサムスとなって、わが銀河パトロール隊を創設した
偽造や模造にたいしても完全に安全を保証され、自動的に、また積極的に、レンズマンの身分を証明するレンズ、この出現が、われわれのパトロール隊を誕生させたのだ
「いまや、委員会とそのパトロール隊の力は、事実上、絶対的である
「一般には、人類の最悪の敵と信じられているのだが、じつはその反対に、彼らは、われわれパトロール隊の、したがってまたこの文明の、第一の必要条件《シネ・クワ・ノン》なのだ
しかし、あらゆる知的生物をまもるために、パトロール隊を助ける相談にだけは応じてくれるのだ
しかもなお彼は、彼のパトロール隊の向上のため、これこそ最善の道と信じて、みずから鬼神の役を買い、それに充分ふさわしいだけ、人間的な感情を克服してきたのだ
しかし、銀河パトロール隊は前進あるのみだ
ちょうどそのときに、敵の砲手の数名が、やっとのことで放射器を、パトロール隊の後続にもとどくように正確にねらいをつけることができた
いまや、重い手榴弾《しゅりゅうだん》が、戦闘者たちのあいだに、雨あられと降りはじめた、パトロール隊も、海賊どもも、同じくこなごなに吹きとばしながら
そのあいだに、戦況は、ひきつづいてパトロール隊にますます有利に展開していた
こうして、わずか数分の後に、銀河パトロール隊の威容を誇る大宇宙船はまったく無人の船と化して、飛び続けることになった
ふ――む――む、つまり、事実上、未探検で未知だというわけだ。これまでパトロール隊が着陸したこともない――パトロール隊員の提供《ていきょう》もないし、パトロール隊との連絡もない――商業的|交渉《こうしょう》もない――文明度は不明――第三次銀河観測隊によって一度ざっと観測されただけ
「きみたちの銀河パトロール隊のような組織が現実に存在していることは、きわめて不確実で間接的な情報以外、これまでわれわれにわかっていなかったのだ」ヴェランシア人は婉《えん》曲に答えた
「しかし、何年も前に、われわれはその評判の高い銀河パトロール隊の一番近い基地に向けて一隻の宇宙船を発進させた
もし思考を伝達するためにこの壁に口をあければ、それがどんなに小さくても、いまでは死を意味するのだ。もちろん、きみたちパトロール隊の科学は、このようなスクリーンを通過して思考を伝達する装置を完成してはいまいな
しかし、ついに徴発《ちょうはつ》した最後の武器も寿命が尽きてしまうと、包囲《ほうい》されたふたりは自分のデラメーター放射器を使いはじめた――銀河パトロール隊の軍事科学者に知られている限りでは、もっとも強力な携帯《けいたい》放射器である
少数の奴隷《どれい》たちが、てんでんばらばらに襲いかかったが、連中の携帯用《けいたいよう》武器が銀河パトロール隊の宇宙服に歯が立たずにいるうちに、たちまち抹殺《まっさつ》されてしまった
きみたちも知るように、わたしはきみたちに会うまでは、きみたちのパトロール隊のことも海賊のこともまるで知らなかったのだ」
」バン・バスカークは叫んだ。「パトロール隊も海賊もいないなんて
「というよりは、パトロール隊と同様、海賊どもも、まだこの区域までは手がまわらないというのが真相だろう」キニスンは指摘《してき》した
「銀河系宇宙の中には、何十億という太陽系があるから、パトロール隊がそれらすべてをまわりつくすには、まだ何千年もかかるにちがいない」
「いずれにしても、あれは事実上きみの手柄なんだ。ぼくはただ、われわれとパトロール隊のことを明るみに出さないでほしいと主張するだけだ
耐熱性の口を持った怪物たちで、パトロール隊の熟練《じゅくれん》した技術者たちに知られているかぎりの、さまざまの破壊力を吐きだすことができるものだ
スクリーンを張り、あらゆる装置を駆動し、自動記録器を本部に向けて設定せよ。パトロール隊が、この事件になんらかの関係を持つものとは信じられない
この事件の原因となった相手は、従来判明しているパトロール隊のいかなる能力をもしのぐ能力をもっていることを示したからである
この要塞の装備は、きみたちパトロール隊と海賊とが所有している装備のうちでは、もっともすぐれたものを寄せ集めてあるし、それをまた、きみたちの科学者とわれわれの科学者が完全な協力のもとに改善してある
かつては海賊船だったが、いまは銀河パトロール隊の船となった六隻の宇宙船は、惑星ヴェランシアの大気圏に突入し、それをつき抜けて惑星間宇宙空間にとびだし、それをも突破して、もっと広大で空虚《くうきょ》な恒星《こうせい》間宇宙空間へとおどり出していった
何千というこれらの冒険家が、お互いに光線銃で戦ったり、貪欲なトレンコの生物の攻撃を受けたりして死んだが、シオナイトがそうしたしろものなので、さらに何千人もの向こう見ずな連中がトレンコを訪れつづけているのだった。また、パトロール隊もこの有害な輸送ルートの根源を絶とうとしてここを訪れ、トレンコの植物を採集しようと企《くわだ》てる者を容赦《ようしゃ》なく熱線で射倒《いたお》していた
こうして、パトロール隊と麻薬シンジケートとのあいだには、激しい死闘がつづけられていた
ついでキニスンは、自分がパトロール隊の最高基地を出発してから起こったすべてのことを、相手のレンズマンに思考波で伝達した
「ここには、いくつか予備のバーゲンホルムがある。それはみなパトロール隊の規格品《きかくひん》だから、きみの装置を修理するよりは、それと交換したほうがずっと短時間ですむだろう」
きみが今度交替するとき、これをきみたちの基地へ持って行けば、われわれといっしょにくるより、もっと文明やパトロール隊に貢献《こうけん》することになるだろう
ボスコーンはすでに汎銀河系的|規模《きぼ》をもつ文化圏だったが、それは銀河パトロール隊に代表される文明の理想とは正反対の理想の上に立つものである
今度の事件がレンズマンの仕業《しわざ》だということは唯一《ゆいいつ》の可能な論理的|帰結《きけつ》である――パトロール隊の中であのようなことができるのは、レンズマンのほかにいない
「いまや、パトロール隊のレンズについて完全に知ることが、われわれにとってもっとも重要な課題になった」彼は挨拶《あいさつ》も前置《まえお》きもなく話しはじめた
護送にあたっていたパトロール隊の巡洋艦はすでに粉砕《ふんさい》されて姿を消していた
宇宙線エネルギー推進の技術は、パトロール隊にはまったく未知の世界の科学によって開発されたもので、これがボスコーンの優越性《ゆうえつせい》の一つの大きな支柱だった。もしパトロール隊にこの推進技術の秘密をさとらせないでおくことができれば、両者の闘争は一年で終わりをつげるだろう
しかし万一、パトロール隊がボスコーンの最高機密を探知することに成功すれば、二つの文化圏《ぶんかけん》のあいだの争いは、無限に長びくだろう
そしてレンズは、アリシアや思考スクリーンと何かの関係があるにちがいない。レンズはパトロール隊が持っていて、しかもヘルマスの軍隊が持っていないものの一つだった
しかし、彼の情報がパトロール隊の最高基地へ伝達されなければ、ほとんど実害はない
アリシア人やパトロール隊のような敵からも、それに、わしにとって代わろうと企んでいる野心的な部下からもな
現在もっとも重要な課題は、レンズマンの捜索《そうさく》であり、それについては、トレンコの精密な捜査とパトロール隊に属する星系の監視とが欠くベからざるものだということは、きみももちろん知っているだろうな
「アリシア人はパトロール隊を是認《ぜにん》していて、彼らにレンズを与えるほど彼らを援助している
「そこで、全体の状況は、われわれの宇宙線エネルギー対パトロール隊のレンズということに帰着する
われわれの独占物のほうがはるかに強力な武器であるが、われわれがすみやかに勝利を得る唯一《ゆいいつ》の可能性は、宇宙線エネルギー感受器と変換器についての秘密をパトロール隊にかぎつけられないようにしておくということにかかっている。ひとりのレンズマンはすでにその知識を持っている
救援のために船団を送らないでください――海賊どもはパロール隊の艦船を一瞬にして爆破できます
しかし、キニスンは敵に包囲《ほうい》されることを避けながらも、極力、基地の上空から離れずに徐々に、ごく徐々に、高度をさげることに成功した。そしてついに、パトロール隊の巨大な放射器の射程内に到達することができた
最高基地は、銀河パトロール隊の中でもっとも恐るべき、もっとも重武装の、もっとも要害堅固な要塞《ようさい》なのだ
この案は、トレンコの大気のようにひずんだものかもしれません――それを判断するのは、閣下だけです――しかし、これがどんなにばかげていても、ぼくがパトロール隊のためによかれと思って考えた案だということは、わかっていただけると思います」
よろしい――その事実だけで、パトロール隊の総力をあげて応援するに充分だ
各装置は設計されてはテストされ、再設計されては再テストされ、ついにパトロール隊の技師のなかでもっとも懐疑《かいぎ》的な者でも、どこにも文句《もんく》をつけられないほどになった
それから、全銀河系に散在するパトロール隊の宇宙船がそれぞれの戦区基地に呼びもどされて、改造された
またそれはきわめて強力で、パトロール隊のふつうの戦艦では対抗できなかった
一隻の船も逃げられなかった。パトロール隊の巡洋艦がそうしむけたのだ
傍若無人《ぼうじゃくぶじん》にもパトロール隊の最高基地のすぐ近くに建設されていた敵の要塞が抹殺《まっさつ》されたのち、各地区戦艦はゆるい隊形を組んで銀河系の各区域を掃討《そうとう》しはじめた
何百という海賊船がパトロール隊の巡洋艦に追いつかれて拘束《こうそく》され、空飛ぶ鉄槌によって蒸気に変えられた
機械も装置も備品も要員も、全部ひきはらわれていた。パトロール隊の宇宙船は警戒して接近せず、遠くからビームを放射したが、何もめんどうなことは起きなかった
キニスン自身がヘルマスについて知っているところからすれば、その基地は可能なかぎり難攻不落《なんこうふらく》につくられているはずで、パトロール隊の最高基地が撤去《てっきょ》されることがないと同様、それが撤去されることはありそうもなかった
ボスコーンの宇宙船のビームは、商船の弱い防壁を貫くのとはわけがちがって、パイロール隊の巡洋戦艦の強力な防壁を白熱させることさえできなかった
【原注 パトロール隊の大型戦艦とは異なり、快速艇は、長さに比例して、きわめて幅がせまく、設計にあたって考慮されているのは、スピードと操縦機能の二点だけである
彼はもう銀河パトロール隊という巨大な機械の一部をなす、ちっぽけなねじではなかった
広大な島宇宙のどこへ行こうと、彼自身が銀河パトロール隊そのものなのだ!
もし必要ならば、パトロール隊のほうで、彼がそうするようにしむけてもいい
そしていまから十五年もして――もし彼が生きていれば――現在、彼があれほど熱望している激務に適さなくなったとき、彼は自分にいちばん適した地上勤務を選んで、有能な行政官《ぎょうせいかん》になればいいのだ。パトロール隊の行政官というのは、みんなそのような人物だった
これを身につけて感動しなかったものや、これが象徴《しょうちょう》している銀河パトロール隊に対してあらたな献身《けんしん》を誓わなかったものは、これまでにもいなかったし、これからもいないだろう
なぜなら、彼にとっても、またその制服を知っている他の人々にとっても、独立レンズマンの飾りけのない灰色のレザー・スーツの徹底《てってい》した単純さは、パトロール隊の他の部隊の制服の華麗《かれい》さをはるかにしのぐように思えたからだ
商船は彼自身のものだったから、好きなように処分できるが、護衛の戦艦を割当てることができるのは、銀河パトロール隊だけである。そしてパトロール隊は彼の船に護衛を提供してくれないのだ
そこで貿易商はパトロール隊を包囲攻撃にかかった
しかし、懇願《こんがん》も要求も脅迫《きょうはく》も圧力も、同様に無益だった。パトロール隊は手なずけることも、おどすことも、だますことも、買収することもできなかった
この事態は、パトロール隊の管理下にあります」
しかし、乗り込み隊の最後のひとりが出入口を通過するや、まったく計画にないことが起こった
「パトロール隊だ!」彼はあえぐように叫んだ
第一の具体的問題は、海賊の基地へ侵入することだった。パトロール隊の探索隊《たんさくたい》が発見できなかったのだから、その基地は非常に巧妙にかくされているにちがいない
そして彼自身のおろかさのために、全パトロール隊がつまずいたのだ。彼は苦しみ悩んだ
きみがわれわれを援助してくれることができれば、きみはこの戦区全体を通じて、パトロール隊のために大きな貢献《こうけん》をしてくれることになるのだ」
きみたちもすべて知っているように、銀河パトロール隊のレンズマンはだれでも、必要な場合には、裁判官、陪審員《ばいしんいん》、および刑《けい》の執行官《しっこうかん》として行動することができる
きみはきょう、われわれ全パトロール隊のために大きな貢献《こうけん》をなしとげたのだ」
彼らは、かれがその戦区のパトロール隊の全兵力をさえ寄せつけなかったほど強力な要塞《ようさい》をひとりで偵察《ていさつ》しようとするむこうみずに驚いていたかもしれなかったが、もしそうだとしても、彼らはその気持をすっかりかくしていた
獲物というのは、ほかならぬ装備《そうび》を満載《まんさい》したパトロール隊の病院船である
さもないとどんなことが起こるか、それが、彼には身にしみて痛切にわかっていた。パトロール隊の宇宙看護婦たちがどんな気質を持っているかということも知っていた
彼はまえに、銀河パトロール隊の機敏《きびん》で有力な将校たちにあらかじめ完全に予告《よこく》したうえで、彼らが意志力をふりしぼって抵抗《ていこう》するのをおさえつけながら、ふたり、ないし三人の心を制御《せいぎょ》したのだったが、その精神力をもっていれば、このような海賊ふたりの心をあやつるくらいは、子どもだましのようなものだった
彼は何か月もひとりの女さえ見ていなかったが、パトロール隊のこうした女性隊員たちは、とことんまで抵抗して自殺するのがおちだと思っていた
「ところで病院船に乗り組んで、この看護婦たちをパトロール隊のところへ連れもどした者は、わるくしても、軽い刑ですむだろう、とおれは確信する
ミス・マクドゥガルは主任看護婦だ――つまりパトロール隊の将校なのだ
このレンズマンは、一隻の快速艇と一発の爆弾しか持たないのに、ボスコーンの新式戦艦の一隻を捕獲《ほかく》して調査し、それによってパトロール隊に宇宙エネルギーの秘密を提供した
もしヘルマスのほうでもそのような装置を獲得しなければ、パトロール隊はボスコーンに対して決定的な優位を持つことになるだろう
彼はパトロール隊のものだった。彼はパトロール隊|そのもの《ヽヽヽヽ》だった
しかし、彼はついにトレンコに接近し、パトロール隊の宇宙空港を難なくつきとめた
この基地の銀河パトロール隊員は、シオナイトを取り締まる法律をもっとも厳格《げんかく》公平に敢然《かんぜん》として実施する任務をあたえられているのだが、そのパトロール隊の全員が、その法律を正面からおかすことに全力をささげているのだ
聖なるクロノ神に誓って、あとはパトロール隊の艦隊が攻撃準備をととのえて到着しさえすればいいのだ
パトロール隊の大艦隊はすでに第一目標の上方に集結し、各艦がそれぞれの部署についていた
銀河パトロール隊の大艦隊は、集結をおえていた
ヘルマスの自動スクリーンはその能力の限界まで抵抗したが、パトロール隊のビームはついにそれを圧倒した、とだけいえば充分である
銀河パトロール隊の集中攻撃が総基地の二十六|拠点《きょてん》に加えられたとき、ヘルマスのドーム内のあらゆる警報器は狂気のように叫びはじめたが、それらの警報はなんの効果もなかった
彼はパトロール隊の大艦隊を見ることができ、迫りくる危険を完全に理解することができた
すなわち、第一作「銀河パトロール隊」である。ひきつづいて、第二作「グレー・レンズマン」が三九年に同誌に連載され、三〇年代末期はレンズマン・シリーズがSF界の耳目を聳動《しょうどう》し、話題をさらうこととなった
ところで「銀河パトロール隊」の連載と同時に、〈アスタウンディング〉の編集長が、二代目のF・O・トレメイン(初代はハリー・ベイツ)からジョン・W・キャンベル・ジュニアに変わったことは「レンズマン」について語るうえで、見落とせない出来事である
一九三七年にレンズマンの構想を練って「銀河パトロール隊」を書き出したとき、作者は物語の背景に、それより三年前に別個の独立した作品として発表していた「三惑星連合軍」を利用することにしたのである
作者はキムボール・キニスンとその子を主人公にしたレンズマン・シリーズ四巻を四八年に一応完結したが、読者の要望に応えて、キニスンらの先輩にあたる銀河パトロール隊の創設者バージル・サムスの活躍を描く「ファースト・レンズマン」を一九五〇年に書下し、同時に旧作の「三惑星連合軍」を改訂して、レンズマン・シリーズを最終的に全六冊の形にまとめあげた
この知力を発生する者は後に銀河パトロール隊として二つの銀河系にあまねく知られるようになったのだが、この組織を建設するためには、アリシア人の長い一生をいくつか重ねるほどの年数を要したのである
彼らはどちらも、自分がだれかに保護されているなどとはまったく気づかなかったが、じつはガーレーンの妨害はアリシア人の結合体なのだった――四重の知性で、後に銀河パトロール隊のあらゆるレンズマンにアリシアのメンターとして知られるようになった存在である
「殺人または海賊行為をおかした人間が、宇宙船を奪って、その犯罪が発見される前に何百光年もかなたに逃亡してしまえるとすれば、どうして法律が有効に作用しえようか――それどころか、まったく無効なのだ。われわれパトロール隊のことなどまったく知らず、言語も通じない――たぶんなんの言語も持たない――未知の世界で犯人を発見したとしても、現地の警察官が――もしいたとしても――どこにいるのかを知るまでに何カ月もかかるようでは、地球の法律になんの効力があるだろうか
あらたに組織された銀河パトロール隊の存在は、しばらくのあいだ、はなはだあやうかった
最後の決定的な対決は、必然的に政治的対決になることがわかっていたので、パトロール隊は宇宙党を支持して、当時、政権を握っていた国民党の腐敗《ふはい》的犯罪的行為について、詳細《しょうさい》な証拠書類を集めはじめた
そしてモーガンは殺害された――不満なギャングたちの仕事と考えられたが、じつは――銀河パトロール隊の打倒に失敗したというただそれだけの理由で――彼のボスであるカロニア人に殺されたのだった
したがって、北アメリカの宇宙党政府の後援のもとに、銀河評議会と、その手足である銀河パトロール隊とは、すみやかな発展をとげた
R・K・キニスンは大統領の任期をおえると、パトロール隊の空港司令官の任務にもどったが、そのときは百の惑星が銀河文明に加盟していた
そして彼の女性の対立者であり補足者であるクラリッサ・マクドゥガルは、赤銅色の髪と黄金色をおびた黄褐色の目の持ち主でナ、パトロール隊の最高基地の大病院で看護婦として働いていた
当時、宇宙海賊は組織的な勢力に発展し、「ボスコーン」と呼ばれる人または物の指導のもとに、銀河パトロール隊そのものをさえ深刻《しんこく》におびやかすほどになっていた
ボスコニアは、ある点でパトロール隊をしのいでいた。その科学者たちは、銀河系文明に知られているかぎりのどんな動力よりもはるかに強力な動力源を開発していた
それらの戦艦はパトロール隊のもっとも速い巡洋艦より速く、しかも、もっとも大型の戦艦よりも重武装だったから、事実上わがもの顔に宇宙空間をのし歩いていた
パトロール隊の技師たちは、ある特別の目的のために、一隻の宇宙船を設計し建造した――ブリタニア号である
キニスンはきわめて重要なデータを持って最高基地に到着した。パトロール隊は「空飛ぶ鉄槌《てっつい》」と呼ばれる超強力戦艦を建造して、ボスコニアに対し一時優位に立ったが、やがて手づまりがきた
彼はもはやパトロール隊という巨大な機械の中の一個のねじではなかった
彼がどこへ行こうとも、彼自体がパトロール隊なのだ!
そのうちに、一隻の海賊船がパトロール隊の病院船を捕獲して、それをボイッシア基地へ連行してきた
彼はその総基地がパトロール隊のいかなる集中攻撃にも耐えられるほど堅固なことを知った
彼はパトロール隊の最高基地にひき返したが、その途中考えたのは、あの強大な要塞を陥落させるには内側から穴をあける以外に方法がない、ということだった
その時刻の到来とともに、パトロール隊の大艦隊はあらゆる熱線《ビーム》放射器を動員して、ヘルマスの基地に攻撃を加えることになっていた
パトロール隊の大艦隊は攻撃を開始したが、ヘルマスは密室にこもったまま、自分の基地を救おうとさえしなかった
死体が散乱したドームがはっきり見えた。パトロール隊が外側から攻撃していることもわかっていた
時刻の到来《とうらい》と同時に、銀河パトロール隊の大艦隊のあらゆる兵器が、このドームのスクリーンに向かって、強烈きわまる破壊力をそそぎかけるのだ
「しかし、もしきみが疑いはじめていることが事実とすれば、ボスコニアは銀河系間的な規模《きぼ》を持っていることになる――パトロール隊よりもっと大規模なのだ
しかし、銀河パトロール隊の観測員たちは、視覚だけに依存しているのではなかった
降服することは思いもよらなかった――パトロール隊の死刑室におめおめ投げこまれるよりは、宇宙戦闘の熱線地獄の中でいさぎよく死ぬほうがずっとましだった
パトロール隊の重巡洋艦は断固として空中要塞に接近した
この球体は切断することも突破することもできない。そういうわけで、パトロール隊の巡洋艦は、ボスコーンの要塞を包みこむべく断固として突進したのだった
事実、もうそんな取引きはなかった。パトロール隊は、この自殺光線の有効距離より遠くで敵要塞を包囲するに充分な数の戦艦を持っていたので、その方法をとったのだ
宇宙パトロール隊の大艦隊は、ふたたび隊形を整えて、巡航速力で銀河系へ向けて出発した
彼にはなすべき任務がある。パトロール隊はレンズマンに養成するために百万信用単位もの費用をかけている
彼が乗っているのは、パトロール隊の最優秀船だった
彼の後援者であるアリシア人は、パトロール隊がレンズの力によって銀河系全体に文明を確立できるだろうと告げた
さもなければ――つまり、もし彼らがこの銀河系における少数派だったり、現にはげしく支配権を争っているとしたら――彼らは兵力を割《さ》いてわれわれの銀河系に侵入することもできなかったろうし、パトロール隊が開発した新兵器に対抗できるように自分たちの宇宙服を改造することもできなかったろう」
追跡されているとは知らぬ海賊船は、パトロール隊の船をしたがえたまま、それらの惑星の一つへ向かって突進して行った
結果は同じだった――海賊はパトロール隊がはじめて第二銀河を訪問した現在、それを所有しているのだ
なぜなら、そのときはすでに、海賊たちは第一銀河系の中に総司令部を持っていなかったからだ。そしてパトロール隊は、その原理を基礎とする兵器を完成するために数カ月を費やした
従来のキンマーリング式遮断器では、千億キロ・ボルト・アンペアをはるかに越えるような負荷を加えられると、アーク放電を起こしやすく、したがってこの新しい装置に使用することなど思いもよらなかったのだ。しかし、パトロール隊の技術陣はついに埋没《まいぼつ》アンテナと半透性《はんとうせい》コンデンサーの結合体を開発することに成功した
その効果は、かつてパトロール隊の巡洋艦をいともやすやすと破壊したボスコーンの即席新兵器の効果をはるかにしのいでいた
「探検隊の隊長が隊を捨ててどこかへ行ってしまうなんて、初耳ですな
キニスンの快速艇は惑星メドンをとびだして、敵に探知されることもなく、無事にパトロール隊の最高基地にもどった
宇宙空港へ、快速艇の中へ、そして空中へ――銀河パトロール隊が誇る最高速の宇宙船は、全力噴射で宇宙空港を突進して行った
その多くは名士だった。そのひとりが、パトロール隊のラデリックス基地を指揮しているレンズマンのジェロンド代将だったのは、当然のことだった
そして、同様な高空に、同様に完全な探知波スクリーンを張って、ひとりの俊敏《しゅんびん》なレンズマンが一隻の快速艇の制御盤の前にすわり、防音装置をほどこされたジェットをふかしながら、テレスコープを通じて熱心に観測していた。パトロール隊に関するかぎり、あらゆる準備がととのっていたのだ
キニスンにはわかっていたが、この邸宅の中にいるボスコーン人は、あらゆる光線を操作して、パトロール隊の反応をさぐっているにちがいなかった
「QX、バークネット――ありがとう」ふたりのレンズマンのうちひとりは輸送車に乗り、もうひとりはギャングの車に乗って、パトロール隊の司令部にもどった
ボミンガーたちが片づいて、彼の記録の写しが完全にそろっていたので、パトロール隊はラデリックスの麻薬組織を急速に一掃しました
「費用は問題ではない」彼の声は目だって変化した。「キム、きみはパトロール隊の財源について、いくらかでも想像がつくかね
しかし、もし惑星系間貿易がボスコーンに妨害された結果生じた最近の不況がなかったなら、銀河系全体の流通信用のうち、あまりに多くの部分が銀河パトロール隊の消費基金に集中された結果生じる深刻な財政的困難を避けるために、また税率を下げねばならなくなっていただろう
これらの船のうち、なんらかの適切な事実を報告し得たものは一隻もない。パトロール隊の基地に接近した船、またはパトロール隊の戦艦と惑星で戦闘をまじえた船は、まったく通信を停止してしまった
また彼は、従来、彼の種族に知られていなかった知力を獲得していること。そしてまたパトロール隊が強力な新兵器を開発したのは、大部分、彼の力によるものであること
銀河パトロール隊と銀河文明は地球から出発したのではあるが、主要な障害は地球ではなくアリシアであること
『パトロール隊はそのことを知っているのか
渡り者の宇宙坑夫たちはどこかの太陽系へ送って、採掘をやらせる――パトロール隊の負担でね
この仕事には多数の宇宙船が必要だったが、パトロール隊の技師たちは、それに充分な工作船を呼びよせることができた
ある者はしがない悪党で、自分の惑星の官憲から逃亡してはいるが、パトロール隊の「指名手配」リストにのるほどのこともない
もし何か異常に言語道断《ごんごどうだん》な事件でもあって、銀河パトロール隊が介入《かいにゅう》しなければならないような場合には、個々のパトロール隊員ではなく、完全に武装した小隊か中隊が出動するのだ
キニスンは惑星ブロンセカでの攻撃を完全に放棄《ほうき》してそこを立ち去った――それまでの彼の努力はすべて水泡に帰したように思われた――しかし、パトロール隊は眠っているわけではなく、ボスコーンの地区支配人であるコミノチェ市のプレリン、すなわちウェンブルスンは忘れられはしなかった
麻薬取引がいつものように行なわれているかどうかは、パトロール隊のだれにもわからなかったが、三つのことは確かになった
それは、いたるところへこんだり、かき傷がついたりしていたが、括弧《かっこ》つきで特筆すべきこととして、パトロール隊の技師たちが徹底的な改造を加えた結果、戦艦に負けないほど頑丈《がんじょう》になっていた
もし銀河パトロール隊の宇宙服を着てさえいたら――だが、そんなことはもちろん論外だ
「帰るとき、この隕石を持っていきます――それとも、閣下のほうで、だれかをここへ派遣《はけん》して回収なさいますか? これはもちろんパトロール隊の財産ですから」
パトロール隊員が発見したものはパトロール隊に帰属するという規則があるではありませんか」
もし自分が麻薬一味《ズウィルニク》にやられれば、パトロール隊が掘りだすだろう
もし自分がデスクの仕事につくまで長生きしても、もう死ぬまでパトロール隊から金をもらう必要はない
この鉱石をパトロール隊の造幣局か貴金属ステーションへ持って行けば、精密な分析で決定されたとおりの額を受けとることができる
そうすれば、一つのグループがパトロール隊の死刑室に送りこまれても、ほかのグループは何かほかのものを使えばいいからだ
もちろんその記述は暗号で書かれていたが、キニスンはその解読法を知っているので、英語で書かれているのと同じことだった。しかし、あとでパトロール隊の麻薬局員たちが残念がったことに、この記述のテープはレンズマンの封印をつけて送検されたのである――つまり、グレー・レンズマンが許可を与えなければ、読むことができないのだ
これに関連して想起されるべきことだが、当時ヴェランシアの住民は銀河パトロール隊に発見されて無慣性航行の技術を導入したばかりで、何百という他の太陽系の雑多《ざった》な住民を訪問したり、その訪問を受けたりすることに熱中していた
とくに両者が遺恨《いこん》に燃えて、猛烈に、貪欲《どんよく》に――ありとあらゆる方法で――憎悪しているのは、銀河パトロール隊の標識たる、かぎりなくのろわしいレンズをつけた、いまだに未知の一レンズマンなのだ
きみが感情に負けて忘れているのは、パトロール隊がもっとも大事だということだ。パトロール隊は、それを構成するどんな人間やグループの生命よりもはるかに重要なのだ」
さしあたりそれを認めるとしても、きみはどっちがパトロール隊にとってよかったと思うかね――あのりっぱな二十二人の男を失っても、作戦を成功させたほうがよかったか、それとも、なんの情報や利益もなしに、ひとりの独立レンズマンを失ったほうがよかったか
これはわれわれの義務なのだ。しかし、パトロール隊が傭兵《ようへい》や徴兵《ちょうへい》の集団ではないということは、片時《かたとき》も忘れてはならない
科学、パトロール隊、文明――おそろしく恩知らずな情婦たちだ
この船の要員の中でもっとも足の速い者がふたりその任務につけば、パトロール隊にとってもっとも有益と思われる
ウォーゼルだってそうなんだ」バン・バスカークも同じ調子でやり返す。「おまけに、そのほうがパトロール隊にとって有益なんです――あなたが自分でいったようにね
例の超強力防御機構は、外部からの攻撃に対して抵抗できるようにつくられているだけで、内部からの攻撃には抵抗できないのだ。パトロール隊が超空間チューブを通して防御機構の内部に突入してこようとは、思いもよらなかったのだ
彼らは、パトロール隊の超戦艦の下方や周囲に、死と破壊の模様をまぶしく交錯《こうさく》させている強烈なビームを、気力によっていっそう強化しようとするかのように身をかがめている
乗組員がまったくいない船もあり、半分しかいない船もあった。パトロール隊の急襲を迎え撃てる船は一隻もない
どんな坑夫でも、それほど大きくて価値のある鉱石を手に入れれば、どろぼうのような鉱石仲買人のところへは行かずに、パトロール隊の鉱石買入所へ持って行くだろう
そうすれば、そいつの死体を床《ゆか》から片づけることになり、わたしはパトロール隊に快速艇で追いかけられるはめになる
彼はこれまでのところ、パトロール隊の進出をくいとめているように思われる」
われわれの中には、はじめからあの実験が無謀で未熟だと考えていた者もいる。パトロール隊があのチューブを破壊したのは、まだまったく仮定上の存在にすぎない超人的な一レンズマンの行動というよりは、有能な数人の物理学者の行動によるものと思われる
観測員の報告によれば、パトロール隊は確証なしに違法な行動に出ることを避けている
「もちろんきみは、すすんでその枢要《すうよう》な基地の指揮をとり、ドームにアイヒ族の要員を配置して、パトロール隊に後援されたレンズマンと対決するのだろうな――もし彼が来たとすればだ
ジャルトは有能で精力的であり、レンズマンやパトロール隊の侵略に対して、われわれ同様に情報に通じている
あそこには、麻薬組織の最高機密が完全におさめられている。パトロール隊が麻薬組織を百パーセント掃討するために必要な情報を完全に伝達するためには、何日もかかるだろう
宇宙じゅうの人間が、パトロール隊は、突如として軟化《なんか》してしまったと考えている
「戒厳令《かいげんれい》さ――非常の際にはパトロール隊が指揮をとるのだ、きみも知っているようにな
出費の点は、パトロール隊が損害を補償する
やつらもそれを見込んで市内に基地をつくったのでしょう……ですが、やつらはパトロール隊の攻撃に耐えられないことを知っているにちがいありません」
彼らはパトロール隊が大挙《たいきょ》して着陸したことを知っているが、それに対してどうすることができようか
そういうわけで、パトロール隊の陸上兵力がはげしい響きをたてながら配置につくあいだ、敵はなんの示威《しい》も行なわなかった
ボスコーンとは何者でどこにいるのかわからなかったが、彼はボスコーンに、銀河パトロール隊が事をはじめたら、それを徹底的にやりとげるということを知らせたかったのだ
防御者はブロンセカで営業をつづける最後の希望も絶えたことを知るや、憎むべきパトロール隊に思いきり犠牲を払わせようと決意をかため、自分たちのビームを放射する
そしてパトロール隊のいまや部分的に破壊されたスクリーンの囲いの中では、いたるところで一瞬ごとに、いよいよはげしい破壊がくりひろげられている
ボスコーン船は速かったが、パトロール隊の新型宇宙船は宇宙でもっとも速かった
銀河系監督は、できるかぎりの手を打ったが、それはほとんど役にたたなかった。パトロール隊の戦闘行動がはじまると同時に、彼はボスコーンでもっとも有力な戦艦からなる一艦隊をプレリンの援助に派遣した
また、さらに二つの事実があります――第一は、パトロール隊がコミノチェ市を破壊するほどの兵力を用いねばならなかったこと
「いかなる意味でも証拠とはならない――可能性でさえない、事実、パトロール隊が力を誇示《こじ》したことは、レンズマンがすでに目的物を獲得したことを意味する
ふたりは、どんな準備をすべきかについてすでに何時間も討議し、唯一の可能な準備は、もしキニスンが失敗した場合でも、それによってパトロール隊が災害をこうむらないようにしておくことだという結論に達していた
それから、地球人はパトロール隊に必要な情報をなんとか手に入れ、ヴェランシア人はそれを最高基地へ持ち帰るのだ
いちばん大事なのはパトロール隊だ。それは、その組織の中のいかなる個人やグループよりはるかに重要なのだ
「おまえは、パトロール隊がわれわれを地球銀河系から駆逐することを可能ならしめた、あのレンズマンか
それから彼の残骸を彼の船に乗せて、地球銀河系へ出発させ、その正確なコースと速度をパトロール隊に通報するのだ」
わしとしては、この男がパトロール隊のA星に対する見せしめ、または警告になりさえすればよいのだ」
銀河評議会はキニスンの報告を徹底的に検討し、その各メンバーは、彼やウォーゼルと充分に協議した。パトロール隊は第一銀河系全体におよぶ膨大な総力を投入して、銀河文明の脅威ボスコーンを一掃する準備をととのえた
銀河パトロール隊が、ほとんど無尽蔵《むじんぞう》の資金をたくわえておいたのはさいわいだった
ジャルトは快速艇に乗せられていた者の運命については、なんの情報も首領に通信できなかった。パトロール隊の基地内には、もうスパイがいなかったからだ
一つだけ確かなことがあるが、それは、はなはだ深刻な事実だった。パトロール隊が、これまでになかったような規模で銀河系にわたって軍備を強化しつつあるのだ
われわれのところへ派遣されたのは失敗した。パトロール隊は地球銀河系内のわれわれの残存勢力を一掃しようとしているにちがいない
「事実、もしパトロール隊がわれわれの各太陽系組織の多数に対して一斉攻撃を加えてくるならば――わしはその可能性ありと考えはじめているが――きみはなるべく多数の太陽系組織を解消して、将来のために保存する処置をすませた後、その基地を放棄《ほうき》してカロニアへ帰還すべきだ」
第一 パトロール隊は準備がととのえば、なんの予告もなく強烈な攻撃を加える
第二 パトロール隊の攻撃は下部組織ではなく上部に加えられる
もしヘルマスの基地が攻勢に出るか有効な守勢をとることができたら、あるいはまたボスコーンがあの星団に艦隊を投入することがまにあったら、パトロール隊は、不名誉な敗北をこうむったことだろう
そしてこの場合は、そうした会合が一秒間に何兆という率で起こったのだから、これまでどんな宇宙船も耐えることを要求されなかったほどの密度で、宇宙線の洪水がパトロール隊の宇宙線防止スクリーンにそそぎかかったのだ
銀河パトロール隊の大艦隊はふたたび隊形を組み、銀河系間空間を突進して行った
わしはそう楽観せん……」アイヒミルは先刻そういったが、銀河系間通信の最後の手段である最後の球体エネルギーが機能を停止すると、ボスコーンの首席は非常に不安になった。パトロール隊は確かに何か新兵器を持っている――彼自身それをちらりと見たのだが――しかし、あれはなんだろう
その結果、地球銀河系に対するボスコーンの足がかりが失われたのだ。パトロール隊がボスコーンの地区組織や惑星組織を一掃しつつあるか、またはやがてそれにとりかかるだろうということも、論理的|帰結《きけつ》である
長いこと待っていたジャーヌボン自体に対する攻撃が行なわれようとしていることはほとんど確実だったからだ。しかしパトロール隊がくるならこい――ボスコーンはそなえができている。しかし完全だろうか
相手が同様に統制のとれていない艦隊だったら対抗できるだろうが、パトロール隊の慎重に計画され、厳密に時間をあわされた攻撃に対しては、個々の行動はどれほど勇敢で死にもの狂いでも無駄だった
予定された瞬間に、パトロール隊の各戦艦はスクリーンとスクリーンをほとんど接触させて、巨大な赤い中空の球の一構成単位となった
パトロール隊の無敵艦隊《アルマダ》は、ほとんど勢力をそがれぬまま、第二銀河系へ突入する――ジャーヌボンを含む太陽系へ到達し――そしてそれを包囲する
ときおり半ダースものビームの集中攻撃で防御スクリーンが部分的に破壊されるが、それもほんの瞬間でしかない。そしてパトロール隊の放射器のあらたに考案された砲身でさえ、ボスコーンの言語に絶する強力な防御を効果的に貫徹《かんてつ》するほど長くは、そのすさまじい負荷に耐えることができなかった
大気との接触を防ぐためにQ型|螺旋《らせん》砲に包まれたビームが、パトロール艦の防御スクリーンに激突してそれを貫く。そのビームはパトロール隊の第一次ビームにほとんど匹敵《ひってき》する密度を持ち、有効口径は百倍もあるのだ
「パトロール隊の各艦のY14M員、注意
それと同時に、すべての圧迫《あっぱく》ビーム、牽引《けんいん》ビームが解放される。パトロール隊の各艦はすでに無重力状態にある――ジャルトの惑星があったところを立ち去って以来、どの艦もずっと無重力状態だったのだ――したがって、飛散する破片によって損害を受ける危険はない
そして、銀河パトロール隊の大艦隊が第一銀河系へ向けて銀河系間空間を突進しはじめたとき、その後方には、すでに長い歴史を有する一恒星に所属して、小型で比較的低温の、おそらく短命と思われる新しい惑星が輝いていた
「パトロール隊の仕事より重要なものかね
もしグレー・レンズマンが、みずからもっとも有効だと判断する方法でパトロール隊に奉仕する権利を放棄せざるをえないとしたら、われわれは執行官になる前に射殺されてしまうにちがいない
「パトロール隊がこれから主催しようとしているような結婚式の場合は、とくに準備に時間がかかるのだ」ヘインズが注釈した
この結婚式はパトロール隊が主催するといったら主催するのだ
「ここに一万信用単位ある――パトロール隊の基金だ
「銀河パトロール隊」から「レンズの子ら」までの四部作は三七年九月から第二次大戦を中にはさんで四八年まで断続的に「アスタウンディング」誌に連載され、名実ともにスペース・オペラの決定版という評価を獲得した
おまえの思考の明晰《めいせき》さと、知覚力の正確さとに、銀河パトロール隊と銀河文明との全未来がかかっているのだ
もうやつらが地球を宇宙から抹殺《まっさつ》したとしても、それで銀河パトロール隊が破滅することにはならない
銀河文明の惑星が銀河パトロール隊をリードすることができるし、そうするにちがいないのだ」
だから、それらを敵がのぞむ瞬間にではなく、パトロール隊がのぞむ瞬間に、有重力にしなければならない
ヘルマスの基地の宇宙要塞に似ていたが、それよりもっと大きかった。パトロール隊の特殊防御巡洋艦にも似ていたが、防御スクリーンがはるかに強力だった
この仕事と並行して、宇宙空間のそこここに新しい構築物が出現しはじめた。それらは、パトロール隊の|空飛ぶ鉄槌《モーラー》に比較すれば小さかった
また、もしボスコーン艦隊にパトロール隊の旗艦Z9M9Zに匹敵するような船があり、キニスン――ウォーゼル――トレゴンシーのような結合知能がその操作タンクを監督していたとすれば、戦闘の結果が異なっていたかもしれない、ということも確かである
この宇宙をひきさくようなおそるべき交戦の最初の数秒がすぎたとき、パトロール隊の全艦隊の八分の一は、破壊されるか、完全に消滅するかしていた
こうして、衝撃球の内側を構成していた宇宙船はほとんどすべて破壊されたが、要員にはひとりの死者もなかった――少なくともパトロール隊の側では
最初のすさまじい交戦がおこなわれているあいだに、パトロール隊の後続艦隊が戦場に到達した
銀河パトロール隊の戦艦は後退した
どんな物質も、一瞬といえどもそれに対抗できない。それは、パトロール隊の科学者たちが知るかぎりで、もっとも強固な防御壁を瞬間的に貫いた
だから、その狂暴なエネルギーの針がボスコーンのドームを突きに突いたとき、パトロール隊の各将兵はもとより、キムボール・キニスンまでが、ドームの崩壊を期待したのは当然であった
「QX」司令官は承認した。そして、パトロール隊の|空飛ぶ鉄槌《モーラー》が後退するやいなや、キニスンは思考を伝達した
銀河パトロール隊はヘルマスの総基地を完全に破壊し、この銀河系内の二次的基地を探索して撃滅《げきめつ》したが、それによって銀河文明に対するボスコーンの軍事的拠点は、決定的な打撃を受けた
なぜなら、われわれの島宇宙には、まだパトロール隊の惑星学者たちによって宇宙図に記録されていない部分が、比較的多かったからだ
このような基地は銀河文明の惑星の近くにあるかぎり、パトロール隊の探知器の探知をまぬかれることは不可能だった
その船は、デネブ系第五惑星からきたパトロール隊の快速艇で、登録番号はしかじかである
パトロール隊の巨大な宇宙船が成層圏を突破したとき、キニスンのCRX追跡光線は、強力で執拗ではあったが、かろうじて相手を捕捉しているだけだった
わたしは、あいつがあの快速艇を扱うより、よっぽどうまくこの超大型戦艦をあつかってみせますよ」パトロール隊のチーフ・パイロットのナンバー・ワンであるヘンリー・ヘンダスンは、ほらを吹いているのではなかった
わたしもう覚悟しているの。パトロール隊からそれ以外のことが期待できて
「でも、もしあなたがわたしの心を手術したとすれば、わたしを『救った』ことにならないわ。だって、わたしはまだ、パトロール隊やそれに関係のあることについて、これまでとまったく同じように考えているんですもの……それともわたしは
「わたしたちの心から、地球やパトロール隊のことを知ったからよ――ライレーン人たちはみんな、はじめのうちは、自分たちの惑星のほかに、知的生物が住んでいる惑星があるなんてことが信じられなかったのね――それで、直接それを確かめようっていう気になったのよ
完全な女家長制種族の住む、ライレーン系第二惑星。パトロール隊のどんな宇宙図にものっていない惑星ロナバール
「文明の男性……地球の人間……地球のキニスン……太陽《ソル》系第三惑星のレンズマン・キニスン……銀河パトロール隊のレンズ着用者……」ほとんど感じられないほど弱々しいが、せっぱつまった死物狂いの思考が、たえまなく訴えつづけた
もしあなたたちがいま、わたしたちを助けてくれれば、わたしたちはパトロール隊を受けいれよう
彼女は、レンズマンの心に、パトロール隊がこれから交戦しようとしている二隻の宇宙船の、正確な映像を投射してみせた
したがって、それらは|空飛ぶ鉄槌《モーラー》でないことは確かだ。また、パトロール隊の大艦隊を第二銀河系のへりでむかえうった艦隊を構成していたような、第二級戦艦でもないだろう
。もちろん、パトロール隊はあの戦闘のとき、超快速で同時に超強力な船――このドーントレス号と同じようなもの――を持っていた
。だから、パトロール隊がそうした船を設計し建造しているあいだに、ボスコーンも同様な船を設計し建造していたということは、充分ありうることだった
いっぽう、敵はダンスタン区域でパトロール隊の強力な攻撃を受けるとは予期していないだろうから、それらの船が二線級の旧式なものである可能性も多いにあった……
この切断器は、もともとパトロール隊の科学者によって開発されたものだった
もちろん、理論的にいえば降服《こうふく》も可能だったが、その試みはまったくなされなかった。パトロール隊の兵力がどれほど強大な場合でも、海賊船が降服したことはこれまでなかったし、これからもなさそうだった
宇宙図室《チャート・ルーム》には、灰の山が残っているきりだった。パトロール隊の役に立ちそうなものはすべて破壊されている
だから、ボスコーン人たちにしてみれば、それを着ないですますほうがよかったろう。パトロール隊が不意打ちをくわせたのは事実だが、それが予想されていたはずはない
こうしてできた穴から、銀河パトロール隊の黒と銀の制服に身をかためた戦士たちが、どっとなだれこんでいった
しかし、銀河パトロール隊の宇宙服は、半携帯式放射器の熱線より力が弱ければ、どんな熱線にも耐えられるようなスクリーンで防護されている
もちろん彼がのぞむ情報を知っていたのは、自殺したやつらだ。あたりまえのことだ。パトロール隊の士官たちも、同じような立場に追いこまれれば、同じように自殺したにちがいない
パトロール隊はすでにアルデバラン系第二惑星へ手をまわして、どんなにわずかでもロナバールに関係のある証拠があるかどうかを調べてみた――しかし、徒労だった
なにをあわててるんだい」キニスンはたずねたが、すぐ了解した。「そうか――『おやじ』のことだね? QX、それはパトロール隊の標準用語なんだ
イロナがダンスの伴奏としてもっとも好んだのは、ドーントレス号のすばらしいオーケストラのレパートリーのうちで、『われらのパトロール隊』の感動的なメロディだったが、その事実が演技者と観客の感情をいやが上にも高めた。『われらのパトロール隊』。それは、パトロール隊の黒と銀の制服を身につけたことのある者にいわせれば、これまでにつくられ演奏され歌われた音楽のうちで、もっとも偉大で、もっとも光輝に満ちて、もっともすばらしい音楽なのだ
「ええ、そうですとも。もうすぐパトロール隊じゅうにわかることですから、いまお知らせしましょう
これは、クッションをいれ、厚くつめものをつめた袋で、パトロール隊の技術家たちに知られている最高の緩衝装置によって、四つの壁、天井、床から懸垂《けんすい》されている
だから、最初に触《ふ》れたのがパトロール隊の問題でなかったことはあきらかである
「欠陥一つないわ」彼女は首をふった。「つまり、パトロール隊が、やりすぎなければね。そして、そんなことはないと思うわ
みずから手をくだす殺人者であって、もうすでに銀河パトロール隊のブラック・リストにのっているにちがいないが、そうでないとしたら、当然のせられるべきやつだ
また、彼らは、パトロール隊が殺人犯を容赦しないということも知っていた
そしてとうとう、この問題に関心のある者なら、一億もあるどの惑星の上でも、パトロール隊がこれこれの人相のカーティフという人間を、第一級殺人の容疑で追求しているという明白な形跡を見いだせるまでにいたった
パトロール隊のやり方は徹底していた
彼がどんな名前を用いようと、パトロール隊は鼻先でそれを払いのけて「カーティフ
そして、そのような取引きをつづけることによって、パトロール隊にまっこうから挑戦し、もっとも狡猾《こうかつ》かつ凶悪な文明の敵としての悪名を高めながら、惑星ロナバールがある未探検の渦の尾のほうへ、ジグザグコースで、目だたないように接近して行った
彼は進むにつれていよいよ速度をはやめた。パトロール隊は追いつきようのないほど差をつけられてしまった
「パトロール隊は、しばらくまえから、わたしを片づけようとしているが、わたしはまだごらんのとおりぴんぴんしている」キニスンはおだやかに指摘した
そして、わたしに手をかけるまえに、パトロール隊の第一次ビームより、もっと熱いやつの洗礼を受けることになると、忠告しておくんですな」
支払いは、パトロール隊の信用単位でも、プラチナ棒でも望みしだいだ」
彼はパトロール隊の宇宙服によく似た宇宙服をつけ、半携帯式放射器を持っていた
そのあと、カーティフとその一味の姿は、第一号やパトロール隊や、銀河文明のまえから、完全に消えてしまった
麻薬業者《ズウィルニク》の中間ボスは、あらゆる手をつくして宇宙を捜索させたのち、さもカーティフを追い払ったかのように誇称した。パトロール隊はいつものようにおくればせに彼のあとを追いかけていった
このような髪の毛一筋の差はもちろん必要だった。さもなければ、パトロール隊のマスター・パイロットの最初の五十人については、なんの差異もつけられなかったろう
装甲車はすぐ空港にひき返し、カーティフの宇宙船はただちに発進した――補給の必要はなかった――名目上の目的地は、パトロール隊に未知の、もう一つの惑星だったが、事実上は、数秒のうちにキニスンの呼びかけに応じられるほどの近さで、ロナバールの周囲に軌道を描きながら、有重力状態で旋回していたのだ
それは、新しいボスコーンまたはボスコーンの背後にいるだれかが、ライレーンの太陽系をすこぶる重視して、銀河パトロール隊のにくむべき恐るべきレンズマン指導者スター・A・スターが絶対にそれに関する知識を手に入れないように配慮したことを意味する――それにちがいないのだ
彼が真に思考することを学びはじめたのは、彼自身にとってもパトロール隊にとってもよいことだった。なぜなら、すでにあきらかにされたように、この闘争は本質的には物理的なものではなかったからだ
ボスコニア――われわれはすでに、ボスコーンが銀河文明と鋭く対立している暗黒文明の主動力ではないことを知っているが、それはやはり「ボスコニア」と呼ばれているのだ――は、長いことイニシアチブをとって、パトロール隊を防御いっぽうに追いこんでいた
また、ボスコニアは、銀河文明の科学者協議会が超空間チューブの謎を解決するよりずっとまえに、それを利用していた。そして、パトロール隊がそれを使用できるようになってのちも、それを使用すべき肝心《かんじん》な対象が発見されないかぎりは、銀河文明になんの利益ももたらさないのだった
われわれの計画が劣弱な人類に察知されるまえに、全銀河系がわれわれの支配に帰し、パトロール隊が撃滅されてしまうことは、必然的であると思われたのであります
ところが、未知の予見しがたい因子、すなわちパトロール隊のレンズが重要な役割をはたすにいたるや、われわれの計画は当然、挫折しました
アイヒ族のランは、まさにこの点について長広舌をふるったが、結局においてパトロール隊の原動力と本質について、重大な過小評価をおかした
惑星爆弾も発射されましたが、パトロール隊に察知され、敵の遠距離誘導惑星によってはねとばされました
とりわけ、われわれがもっとも留意すべきことは、われわれに関するいかなる情報も、銀河パトロール隊のいかなるメンバーにも洩れないようにすることである――余はわれわれの二つの惑星が、現在のジャーヌボンのようになることを望まないのだ」
「われわれは、スター・A・スターや、その他のレンズマンの来訪から、銀河パトロール隊の大艦隊の総攻撃にいたるまで、あらゆる不測の事態に備えています
彼らの粗雑《そざつ》な思考波スクリーンは、デルゴン貴族に対してほとんど無力だったが、ついにパトロール隊が到来した
ライレーン系が、そのように重要な司令部に選ばれたおもな理由は、それがパトロール隊の科学者たちにまったく知られていない、遠隔にあるごく少数の太陽系の一つであって、そこでは、アイヒ族もデルゴン貴族も、自然的環境の中で生活できるからだった
カーティフに化けたキニスンが姿を消すやいなや、パトロール隊がロナバールに進出してきた
はじめのうち進歩はうんざりするほどのろかったが、パトロール隊の仕事を真に理解する市民が増加するにつれて、進歩のペースは速まった
レンズマンたちは類推的判断からして、その直線が、第二銀河系の本体からかなり離れた天頂か、天底にある星団に通じているだろうと考えていた。しかし、そうではなかった。パトロール隊の観測員が、誤差が非常に少なくなるほど接近してみると、彼らの目標が第二銀河系自体の中にあることがあきらかになったからだ
こうして、超長距離通信で協議をかさねたのち、銀河パトロール隊が攻勢に転ずることが決定された
だから、それらの超強力兵器は、パトロール隊がボスコーンのあらゆる攻撃に対抗して維持すべき惑星を選択したのちに運ばれるのだ
この波状攻撃は、銀河パトロール隊が第二銀河系のボスコーン勢力を一掃するまで停止されないだろう
通常の通信ビームは、パトロール隊の通信妨害を排除しえなかった
|空飛ぶ鉄槌《モーラー》の堅固な集団を破壊することは、理論的にはほとんど不可能だから、ボスコニアも銀河パトロール隊も、このような宇宙船については、多量の予備を持っていなかった
いっぽう、パトロール隊の大艦隊は、最好調で、完全にバランスがとれていた
したがって、ボスコニアの艦隊は、第二銀河系のすぐ外側でパトロール隊を迎撃したものの、非常に不利な立場に立たされていた
そして、パトロール隊の心理学者たちは、キニスンやイロナをはじめ、多くのテープなどから集めた事実にもとづいて、一つの判断に到達していた――その判断によれば、銀河文明の軽巡洋艦は、敵の軽巡洋艦より堅固なスクリーンと強力なビームを持っているので、敵の軽巡洋艦が反物質爆撃艦だとしても、それを撃滅できる公算が大きいというのである
イロナが気づいて驚いたように、彼らはみずから欲してその持場にいるのであり、士官たちに駆りたてられて働くのではなく、士官たちといっしょに働いているのだった。パトロール隊の射撃員たちにとっては、どの組が最初の爆弾を捕捉するか、またもっとも多くの爆弾を捕捉するのかが競争だった
敵はあらゆる兵員を動員して、パトロール隊の重巡洋艦を撃滅しようとした
したがって、この超重量級宇宙船同士の激突は戦闘ではなく、一方的殺戮だった。パトロール隊の巨艦は、十隻以上が敵の不運な一隻に攻撃を集中することができた
パトロール隊の心理学者たちは、これらの事実を知って安堵のため息をついた
こうしてパトロール隊は、クロヴィアを難なく接収した
ヘインズがまず配慮したのは、銀河パトロール隊が所有しているもっとも強力な兵器――無重力惑星、|負の球体《ネガスフィア》、すなわち反物質爆弾、太陽ビーム、空飛ぶ要塞など――を、全速力でクロヴィアへ運ばせることだった。それからパトロール隊は、住民のうち雇用可能なものをすべて、これまで以上の高給で仕事につかせると同時に、第一銀河系内の地球に似た何百という惑星から、何億という男女、子どもを植民させた
異常を認めた歩哨も少数いたが、彼らはそのことをまったく記憶していなかった。ところで、パトロール隊の諜報機関の専門家たちの手にかかれば、どんな記録でも完全に変造できるのだ
しかも、彼らは単に帰還しただけでなく、のちにパトロール隊がジャーヌボンを撃滅するのに役立った情報を持っていったにちがいありません」
あれは巧妙な仕事だった――しかし、パトロール隊の協力をもってすれば、可能などころか容易なことである
「しかし、それらの質問をなさるなら、なぜパトロール隊が、われわれの大艦隊を一掃するほどの兵力で、この銀河系に現在侵入してきた理由を、問われないのです
パトロール隊のパイロットは、カンドロンの宇宙船を容易に探知し、探知波中立器をフルに働かせながら、らくらくと追跡して行った
目標が三次元空間から消滅すると、その消滅点が正確に測定され、パトロール隊は数秒のうちにその点に到達した
自分の位置を知るのはまえの場合より困難だろうが、パトロール隊の宇宙図の助けを借りれば、不可能ではない
時間は重要な因子ではありません――≪大計画≫は日や年を単位としてではなく、世紀を単位として作成させられたものです――したがって、われわれが自己の足場を確保してのち攻勢に転じ、われわれが攻撃する惑星を、パトロール隊のあらゆる攻撃に対して難攻不落のものとしつつ、徐々に拡大していくべきであるのは、自明の理であると思われます」
なぜなら、キニスンは、こうした点検がくることを予期していたから、かりにパトロール隊の専門家たちは、誤りをおかすことがあるとしても、アリシアのメンターはそういうことがないからだ
もちろん、これはブレークスリー事件(「銀河パトロール隊」参照)よりはるかによくできている
あのとき彼は、確かにウォーゼルを同伴した――そしてそれは幸いだった――しかし、彼はパトロール隊の中に、この問題を処理するについて、自分よりもっと適当な人間がいるのではないかというようなことを反省などはしなかった
「なぜなら、わたしはきみが銀河パトロール隊のスター・A・スターそのものであるか、ないしは彼と関係があるのではないかと疑っているからだ」フォステンは、この驚くべき告発にも少しも動じなかった
わたしの見るところ、われわれがまずなすべきことは、惑星クロヴィアと、そこを基地とするパトロール隊の全兵力の撃滅に、全力をかたむけることだ」
総理大臣は、キニスンがそう主張する主要な目的が、パトロール隊に充分の時間を与えて、クロヴィアをまったく難攻不落にさせるためだということを知らなかった。フォステンは、パトロール隊の太陽ビームについて、何も知りえなかった
しかも、彼はほとんどつねにスクリーンを着用していたのだ。そういうわけで、パトロール隊の戦術家たちは、ボスコニア人のあらゆる行動について、キニスンと同様によく通じていたのだ
が、船の総数においては、パトロール隊の大艦隊ほど多くはなかった
しかし、ボスコニア艦隊の中核は、パトロール隊のそれより重く、数と総トン数においては、まったく抵抗不能の|超空飛ぶ鉄槌《スーパー・モーラー》からなっていた
この技術は、いまのところパトロール隊とZ9M9Zの独占なのだ
そして、ボスコニア人には未知のこの作戦こそ、パトロール隊の圧倒的利点である――と戦術上推定されていた
彼らは旗艦に起った事件の背後にパトロール隊の手先がいるとは夢にも知らなかったし、また知りえなかった
しかし、太陽ビームの役割はすんだ。いまやパトロール隊の大艦隊の各構成単位は、その仕事にとりかかった
「アリシア人がこの第二銀河系で、パトロール隊に敵対して工作しているというのは、どういうわけでしょう
「わしの仲間のだれかが、第二銀河系にいるとか、銀河パトロール隊に敵対行動をとっているとかいうことは、現在わしが森羅万象に対していただいている洞察とは、一致しないように思われる
もしできなければ、相手を捕捉しつづける。そのうちにパトロール隊の|空飛ぶ鉄槌《モーラー》のどれか――彼らに対抗すべき敵の同級艦はすでになかったのだ――が接近する
そこでパトロール隊の大艦隊は出動した
しかし、パトロール隊の無敵艦隊《アルマダ》は、全部がこの隊形を組んでいたわけではなかった
しかし、彼らは、いずれもパトロール隊とそれが擁護している文明とを、銀河文明に所属する者には理解できないような激烈さで憎んでいた
だから、万一ガネルが、パトロール隊と関係があるということがわかったら、彼らはたちまち協同して反抗するだろう
また、レンズマンとしては、パトロール隊の兵力で、スラールに正面攻撃をかけるわけにもいかなかった
それらの記録を失ってしまえば、パトロール隊が自己の安全のために必要な情報をうるために、何世紀もついやさねばならないだろう
彼は、自分にそれだけの仕事をやってのける力があるかどうかを知らなかった――問題は、彼がこの十二人の閣僚を啓蒙できるかいなかにかかっている――しかし、パトロール隊の心理学者たちが立案した計画は巧妙なものだから、彼としては全力をつくしてやってみるほかはない
これらより抜きの兵士が実はスラール人ではなく、そのうちの千人以上が銀河パトロール隊のレンズマンであるということを暗示するようなものはなにもなかった
宮殿の外にいる者たちはすべて、レンズマンまたは銀河パトロール隊のきたえぬかれたベテランである。この惑星を包囲している艦隊は、パトロール隊の大艦隊である
パトロール隊の巨大な軍艦が、つぎつぎに宇宙空港に着陸し、多数のレンズマンが、スラールの組織を下部にむけて、しだいにスラール人にとって代わっているあいだに、キニスンはウォーゼルとトレゴンシーを連れて、さいぜんの率直なスラール人閣僚が監禁されている独房へ出かけて行った
百種類にもおよぶ銀河パトロール隊のスペシャリストがスラールに集まった
彼女は、ジャーヌボン陥落ののち十五分間だけパトロール隊を退職し、そのとき一万信用単位の退職金を約束されたが、それについてはなにも口にせず、また、しようともしなかった
「これで、あなたの地球の預金は、パトロール隊の一般基金に移されるのです
しかし、自分の預金を受けとる代わりに、それをあっさりパトロール隊にひき渡してしまった――そして何をもらったのか
それに、もしきみがこれからの一生を、ばかばかしいことに金を使って過ごしたとしても、パトロール隊は、きみがライレーン系第二惑星でやってのけたことに対して、きみに依然として負債を負っているんだ
「でも、パトロール隊のお金をどれだけ使っているかと思うと、気になって」
ふたりのレンズマンが船から出ると、この惑星の全ブラスバンドの半ばを集めたかと思われる大ブラスバンドが、『われらのパトロール隊』をいっせいに演奏しはじめた
銀河パトロール隊の歴史を綴ったわたくしにとって、身にあまる賛辞を受けることは本意ではない
しかし、その彼でさえ、アリシア人対エッドール人の永劫《えいごう》の昔からの闘争や、銀河パトロール隊の存在理由《レゾン・デートル》については、想像もおよばなかった――この事実は、第三水準の圧力に対して本質的に安定している心の持主以外には知らせてはならないことなのである
何世紀かにわたって、パトロール隊は成長し、そして拡大した
銀河パトロール隊は、数百万の支艦隊からなり旗艦《きかん》Z9M9Zに率いられる大艦隊を集結させた
観測船や探知装置が展開され、パトロール隊の科学者たちは、数カ月まえから「太陽ビーム」を熱心に研究していた
ただでさえ協力無比のパトロール隊の大艦隊は、この新兵器によっていっそう強化された結果、侵入軍は一掃《いっそう》された
彼女はボスコニアの主人にそむき、自分が生涯のほとんどを過ごしたボスコニア側の惑星ロナバールについて知っていることを、すべてキニスンに告げた。ロナバールはパトロール隊には未知であり、イロナはその惑星の宇宙における位置をまったく知らなかった
キニスンはスラールへ、ナドレックはオンローへおもむき、両者の工作は第二銀河系へのパトロール隊の進攻によってカバーされた
そのような事実が判明すれば、彼らの心に劣等感が植えつけられて、必然的にパトロール隊と銀河文明とが破壊されてしまうにちがいないということはあきらかだろうからである
フォステンは死に、キニスンはすでにスラールの独裁者となっていたので、パトロール隊がスラールを占領するのは比較的容易だった
第四に、パトロール隊の慣例《かんれい》として、どんな任務でもそれを遂行するにもっとも適した人間を派遣し、もしその人間が処理できなかった場合、そのときのレンズマン養成クラスで、首席の卒業生を派遣するということになっている
このクロミウムとガラスの高層建築は銀河パトロール隊の地球人候補生の養成所なのだ
そのあと、新しいレンズマンたちが「われらのパトロール隊」の雄壮《ゆうそう》な旋律《せんりつ》のうちに退場すると、グレー・レンズマンのキニスンは妻や娘たちをしたいようにさせておいて、自分の地球オフィスにむかった
銀河文明や銀河パトロール隊に関する観念は、すべて無力で薄弱なものに堕した
そして――貿易に――銀河パトロール隊の――要員に――銀河文明のあらゆる面に――損害を――可能なかぎりの損害を与えるために――」デルゴン貴族は、ウォーゼルの精神圧力が耐えがたくなるにつれて、じりじりと譲歩《じょうほ》した
内容は例によって煽動的《せんどうてき》、破壊的なプロパガンダだった――「パトロール隊をぶったおせ!」「われらに自由をもどせ
武力からいえば、とくに第一銀河系では、パトロール隊のほうが圧倒的に優勢なのだから、ボスコニア人は内側から穴をあける以外にないだろう
作家シブリー・ホワイトは完全な経歴を持っていた――パトロール隊がもっとも慎重《しんちょう》につくりあげた架空の経歴である
レンズマンの一隊ならば防止できる――しかし、そうしたところで、事件の真の原因である犯人を捕えるか殺すかしなければ、パトロール隊にとってはなんの利益もない
そして考えれば考えるほど不安になった。パトロール隊の究極の目標がアルコンとスラールであることは、疑いもなく真実である
スラールが陥落《かんらく》し、オンローも陥落した。パトロール隊は勝利を得た
この協議がおこなわれているあいだ、カンドロンはその司令部の、寒冷でまったく照明のない一室にくつろぎながら、かつて恐れられていた銀河パトロール隊のスター・A・スターにちがいないパレイン系第七惑星のナドレックを苦境《くきょう》に追いこんだことについて、満足そうに思いめぐらしていた
「パトロール隊の手からさえ奪取《だっしゅ》するというのかね
やがてボスコニア人は、惑星大統領トンプスンが誘拐される正確な時間を予告し、ふたたびパトロール隊に対する軽蔑《けいべつ》を誇示した
もしナドレック、ウォーゼル、トレゴンシー、彼自身が全部消滅すれば、パトロール隊は愕然《がくぜん》とするだろう
「わしが知りたいのは、おまえがだれで、どんなことをしたかということと、おまえやパトロール隊に関するすべてのことだ
逃走して行く船のはるか前方に、そのコースを中心として、銀河パトロール隊の快速巡洋艦が巨大なカップ型編隊を形成しはじめた
そのときには、銀河パトロール隊の全組織を破壊しかねないような反動をもたらすことなしに、事件を防止できなかったのだ
」ウォーゼルとコンは精神的に叫んだ。そしてコンはつづけた。「もちろん、パトロール隊がジャーヌボンで彼らを全滅できなかったのは確かだけれど、これまで生存者については報告がなかったわ――とにかくどこにいるのかしら
副次的《ふくじてき》問題として、おまえはまたわれわれアリシア人、レンズマン、パトロール隊、その他われわれが動員しうる劣弱な力の劣弱な努力を調整する必要があるだろう」
キムボール・キニスンが息子の呼びかけを受けたとき、彼はクロヴィアにあるパトロール隊の大基地、超最高基地で、自分の船に乗りこもうとしていた
彼らは麻薬局《まやくきょく》、公共関係局、犯罪捜査局、宇宙航空局、殺人局その他、一見相互になんの関係もなさそうな銀河パトロール隊の諸機関で、重要な役割を果たしていた
その名前はパトロール隊が追求している犯罪人の長いブラック・リストの上で、七、八年間、なかほどに位置していたが、いまやずっとトップに近くなっていた
そして、彼とその狂暴な手下たちはいずれも――彼らは何千という生命を凶器で奪った悪魔だった――海賊行為、麻薬売買、第一級殺人などの罪で追求されていた。パトロール隊の立場からすると、この追跡は、はなはだ困難だった
銀河パトロール隊の惑星学者は、第二銀河系の惑星については、ごく少数しか宇宙図を作成しておらず、それらの中でも銀河文明の信奉者が住んでいる惑星は、わずかしかなかったからだ
銀河パトロール隊、独立レンズマンの単純《たんじゅん》なグレースーツは、どれほど着なれた者でも、身につけるたびに心を動かされずにはいなかったし、これからもそうだろう
圧倒されたパトロール隊の巡洋艦は、デュオデックの目もくらむような爆発の中で消滅した
いっぽう、キムボール・キニスンは、銀河パトロール隊の第二段階レンズマンである
この一見重要でなさそうなライレーン人は、パトロール隊の支持者が聞いたこともないようなことについて、多くを――きわめて多くのことを――知っていた
そして、彼が万事をおじゃんにして、アリシア人もパトロール隊も全銀河文明も破滅させたとすれば――そうすればどうなるのだ
もし三つのうちどれか、またはそのすべてがわれわれに対して用いられるならば、銀河パトロール隊に災厄がふりかかることは確実であります
われわれは現在、特殊な電場と電極を装置していますが、それを用いれば、パトロール隊ではなくわれわれが、そのビームを操作できるでしょう」
彼は銀河パトロール隊の核心である
われわれが彼を殺したことを宣伝すれば、彼の死とともにパトロール隊は瓦解《がかい》するであろう
キニスン、トレゴンシー、ウォーゼル、およびナドレックは、防衛のため、ただちに銀河パトロール隊の大艦隊を集結せしめよ
したがって、銀河パトロール隊と大艦隊が必要なのだ
おまえたちの心はまだ完全に発達しきってはいないが、パトロール隊の力を利用してアリシアを防衛し、ボスコニア艦隊を撃滅することができる
われわれは、もしアリシアが現在破壊されれば、銀河パトロール隊の士気に与えられる打撃を回復することは困難だと判断しているが、おまえたちも同意見かな
しかし、敵は最初に武装惑星か浮遊惑星を送りこむ可能性もあるから、パトロール隊の艦隊司令官は通常反物質爆弾をも投げこむのである
そして、三つの赤褐色の頭のまわりの空気そのものが濃縮し脈動し、銀河パトロール隊のレンズをいみじくも特長づけている、多彩で名状しがたい光輝をはなちはじめるにつれて、彼の驚異は畏怖《いふ》に変じた
喜んでではないまでも、誇らかに、意欲的に――パトロール隊のために――
≪パトロール隊なんかどうでもいい!≫
パトロール隊の大艦隊の先遣《せんけん》偵察隊が、プルーアを観測できる距離にはいるよりずっとまえに、キットと妹たちは、戦略タンクの中に、プルーアの防衛体制の詳細な図を表示していた
この図は非常になじみ深いものだった。パトロール隊の超最高基地クロヴィア周辺の防衛図と、ほとんどあらゆる点で同じだったからだ
パトロール隊の超空間チューブの末端が、プルーアに近い宇宙空間に突出した
ふつうの新星《ノーバ》は、惑星を太陽に衝突させることによってつくられるから、パトロール隊の科学者たちは、それにともなって起こるすべての現象についての研究を、ずっと前に完成していた
なぜなら、司令官たちは、パトロール隊の司令官のように宇宙に進出することをせず、安全と思われる司令部に残って、遠方から指揮をとっていたからだ
ボスコニア艦隊が残らず探知範囲外に離脱してしまうとすぐ、パトロール隊の大艦隊は分散して、個々の艦隊はそれぞれの基地惑星へ出発した
そこで、彼はパトロール隊の測定基準にしたがって、それぞれ一億の空間グループをかぞえはじめた
銀河パトロール隊の第一段階レンズマンへも、ひとり残らず到達した
レンズを通じての何百万という質問が、パトロール隊のすべての基地、すべてのオフィスをみたした
なにごとも起こらない時間がつづき、史上はじめてパトロール隊の機能が緩和され、ほとんど停止するにつれて、緊張はいよいよ高まってきた
「銀河パトロール隊のレンズマンたちよ」メンターの朗々たる擬似《ぎじ》声音が全宇宙をみたした
この邪悪の根源は本質的に凶悪であって、パトロール隊のすべての根本理念とは厳しく対立している
銀河文明の長い歴史を通じてはじめて一つに結合した銀河パトロール隊のレンズマンたちよ、おまえたちの意志はどうか
第一に、パトロール隊に対する愛と誇りと忠誠について
もちろん、個々のレンズマンの力は、個々のエッドール人の力にくらべれば小さかったが、銀河パトロール隊のすべてのレンズマンが、それぞれの力に応じて参加したので、ひとりのレンズマンの力は、そのとき参加した無数のレンズマンの力と総合して、めざましい力になったのだった
レンズマンたちの精神|杭打《くいうち》器――全銀河パトロール隊の各レンズマンの最高の精神的努力の結合された総体――もそれ自体不可抗的だったのだ
「いまや敵対的行動は完全に解体された。キニスンとパトロール隊はそれを容易に処理できる
太陽系パトロール隊の総司令部で〈丘〉と呼ばれる大基地がある
さらに、彼らは、まさに誕生せんとしている銀河パトロール隊が彼らの絶滅作戦《ぜつめつさくせん》で主動力を演ずるという事実にも気づくことさえないでしょう
もしエッドール人の疑いぶかい心になんらかの警戒や疑惑の念を起こさせれば、エッドール人は、アリシア人がエッドール人を撃滅《げきめつ》する武器――まだ完全にしか構想ができていない銀河パトロール隊――をつくりあげるまえに、アリシア人をこの宇宙から駆逐《くちく》できるような兵器を開発する暇があっただろう
彼らの洞察力が一致して認めたところでは、エッドール人を一掃できる唯一の手段たる銀河パトロール隊の登場とともに、アリシアは銀河文明の擁護者《ようごしゃ》としての役割を必然的に失わなければならないからだ
すでに述べたように、〈丘〉は三惑星連合軍《トリプラネタリー》の地球総司令部として建設され、現在なかば組織された太陽系パトロール隊の総司令部になっているのだが、これは山をけずって合金でおおった、蜂の巣状の要塞である
二、三分後、しみ一つない黒と銀のパトロール隊の制服を着たふたりの士官は、婦人用更衣室のほうへ歩いていた
だが、殺人が発生したり、海賊が宇宙船を略奪するとかしたあとで、その犯罪が発見されるまでには、百パーセクも遠くへ逃げられるというのでは、どうすれば――どのようにすれば――法律手続きを効果的に発動させることができるかね――効果的にどころか、多少とも発動させることが? われわれパトロール隊のことを何も知らない未知の惑星上で、地球の執行官が、どうして犯人を発見することができるかね
「そしてわたしはそれを発見してみせる――やがて新しいパトロール隊が出現するだろう
きみの恒星間パトロール隊とやらも――」
「銀河パトロール隊だ。わたしには、その名称がどうなるかだけはわかっている
「――その銀河パトロール隊は、もうできあがったようなものだ。きみはそれだけの仕事をやってのけたよ、バージ
だが、もし彼がそんな知的巨人だったとしたら、いま彼がとりくんでいるパトロール隊の認識用に用いる隕石《いんせき》の問題について、結論に到達していないのはなぜだね
それは、現在の隕石認識標よりはるかにすぐれたものでなければなりません。また、わたしは、パトロール隊の活動範囲が拡大するにつれて、その必要がいよいよ増大していくということも知っています
真に有効な認識標がないかぎり、太陽系パトロール隊は、三惑星連合軍《トリプラネタリー》以上に活動を妨害されるでしょう
太陽系パトロール隊が宇宙パトロール隊に発展することは論理的帰結です
三惑星連合軍《トリプラネタリー》の歴史と太陽系パトロール隊の創設を思考するには、二、三分で十分だった
それから三時間近くのあいだ、彼は自分が企図している銀河パトロール隊について、くわしく思考した
評議会もわたしも、これまで、すでにありとあらゆる仕事を要求されていますが、われわれがこれまでになしとげた仕事も、銀河パトロール隊がなしとげるべき仕事にくらべれば、ほとんどものの数ではないのです
そしてそのどれ一つでも、われわれがおまえたちの銀河パトロール隊にレンズを提供するという些細《ささい》な努力を払うことを妥当ならしめる――強制する――だけの価値があるのだ
おまえは、ファースト・レンズマン・サムスとして、その広大な視野と偉大な統率力によって銀河パトロール隊を誕生させた十字軍戦士として、歴史に残るだろう
おまえがはじめてロデリック・キニスンの心を検査すれば、自分ではなく彼のほうが、銀河パトロール隊の主導者となるべきだと感じるだろう
たとえば、きみの友人のモーガン上院議員だが、彼はわれわれの銀河パトロール隊がどんなことをしようとしているかがわかったとたんに、泡をふいてわめきたてるだろう
彼のような人間が宇宙全体に何千といて、パトロール隊が宇宙的規模に拡大するまえに、われわれの首をしめようとかかるだろうことを想像すればわかるだろうが、この問題を処理するレンズマンは、辣腕《らつわん》の行政官であると同時に、〈すべての〉知識を持ち、充分に腹のすわった者でなければならない
「ジルはきみの娘で、レンズマン的能力を持っているということをのぞけば、三惑星連合軍《トリプラネタリー》とも太陽系パトロール隊とも公式の関係はない
そして、きみが奇想天外の双生児――銀河評議会と銀河パトロール隊――を誕生させるに充分なレンズマンを発見できるまでは、三惑星連合軍のままでいなければならんだろう
そして、バージル・サムス自身も、海賊行為の脅威がたえず増大しているおりから、各宇宙空港の規模や重要さに応じて、三惑星連合パトロール隊の軍艦を配置する政策に、大きな責任を負っているのだった
「その点で、わたしはいささか見落としていたようだな」サムスは安堵《あんど》のため息をつきながら、パトロール隊のオフィスにはいった。
顔に傷跡があり、鉄灰色の髪をした、大柄ながっしりした男で、カラーには、パトロール隊の大陸分遣艦隊の司令官であることを示す、二つの銀の星が光っている
「そうだ」そしてサムスは、銀河パトロール隊とはどのようなものであるべきか、どのようなものになるべきかについて、自分の概念を閃光的《せんこうてき》な思考で伝達した
バージリア・サムスは、いまや架空の銀河パトロール隊よりもはるかに緊急で、はるかに重大なことのために働いているのだったから、このハーキマーが彼女と同様の読筋術者でないことを切望した
機械化部隊――八四型戦車――六六式超重砲――病院車として九〇六〇型戦車――陸空の完全護衛部隊――道路パトロール隊――ヘリコプター――巡洋艦および大型戦艦――つまり、機動部隊さ
そこらへんにある飾りものは、気にすることはない――損害はパトロール隊に請求するように、副官を通じていわせるのだ
完全な失敗だ。パトロール隊が到着して、万事がその支配下におかれた
「もちろん、パトロール隊の行動は迅速《じんそく》です――そして、いつも出動準備ができている――重兵器の運搬は、自分たちの力ではなく牽引ビームでおこなう――だが、それにしても――五分はかかるでしょうね、ボス
あのふたりは確かにホールから出ていった。あのどちらかが、パトロール隊を呼んだのかもしれん――だが、それが、バレリア星での牛肉のC・I・F価格となんの関係があるのかね
全大陸演習はおろか、全地球演習よりはるかに大規模で、重要な演習だ――これを、銀河パトロール隊の最初の作戦にしよう
「銀河評議会の議長であるわたしは、自分にゆだねられた権威にもとづいて、きみを銀河パトロール隊の司令長官に任命する
わたしの同僚の評議員たちは、いま彼らが代表する多大の太陽系の兵力を、銀河パトロール隊に編入しつつある――長くはかかるまい――さあ、指揮官を任命して、動員命令を出したまえ」
「ただいま銀河パトロール隊に編入された全軍の将兵に告げる
各員は銀河パトロール隊に忠誠を誓ったか
キニスンより、銀河パトロール隊の全艦隊、支艦隊、機動部隊の指揮官に告げる
キニスンは、しばらく心の中で戦ったあげく、精いっぱい自分をおさえておりてきた。パトロール隊の通常のオフィスどころではなく、いちばん下の地下室までおりたのだ
敵艦隊は多少とも正常な編成で、北アメリカ分遣艦隊よりはかなり大きいが、パトロール隊の現在の大艦隊よりは決定的に劣っている
しかし、銀河パトロール隊のこの艦隊が放射した合成ビームは、それらの兵器を極限まで改良したものだった
第一に、例の三隻の謎めいた輸送船は、ビームが到達する前に分解して、何百――いや何千――という小さな物体が、光の何倍ものスピードで、パトロール隊のビームの作用範囲より充分外まで、放射状に外方へ飛散した
彼らのビームは、正確に同調されて、もっとも近くにいるパトロール隊の超大型戦艦ボイス号に集中される
敵は〈丘〉と大型艦のあいだにはさまれているから、長くは持ちこたえられまい――だが、〈丘〉に大損害をあたえるほど長く持ちこたえるかもしれない――パトロール隊の防御網は、ふるいのように穴だらけだ
銀河パトロール隊の創設
わたしたちはいま、リモート・コントロールによって、銀河パトロール隊のオフィスの中へ、〈丘〉自体の中へ降下しつつあります
視聴者のみなさん、残念ですが、みなさんもこの問題では、パトロール隊の主張が正しいということをお認めになるでしょう
われわれが銀河パトロール隊によって獲得しようと望んでいるのは、われわれ自身の幸福と平和であり、自己にもっとも適した職業に、誇りをもって従事しているすべての善良な労働者に満足をあたえることである
いまや、サムスにとって、銀河パトロール隊は現実のものとなった
この惑星は、銀河パトロール隊の造船|工廠《こうしょう》になるのだ」
バージル・サムスが冥王星を訪問するとき着用した宇宙服を完成するには、パトロール隊の最高の技術者の手で六ヵ月以上もかかったが、この事実によって、冥王星の気象条件はいちばん明瞭に理解できるだろう
そこで彼は、たっぷり十五分もかけて、銀河パトロール隊について説明したが、結局パレイン人の唯一の反応は、まったくの無理解だけだった
けれど、そのタリクでさえ――タリクがいちばん異常なときでさえ――あなたのパトロール隊に参加するほど異常だとは思えません」
そのとき、タリクが参加してきたので、サムスはこれまでに何度もやってきたように、自分が夢想し計画している銀河パトロール隊について、熱心に述べた
ニュース解説者たちは、あれこれ推測しているけれど、わたしとしては、モーガンがこんどの選挙と、わたしたちの銀河パトロール隊をねらっていることは、絶対まちがいないと思うわ」
ジャック、きみはボスコーン作戦できわめて切実に要求されている。メース、きみとわたしは、パトロール隊のJ級船について、適当な改造をほどこすことにしよう」
海賊は、慎重を期したのか、疑いをいだいたのか、三隻の超大型戦艦を派遣してきたのだったが、この事実は、パトロール隊の戦術を変換させなかった
もちろん、巡洋艦は形ばかりの抵抗以上の抵抗をすることが予期されていた。パトロール隊の巡洋艦は攻撃力、防御力ともに強大で、パトロール隊員が勇士ぞろいだということも、周知の事実だった
一隻だけ残った海賊船を宇宙から抹殺することは、まったく容易だったが、それはまさしくパトロール隊が望まないことだった
もしパトロール隊の攻撃が戸口からだけおこなわれたならば、海賊たちは正面のパトロールマンひとりかふたりに攻撃を集中できるから、指揮官はやむをえずしようとしていたこと、すなわち自殺をする時間があっただろう。しかし、パトロール隊の攻撃隊がまだ宇宙にいるうちに、力場の平面が制御室の一側面全体をそぎとり、牽引ビームが分離した壁をひき離した
なぜなら宇宙交路は企業にすぎないが、われわれは銀河パトロール隊だからだ。言え
地球のもろもろの主権国家――とくに北アメリカ大陸――をどう説得して、銀河パトロール隊が享有する必要のある莫大な力と権威を認めさせるか、ということだ」
反対はあるとしても、わずかだろう。パトロール隊は優に太陽系間的規模になるだろう――そしてもちろん、必要な惑星間的および大陸間的――それから――うむ――む――」
しかもだな、バージ、これは成功したらしいのだ。もし、これほどむかしにそういうことができたのなら、われわれにも、パトロール隊を同様に働かすことができるにちがいない」
銀河パトロール隊は、太陽系間的問題について最高唯一の権力となるということだけでとどまることはできない
「われわれはパトロール隊を、自由で独立な種族の調整者とすることを理想にしているが、モーガンはそれとちがって、パトロール隊を銀河的独裁のための完全な道具と考えている
「わしの部下――パトロール隊の背骨であり精髄《せいずい》であるばかりでなく、北アメリカの背骨であり精髄である彼ら――なしにそういうことができるというのかね
それから、政治組織については、パトロール隊以上に優秀なものがありうるかね? パトロール隊の関係者はすべて、きみを徹底的に支持するだろう――そのことはきみも知っている」
おとなしくいうことをきけば、殺しはしないさ。われわれは、パトロール隊が聞いたこともないような惑星をうんと持っている
彼はこのバーケンフェルドがふつうの面接官ではないことを確信していたが、ウラニウム社の調査員たちが彼の経歴について発見したのは、パトロール隊がわざと彼らに発見させようと望んだことだけだということも、これまた確信していた
それから、六、七人のバーテンが警報器を狂気のように鳴らしているあいだに、目では追いつけないほど速い格闘がたてつづけに起こった。パトロール隊きっての手と足が速い男のひとりコンウェー・コスティガンは、自分の身を守ることに努めて、それに成功した
「銀河パトロール隊が持っているどんな探知装置に対してもですか
こうして、シオナイトを積んだ宇宙船がエリダンへ到着することが記録されたのと同様に、その船がカヴェンダを出発することも記録された。パトロール隊の技師たちにとって、その船の出発から到着までを、相手に疑われないように追跡する方法を工夫することは、きわめて困難だったが、不可能ではなかった
そして、百人以上の、パトロール隊でももっとも頭のきれる諜報員たちが、その映像を観察して思考した――いまや、北アメリカのパトロール隊は、大挙してエリダンに侵入していたのだ
この船が護衛されているかどうかは不明だった。そして、パトロール隊の船は、四デテット以内には接近しなかった――バージル・サムスとロデリック・キニスンが、そう手配したのだ
いずれにせよ、ガーレーンは、あらたに誕生した銀河パトロール隊が、三惑星連合軍《トリプラネタリー》の総司令部である〈丘〉を、敵艦隊の攻撃から守るのに成功したことを知らなかった
事実、現在の情況は、それによってパトロール隊が自己の優勢を信じこむという点で、むしろ好都合だった――しかし、この自信は、選挙の際に致命的結果をもたらすことになるだろう
わたしの意見を申しあげれば、パトロール隊の幹部は、レンズの真の起源を隠蔽《いんぺい》するために、催眠術を用いているのだと思います」
「パトロール隊が大挙して攻撃を加え、われわれの調査隊は撃滅されました」
ある限度までくると、それまで単なるじゃまものだったものが、〈一掃されねばならないもの〉に変化するのです。わたしは、パトロール隊が宇宙から抹殺したあの輸送船の乗組員のような目にあいたくなかったので、採集量を減じたのです
「ミスター・アイザークスン、参考のために知りたいのですが、この地位については、わたしの前に何人前任者があり、彼らはどうなたのです? パトロール隊にやられたのですか?」
彼らはパトロール隊にやられたのではない。これまでのところ、サムス一派がわれわれを疑っている証拠はまったくないのだ
キャンプがひき払われた。ハイキング隊はもう充分遊んだというので、引き返しはじめた
旅行者が少ないところでは、パトロール隊の工作員たちも少なくて、あまり金星人のそばへ寄らなかったが、大都市のステーションのように旅行者が多いところでは、彼らは金星人を三重に包囲した
彼らのあらゆる取引きは、パトロール隊の超探知装置で、数マイルの距離から記録することができたし、事実記録された
もちろん、レンズマンたちも救援を求めていたし、パトロール隊の快速艇は、州内の一地点から他のどんな地点へでも、一瞬にして到達することができた
大統領、国会議員の過半数、多数の司法官、政界ボスや警察幹部のほとんどすべてが、同時に起訴されるとなると、法律的問題は想像がつかないほど困難になる。パトロール隊の法務局は、この問題について、昼夜兼行で研究しているが、彼らに確実なのは、苛烈な法律論争が継続的にくり返されるということだけなようだ
キニスンのいうとおりで、ふたりともそのことを知っていたからだ。パトロール隊のもっとも機敏で有能で熟練した諜報員たちが、全力を集中してこの壁にいどんだが、はね返されるだけだった
いますぐ時間をつくって、いっしょにきたまえ――きみの病気にいい薬になる。それに、ベネットにとってもパトロール隊にとっても、非常にいいことだ――きみはあそこで異邦人のようには感じないだろう」
ファースト・レンズマンは、友人といっしょに惑星を視察しているうちに、地球では十字軍以来忘れられている情熱が、この世界に燃えていることを知った。パトロール隊のもっとも賢明で機敏な心理学者たちは、真実を率直に住民に知らせることによって、大成功をおさめたものだ
大部分はおそらくパトロール隊の広告で、この惑星と関連していた
いっぽう、少なからぬボスコーン人がパトロール隊の広告に応募してきたが、サムスは、彼らがひとりも採用されていないことを、ほぼ確信していた
そして、パトロール隊の〈少年少女〉は、アナグマのようにせっせと働いて、あっちこっちで資料や事実や情報をほじくり返しながら、最後の審判がおこなわれる日にそなえた
「そのわけは、選挙でモーガン一味を負かせる人間が彼しかいないからよ」ジルは単純な事実を説明した。「パトロール隊は、彼が大統領を一期つとめるだけなら、そのあいだ彼なしでもやっていけるわ
それに、宇宙空港は作戦の終局の目標にすぎなかった。パトロール隊の活動は、地球の首都から何千マイルも、何万マイルも、何億マイルも、何兆マイルも、離れたところで開始されていたのだ
敵の目から見たかぎりでは、パトロール隊は何か異常なことが進行しているのを、まるで勘づいていないようだった
その一つの例外とは、おまえたちの宇宙船隊だ。おまえたちは、それがパトロール隊の全兵力を一掃するに充分な兵力だと考えている
われわれが勝てば、銀河パトロール隊は持続するでしょう
彼はパトロール隊の不撓不屈《ふとうふくつ》の諜報員たちが摘発したもっとも重要な事実を、人名、場所、日時、取引き、数量などを列挙しながら暴露した
もしまだそれを知らない人があったら、われわれのパトロール隊において、彼の下で働いている数十万の、強く有能で明敏な若い男女に聞いてごらんなさい
しかし、銀河パトロール隊が結成され、ふたりがそれぞれに第一銀河区艦隊の司令官と副司令官になり、レンズを着用すると、彼らの行動半径はいちじるしく増大した
銀河パトロール隊の大艦隊を構成する戦闘単位は、グループごとに、支艦隊ごとに、つぎつぎに離陸していった
膨大な無敵艦隊《アルマダ》が太陽系に接近すると、モーガン一味がすでに知っている公式のパトロール隊がこれに合体した――というより参加して、ずっと前から定められていた位置についた
クリーブランド、ノースロップ、ルラリオン、その他パトロール隊の精鋭たちが、そのように手配したのである
円筒形? そうだ。パトロール隊の戦術会議は、敵が在来の円錐形戦闘編隊で攻撃してくるものと推定し、また円錐編隊同士の交戦は、長くかかって損害が大きいことを知っていたので、数ヵ月も前から、戦術タンクの中で模擬戦闘をやり、よりよい戦闘編隊を研究していたのだ
敵の円錐は大きくて強力だったが、パトロール隊の公式兵力だったら、地獄にほうりこまれた雪のボールほどの勝味もなかったろう
敵は効果的な円筒編隊を組むに充分なほど大きくないし、パトロール隊の真の兵力を圧倒できるほど大きくもない――そして、敵があと一、二秒のうちに編隊を変えないかぎり、何をするのも手遅れになるだろう
まるで魔法でも使ったように、パトロール隊の膨大な円錐編隊の九五パーセントばかりが、緊密な二重円筒編隊に変化した
パトロール隊の大艦隊は、敵の円錐編隊の軸にほとんど沿って前進した
円筒編隊の前端と後端――いわば巨大なパイプの両端――は、もちろん敵艦隊の攻撃の主力を受けるはずだった。そして、パトロール隊の戦術家たちがもっとも深刻な関心を払ったのも、この点だった
それらは、リモート・コントロールで操作される無線操縦船で、生物をまったく乗せていなかった。もしパトロール隊の損害が、はじめの接触で八層の二重輪形にくいとめられ、二度目の接触で四層にくいとめられるとすれば――理論的計算では、六層と二層だった――それでサムスたちは充分満足だった
もちろん、すべてのパトロール隊は、いわゆる〈すみれ色〉力場、〈緑色〉力場、〈赤色〉力場をはじめ、超原子爆弾《デュオデック》、通常の原子爆弾、誘導魚雷、破砕器、切断器、多周期ドリルなどの標準的兵器を持っていたが、この戦闘で主要な役割を果たしたのは、かつて〈マクロ・ビーム〉と呼ばれた(現在は単に〈ビーム〉と呼ばれている)圧倒的に強力な攻撃兵器だった
しかし、その力場がぶつかったのは、物質ではなかった。パトロール隊の〈スクリーン艦〉は、まさにこのような想像を絶する状況に耐えられるように設計されており、スクリーンが互いに四〇〇パーセントも重複するほど密接に結合していた
したがって、敵艦はどこからどのようにパトロール隊の円筒にはいろうと軸上に押しやられた
のちに推定されたところによると、敵艦自身が積んでいた爆弾の不安定な爆発性アイソトープが、パトロール隊の準固体的ビームのすさまじい高熱によって連鎖反応を起こし、その結果、ふつうならまったく安定した元素の原子核の相当部分が、核分裂を起こしたのだった
円筒編隊があとに残してきた敵の円錐編隊では、一部の船がてんでんばらばらながら、依然としてビームを放射していた。パトロール隊の円筒編隊を攻撃するつもりらしく、新しい編隊を組もうと努めている船もあった
われわれ銀河パトロール隊は、そのような誤りをおかしてはならん
「銀河評議会の議長として、銀河パトロール隊の最高幹部たちを証人として、わたしはそれを誓う」
十一人の敵の中将が移乗してきて、友好国の提督が訪問するときにあたえられるならわしの、栄誉礼で迎えられた。いずれも、パトロール隊が現在使っている携帯式ビーム放射器リューイストン十七型そっくりの放射器で武装している
「征服も占領もないのですか? パトロール隊に対する賠償金も不要なのですか
しかし、それはわれわれの島宇宙全体に拡大すべき銀河パトロール隊の政策に合致しているのだ」
パトロール隊の大艦隊の位置は、味方と敵とを問わず、太陽系内の全住民からかくされていたが、戦闘のクライマックス――そのときには、宇宙自体の組織をゆがめるに充分なほどのエネルギーが放射された――は、かくすことも否定することも、過小に扱うこともできなかった
パトロール隊が大勝利をえたことは、だれもが知っていたが、敵が何者だったかは、だれも知らなかった
現実には敵艦隊のごく一部が撃破されただけだということは、一般将兵も知っていたから、だれもがそのことを知っていたが、残った敵艦がどこへ行き、何をしたかは、だれも知らなかった。パトロール隊の驚くほど膨大な大艦隊の九五パーセントくらいは、惑星ベネットからきて現在そこへむけて帰還しつつあるということは、だれもが知っていたし、ベネットが〈どんなものか〉〉ということも、ほぼ知っていた――二、三週間もすれば、ベネット人が宇宙のいたるところをとびまわるようになるはずだったからだ――しかし、それが〈なんのために〉あるかということは、だれも知らなかった
対決を迫っているのは、パトロール隊ではなくわれわれなのだ。われわれは、選挙日前に、自己の潔白を証明し、あの形容を絶して不埒《ふらち》なレンズマンどもを論破しようと努めているのだ
どうしてこんなことが起こりえたのだ? なぜわしにパトロール隊の実力を報告しなかったのだ――おまえはどうしてそれほどまぬけでありえたのか
われわれは、彼らの半数を買収するか、圧力をかけるかすることができます――すると、中立票はこの大きさにちぢまります。そういうわけで、パトロール隊が何をしようと、この比較的小さな集団に影響をあたえられるだけです
いっぽう、銀河パトロール隊は、従来は選挙にまったく関心を示さなかったが、こんどは隊員の中で北アメリカの市民権を持っているすべての者に、充分の休暇をあたえた
「これで銀河パトロール隊は前進していくだろう――自分の力でな――これからは、銀河パトロール隊にとって、かけがえのない個人はいなくなる――何ものもパトロール隊の前進をとどめることはできないのだ
公式には、キニスンは銀河パトロール隊から五年の休暇をとり、司令長官のオフィスは艦隊から完全に分離されて、北アメリカ大統領のオフィスとなった
第二に、それに要求される心力はきわめて膨大なものであって、われわれが従来建設に努力し、今後も努力するところの〈銀河パトロール隊〉という組織によってのみ発生することが可能である
そのレンズの使用なくしては、新計画中の〈銀河パトロール隊〉を誕生させることはできないからです
そしてエッドール人はアリシア――銀河文明――の武器――やがて出現する〈銀河パトロール隊〉――に対抗すべき武器を準備するチャンスを失った
そればかりではない……少なくとも一度は敵のパトロール隊にぶつかるだろう、もしそれがすでに丘をのぼって行っていなければだ
「でも、偵察隊やパトロール隊は、もうすぐわたくしたちを発見するのじゃないかしら
少数のギャングが宇宙から消滅したほうが、パトロール隊がさらに暴動を鎮圧しなければならないのよりましだからね
三惑星連合軍パトロール隊は、評議会の決定、規則、条例を実施し、三惑星連合軍は、評議会が指示したその他の仕事を遂行する
筆舌につくし難《がた》いといったほどひどいものではなかったけれども、とにかく浮浪者狩りのパトロール隊につかまったとき、わたしには家があるのです、と言いのがれができる程度のものであった
斥候隊が出て行き、輜重《しちょう》隊の荷がおろされ、そのまんなかで何十頭ものエジプトのラバが、いらだって荷物をふりおとそうと跳ねまわっている
攻め寄せてきたトルコ軍は三個大隊編成でほかにラバに乗った歩兵多数とラクダ隊をもっていたという。ワディ・イェンボを横断して、最初の攻撃目標にブルカの森をえらぶ
シャッラフが真剣に警告してくれたところによれば、敵のパトロール隊はラバの騎乗の歩兵隊とラクダ隊に、いまは塹壕をめぐらした監視所から派遣される機関銃搭載のトロッコをつらねた歩兵隊まで加わっていたからである
三十名ばかりを割いて敵のパトロール隊を段階的に牽制《けんせい》しながら、あわよくば敵の進路をわずかにそらせて丘陵地帯に誘いこもうというのである
常設パトロール隊が南方から現われ、なんら怪しむ様子もなくわれわれのひそむ丘の前を通りすぎ、爆薬を埋めた地点もすぎて、こちらにまったく気がつかないままムドウワラにむかった
トルコ軍のパトロール隊は目の前の敵が引き上げていくのをみて、一斉射撃をくりかえしながら、怖ろしく用心深く追撃を開始する
この場所は、線路のパトロール隊がまわってくると、いやでも眼にとまってしまうので
しかも盗賊は人殺しや掠奪をやり出すのでもなく、ただ一塊りに隊を作るといきなり私たちの寝室へやって来ました
小さな隊は、沈んだ気持ちで斜面をくだった
傾く夕日を背にした戦士たちは、小さな隊がしゃにむに進んでいる平原の方に向け、長い影をのばしながら、斜面をくだってきた
角の王の部下たちだった。わが隊が、その戦士たちのしまつはつけたがな――わしらには、おまえら、ぶきようなのろまを片づける、独特のやり方があるのだ――、そして、かれらが、途中ずっと地下を通って、豚をここへつれてきたのだ
どっしりした黒い武具に身をかためたモルガント王が、タランのかたわらに立ちどまった。「おぬしが、わしの隊にはいってくれたら、どんなにかよかったかと思う
この城のお馬奉行は、すぐれた追跡者だ。そなたの隊に同行し、捜索の事実上の指揮をとろう
集結地にあつまっている志願の戦士たちの間を、疲れを知らないメリンラスにまたがってまわりあるき、食糧や装備をたしかめたり、かがり火のかたわらで、新しくつくられた隊とともに会議をひらいたりして暮らした
しかし戦いははげしかった。そして、コルとフラサールの隊が多くの敵をひきつけて戦ってくれたあげく、ようやく略奪隊はばらばらになってにげ去った
隊の人たちを後に残して、タランはメリンにかけこんだ
真冬になったとき、最後の隊の集結がおわり、コモットの軍はカー・ダスルめざしていそいだ
タランとコルは一隊をひきいることになったが、フラサールもべつの隊をまかされると、部署をめざして馬をとばしていった
」ギディオンは、タランの手をにぎり、つづいてコルとガーギの手をにぎってから、「さらば」とそっけないようにいうと、メリンガーの馬首をまわして、自分の隊の方にかけ去っていった
と、そのとき、プリダイリ軍の隊と隊との間のほそいすき間を一頭の馬がタランめざして疾走してきた
不死身の隊の隊長だった
元帥は馬をギャロップで駆けさせると、全隊で行進を続け、散兵は隊の後方にさがって斜面から撤収したように見せかけろと命令した
この時、ネイと二千の兵士がクトゥーゾフからの砲火をあびながら、方向を変えて隊を組みなおすのが見えた
その男は隊の制服である広袖《ひろそで》の外套《がいとう》を着ないで……当時はいまほど自由は許されていなかったとはいえ、ある程度はわがままができたので、制服の着用が絶対の義務ではなかった……その代わりに、いくらか色あせてすり切れてはいるが、からだにぴったりした空色の上着をつけていた
気のどくだがそれによると、なんどか戦場に立つとか、しかるべき殊勲《しゅくん》を立てるとか、わが隊ほどでなくとも別の隊に二年ほど勤めあげた者でなければ、銃士には採用されないことになっているのだ」
もしこれを銃士の隊と替えられるのだったら、十年ぐらい命が縮まってもいいと思ったほどだ
ダルタニャンはといえば、パリにはまだだれも知人がいなかったので、同郷の司祭のところでチョコレートの朝食が一回と、隊の旗手の家での夕食が一回と、それだけがやっとだった
「だんなさまが追っぱらった黒装束の男たちが呼びに行った巡邏《じゅんら》隊にでございます」
自分の隊がルーヴル宮の勤務に当たっていたので、隊長もそちらへ行っていたのである
「自分の友人の家をたずねるのはいけないのでしょうか? わたしの隊の銃士が、エサール殿の隊の者と親しくすることは禁じられているのでしょうか
」と、ボナシュー夫人は叫んだ。「では、隊のほうは? 隊長さんには
「出発準備だ、隊の詰所へ行って、馬をひいて来い」
銃士たちは自分の馬も従者の馬も、ふつう軍隊が兵営に置くように、じじつ隊の詰所に置いていた
竜騎兵とスイス人傭兵がそれにつづき、そのあとから隊の全員がぞくぞくと詰めかけた
それに金でゆりの花を三つ刺繍させて、貴殿の隊の隊旗として進ぜよう」
その者はあなたの隊に入れたらいい
もともとあの四人の勇士は仲がよいのだから、同じ隊でご奉公できないというのも、これまた不公平な話だからね」
ダルタニャンをひいきにしていたエサール殿は、この際なんでも頼みたいことがあれば遠慮なく言うようにといった。隊が変わることは、身支度にいろいろと出費があるからである
ときどき枢機卿は、いつも近衛《このえ》の一騎兵の姿で馬に乗り、フランスの各地から集めた技師たちに監督をまかせているのに意のごとくはかどらない工事の模様を心配そうに視察していたが、そういうときにトレヴィール隊の銃士の姿を見かけると、枢機卿はそばに寄ってじっと相手を見つめ、それが、わが四人の銃士の一人でないと知ると、またその洞察するような視線をそらして、ふかい物思いに耽《ふ》けるのだった
「お礼などはどうでもいいが、単なる兵士の身でありながら、たまたま特権のある隊に属しているからといって大侯のようなふるまいをすることは、わたしの好むところではない
ところが、この方たちには告白をしたが、隊の勤務や陛下へのご奉公のために、お恥ずかしいしだいだが、つい研究をおこたっていたのでね
「しかし、隊でのわれわれの乗馬はどうする
しかしトレヴィール殿はひと目で人物を見抜く具眼《ぐがん》の士だから、きみを義弟のエサール殿の隊に入れ、いずれは銃士隊に編入すると約束をしてくれたんだね」
「わたくしは近衛《このえ》の隊にぞくしております者で、今の身分になんの不満もございませんので」
そのあいだにダルタニャンは、隊の者といっしょに行進していた
一人の男は隊のあとからついてきて、サン=タントワーヌ地区のはずれで、そこで手綱《たづな》をもって待ち受けていた一人の従僕の用意していた二頭の馬にまたがった
「信頼にたる指揮者でしたら、わたくしの隊におります」と、エサール殿がダルタニャンをさし示しながら進み出た
そこで彼は、隊の中でも比較的親しくしている親衛隊士二人のところに駆けつけて、ヴィルロワからアンジュー産のぶどう酒がとどいたから一杯やろうと誘った
この男はどの隊にも属さない偽兵士であったが、ダルタニャンに命を助けられてからは彼の召使い、というよりもプランシェの下働きとして仕えていたのだった
「隊は?」
大勢の使用人たちが、隊を組んで、中庭や廊下を右往左往して駆け回っていた
当時はまだ兵員の数が少なかった近衛《このえ》隊の訓練に、最も注意を払った
こういう次第で、廷臣たちや近衛《このえ》隊の将校連は、ほくほくものだった
彼はもう少しで恐怖の叫び声をあげて、近衛《このえ》隊を呼ぶところであった
貴下はパリ衛戊《えいじゅ》隊の兵員を集合し、国王陛下にご奉公のため、ただちにバスチーユに向かって進撃を開始せらるべし
私の隊の兵士を一人付けておきましたが、この男は銃士隊の中でも最も|へまな《ヽヽヽ》奴で、あれなら囚人が逃走する機会も生ずるかと思いまして」
ダルタニャンは幾分眼がかすみ気味だったが、隊の後ろに三台の馬車を認めた
すでに一万人以上の脱走兵たちが隊から離脱して、国内に散らばっていた
実際、銃剣を突き出した斥候兵たちを先導にした、招集された国民軍たちの長蛇のようなパトロール隊、たがいに体を寄せてひしめき合い、思い思いの武器を手にした各地区の市民たちの群、門の隅という隅、路地という路地をひとつひとつ調べて歩く憲兵たち、街々を我もの顔に歩き回る町の住民たちといえば、こんな連中だけで、つまりひとびとは、なにかはかり知れない、恐るべき陰謀が企てられているということを、本能的に感じとっていたわけである
門のなにかの凹みの中や、塀のちょっとした角に身を隠し、パトロール隊が姿を見せるたびに、まるで彫像のようにじっとして、パトロール隊が去ってしまうまで息を殺し、再び同じような危険が身に迫って、余儀なく物音を殺して、動かずにじっとしなければならなくなるまで、不安な足どりで、大急ぎで駆け出してゆくのだった
慎重な用心のおかげで、すでにだれにも見とがめられずに、サン・トノレ街の一部を駈《はし》り抜けていたが、その時、グルネル街の角のところで、とつぜん、パトロール隊ではなく、例の勇敢な志願兵の小グループに出っくわしてしまった
「士官だって……どこの隊のだ?」
「貴様にはそんな権利はないんだぞ、何といっても、貴様は正規のパトロール隊を指揮しているわけではないからな
とつぜん、レ・ボン・ザンファン街の角に、数発の銃火が光を発し、パトロール隊の規則正しい足音が聞えてきた。パトロール隊は、ひとがかたまっているのに気がつくと、そのグループからほぼ十歩ばかりのところで止り、伍長の叫び声が聞えた
この二つのパトロール隊を指揮していた男が歩きはじめ、八人の部下を従えて威勢よく近づいてきた
もしぼくがこの哀れなご婦人を見放してみろよ、きっと一歩歩くたんびにパトロール隊に捕っちまうぜ」
その間に、二人の夜の散歩者は、ラ・ヴァリエール街まで辿り着いたが、その前に三組か四組のパトロール隊に出合い、それでも、いずれもあの合言葉のおかげで大手を振って通行を許された
サン・タヴォワ街までくると、ル・タンプル地区を右往左往しているたくさんのパトロール隊に会って、モオリスはびっくりしてしまった
」と彼は、今しがたレ・フォンテーヌ街を捜索してきて、いかにも忙し気なパトロール隊の隊長に訊ねた
つぎに彼は、ル・コック街からマリー橋まで、つまり前夜彼女と連れ立って歩いた道を辿ってみた。いろいろなパトロール隊に止められた場所で足を停め、彼が彼女の意のままになったあの場所へきた時には、まるで二人の言葉のやりとりを心にそっと蔵《しま》っていたように、二人が交した対話を繰りかえしてみたりした
「サア、あの馬を厩舎に入れたほうがいいんじゃあございません。隊のほうで待っていてくれますわよ」
「なめし革工場の主人だろ、ヴィクトール隊の歩兵大尉だったな」
選抜兵は、女市民エロイーズを隊の牢獄へ連行したまえ」
「エエ、隊へお出かけのときは、いつでもお持ちです」
「出かけた先が隊だというのは、まちがいないか?」
今日はな、ぼくが隊へ行くと、サン・ルーの歩兵大尉のやつに、ジロンド党だなんて言われたよ
きみは警察隊員だし、隊の書記じゃあないか
モオリスは、シモンを相手どって告訴をしてやろうと思って、急いで隊へ帰った
こんなわけで、翌日の朝、モオリスは隊へ出かけて、告訴状を作っていた
ところが、隊へ着いてみると、隊長が、だれにも聞えないように、こんなことを言って異議を唱えたときには、モオリスもびっくりしてしまった
彼は古い友人に礼を言って、隊を出た
そのとき、橋の欄干に寄りかかっていた彼の耳に、規則正しい足音を立ててやってくる小グループの声が聞えた。どうやらそれは、パトロール隊の足音らしかった
「パトロール隊なんか組んで、ここへいったい何をしにきたんだい」と、あらゆることが心配の種だったのでモオリスが訊ねた
「今日ね、隊へ行って、すごいニュースを二つばかり聞いたんだ」
パトロール隊は、モオリスを仲間に入れて歩き出した
モオリスはローランのそばを歩き、隊の道案内をしている、灰色の服を着た男の先に立った
それから、あんたのお父さんが巡邏《じゅんら》隊の仲間で、あんたのお母さんに惚《ほ》れて結婚したことも知ってるわ
はしゃいだ博士や羊飼いが陽気に踊り廻って、秩序を保つために馬車の群れや人ごみのあいだを縫って、通りを行ったり来たりしている兵士のたった一つの隊のなかへまではいって行った
ところがある日、汽車が駅を発車したかと思うまもなく、停車してしまった、と、ナチの黒シャツ隊の一隊が線路から汽車の中にドカドカッと乗りこんでくるではないか
あの男はわしの隊の知恵者だった
「あなたがノルウェーに降りたときは、なんという隊に入っていたんです
イギリス軍|輜重《しちょう》隊の将校から聞いたの
ついさっき、移動レーダー隊がハノーヴァーの南でセイトンを発見した」
彼の手紙はアリスに届き、私がフォッジアの隊に戻ると彼女の返事が待っていた
ヨーロッパ中にパラシュート隊を運んでいた頃とまったく同じであった
ダートムーア周辺の町に警報が伝えられ、道路にはパトロール隊が出動し、警官が各道路の出口をチェックする
別の隊の兵になったわけである
退院すると、上官たちは、しばらくのあいだ隊を離れていないと、また喧嘩を始めるものと思いこみ、六週間の休暇を私に承知させた
休暇が切れたので、ジヴェ〔現在のアルデヌン県にある〕で隊に合流した
幹部の一人のアルトワ〔フランス旧州名、現在はアラスがあるパドカレ県〕人が、軍曹の階級にしてやるから、その隊に入らないかとすすめた
「いったん、この隊に入ると、いいか、どんな追っ手からも安全だぞ」
私は、カッセルで部隊と合流したが、部隊は、他の徴集兵大隊と同じように解放させられ、士官はただの兵士に戻り、私も一兵卒として第二十八志願兵大隊に配属された。その隊の任務は、ヴァランシェンヌとコンデ〔いずれも現在のノール県にあり、コンデはコンデ・シュール・レスコのこと〕の町からオーストリア軍を追っぱらうことだった
仲間たちは三隊に分かれ、ひょっとして税関野郎が来たときに備えて、二隊が五百歩後方に陣取った。その隊の男たちは間隔を置いて並び、互いに左腕を紐で結び合い、いざというときは軽く引っぱって知らせ合うことになっていた
私が属していた第三の隊は海岸にとどまって、荷揚げ場を守りながら荷物の積みこみを手伝うことになっていた
彼が言い終わったと同時に、われわれが隠れていた茂みのところにパトロール隊がやって来た
パトロール隊は出発しようとしているらしかった
ファンファンさんはバイヤール〔恐れを知らぬ完璧な騎士と称された大尉(一四七六〜一五二四)〕さながらの決闘をしたんだ。このことは隊に知らせて大佐殿にも知ってもらわにゃならんわい
途中で、へこたれるやつだけが死ぬんだ。隊へ行け……ほかの隊へ……』
『だまれ、ほかの隊へだ』
胸騒ぎがしたので隊を出て、もういちど弾薬庫へ行ってみた
ちょうど、そこを通りかかった私の隊の大尉が武器を点検すると言い、私の装具にシミがある、二十四時間の営倉入りだと難癖をつけた
「言っちゃなんだが? どこの隊からも、ここに来るやつがいるもんだなァ……」
五月二十二日の夜の十時ごろ(といっても日が暮れたばかり)、私は、国家警察アラス隊へ行った
彼の隊の砲が到着したので、戦闘行動が速められたわけである
救世軍の少女たちが隊を組んで歌いながら、ウォタールー・ロードを下っていった
はじめは、渡り鳥の群のように、ぼんやりと、見あげていたことをおぼえているが、やがてそれが、国境方面から長い列になって急速に近づいてくる大編隊の一番はしの隊だと気がつくと、わたしは、にわかに緊張した
バーネットは、十月初旬にパリから四十マイル足らずの地点に達して、主として、パリ郊外の社会的混乱の様子や、自分の隊の指揮上の問題などを記録しているが、それとともに、雲塊のような蒸気が「空をずっと南西の方角にかけて」積みかさなっていたこと、その雲の下には夜、赤い光がギラついていたことなどを記している
茨の藪には白人のハンモックのように〈アンヌービ〉の動く巣が揺れ、沼沢の岸にはすばらしいフラミンゴたちが整然と隊をなして歩きながら火の色の翼を風にひろげていた
一キロ半ほど行って彼はもう一度馬を止め、コースから外れてあるいは北へ、あるいは南へと七、八キロメートル偵察し、それからまた隊の先頭に立ったが、何を期待しているのかも何を恐れているのかも全然言わなかった
蛮人たちはいくつかの隊をなして高い地点をすべて押えていた
彼は〈ダンカン〉の最もすぐれた船員で隊を編制するようにすすめた
探検隊は最初クーパー河に沿って行って北岸のカーペンタリ湾にむかうことになっていた。隊は難なくマレーとダーリングの両河を渡って植民地の限界にあるメニンディエのステーションに着いた
この不便とバークの性格にあるある苛酷さが隊のなかに不和をもたらした
彼らはここをメルボルンからカーペンタリ湾への中間にある柵をめぐらした基地とした。そこでバークは隊を二手に分けた
一隊はブラヒーの指揮下にあって、フォート・ウィルズに三ヵ月、いや、食糧が不足しなければそれ以上もとどまって、もう一方の隊の帰りを待つこととする
もう一方の隊はバーク、キング、グレイ、ウィルズだけから成る
けれども彼はあえてなお運命に挑み、三番目の探検隊を組織するが、今度の隊はあれほど熱烈に望んでいた目的地に達することになるのだ
「君はこの隊を離れるわけには行かない」
「どんなやつが相手かわかったもんじゃねえ。そうなると隊を組んで、十人か十二人くらいで行かなくてはならねえぞ
選抜隊が、士官や兵曹の指揮のもとに、ある隊は奥地へ、ある隊は沿岸地帯へと向かった
これらの動物が何千頭もぎっしり隊を組んで数時間、汽車の線路を横切ることがある
最初の隊を救援するために第二の隊を出すべきか
最初の隊は全滅したかもしれない
それなのに第二の隊を出して、また兵士たちを犠牲にすべきであろうか
彼はひとりの中尉を呼んで、南方に向かって斥候《せっこう》隊を出すように命じた
わたしは、奴らが二、三百も隊をつくって来るのに出会ったことがありますが、まったく狂暴無類な動物で、奴らこそ絶滅させてもいいやつですよ」
ナイル川をさかのぼった探検隊はいくつもあったが、その神秘の源に到達した隊は一つもなかった
ナイルの源流を発見しようとして一歩一歩進んでいる隊のほかに、アフリカの中央部めざして勇敢に進んでいる隊もある」
先頭に立つ者たちが木の枝を押しひろげ、つぎにラッパ隊がつづいた。
トボリスク管区のコサック隊に集結するようにと命令が出されたこともね」
同時にペルミ連隊、ニジニー・ノヴゴロド連隊、それから国境のコサック隊は、強行軍でウラル山脈に向かっている
[#この行4字下げ]遠征《えんせい》隊の報告――引《ひ》っ越《こ》しの決定――スルギ号の解体――思わぬ援助《えんじょ》――川岸でテント生活――筏作《いかだづく》り――川をさかのぼる――洞穴《どうけつ》に到着《とうちゃく》
少年たちは、あざらしを捕《とら》えようと思うならば、特別な遠征《えんせい》隊を作って出直さなければならないことを知った
島影を求めるならば、そこまで遠征《えんせい》隊を繰《く》り出《だ》すことが考えられる
[#この行4字下げ]冬の準備――遠征《えんせい》隊の編成――湖水を横断して――東方川――東海岸へ――洞穴《どうけつ》に向かう
記録によれば、隊員間の不和、はげしい論争、隊の目的に関する意見の不一致、少数派の結成であった
「パトロール隊が、そういう者を見たと報告した
そして、その一人がわたしに呼びかけて、どの隊の者かと尋ね、それから自分についてこいと命じた
その稲妻のような疾走のはるか後方から、アルシノイター隊が地響きを立てて出ていった
わたしが救援に駆けつけた騎馬兵は、われわれの隊の者ではなく、最初に右翼にいたあの野蛮人部隊の一人だった
少年たちが彼の後から隊を組んで運動場を横切った
屋根裏部屋へ上がるか、外へ行って警邏《けいら》隊を探すかのどちらかだ
ゲーリック伯爵の巡邏《じゅんら》隊なんかに見つかりたくはない」
誰もが知っているように、オサは偵察隊や警邏《けいら》隊を本隊のかなり先まで派遣していた
「一種の警邏《けいら》隊らしいな」
「出発する前にぼくの隊をゴリムのところに送りました」ヘターは答えた
かれらを捜しているパトロール隊が馬に乗っていることはわかっていたので、タカ顔のアルガー人は馬の気配を読み取りながら、包囲を避けて前進した
トルネドラのパトロール隊は丘の頂上までやってくると、浅い谷間をさっと駆けおりた。パトロール隊の隊長は楓の木立からそう遠くないところで馬を止めると、厳しい口調で一気に命令を下し、部下を分散させた
「少し隊を編成し直す必要があるようだし、工兵たちがわれわれを引きあげる準備ができる前に、崖地のふもとに着いたところで仕方がないからな
「あなたという人間をよく知ってますからね」セ・ネドラはつんとあごを出した。「アストゥリアの隊はどの辺に野営しているの」
そのとたん、王女はあることを思い出した。そしてアストゥリア隊の天幕を見てまわるのをやめ、ある人間たちの姿を探し求めた
「フルラク王が隊を休憩させたいとおっしゃってます」
「隊を休ませなさい、大佐」ポルガラはセンダリアの准男爵に命じた
隊が休憩のために停止したので、セ・ネドラ王女は汗みどろの馬のたづなを引いた
「隊を休ませなければならないのよ、おじさん」ポルガラが答えた
ヘターはうなずくと、隊の先頭にいるミンブレイト騎士団の方に馬を走らせた
「マーゴの隊の中にグロリムはいた
「そのマーゴ人の隊は、タウル・ウルガスが申しわけのためによこしたのだと思われます
「マーゴの隊はそれほど脅威のあるものではないだろう
そして東に進むにつれ、国ごとに分かれていた隊の間に仲間意識が強まってきた
南側の土手に集合している隊の指揮者はチョ・ハグとコロダリンで、北側の隊の指揮者はヘターとマンドラレンだった
わが軍の指揮官からの報告によれば、おまえたちの隊は戦場であまりかんばしい働きをしなかったようだな
だがごくわずかの見張り隊を残して、野営地はほとんどもぬけの空だった
「わたしの部下たちが隊を集めて供給物資をまとめるのに数日はかかりそうなの」彼女はつけくわえた
「しかし、マロリー人はひっきりなしにパトロール隊を送り込んでいるんです
「そんなことをしていいのかよ? パトロール隊が脱走兵を捜しているんだぜ」
「いまは真夜中すぎだ、パトロール隊はみんなベッドのなかさ。いいからたいまつをつけろ」
「あまり元気そうじゃないな、おい」シルクは言った。「おまえの隊はどこにいるんだ?」
また、ペルデインのわれわれの周囲に部隊を潜入させようとするザンドラマスのくわだてを阻止するためにも、川にパトロール隊を設置する必要があります
ゴミ溜めくさいヤフーのグレン隊に待ち伏せされたのは、ヴァイン通りを過ぎ、ファウンテン街の爆孔をよけながらヒーリイを走らせていたときだった
ランチ・マーケットをいざ出ていくだんになって、その排気音のブツブツポンポンがグレン隊を呼びよせたらしい
すでに車はグレン隊の群れの中を走りぬけ、怒ったスズメバチのような小火器の唸りも、後ろにしりぞいていった
一九二〇年代のサイレト喜劇を登場するわんぱく少年団の名にちなむ)はぐれん隊にはちがいないけれど、かっばらいや押込みだけであきたらなくて、のんびりくらすことを考えはじめ、それをいちばんカッコよくやってのけた一派だった
チンピラと連れのワン公が、あわせて二ダースばかり死に、小屋も焼けて、値打もんのキャグニーのフィルムが二本いっしょにパーになった。このかいわいのぐれん隊がより集まって映画館を聖地にきめたのは、そのあとのことだ
フィルムがやたらにスプロケットからはずれるので、そのたびにとめて巻きもどしてる。だけど、おもしろかった。ぐれん隊にペテンにかけられ、復讐をちかうソロの話だ
最後にはきっとどっかのでかいぐれん隊に目をつけられて、血まみれゲロゲロのわたりあいをしなきゃいけない羽目になるだろう
女だとすれば、筋はとおる。ぐれん隊みんなとソロのほとんどは、ポルノがおわると出ていっちまったからだ、ホモのカップルが一組いて、女役がこっち向きにひざをついて恋人のあれをナメナメしてる
あちこちほじくりかえしながら生きていたソロたちが、より集まってぐれん隊をつくったのがどれくらい前か、そのときアワー・ギャングのリーダーになったのがどんなやつだったか、そんなことは知らない
無人地帯を歩いているうちに、気がついたことがある。ソロやぐれん隊のなかに、なぜ女がろくにいないのかという理由だ
だけど、ときどきぐれん隊仲間の共有にあきて逃げだしたのや、下をおそったぐれん隊にさらわれてきたのに、ひょっとぶつかることがある。それから――そう、今みたいに――下でくらしたスケが助平根性をおこして、ポルノを一度見てやろうとあがってくることもある
「ぐれん隊さ。ビルをとりまいてる。十五人か二十人、もっといるかもしれん」
ブラッドは、正面ドアのわきの暗がりにうずくまっている。もしできたら、ぐれん隊といっしょにいる犬をさきに撃ってくれ、とブラッドはいった
ブラッドとどんなふうに暮らしてるのかときくので、おれは、斥候犬がどうしてテレパシー能力を持つようになったか、どうして自分たちで食料をさがすことができなくなったか――だからソロやぐれん隊がかわりにさがしてやってるのだ――それから、おれのようなソロのために女を見つけるのがうまいのはどうしてか、そういうことを全部話してやった
もしビルがすっかりくずれ、多少冷えてきてるのなら、いまぐれん隊は灰のなかをひっかきまわしてるころだ
そとに立ってみると、ボイラーは上から落っこちてきた燃えかすでほとんどすっぽりおおわれていたことがわかった。ぐれん隊はざっと見わたし、おれたちがむし焼きになったと思いこんで、帰ってしまったのだろう
みんなおカタくて、こぢんまりとまとまって、住んでるのは知ってるやつばかりという町なんだ。そのうえソロをにくんでる。ぐれん隊がしょっちゅう押しかけて女を強姦し、食料をかっさらったものだから、下でも抵抗する策をたてたんだ
(みんなおカタくて、こぢんまりとまとまってて、住んでるのは知ってるやつばかりという町なんだ。そのうえソロをにくんでる。ぐれん隊がしょっちゅう押しかけて女を強姦し、食料をかっさらったものだから、下でも対抗する策をたてたんだ
右向け右、だとか、左向け左、だとか、回れ右、だとか、三列縦隊で姿勢を正しくしてやる行進、だとか、そのほか、私が十五歳のときに、もうとっくに教わってしまったような、何の役にもたたぬ愚にもつかないことばかりだった。ゲリラ隊が受ける訓練としては、まったく見当外れもいいところだった
ところで私は、自分の隊の中尉を片隅に誘いこんでは、いつも、機関銃の操作を教えてくれ、とうるさくせがんだ
また、資本主義に味方する古い警察にとって代わる労働者|巡邏《パトロール》隊や、労働組合を基盤とする義勇軍などを設立しようとする試みもなされた
夜になると、きまって小規模な巡邏《パトロール》隊が、彼我両軍のあいだの無人地帯へ繰り出された
ファシスト軍はたえず移動があったが、その数は、巡邏《パトロール》隊の報告によって、ある程度までつかむことができた
労働者の巡邏《パトロール》隊は命令によって解散させられ、街には戦前の警察力が復活した
鼻をつままれてもわからぬまっ暗やみの大通りで、うろうろしているアナーキストの巡邏《パトロール》隊に二度もピストルをつきつけられ、身分証明書を調べられたのに、それをものともせずにやって来てくれたのだった
「何某大佐《エル・コロネル》、|工 兵 隊 長《ヘフエ・デ・インヘニエロス》、|東 部 軍《エヘルシート・デ・エステ》
ウィカム氏は前日彼といっしょにロンドンからきて、じぶんたちの隊にはいる任命を受けたことなどを話しました
「|軍《ぐん》|隊《たい》|靴《ぐつ》、それがいちばんだ」とジョー
ラパハノック|河《か》|畔異常《はんいじょう》ナシ、全軍|健《けん》|在《ざい》、|兵《へい》|站《たん》部管理|良好《りょうこう》、テディ|大《たい》|佐《さ》|麾《き》|下《か》ノ国内|警《けい》|備《び》|隊《たい》ハ|常《つね》ニ任ニ服シ、司令長官ローレンス|将軍《しょうぐん》日々|閲《えつ》|兵《ぺい》ヲ行イ、|兵《へい》|站《たん》部長マレット|宿舎《しゅくしゃ》ヲ|整《せい》|頓《とん》シ、ライオン少佐夜間|歩哨《ほしょう》ノ任ニ当タル
しかし、平和にもどるまでの一週間というもの、学生たちはいくつものパトロール隊にわかれて街路を練りあるいた
だが、私の属していた隊がひとりの警官にも出会わなかったのは、非常に腹がたった
「ご勤務の隊は?」
大通りは、いずれも、ストライキ中の金属労働者のデモ隊によって占められていて、きわめて緊急を要する車の往来のみが交差点の通過を許されていたにすぎなかったからであった
好奇心に駆られた人らの小さな群れが、いくつか、ほんとうのデモ隊から遠くはなれたところに立ち、事の真相についてはしかとわからないながらも、その場を去ろうとはしなかった
横町にはきっと警察パトロール隊もいるにちがいなかったからであった。カールの有利な点は、ただ身軽な服装だけであった
わたしたちの求人隊がたえず旅をしているだけでなく、そうした隊がまだほかにもたくさんあるのだし、当然じゃないの」
是が非でもこの隊で職にありつけるようにやってみてちょうだい
「ここへ入団されたいのでしょうな」と、その男が尋ねた。「わしは、この隊の人事部長です
その男がけっしてこの隊の隊長ではなかったからである
ところが、残念なことに、天使も、悪魔も、求人隊の次の目的地で翌日の隊の到着を広告しておくために、すでにそちらのほうへ旅立った旨を、召使から聞かされた
その乳母車は、今や隊の先頭にあって、父親にかじを取られ、いかにも危なっかしくたえずはね上がりながら、走っていた
隊長は、あるときはみずから一方の手で乳母車のかじ棒をつかみながら、他方の手を挙げて隊を鼓舞し、あるときはしんがりに回って、隊をうしろから追い立て、またあるときは隊のよこに沿うて走りながら、隊の中ほどのそこかしこに足の遅い者がいるのに眼を留めると、両腕を大きく振って、彼らに走りかたを実地で教えようとしていた
十五人ずつ隊を組んで、みんな一列に行進していた
「戦国時代、ともに同じ隊にはいった
今度も、このニ隊にはさまれて、六人の少年が木の枝や脚で織り上げた柩台を肩に担《かつ》いでいた
隊を組み、流れるように走るその一団のある者は黒一色、ある者は白一色だった
己の兵士は隊の順序に
どれ、その隊の先頭に立ちましょう
しかしどこかに、そうだ親爺の隊の輜重車の中に、修道院の炊事場を襲ったとき掠奪《りゃくだつ》した、白いパンの粉のはいった袋があったはずだ
で彼は、一目散に父の隊の輜重車の傍へ行った
タラス・ブーリバ連隊長も隊を引率して伏兵に参加すること
それから、敵を屠《ほふ》りつくすと日ごろ人一倍豪語していた若い諸君は、このさい各自の隊から勇躍して進み出い
全部改めてみるんだ! 隊の全員に首途《かどで》を祝ってウオッカをいっぱいずつ、またパンを一個ずつとらせろ
と、ちょうど敵のしんがりの部隊が、門内へはいりかけているところでしたが、見ると隊の先頭に旗手のガリャンドイッチさんが立っているではありませんか
この俺様に|うぬら《ヽヽヽ》の隊のやつどもがふん縛られるのを見たいじゃろう
」と、自分の隊を離れて、ククベンコに殺された敵の貴族の横たわっている場所へ馬を乗りつけ、ウマンスキイ廠舎隊のボロダットイが言った
ザパロジエのコサックの多くが彼らを追撃しようとしたが、オスタップは、自分の率いるウマンスクのコサック隊を引き留めて、彼らに言った
老いたるタラス・ブーリバは、その新任の廠舎隊長というのがどんなやつか見ようと思って、|ひょい《ヽヽヽ》と後ろを振り返った。そしてウマンスクのコサック隊の先頭に、長男のオスタップが馬上から指揮しているのを見出した
どうしてそういうことになったのか、留守を守っていたザパロジエの連中が、コサックの風習で、死んだように固く眠っていたのか、それともぐでんぐでんに酔っ払ったままで捕虜にされたのか、またどうしてダッタンのやつらが、隊の財宝を埋めてある場所を嗅《か》ぎ知ったのか――それらについては、彼は少しも言わなかった
硝煙の間から身を退いて周囲の状況を展望せんがために、ひとまず後ろへ退いた時、味方の隊に多くの戦友の姿の不足していることがわかった
彼は自分の統率するネザマイコフスキイ隊の残余の兵士とともに、敵のまっただなかへ突入した
と、そこにはすでにウマンスキイ廠舎隊の隊長が四角八面に斬りまくっており、ステパン・グスカが、早くも敵の主砲を奪取しかけているので、彼はそこをそれらの戦友に任せて、部下とともに、敵のほかの密集部隊へと方向を転じた。かくて、ネザマイコフスキイ隊の通った所には、街道のような通路ができた
が、彼らがまだ陣形を整える暇《ひま》のないうちに、早くもコサック軍の廠舎隊長の一人なるククベンコが、部下なるネザマイコフスキイ隊を引き連れて、ふたたびそのまっただなかへ攻め入って、いきなり、例の太鼓腹の連隊長目がけて跳りかかった
が、ククベンコは彼にその隊といっしょになる余裕をあたえず、遠くの野のはてまで追って行った
この時、コサック軍のしんがりを承《うけたまわ》っていたコルスネツ隊が、すでに小銃の着弾距離に達したのを見て取り、不意に火縄鉄砲を撃ち出した
【ブルータス】 ルーシリアスとティティニアス、隊長たちに命じて今夜それぞれの隊をここで野営させるようにしろ
ゴート人の二 吾等の総帥《そうすい》、ルーシアス、私は何気無く隊を離れ、毀《こは》れかけた修道院を眺めてをりました、そして、その朽ち果てた建物にじつと目を注いでをりましたところ、突然、壁の下から赤児の泣く声が聞えて来たのであります
フォーティンブラス (隊《たい》伍《ご》に向い)よし、ゆっくり行け
連邦宇宙が、この北のさいはてでほつれていって〈リフト〉に移行するここでは、仕事からつぎの仕事までの時間と距離がすごく長い。パトロール隊も、レイブンがここで働くのを歓迎してくれる
これはサルベージ用の道具ではなく、パトロール隊にいる友人からもらったとっておきだ
メグレは自転車パトロール隊や、地方警察にも急を知らせておいた
それは、新たな成果をあげると共に、それまで十分評価されていなかったシュリーマンの観察の数々を裏づけたアメリカ隊のトロイア発掘(一九三二年―一九三八年)によることはもちろんだが、とりわけ、イギリスおよびギリシアによるミュケーナイの調査によるところが多い
途中でぶらぶらしている子どもたちに出会ったときには、フランキーはぼくらにすぐさま包囲を命じ、もしそいつらが補充兵としてわが隊に加わることを拒否したときには、次の三つの手段のうちどれかをとるのが常だった
「シャーウッドの森連隊だ。おれのおやじのいた隊だ。おやじはフランス戦線で、一日に六十三人もドイツ兵をやっつけて勲章をもらった
銃は、やつらの体の延長みたいなもんだ。こわがらなかったらどうするんだ? いつかやつらが隊を組んで、まるでランゴバルド人がイタリアでやったように、ドイツ人がゴールで、トルコ人がビザンチウムでやったように、この土地へ進軍してきたらどうなるんだい
おい、今までどこの隊にいたんだ?」
|隊を組め《ヽヽヽヽ》、と私はジャコバンの歌とともにあなた方に言いたい〔この句は「ラ・マルセイーズ」のなかの一句〕
この親父の仲間がいまも生きていて、モンテ・マリアーノ公の隊とか、あるいは、ここから二キロ先のファッジョラの森にいつも陣取っているコロンナの隊などにいないとは、だれもうけあえないではないか。そうなった日には、われわれはみんな、おまえも私も、それに、かわいそうだが、きっとおまえの母親までが、情容赦なく虐殺されてしまうのだ」
そして、彼は馬を駆って前哨戦のあった場所へとってかえした。ジュリオはラヌッチオの隊をほとんど副官として指揮していた
きみの父もコロンナ一党のために二十余たびも負傷した勇士だった。ラヌッチオ隊の残兵を指揮するがよい
ジュリオは家の近くまでくると、自分の隊の伍長と四人の兵卒に会った
「もしエーレナに身のあかしを立てておかなかったら」と、ジュリオはその夜森にある自分の隊の本部へかえりながら考えた
「わが隊はのこるところ、わずか五名、うち三名は負傷しております
ジュリオの周囲には、かつてラヌッチオ隊に属した三十人ばかりの兵士しか残っていなかった
ギリシアとかアフリカにちょっと旅行するのが、あのひとたちにとっては、大胆きわまるふるまいで、それも隊《たい》伍《ご》を組まないでは歩けもしない
「『グローブ』紙に激越な記事を書いている青年たちでもって、隊を指揮する三千や四千の青年将校はできましょうし、そのなかには、クレベールや、オッシュや、ジュールダンや、ピシュグリュのようなものがいるかもしれません
私が苦慮しているのは、私の隊のワンワナ人が恐怖に駆られて動揺しやすいことだが、チプ・チブが私に助力して、いっしょに出かけると聞けば、すべての連中が勇気百倍するだろう」
もっとも、西の海岸からきた交易者たちに出会った場合は、私の隊の三分の二を彼につけてニャングウエへ帰すようにするなら、私は交易者たちといっしょに西方の海へおもむいてもよい……そう彼が話すのを聞いた私は、まず妥当だと考えた
また村の両端に、高さ十五フィートの櫓《やぐら》を建て、十人ずつ狙撃《そげき》隊を配置し、接近する敵を制圧することにした
するとベン・ガンは昔の船乗り仲間たちの迷信ぶかさにはたらきかけることを思いつき、かなりのところまでその思いつきが成功したので、その間にグレイと先生が追いつき、それで宝捜し隊の一行が到着する前に待ち伏せの態勢をとることができた、というわけだった
われわれの観測だと、三方の隊がこの下に集まってくるまでに、こちらが岩陰で待っている時間は、まず一時間とはかからぬ見込みであった
嵩はなくとも値打ちものです。それであるとき、ちょうど隊の将軍がリスボンへ帰還するというので、その機会に便乗して、わたしも黄金と真珠をもってポルトガルへ帰りました
かりに本気だとしても、エレクトロニック・メタルズが欠陥ロボットをわたすわけがない。またデモ隊がもどってくるではないか。それにエジプティアはサインしたら、自分の正当な所有権を主張して、かれをとっておくだろう
三人の者が その隊から離れた
モスクワで勉強し、モスクワで任官し、長年あちらで勤務していましたが、とうとうこちらの隊をあずかることになり……ごらんのとおり、転任してきました
今日こちらへ、われわれの隊の新しい指揮官、ヴェルシーニンがご挨拶《あいさつ》に来るはずです
モスクワの学校を出て、モスクワで任官して、長らくあちらで勤務していましたが、とうとうご当地の隊を持つことになって――ごらんの通り転任して来ました
翌朝、夜が明けかかるやいなや、もう亭主は起き出でて、鶏の役をしてわれわれをみな呼び集め、それから一同は隊をつくって、並み足より少しばかり早い歩調でくり出した
その火のぐるりを、ギリシャ人の騎士が、大きな隊を組んで、大きな声を張り上げながら、左まわりに三度駆けまわった
外に出れば少しは風も吹いてるんだろうけど、めったにロケ隊なんかが入るとこじゃないから珍しいんだろうね、仕事にあぶれた労務者や派手なアロハシャツ着たチンピラ、目つきの悪い手配師、それに物見高い近所のオバチャン連中やガキ共までがワイワイ集まってきて、大声で撮影のスタートをせかせていた
炉石から、煙突から、時計から、パイプから、鉄瓶から、揺籠から、床から、壁から、天井から、階段から、家の外の荷馬車から、家の内の食器棚や台所道具から、ちびがなれしたしんできたあらゆるものや場所など、不幸な夫の心に彼女の思い出一つ一つをみつけているものすべてから、妖精たちが隊をなして出て来た
「太陽系監察局を呼んでみるわ」モリスン司令官が口を切った。「わが隊をここから危険のない所へ移す責任があるわ――少なくとも、残った全員をね
「ミドルセックス隊にちがいありませんね?」
服の裁《た》ちかたは馬に乗る人のものです。ミドルセックス隊と申したのは、名刺《めいし》にスログモートン街の株式仲買人とありましたが、あそこの人ならあの隊にはいるに決まっていますからね」
「あの時われわれ三人、隊から離れてしまったのだ
クリミヤ戦争のときも、ベンガル兵の叛乱《はんらん》戦のときも、すばらしい働きをした隊で、それ以来なにか事あるごとに名をあげてきたわけだが、この月曜日の晩まではジェームズ・バークレイ大佐を連隊長に頂いていた
そしてかつては一兵士として小銃《しようじゆう》をになっていた隊を指揮《しき》するまでになったわけだ
細君は娘《むすめ》時代の名をナンシー・ディヴォイといって、おなじ隊のもと軍旗軍曹の娘だ
ロイヤル・マロウズ連隊の第一大隊――つまりその旧第百十七大隊だが――これは何年かまえからオルダーショットにおかれている。隊つき将校のうち妻帯者は営外居住をすることになっていて、大佐はオルダーショットへきてからずっと北|営舎《えいしや》から半マイルばかりの、ラシーヌとよぶ別荘《べつそう》風の家に住んでいた
私はいまでこそこのとおり背なかはラクダのよう、肋骨《ろつこつ》はあわれに曲りましたが、これでも歩兵百十七大隊のヘンリー・ウッド伍長《ごちよう》で鳴らした時代もあるのです。そのころ隊はインドに駐屯中《ちゆうとんちゆう》で、営舎のあった土地はバーティーとしておきましょう
「軍隊を出てからそんなに困っておいでだというのは、まことにお気のどくですね。どこの隊にいたのですか?」
私はあの峡道ではセール隊におったものでござります。ケーバル占領のときは二番隊をつとめました
「グズニの大地震で、敵の城壁がみんな揺りおとされたときは、閣下の隊におりました。あのとき四万のアフガン軍がわが着弾距離内に暴露されました
一八四一年十月一日、ツール谷にて――今朝ベンガル第五連隊および第三十三女王連隊戦線にむかって通過す。ベンガル隊と食事をともにした
たとえずっと寒さが加わり、交通がまったく杜絶《とぜつ》したとしても、我軍は各地に多数の食糧庫を設置したから、ポーロック軍はもとよりナット隊にしても、給与に困ってエルフィンストン軍のごとき運命に陥《おちい》ることはあるまい
余は連隊の兵員中一中隊半と、べつに土民騎兵よりなる一個中隊を有するが、騎兵は岩石地帯ではさらに役にたたぬ。エリオット隊は砲三門を有するが、多数の兵員がコレラでやられているから、有効砲数は二門も怪しかろう
しばらく前線から情報がこなかったが、本日後送の負傷者が通過したので、聞けば、ナット隊はグズニを占領したる由
ポーロック隊の情報さらになし
マドラス騎兵隊のバークレーが伝騎をとばして来たのだ。ポーロック隊が先月十六日、大勝利をもってケーバルに入城したのだという
とにかく余の衷心よりの望みは、わが隊の力量を示すべき機会さえくれば、それで満たされるのだ
輜重隊は南方から登ってくる。そこでわが隊は南方のある峡谷に敵がいるからそこを警戒するのだと称して、今夜のうちに出発する
そしてそのじつ余らは輜重隊と合流して、二百にのぼる兵員をその車内に潜ましめて共に引き返してくるのである。わが隊が南下したにもかかわらず、輜重隊が無警備のまま登坂してくるのを見れば、敵は安心して必ず山を降りて襲撃せんとするだろう
余らはただちに事情を説明して、夜の明くるとともに既定計画どおり出発することとはなったが、輜重車はいずれも満載してあったから、わが隊の兵員を乗りこましむるためには、多量の秣《まぐさ》を一時おろさねばならなかった
カンヴァスをかけたる車上から見ていると、〓布《はくふ》をまきたる土民の頭部がときどき岩かげに隠見して、わが隊の行動を覗《うかが》っていた。まじかまでわが隊の行動を偵察にきては、逃げさる姿もときどき見えたけれど、テラダ峡谷と称する左右とも高い崖《がけ》の続いている狭い地点へくるまでは、敵はその正体を現わさなんだ
そうしていよいよ不穏とみて、ここで隊の行進をとめると、彼らは気づかれたりとみて山上から、不正確ではあるが猛烈なる小銃火をあびせかけた
この策略はみごとに的中した。チェンバレン隊のじりじりと退《ひ》くにつれて、敵はますます勇みたち、ときどき悪魔のような喚声《かんせい》をあげて降りてきた
「敵襲を防ぐのがわが隊の任務でありますか
そして二人の騎馬兵に肩を押えられても何の反抗もせず一言も発せず、そのまま二頭の馬にはさまれて、警備隊まで平気で歩いてきた。まもなくパトロール隊が帰ってきた
貴官はたしかロイヤル・マーロウ隊から転属になったのだな
それでも運よく、おなじ隊の水泳の達人のジョン・ホールダー軍曹《ぐんそう》が河にいてくれたんで助かりました
そうすると三人の白人、二人の混血土人、一人の土人、三人のインディアンがこのささやかな隊をなし、奇妙な探検に出発するまえの一時を、マナウスで指令を待っていた
私は命ぜられてバークシャー連隊付に転じ、その隊の一員としてかのマイワンドの大苦戦に参加した
「このへんにインディアンのいるはずはない」隊の指揮をとっているらしい年輩《ねんぱい》の男がいった
どっちが彼女《かのじよ》と結婚するかということで、ドレッバーさんの息子とスタンガスンさんの息子のあいだがちょっと紛《も》めてね、追跡《ついせき》隊にはどちらも加わっていたが、彼女の父親を射《う》ち殺したのはスタンガスンだったから、彼のほうが資格はよかったのだけれど、評議会にかけてみると、ドレッバーのほうへ賛成者が多かったものだから、予言者がそのほうへ与《あた》えることにしたんだ
途中で傭った二人のインディアンと共に隊の先頭を進んでいたチャレンジャー教授が、突然立ちどまって興奮の面持で空を指さした
森のはずれから荒々しい叫び声がおこって、突然猿人の一団が棍棒や石を手にして現われ、インディアン隊の中央に突進してきた
相手は娘時代ナンシー・ディヴォイといって、同じ隊で、もと軍旗係をしていた軍曹の娘だ
「それも、ミドルセックス隊ですね?」
それから、服のスタイルをみれば、馬に乗るひとだとわかります。ミドルセックス隊ともうしあげたのは、あなたの名刺からわかったのです
そのとき、ゴドフリー・エムズワースも、同じ隊へはいってきました。ゴドフリーは、クリミヤ戦争でビクトリア十字勲章(くんしょう)をもらったエムズワース大佐のひとり息子(むすこ)ということでした
「確かめてきましょうか、スタンガスンさん?」と隊のひとりがいった。
幸いその時、中隊の軍曹のジョン・ホールダーも泳いでいて、こいつは泳ぎにかけては、隊でも指折りでね
あっしらの隊の兵隊が数名、狭い曲がりくねった通りで道に迷ってしまったんです
相手は娘時代ナンシー・ディヴォイといって、同じ隊で、もと軍旗係をしていた軍曹の娘だ
これが終ると両軍は隊《たい》伍《ご》をととのえて引きあげ、トムはひとりで家路についた
帰ってきた人たちの話では、ときどき、洞窟の遠方に、ちらりと燈火が見えるので、二十人もの人たちが、隊を組んで、歓声をあげ、通路に反響をひびかせながら行ってみたが――そのつど、やるせない失望を味わわされたという
ある人の話では、ときどき、洞穴で、ずっと奥のほうで、明りが一点ちらちらするので、これはとばかりに歓声をあげ、二十人ばかりが、こだまする通路を隊をなして、はいりこんでみると――それも、きまって、がっかり、しょげきるばかりだった。さがしているこどもたちはおらず、見えた明りはさがし手の灯にすぎなかった
それから稜堡《りょうほ》に近づくと、隊の太鼓《たいこ》はどんどんと突撃の号音を打つ……
アラビア人事務所に出向しているので隊の雑役は免除《めんじょ》されており、白い手袋をはめ、鏝《こて》を当てたばかりの髪をして大きな帳簿を小脇にかかえながらいつも通りを歩いている
……日曜日には、私たちは隊を組んであちこちの風車小屋へ出かけてゆきます
アラビヤ政庁勤務を命ぜられた彼は、隊の使役を免除され、いつも白手袋をはめ、ウェーブをかけたばかりの髪をして、大きな帳簿を小脇に抱え、往来に姿を現わす
怪獣タラスク〔ギリシア・ローマ以来人間に飼い慣らされた動物で、現在では狩りの際にウサギを穴から追い出すのに使われている〕がこの町の方々の沼を荒らしまわったとき、町の男どもが怪獣退治の狩り出し隊を作ったという伝説もあるくらいだ
鴨《かも》の一群が、細長い三角形に隊を組んでカマルグ地方へ向かう途中、この町の鐘楼を遠くのほうから見つけると、先頭の一羽が大声で叫びだす
ズワーヴ丸の乗船客は、人数が多いばかりか、陽気ときている。隊へもどる士官たち、マルセイユのカフェ・アルカサールのホステスたち、売れない役者たち、メッカ参りから帰る金持ちのイスラム教徒が一人、それにラヴェル〔十九世紀に後半に活躍したフランスの人気喜劇役者〕やジル・ペレス〔当時流行の喜劇俳優〕の物まねを披露するおどけ者のモンテネグロのプリンス……
「臆病者め! 隊を組んで、おまけに犬まで連れてライオン狩りに行くとは
ニイナ・アレクサンドロヴナさんは、僕が隊にはいったころの古い友だちで、今は退職なすっているアルダリオン・アレクサンドロヴィッチ将軍の奥様です
それから柱ごとに、何人かの兵士で隊を組んで前に整列しました
さて、いよいよ出発ということになると、子供たちは隊を組んで、駅まで見送ってくれました
それは士官候補になりはじめで、毎日こつこつとおもしろくもない仕事を隊でやっていた時分のことです
ところで、その六千ルーブリの金をもらった頃、おれは突然友だちがよこした手紙から、ある自分にとって興味ある事実を知ったんだ、というのはつまり、われわれの隊の中佐が綱紀紊乱《こうきびんらん》の疑いで、当局から不興を買っているっていうんだ、ま、要するに反対派が設けたわななんだがね
老中佐は急病にかかって、動くこともできないと言いだして、二昼夜も家にこもったきりで、いっかな官金を引き渡そうとしなかった。隊つきの軍医のクラフチェンコも保証して、ほんとうに病気だと主張していた
考えられるかい、あいつは士官候補生だったんだぜ、隊を追放されたんだが、あれでなかなか教養があるんだ
連隊長は、もしそういうスキャンダルが片づかないと隊を出てもらわなければならぬと、警告した
新しい話をひと通り聞いてしまうと、ウロンスキイは従僕に手つだわせて軍服に着かえ、隊へ顔だしに出かけた
同僚や、他の隊の人々が、彼の周囲をとりまいた
「ああ、ウロンスキイ、いつ隊へ来てくれるのかね
連隊長は、もしこういう醜行がやまなければ、隊を出てもらわなければならぬ、と申しわたした
同じ隊や他の隊の人びとが、いっせいに彼をとりまいた
吉
表の入口のベルが不《ふ》吉《きつ》に鳴りひびいた
それで礼金をとってはいろんな運星のはかりも及ばぬ不可思議を、町の人々に教えてやるので、たとえば、どの日が結婚の挙式にいいとか、町のかこいの土台を何日にきずけば永くもつとか、商売の取引きに吉《よ》い日、旅行のさいさきよい日、船を出すのに安全な日などという工合でして、いや何よりもこの私が、今度の旅めぐりの末はどんなかと訊ねましたら、いろいろとても奇妙な、さまざまな変ったことを預言してくれました
「今日こちらからお訪ねするつもりだったのにそれも待たず、そうしてあなたのほうからおいでになったところをみると、どうやら吉と出たようですね」アルベールは言った
それだから今日は吉だというのです」
大ガラスが人間に、吉になるか凶になるかを、いろんなことがらから予言するので、人間は、カラスの鳴き声はこうだったなどと、おもく見ます
返事がないのが吉の合図、仕事の準備にとりかかり、ふいに現われる者にたいする気くばりをしながら、錠前の止め金をこわし、錠前をこじあける道具を使う
「吉と出たか凶と出たか」とアラス
「前兆や予示も吉と出ている
|吉《よし》|田《だ》|勝《かつ》|江《え》=訳
ラパハノック|河《か》|畔異常《はんいじょう》ナシ、全軍|健《けん》|在《ざい》、|兵《へい》|站《たん》部管理|良好《りょうこう》、テディ|大《たい》|佐《さ》|麾《き》|下《か》ノ国内|警《けい》|備《び》|隊《たい》ハ|常《つね》ニ任ニ服シ、司令長官ローレンス|将軍《しょうぐん》日々|閲《えつ》|兵《ぺい》ヲ行イ、|兵《へい》|站《たん》部長マレット|宿舎《しゅくしゃ》ヲ|整《せい》|頓《とん》シ、ライオン少佐夜間|歩哨《ほしょう》ノ任ニ当タル。ワシントンヨリノ|吉《きっ》|報《ぽう》ニ|接《せつ》スルヤ、二十四門ノ|礼《れい》|砲《ほう》ヲ放チ、|本《ほん》|営《えい》ニオイテ|正《せい》|装《そう》着用ノ観兵式ヲ|挙《きょ》|行《こう》セリ
でもまあかんべんしてあげましょう、そしてこうなったら|一《いっ》|刻《こく》も早く|奥《おく》さまがお帰りになるようにお待ちするとしましょう」ジョーが|吉《きっ》|報《ぽう》をつたえると、ハンナはほっとした顔つきでこう言った
|吉《よし》|田《だ》|勝《かつ》|江《え》=訳
馬車が出て行くと、ちょうど日がのぼり、後をふりかえるミセス・マーチは、門に立つみんなの顔を、吉《よ》い兆《しるし》のように、朝日がパッと照らしているのを目に収めることができた
結果が吉と出るか凶と出るか見当がつかなかったからである
だが、グレゴールのほうはそんな不《ふ》吉《きつ》な見こみをもっていた
そんな不《ふ》吉《きつ》な考えに落ちこむまいと思って、わざとグレゴールはからだを休みなく動かしつづけ、部屋の中をあちらこちら這いずりまわった
ブルータス 吉か凶か、どちらです
自分の観察した前兆の後に、それの予告しているように思える吉なり凶なりの現象が生じなかったいろいろの場合を彼は熱心に思い出そうとしてみた
しかし論理の筋道をたどり真理にむかって進んでいるつもりでいながら、前兆の後にそれが予言しているように彼には思える吉なり凶なりの事件が実際に起こったいろいろの事例を運よく思い出して、そこで注意が停止してしまい、尊敬に打たれ感動してしまう
そして磨《みが》きのかかった用箪笥の上にちらちら映る火《ほ》影《かげ》や、天井にあやしくゆらぐ影法師に、かれは何か不《ふ》吉《きつ》の前兆《ぜんちょう》を読むような気がした
ハイドの不《ふ》吉《きつ》な影《かげ》が消えてからというもの、博士は本来の仕事に帰り、友情をとりもどし、つい一週間前までは、あらゆる意味で、愉《ゆ》快《かい》な名《めい》誉《よ》ある晩年が送れる、明るい見通しがあったのだ
……だって肥だめの留《タメ》とキチガイの吉《キチ》でしょ」
「はあ、まあ……大吉の吉のほうですが」
絶対キチガイの吉、色キチガイの吉だもんね」
7 吉 原(一)
9 吉 原(二)
7 吉 原(一)
9 吉 原(二)
「これは、小狐コン吉どん、尻尾を振りはじめたな
「上々の吉だ!」がそれにたいする応答だった
階段をのぼってくる足音で、吉《きち》か凶《きよう》か判断はつかないかね
それなのに君には吉か凶かわからない
ところが、凶(きょう)変じて吉になるのたとえで、バーの女は、新聞で、息子が窮地に陥って、死刑になりかねないと知ると、すっかり愛想づかしをして、手紙を書いてよこした
第十章 不《ふ》吉《きつ》な犬の遠《とお》吠《ぼ》え
第十章 不《ふ》吉《きつ》な犬の遠《とお》吠《ぼ》え
丘の上から、ホー、ホーと鳴く梟《ふくろう》の声がきこえた――不《ふ》吉《きつ》な声だ
耳うちがつたわり、不《ふ》吉《きつ》な憂慮《ゆうりょ》が人々の顔をおおった
そして、飢えに悩まされ、きたるべき運命の不《ふ》吉《きつ》な予感におびえながら、凧糸を手に持ち、四つん這いになって道の一つを手さぐりで進んで行った
宗
コルネリウスが入るのを許したのは、彼の乳母だったフリゾン生まれの老婆だけで、何一つそこなうことのないようなほうきで掃除をさせるだけだった。コルネリウスがチューリップ宗に身をささげた時から、育て子の心に不安を抱かせるのを恐れて、老婆はシチューに玉葱を入れることさえしなかった
向こうの方には、すっかり焼かれた真っ黒の修道院が、ぶきみなアルテシアン宗の僧のように、火焔がぱっと照り映える度ごとに、暗い巨大な体躯をしめしながら、ものすごく|ぬっ《ヽヽ》と立っていた
宗 教
このことについてなかには、彼は中途で帰依《きえ》した信仰《しんこう》であるモルモン宗に不熱心であると非難する者もあり、また一部の人たちは彼が貪欲《どんよく》で費用を吝《お》しむのであろうと悪口した
彼から見ればあのような結婚は決して結婚ではなくて、汚辱《おじよく》にすぎないと思っていたのである。モルモン宗の教義を、彼がどう考えていたかはしばらく措《お》いて、この一点だけは決して考えを枉《ま》げなかった
しかし後宮にいる多くの妻たちがかえって大いに同情し、モルモン宗の習慣にしたがって、埋葬《まいそう》の前夜お通夜《つや》をしてやった
筈
そんな事は充分わきまえていた筈《はず》だったが、さすがにそのニュースには、些《いささ》か驚かされた
薬を投与する機会があったのなら、殺す機会もあった筈ですからね」
その差異が、男にとって、大きなアドバンテージとなる筈であった。
それを知った副島は、組の面子《メンツ》に掛けても、黄を始末しようとする筈だ。そして、副島という隠《かく》れ蓑《みの》がありさえすれば、たとえ組織の中で黄の死に疑いを持つ者が現れたとしても、副島のところで追及《ついきゅう》は止まる
この二、三日中に黄を始末する事ができさえすれば、男の計画にそれほど大きな影響は出ない筈だ。
そう、彼女は今、ここ日本にいる筈だ。そして、副島を殺したのは、フロート効果の使い手
そしてその流れの延長として、日本は味方にすべき筈《はず》のアジア諸国からも、経済侵攻をかつての植民地侵攻と重ね合わせて非難されている
「世界における日本の立場はいま勉強した筈だ。中国と手を組まない限り日本の将来はない」
うちの一座のキャラバンが、スノードロップ・バレーまで行く筈《はず》だったんだけど、嵐のせいで道を間違えちゃって」
さっそく将軍のホテルへ行って、どういう手《て》筈《はず》になっておるか、きいてみよう」
ソーマの入った試験管がいくつか残っていた筈である。彼は保管庫を開けてみた
惑星域内にいる筈のアクショーの巡洋艦は、彼を裏切りこの星系から逃亡していた
――この型の帝国宇宙軍の戦闘母艦には、公にはされていない死角――欠陥があった筈だ……
妖怪にとって月の光は日の光の何倍も眩しく、普段見えない筈の物も照らし出す
今、庭では兎達が団子を搗《ひ》いている筈である。その団子には私の指示により様々な薬が混ぜられている
使者なら地上に一人で来る筈は無いのだが……正体が分からない
それが舞い落ちてきたと言う事は、必ずそれに乗っている者が居る[#「乗っている者が居る」に丸傍点]筈である。今はその者が何者なのか、敵なのか味方なのかも判らない
てゐが全員無事だって言うのなら、神社にいる妖怪兎は偽者の筈」
狐や狸が人間を騙すのなら、人間の姿に化ける筈です。妖怪兎に化けたって何にも得は無いじゃないですか」
昔はそんな事は無かった筈なのだが……長い間平穏な日が続きすぎたのかも知れない
月の使者に見つかったら今度はただじゃ済まされない筈よ。用心するにこした事はない」
恐らく今は月の使者のリーダーをやっている筈です」
それでも私が教育したその二人のお姫様なら、私の言っている事を信じる筈である。特に妹の方は賢かったし、今はそれに頼るしかなかった
表向きには月の使者は私を捕まえなければいけない筈である。この手紙に返事を書く事は、二人のお姫様にとっても危険な事だからだ
というのも、昔は中秋の名月が輝く日を恐れた筈なのに、ここ二、三年の間に満月を見る事を楽しむようになっているからである
鈴仙は意外そうな顔をしていた。それもその筈、今まで家の中で行った事は、余りの暴風で兎運が立っていられなかった時を除いて無かったからである
神妙なお祭りの筈なのに何で騒がしくなるのかなぁ」
しかし、変化が無い物は地上には存在しない筈ある[#「筈ある」底本ママ]
ひっそりとした花を咲かせた後、綺麗な七色の玉の実を付ける筈です。楽しみね」
「二月前の妖怪兎が月の兎である事を知っている人間なんていない筈なのにねぇ」
それもその筈、今日の団子にはいつもの薬[#「いつもの薬」に丸傍点]を混ぜていないからだ
当然、そんな筈もなく、少しずつだが永琳の行動にも変化は見られる
今はまだ、地上の民として自分がやるべき仕事は見つかっていないが、優曇華の花が咲く頃には何かを始めている筈である。むしろ、何かやりたい事を見つけた時に花が咲くのかも知れないと思った
「そうですね……私達だって月に行く手段がないというのに、吸血鬼がどうやって行くって言うのでしょう」鈴仙は名月がある筈の方向を向いてつぶやいた
「まぁいい、帰りにでも落としていってくれ。そのぐらいのツケはある筈だ」
そうだ、僕が動くより魔理沙に探してきてもらった方が何倍も効率が良い筈だ。
幻想郷では式神とはいえ対面を気にしていて、狐なり猫なりと多種多様な姿をしていて面白いものが多い。それもその筈、本来の式神とは、元々式神となる前の姿が存在し、そこに必要な機能を与えてやることで形成されるものだ
人形に式なんか覚えさせられる筈がないじゃないか」
僕の能力が確かならば、この写真機で写真が撮れる事は間違いない筈なのだが。
でも、遠くの山は一つしか存在しない筈だ。一体、何が減って写真の絵が増えているんだ
他にも組み合わせればどんな色にでもなる筈だ。だとしたら虹を上手く交差させれば自由に色を塗れるだろう
そうすれば、世の中の仕組みが少しすつ見えてくる筈さ。ところで、花見は良いのかい
物の名前が判る僕の能力を持ってすれば、その疑問も氷解する筈。ふとそう思ったのだ
食べていけない茸を網の上に置く筈がない。この時は神ではなく、魔理沙に析った
日本独自の天文技術だとしたら、もっと神様の名前や、英雄の名前を付けても良い筈なのに。だとすると、日本独自と言うよりは……
かった筈だ。それだけ妖怪の天文技術は優れていたのである
これを里に持っていって廻れば、みんなの病気も治る筈よ」
それにしても封印していた筈の伴善男様が、何で暇そうにしていたのかしら
毎日宴会してばかりじゃ、わざわざ人間が参拝に来る筈が無いだろう
「その前に、夕立で悲しい事になっている筈の洗濯物を再度洗濯するのが先だぜ」
これならば、賽の目は再び一になる筈である。この事実が何を意味するかと言うと、何らかの拍子で世界に存在するあらゆる物体が、過去の一点と全く同じ状態に陥ったとしたら、そこから歴史が繰り返されるという事である
それが幻想郷に住む妖怪と人間のありきたりの生活に吹く、新しい風となる筈だからだ。
「お前は全く何一つ弁えもないのだね、プシケ、私はまあお母様のウェヌスの命令もてんで思わずに、お前をみじめなこの上もなく下らない人間の恋に縛りつけて、とても卑しい結婚をさせてしまう筈だったのを、その代わりに自分で好きになって、お前のところへ飛んでいったのだ
しかし有難い神様の、崇《あらた》かな眼《まなこ》にこの罪もない心の嘆きがとまらないという筈はありません。尊いユピテル大神様のあの気高い鳥が不意に、両方の翼を拡げて飛んで参りました、あの猛々しい荒鷲がです
きのう彼から聞いた話の一言二言を繰り返して聞かせると、ますます驚いて、そんなことを言う筈はないと言い張った
下男が運びはじめると、誰しも手伝うのをいやがる筈はなく、触わってはいけないと言われる箱には大きな不安の種を植えつける
しかし、パリが、いままで数々の不運に生き残ってきたパリがですよ、今度は復活できないなんて、そんなこと、ある筈がないですよ」
こうした夢を見るには何らかのきっかけというものがある筈だが、初版の序文にも「この舞台はどこかの実在の城であることは疑いを入れない」とあるこの古城が、ウォルポールが当時ですでに十八年間もそこに住んでいた、彼自身の手になるあの凝りに凝ったゴシック風の居城「ストローベリ・ヒル」ではないか、くらいのことは誰にだって容易に想像がつくだろうし、はたしてウォルポール自身、のちに「ストローベリ・ヒル」の解説パンフレットを作ったとき、そこに『オトラント城』の霊感と着想をその著者に与えたこれが場所であることを明記している
それを言うならば当然のこと、ホラチウスの「夢想は、頭も足も一つの像に帰しえぬ如くに描かれるもの」といった『アルス・ポエティカ』の一節をもじって、ウォルポールが翌年の『オトラント城』再版にそのエピグラフとして、「夢想はしかし、頭と足とが一つの像に帰しうる如くにも描かれるもの」と記した、あの事実にも言及すべきだ、あれはウォルポールの自己弁護だけではなかった筈だ、と思いながら、しかしさすがにこの指摘には、眼を開かれる思いを禁じえない
もっとあっさりと、角立てない方法がある筈なのに、と夫人は吐息をした
リリーの絵のために、夫人はできるだけ頭を動かさずにじっとしている筈なのであった。リリーの絵
そうして、ドライヴ路を昇ってゆく、さっきとは別の路を戻ろうと歩きはじめたのだが、もしあの砂丘によって、泥炭に埋りながらなお唇の赤味を残している友情の亡きがらを悟らなかったなら、たぶん何も感じずにすんだ筈のことどもに、彼はいろいろ鋭敏な感じを持たされた
ラムジー夫人には、あのひと流の考え方がある筈だけれど)まああの成長してきた、荒っぽい向う見ずな『豪傑ども』が、毎日靴や靴下をすり切るのは仕方ありませんがね
だが、AからZまで順に正しく、一つずつを追ってゆく力はある、あった筈である。それだのに、Qに於いて停ったのだ
しかし、このことも、また自分の言葉をつくり出すこと、若い熱情、妻の美しさ、スォンジー、カーディフ、エクセター、サウサンプトン、キダミンスター、オックスフォード、ケンブリッジ各地から届く賞讃、――そんな事どもに彼が喜んでいるのも、すべて否定されるべきであり、『駄弁を弄する』なかに葬り去らるべきなのである、なぜと言って、事実上、彼が為し得る筈のことをしていないからなのだ。それはまやかしであった、それは、『これが自分らしいものだ――これが自分だ』と言いきれない、自分の知覚に責任を持てぬ男の逃避であった
みんなは十分幸福になっていい筈なのだ。それが今、ミンタをポール・レイリーと結婚させると思うと、ふたたび、人生とはどっちかと言えば邪悪なものだと考えさせられてくるのだ、自分自身がそれとやっている取引はともかくとしても、また自分のいろいろの経験(それは一々自分でも言えなくなっている)が、かならずしも他の誰彼に起こりはしないにしても
不平など言っていないのを知っている筈。不幸を言うべき種など何もないのを知っている筈
と、その時になって、ミンタがさわぎ出した、おばあさまの形見のブローチを失くしたと言って、――彼女の唯一の装身具である、祖母のブローチ、――しだれ柳になっていて、それには(みんな知ってる筈よ)真珠がならんでるのよ
崇高な思索をよび起こし、快い結論へと導いてくれる筈の視界の、この邪魔ものは、彼らの歩みを妨害した
ケネディ爺さんが庭番をしていた筈だと思って、一体どんなやり方をしていたのだと、もちろんお聞きになることだろう
あのひとは疑惑に悩まされていたのだわ、でなければあんなに人を求めなかった筈だ、と彼女は思う
あすこに影がある筈だから)ミセス・ラムジー。リリーは、あの時の、水切り遊びをしていた自分とチャールズや、浜辺の風景全体を思いかえす時、それらがすべて、あの岩かげで、膝に便箋をのせて手紙を書いていたラムジー夫人にかかって行くような気がした
彼が小犬の世話をしている筈であった。
ところが驚いたことに、見ていた筈の絵が、この時全然見えなくなったことに気づいたのだ
リリーは皮肉な笑いをうかべた、これに取りかかった時、問題は解決されてた筈じゃなかったの?
だってさ、確かシルクのお母さんって、すごい美人だった筈だよね。ウルギットのお母さんだって息を呑むほどの美人だったみたいだし
ハイツに着いて、私は万事が|手《て》|筈《はず》よく運ばれているかどうか見に来たと説明しますと、大いに困っていた様子のジョウゼフは、私の来たことを喜びました
それまでワザリング・ハイツに行って|手《て》|筈《はず》の指図を受けて来たのでした
「じゃこれから|手《て》|筈《はず》を申しあげますがね」とハンナは、ベスの様子をみ、いろいろと問いただしたあとで言った
「なんの音も聞えなかったな」と、メイスンは言った。「それにしてもおかしいんだよ、パットンはどうしてもここにいる筈なんだが。このブザーを押してみると、音が鳴っているのは聞えるんですな
「いまはおりません」と、彼女は言った。「もうじきもどってくる筈ですが。十五分ばかり前に、メイプルトン・ホテルから電話をかけてきました
「いまの話は、誰にも洩らしてはいけないと言った筈ですよ、私は忙しいし、あなたと議論している暇がないんです」
「僕の言う意味はおわかりの筈だよ」と、ペリイ・メイスンは言った
車の登録番号でわかる筈だよ、きっと。わからなかったら、その車の型でわかるだろう
彼女が話したことは聞きましたが、それが全部じゃない筈ですよ。セルマ・ベルの前で、すっかり訊き出すつもりもなかったし、マージョリー・クリューンをほかの部屋につれて行くのも、ちょっとどうかと思いましてね
秘書がわれわれの会話を速記する筈になっていましたが」
「そうすると、ドアに鍵はかかっていなかった筈ですよ。マージョリー・クリューンは鍵を持っていなかったんだし、死人に鍵をかけることができる筈もありませんからね」
そうなると、彼はマージョリー・クリューンを見ている筈ですね、きっと。彼女がバスルームから出てきたときか、廊下にいるときか、あるいはエレヴェーターに乗ったところでも」
ドクター・ドーレイには私も会いましたからね、あのアパートで見かけていれば、私にはわかった筈ですよ」
「しかし、私が指摘している論点は、われわれが知っているいろいろな事実というものが、そこで起こった筈の、ある種の事情とはぴったり符合していないように思えるということなのですよ」
「僕に関するかぎり、検察庁のカール・マンチェスターに訊けば、いっさいわかる筈だよ」と、ペリイ・メイスンは言った
「できるだけ、協力すると言った筈だよ。あんたがただって、僕とおなじで、生きるために働いている人だからね
「犯人はそのブラックジャックで犠牲者を殺している筈だよ。パットンの頭部には、何の痕もなかった
もし、ある事情がなかったら、警察としても当然その伝言をもっと重視した筈なんだが」
「僕から電話があるのを待っている筈なんですが。部屋を呼んでみてくれませんか
きっともうじき、彼の事務所から出てくる筈だ。どこへ行くか、何をするか、ということが知りたい
「彼女がやった筈はありませんよ」
警察がひろったりしたら、僕は君のアパートには行かなかったことになっているんだから厄介なことになっていた筈だよ」
「あなたはマージョリー・クリューンの弁護をしろとおっしゃった筈ですが」
べつに利害関係が相反するものではないことは、あなたも私と同様に知っている筈だ。相反する事態があるとすれば、二人が互いに相手をかばおうとして罪をきようとしたときです
マージョリーとおなじくドクター・ドーレイが釈放されるようにして欲しいと私は言った筈ですがね。警察の提出した証拠で二人が釈放されないようなことになったら、べつの弁護士を通じて、ほんとうの事実が法廷の注意を惹くような手段をとらなければならない、ということは念をおしておきますよ」
一年か二年、歯科医を開業しただけで、まだ、たいして金が残る筈もない。金を払わなければならない器械もたくさんあるし、地盤をかためているところだからね
僕のいる場所も知ってはいません、どこへ行ったら僕に会えるか、知る筈もないんです。僕は、クローヴァーデイルを出て以来、彼女と連絡をとってはいないんですよ」
あたしたちがいた場所は誰にも知らせない筈でした。二人でニューヨークにもどるつもりでしたもの」
あなたは何も訊かないって、あなたは、約束した筈よ――」
「それは、もう説明した筈ですわ」と、彼女は言った
もし、あの部屋が空っぽだったら、連中はホテルのなかを探す筈だとわかっていたんだ。もし、ドーレイが見つかって、彼が何も話さなければ、君がホテルにいるかいないか、どっちともわからないだろうね
「申しあげた筈ですわ」と、彼女は言った
「十分以上はかからないよ」と、彼は言った。「きっとそんなにかからない筈だ」
「ビルの中を歩きまわるだけなら尾けられる筈はないだろう?」
「君は僕とおなじくらいご存じの筈だよ、デラ」と、彼は言った
「ボブ・ドーレイを有罪にしたいといった筈だ」
もし、私が彼の弁護をするとなれば全力をあげる、彼のために闘う、彼とマージョリー・クリューンの利益を守ること以外は、いっさい考慮に入れないと言った筈です」
「十分以内にくる筈があるもんか」と、ジョンスンは言った
「自分のしていることは知っている筈なんだが。女には手錠をかける必要があるのか
皿は彼女の指紋だらけの筈だった。アパートの経営者は有難いことに、どの部屋にも同じ模様の食器を備えていた
しかし、天上の国においてはいかなる人の行為をも嘉賞せられる筈がありませぬ。よし、それがたとえ愛の仕事であろうとも
レビ人や、祭司らは元来この哀れむべきものにとってもっと深い隣人であった筈なのです。が、彼等はふり向いても見ようともしなかった
その様な事のある筈はありませぬ。言葉自体が標準銀を無意識のうちに、独自の方法によって尊敬しているではありませんか
しかし分裂は全一よりもより強いことはあり得ず、支離滅裂の心が完全で分裂を知らぬ心よりもより強大な筈がありませぬ。又絶えず不安動揺して、手探りしたり模索する事が、力を合一し単一を以ってするよりも相手をしっかりつかまえる事が出来る
併し(この様なことが起る筈がありませぬ。――不滅者は抗議などを受け付けぬほどに高くあるのですから)悲歎するものをかばって司命します、「汝は愛さねばならぬ」と
いや、愛の誡命は恋人らが互いに愛し合うことを、恋人に禁じうる筈がありませぬ。
もし彼が卑劣な隷属ぶりや、人間憎悪を有たず、謙遜に、また正当な喜びをもって、己れの上に立つ全ての人に敬意を払おうとしましたならば、而も彼はその際、元来幸福や、喜びを有つべき筈の上流の人達よりも幸福であり、喜びに満ちていたとしますと、彼も亦やがて二重の危険にさらされている事に気が付くでありましょう
併し今の場合には不快を買う筈がなかったのです。招かれた所で友人らはどうせ来はしなかったのでしょうから
或いは人が厚かましくもキリストの教えられたあれこれの説をまるで寓話でも扱う様に扱って見ようと思ったとしても、到底できる筈がありませぬ。その解答は、答えをきくものをじかに捉えてしまう
又人間はそもそも何人に対して、無限に又無条件にかかる一切を負債しているか、等という思想にふり向けるための時間の余裕などはないのだ、という前提から出発されるがよい、従ってある人は他の人に向ってその様なことを訊ねる権利も有る筈がないのだと。その様なことを忘れ、大衆と共に騒音を立て、笑い、泣き、商売に奔走し、朝から夕まであなた自身を駆り、友人として、官吏として、或いは国王として、又棺桶舁人夫として、愛され、尊敬せられ、珍重せられるがよろしい
この間に何の抗争も起る筈はありませぬ。飢餓とそれを満たす所の食物との間に、何の矛盾も起らぬと同じ様に
いや、そんな無法なことはキリスト教の教えには絶対にない筈ではないか!
何人も、恋人や、友情や、同胞等に対する愛の以前に、それぞれ神に対し、又神の要求に対する関係を有っている筈です。もし人が神との関係を除外してしまえば、愛人たちにとってはただ人間的な愛の観念、愛の義務、相互の、それに対応した批判などが最高の批判となりましょう
他のものがやった筈がないのです。第七番目のものがこう云う
もし人が真に愛を有っていたら、必らず他の人からも愛せられる筈だ等と
もし使徒らが、「愛とは律法の完全」であること、故に人間の素性のせんさくや、人間社会への妥協とは別物である、ということを固執しなかったとしたら、もし彼等が、人間的な愛についての観念とぴったり妥協する筈がない彼等の人間愛の観念を守り通そうとしなかったら
彼は俗世間でうまく行く筈はありませぬ。世間から愛せられる事もなく、理解されることもありますまい
教室で直接に教わった学生だけにしても数千名、いや万を越す筈だった。それであるのに広い坂道のこの淋しさはどうしたことであろうと私は訝った
もしも私の逡巡や迷いがなかったら臨終の日にと云えた筈だった。それだけにこの問は私の心につき刺さった
カトリックでもないのに祈りを語る少年は、信仰からこの沈黙の館に来たのである筈はない。
と少年は訊ねた。そんな筈はあり得ないよ
それ以上に価値のあることが親にある筈はない。そうだとすれば親類勘当ということはどういうことになるだろう
信じがたいことだと、最初にいっといた筈です。しかも、この家には、くっついている若い男がふたりいて、その名がカローと言うんですからね
わたくしたちは昼食を携行して車で島を横断し(覚えている限りでは――そう、大分昔のことになるのですが)ラス・ニエーベスとかいう所に行く筈でした。そこは、泳ぎたければ泳ぐこともできる、ちょうどうまく入江になっている内港でした
旦那はいずれ自分の物になる筈の財産の予定もあるそうでしたが、さし当たりは経済的に困っていて、実際、奥さんのわずかな収入で暮らしているのでした
こういう噂というものは必ず直ぐに知れ渡るものですし、世馴れた人ならばそんなことはよく心得ている筈なのですが、コウルズ先生というお人は、いつもどんなことでも信じていられるような、単純で気をまわさないたちでした
この婦人の宝石箱が狙われたのです――大した値打ちのある物は入れてなかった筈ですが――それに指輪も指から皆抜かれています
だって、ここではっきりしたことは、全く疑いの余地もなく、サンダーズ氏がこの犯行をやれた筈がないということですもの――」
だから六時半ごろには帰って来た筈です。帰って来た姿を見た者がないのですから、横の通用口から入ってそのまま急いで自分の室へ上がってしまったに違いない
それが、さっきも申したように、大体七時十五分前頃で――その時は奥さんのグラディスはもう死んでいた筈なのです。私自身でその二人の友だちとも話して見たことも申し上げておきます
「間違いにも場違いにも、そうやたらに死骸を自由に扱える筈がない。では、その――その最初の方の死体は、後でどうしたのだろう
葬儀屋は暗くならなければ来ない筈です――犯人はそれも計算に入れたのです
ここに犯人の一番大きな弱点がありました――二時間前から死んでいた筈の死骸と、死んで三十分経つたばかりの死体との違いに、目をつける者がないとも限らないということ
でもサンダーズは、犯罪現場の最初の発見者たちが専門知識を持っていない筈だという事実を勘定に入れていたのです」
警察医にも犯行時刻ははっきり判る筈がありません」
普通でしたら、そこでこの話は打ち切りとなった筈です。エルキュール・ポワロに指図をするなどとは、失礼千万ですからね
あの時計はあと三日間は止まる筈はないのです、八日巻きの時計なのですからね」
伯爵ほどの経験者がそれだけの予防策をおろそかにする筈はありますまい。私が|もし《ヽヽ》と申したのは、それとは全く別の理由があってのことです」
するとクリスティ女史は、女性にだって推理小説が書けない筈はないと主張し、それを証明するために書いたのが、今日推理小説の古典として、推理小説愛好家が必ず一度は読み、今後も永久に読まれるだろうところの『アクロイド殺人事件』であった
イギリスの老嬢といえどもそれには気がつく筈だよ。彼女は徳と品位の権化だ――そして恐ろしく有能な女だよ
「ミス・ミルレイの筈はない」チャールズ卿は断固としていった、「あの女は絶対に間違いはやらないんだ
我々が話したことしか、いや君が話したことしかわからない筈だ。あの医者は、なにかの発作《ほっさ》だ、バビントンは年が年だし、あまり健康とはいえなかった、といってたがねえ
弱い人ほど長生きするっていうタイプで、九十位までは生きた筈だわ。検屍のことはどうお思いになる
あの人は明日までいる筈だったのですが、けさ至急電報でロンドンに呼び戻されましてね、患者が一人危篤なんだそうですよ」
「どうか予定は切り上げないでくれ、君は明日までいる筈だったね、そしてタヴィストックのハーバートン家へ行くんだったろう
「あなたはご存じの筈よ。どっちなのよ? 灰色の髪の方
「わかってらっしゃるくせに。わかってる筈よ。もちろん女のしわざだわ
そうです、あの方はバビントンさんとまるで同じ死に方をなさったのです、偶然だなんて筈はありません──決して、決して
「そうそう、彼女はいた筈だ。そのことを何か話しましたか
実のところ、今にもあの男が報告に来る筈だと待ってるんですよ」──ベルが鳴った──「多分彼でしょう」
「あらそれは、そんなことができる筈がないんでございます。私はあの人といっしょにお給仕していたんですから、あの人が旦那様のお皿に何か入れたりすれば必ず私にわかるのですもの」
「そうだ、変だよ……そんな筈はないんだが、まるで外へは一歩も出てないように見えるじゃないか……そんな筈はないんだがね、もちろん」
サタスウェイト氏は、しかしあの情報はまだ公《おおや》けにされない筈だし、新聞記者にも洩《も》らさない筈なんだから、といってなだめた。
しかるに彼は殺されたんだ──そして人を殺すからには何らかの理由が存在する筈だ。我々はその理由をみつけ出さなくてはならない」
「なんでオリヴァーの筈があるの? あの人はバビントンさんには昔から何度も会ってるじゃありませんか」
エッグ母娘が間もなく帰って来る筈であることは知っていたからである
「それはですね、バビントンさん、そういう疑惑がご主人の亡くなられた夜、私の心にちょっとかすめたんですが、しかし奥さんと同じようにとてもそんな筈はあり得ないと思われたんで、まじめに考えなかったくらいなのですよ」
「さて奥さん、さっきご主人に手をかけようなんて人はいない筈だといって大そう驚かれてた様子でしたが、それはつまりご主人にはひとりの敵もなかったということですか
「それでバビントンさんはあの晩会う筈の方たちについて何もおっしゃいませんでした
「わかりますわ、もし他殺だとしたら何か理由がある筈です……でも、私わかりません、とうてい考えられませんわ、いったいどんな理由があるというのでしょう」
分析の結果ではカクテルの中には変なものは何もなかった――ところで分析のことはさておいても今の実演の結果からも、カクテルの中に何か入れられた筈はなさそうですね。同じ結果が二つの異なったテストから得られました
しかしバビントン氏は他には何も飲みも食べもしていない、そしてもし純粋のニコチンによる毒殺だとすると、死に至るのは非常に迅速《じんそく》である筈ですね。するとこれはどういうことであるかわかりますね?」
このことは非常に恐ろしい見方ができることを示しています――こんなことは真実の筈がないと私は望みます、いや信じてますがね
もしあのお方がカクテルで毒殺されたのでないとすると、この家にはいる直前に毒を飲まされている筈ですよ。どんな方法が考えられますか
「どっちの場合も手段は同じぐらい難しい筈ですよ。どの酒にも毒はなかったんですし、食事の方も一人残らず食べたんですからね」
「時にありますよ、あなた方にいわせれば『ものわかりの悪い』こともね、とっくにわかってもいい筈の真相になかなか気づかなかったりしますよ」
ローズ・アンド・クラウン荘は芸術家気質の人間どもには大そう向いてるようですが、あなたのような方はもっとちゃんとした衛生施設と快適なベッドがお望みの筈だ」
「当然それを知っている筈のある人ですよ」サタスウェイト氏は大胆にもいってのけた
「そんなことある筈もございませんよ。あの方たちは大そう平和に暮しておいででしたからねえ
先生がお亡くなりになりましたこととは何の関係もある筈がございませんでしょう? 誰か気違いでもいるにちがいありません──そうとしか考えられませんでございます
つまり、これら三つの犯罪は同一の人物によって行なわれたものであり、その人物にとって益するところがある筈なのです。
じつはバーソロミュー卿が最初の犠牲者となる筈であった、それが間違ってバビントン氏が毒を飲まされてしまった、ということは可能だったでしょうか
チャールズ卿も、そのグラスを自分でバビントン氏に手渡せばできた筈です、しかしこれらのことは二つながら起こりませんでした
これら四人の方はどの方にしろ、あの晩餐の席上バビントン氏に会う筈だということをあらかじめ知っていた、ということはあり得なかったのです
サナトリュウムなどにいるような人たちは知らない筈です。全く信じられないほど子供じみたまちがいでした
彼は実行する前にこの殺人を試してみたのです、どんな嫌疑も彼にかかる筈はありません。出席者のどの人が死のうと彼の利益とならないのです
それがアガートの手許に届いていない筈はなかった。ところが音沙汰がなく、こうして待たされているのは、息の根が止まるほど辛いことだった
速達が飛び逃げる筈はないでしょう。必ず探して来るわ
それを横から邪魔したり、もめごとを起こして、アガートを悩まし、ジェラールを絶望させ、二人の将来をめちゃめちゃにするのは、残酷だし、罪なことだ、そう、罪深い話よ。ポールにはそんなことはできる筈もない。ポールは気紛れに動かされているだけだよ
これだけの河で何らかの船を使わずに商売ができる筈がない――蒸気船だ
僕がその蒸気船のひとつの船長になってもいい筈だ。フリート街を歩きながら、僕はこの考えをふり捨てることができなかった
君も知っての通り、特別の人材としてね』『なぜ僕が知っている筈なんだ?』僕は本当に驚いてさえぎった
今では手紙が毎週海岸まで行っている筈だ……』『ねえ君、僕は口述筆記をしているんだ』と彼は叫ぶように言った
頭のいい人間なら――方法はある筈だった。彼の態度が変わった
『結局リベットが来ない筈がないよ』と、ボイラー造りの男が訳の分かったような調子で言った
結局、船乗りにとって自分の責任で始終浮いている筈の船の底に擦り傷をつけることは、許されない罪だからね
確かに彼らは腐った河馬の肉のようなものを持って来ていたが、とにかくそれはそんなに長くもつ筈はなかった。たとえ巡礼達がショッキングな騒ぎの最中に、そのかなりのものを船外に捨てなかったとしてもだ
倒れ木はあのいまいましい煙の中で、前方のどこかにある筈だったし、グズグズしている時間はなかったから、僕はとにかく船を河岸に押しこんだ――そこは水深が充分あると知っていたからね
というのは、後になって彼がある意味で正気に返った時、彼は『私のパンフレット』(彼はそう呼んだのだが)を大事にしておいてくれ、きっと将来には自分の経歴に影響を及ぼす筈だからと、繰り返ししきりに頼んだからだ
クルツさんが気が狂っている筈はありませんと。もし彼が話しているのを二日前に聞いたら、そんなことをほのめかしたりはしないだろうとね……僕は話している間双眼鏡を取り上げ、河岸の方を見、両岸と家の背後にある森の縁を見渡した
この訪問者は、クルツの本領は『民衆の側での』政治であった筈だと言った
彼は、あんなに健全に見える権利はない筈だ。
私の眼前に立っている青年は、一見新しい一ポンド金貨のように純金に見えたが、しかし、パトナ号事件から推せば、彼の金には何かいまわしい卑金属のまざりものがあった筈だ。どの位
彼は当然死んでいた筈ですよ、あんな盆と正月が一緒に来たような凄い痛飲をして暴れ狂ったんですからな
私は、ブラヤリーが、かなり謎めいていた筈のあの言葉に、いわば同調したように見えたのでびっくりした
ひどく森の中で出会っている感じだが、ただ、その争点は、一段と不明瞭だった――恐らく彼は、私の金が欲しいわけでも、生命が欲しいわけでもある筈はなく――私がやすらかな良心でただ引き渡したり、また防衛したり出来るものを望んでいるのではなさそうだ
それから、陰気な微笑をうかべてしばらく私を見あげなから、『僕は愉快な生涯が送れる筈だ、断然
もちろん、あの時、ジムは男の死んだことを知る筈はなかった。次の瞬間――彼が船にいた最後の瞬間――、海が巌を打ちまくるように、出来事と激情の嵐が、折り重なって彼にぶつかってきた
暗黒の中をボートは飛んでいったように思われたが、しかし勿論、まだそう遠くまで行った筈はない。次の瞬間、ザーッと豪雨が頭上を走りすぎ、つづいてシューッと巨大な、気も狂わんばかりの鋭い炸裂音が、遠くまで雨のあとを追って消えていった
きっと彼は、これまで無意識の中に、現実は、彼の空想の創り出した恐怖の半分も苦しい、ぞっとする、復讐的なものである筈はないと確信していたのだ
でなくて、どうして彼は言う筈があろう――?
あの船は、沈むのにけっして手間取る筈はない――『鉄板みたいに、アッという間に沈んじゃったんだ』と彼等は互いに保証し合った
前からよく判ってた筈です……僕も――僕も――紳士です……』
あの時船は止まって、船尾を高くもたげ、船首《へさき》を水中に低く下げて、夜中進行してきた進路に頭を向けて横たわっていた筈である。こうして、船は均衡を失って不安定な状態だったので、スコールがその一方の側を少し打つと、船はまるで錨をつけでもしたように、急にぐるりと頭を風の方に向けたのだった
高い足場の絞首台もなければ、赤い布も(タワー・ヒル処刑場では死刑執行の合図に赤い布を掲げただろうか? その筈だが)なく、恐れおののいた大群集が彼の罪過におびえ、彼の運命に涙を流すこともなく――暗い懲罰の空気はただよっていなかった
私は、返事の滞《とどこお》っていたあらゆる手紙を片付け、それから、私から手紙をもらうことを期待する筈のない人々宛に、ぜんぜん意味のない、とりとめのない世間話の手紙を次から次へと書きつづけた
彼にとっては、女は天にも地にも、ただ、彼が『私の妻の王女』あるいはたまに話がはずんだ時は『私のエンマの母親』と呼んでいる、あのマレーの女性のほかには、金輪際いない筈だ。
過去には相当な人だった知人が、みすぼらしく落ちぶれて、昔の知人の所へやってくる時のあのぞっとする強気を装った態度を、その無頓着なしゃがれ声を、半ばそらした厚かましい視線を、諸君はご存知の筈だ――こういう顔合わせは、われわれの生活の連帯責任を信じている者にとっては、牧師の不信心な悔悟なき臨終を見るよりも、いっそう辛い、苦しいことだ
私はよろこぶ筈だった。自分は彼の大成功に片棒かついだのだから
実際、そんな変な恰好は誰だってする筈はない。これに反して、この少女が、白人の宝石を彼女の胸に隠して持っていることは疑う余地はない、と老人は結論した」
貴方は、そんな筈はないと思うでしょう……』
気違いじゃなし、わたしに、そんなことを信じられる筈ないでしょう?
たしかに君はよく知っている筈だ――小生は悪意なしに言うが――君は、一、二の危険な火中に徒手空拳で突入して、巧みに君のつばさを焦がさずに脱出した
何かそういった事が、起きる筈だったのだ。君は、こんな事件が、キリスト紀元がまだ続いている時代に起きたことに驚き呆れると同時に、一方君自身も、やはりそう繰り返すだろう
その面倒苦労を無くして一挙に全土をバッサリやろうというこの俺の援助の申し出を、奴に拒絶できよう筈はない。
結婚してから十二年、あたしはたぶん一万人ないし一万二千人の男たちと寝た筈《はず》よ。それでもあたしは社交界で、身持の正しい女と見られているのですからね
ところで、行動する前に、あなたにとって何よりも必要となる筈の忠告を一言、言わせてもらおう
赤ん坊に対する母親の権利よりも確実な権利は、この世にない筈よ。世界のすべての民族が、この真理を認識していたわ
それは一種のささやかな復讐ともいうべきもので、想像力を刺激し、しばらく僕たちを楽しませてくれる筈だ。けれども、やがて僕たちの愚弄している宗教の偶像が、全くけちくさい絵や彫刻でしかなく、何の役にも立たないがらくたであるということが身に沁《し》みて解ってくると、この快楽は、じつに面白味のない、気の抜けた快楽のように思われてくる
妻はこの手紙のすぐあとから、家を出る筈《はず》でございます。どうか御用意下さいませ
というのが、彼らにも身上話はあったし、どんな人間にもめいめいの身上話というものはあって、自分の生涯の物語というものには、もしそれがはっきり理解できていたら、誰でも興味をもつべき筈だからである……。百姓であり、単なる野良の男ではあるが、ジェルマンは自分の義務と愛情だけはちゃんと心得ていた
「なにしろ、この土地じゃ、悪い女の方がいい女より少いくらいだし、こっちがよっぽどどうかしてでもいなけりゃ、注文通りの女を引き当てないなんて筈はないさ」
というのが、これもやっぱりもう一度縁づくことを考えてるわけなんだが、そこでまあお前とうまが合いさえすりゃ、お前の方の事情を不足に思うようなことは、まずない筈なんだ」
マリーは、その嫁捜しの相手として考えるには、年も若すぎるし、家も貧乏すぎるし、ジェルマンがよっぽど『人でなし』か『悪性もの』でない限り、マリーに対して罪深い考えなど起こそう筈はなかった。だから、モーリス爺さんは、ジェルマンがこの綺麗な娘を馬のうしろに乗せるのを見ても、ちっとも心配などはしなかった
もうおいおい泣きだしながら、マリーを連れて行ってやるんなら、自分だって連れて行ってもらえない筈はないと言うのだった
ほら、あんたんとこの義弟《おとうと》さんなんか、あたしよりずっと重い筈のおかみさんと一緒に、子供も連れて、いつも土曜日にはこの馬で市《いち》へ出かけて行くじゃないの
ほんとに、マリー、なんでもよく気がつくんだな、お前は。おれは、ジャニーがあすこにいる筈だなんてことは、てんで頭になかったよ」
そういつまでこいつが続く筈はないし、一時間か二時間もすりゃ大丈夫だろう
「別にできないって筈はないじゃないの、ジェルマン。どうしてまたその女の人のことっていうと、あんたは悪い方にばかり考えるのか、あたしにはわけがわからないわ
ちっとでもおれを好きに思ってくれてりゃ、そうまではっきりおれのあらが眼につくことはない筈だ。だが、あんたはおれが好きじゃないんだ
それに、モーリスおじいさんだって、あんたが自分のいいつけに背く筈はないと思ってるんだもの、あたしのせいであんたが自分のいう通りにしなかったなんてことになったら、それこそあたしに対してどんなに腹をたてるか知れないわ
いずれ舅になる筈のレオナール爺さんは、自分の方から立って来てジェルマンを迎えると、ものの五分ばかり、家じゅうの人々の様子をあれこれと尋ねてから、さて自分の出くわした人間に、出かけて来た目的をそれとなく訊く時のきまり文句で、こう付け加えた――
「おやじからこの鳥を差し上げるようにことづかって来たんですが、これもおやじからのことづけで、わしがこちらへうかがったわけは、ちゃんとおわかりの筈だとお伝えしてくれってことでした」
「いいえ、そんな筈ないわ」と、マリーは言い返した
お前さんはふだんとてもしっかりした方だし、頑丈な人間が気が弱くなるとあぶないよ。まあ、そうあきらめたもんでもないさ。わたしゃそんな筈がないと思うんだけどね、あんな貧乏暮しをしている娘が、お前さんに望まれりゃずいぶん身に過ぎた話だのに、それを断ったりするなんて」
さあ、この目をちゃんと見てくれよ、こいつは目の色にはっきり出てるんだし、娘なら誰だってそいつだけは読みとれる筈だからな」
そしていきなりピエールを抱きあげると、やがて女房になる筈の娘の手にその子を渡しながら、こう言った――
麻打ち職人と、それから、いずれあとで話が出て来る筈の、田舎でもう一つ別の役を勤めている人間、すなわち墓掘り人足とは、常にその土地での無信の徒である
しだれ(柳)の切れっぱしぐらい見つかる筈じゃ。それで弓子(割れた木靴を補強するために取りつける小さな弓形の鉄片)を作るがよい
よっぽど情け知らずの人間でなくては、われらを外で凍えさせてはおけぬ筈。悪いことは申しませぬ、この戸をおあけくだされ、もう一度のお願いじゃ
しかし、この家の出入り口はそういくつもないし、恒例の用心に手ぬかりなどある筈がなかったので、いよいよ揉み合いの始まる定めの時刻が来るまでは、掟を破って力ずくで押し入ろうとする者などは一人もなかった
定められていた出発の時刻が来ると、うんと胡椒をきかした牛乳入りスープを飲んで食欲をつけた上で――というのは、婚礼のふるまいにはたっぷり御馳走が出る筈だったからであるが――一同はジェルマンの家の中庭に勢揃いした
さあ、こつちが熊手の様に骨だらけにならないうちに、先にその熊手でも振り廻して、一寸は骨のある処を見せてやらうではないか、さうだらうが、神も御存じの筈だ、こんな事を言ふのも、パンに飢ゑてゐるからで、何も復讐の血に飢ゑてゐるからではない
第一の市民 私達の事は元老院でも満更知らない訳でもありますまい、この二週間、吾が何を考へてゐるか、それとなく勘附いてゐた筈だ、それを今、実行に移さうとしてゐるところです
メニーニアス 穀物を自分達の望み通りの値段で手に入れたいといふのだ、それも政府には十分貯へがある筈だと言つてゐる
実は私が手に入れたローマ軍についての情報があります、まだ四日も経つてゐない、それにはかうあつた、確かここに持つてゐる筈です、ああ、これだ、(読む)「敵側は軍の編成を完了、されど東西いづれに向ふや目下不明
ヴァージリア まあ、奥様、まだ何の知らせもある筈はございません。
使者 ヴォルサイの斥候に追ひ掛けられ、三四哩も廻り道をさせられました、さもなければ半時間前にお知らせ出来た筈でございます。
さあ、あらゆる軍馬のうちどれでもいい――戦場で分捕つたのも相当ある筈だが、それは勿論――戦場と町とを問はず、吾が獲得したあらゆる戦利品についても、その十分の一を君に提供する、一同への分配に先立ち、君が先づそれを受取つて貰ひたい
ヴォラムニア それ、ここにあれからの手紙が、それから政府と妻と、それぞれに、いえ、確かあなたのお宅にも届いてゐる筈。
その名誉は誰の目にも、そしてその行為は誰の心にも深く食ひ込んでゐる筈だ、それを黙殺し何も語らずに済ませようといふのは恩知らずの不正としか思へない、まして、事実に反する取沙汰などは以てのほか、それこそ悪意といふものだ、嘘にも程がある、そんな事を言ひ立てたら、誰だつて忽ちいきり立ち、食つて掛つて来るに決つてゐる
皆、広場で俺達を待つてゐる筈だ。(二人退場)
俺がここに立つてゐる目的は御存じの筈だ。
シシーニアス 何だと、さうした筈だが、確か
コミニアス 既に貴族、平民、両者の賛成を得てゐる筈ではないか。
奴等にしても十分知つてゐる筈だ、例の穀物は正当な勤労に対して支払はれたものではない、言ふまでもないが、奴等は今まで一度も公の為に働いた事が無いのだからな
ここに民衆を代表して宣告する、選ばれた以上、その権利はある筈だ、いいか、マーシャスは直ちに死刑に処す
お前達の中には、俺の戦ひ振りを見た奴もゐる筈だ、それがお前達の身の上にどう振り掛つて来るか試してくれよう
メニーニアス では、神にお縋りするよりほかに法は無い、このローマの為に尽した功労者の名はジュピターの手によりはつきり記録されてある筈だ、その名誉あるローマが畜生の親の如く、自らが生んだ子を食ひ殺す様な事のありませぬ様に
ブルータス 話がずれてゐる、奴が国家を愛してゐた時には、それ相応の名誉を与へられた筈だ。
彼奴の頑固振りは飽き飽きするほど見せつけられた筈ではないか? 警保官を殴り、俺達に反抗したらう
ヴォラムニア お前の男らしさは十分押し通せた筈、さうしようと無理に我を張りさへしなければ、さうなのだよ、お前の気性に対する皆の反抗も、それほど激しいものにならずに済んだ事だらう、少くとも皆がお前に突き掛つて来る力をまだ持つてゐるうちに、自分の気性を先に見せてしまひさへしなかつたなら
母上、私の苦しみはいつもあなたにとつては慰めの種だつた筈、信じて下さい――成るほど、今はひつそり身を隠します、孤独な龍よろしく、その沼地は人に恐れられ、見えないだけに卻つて人の口の端にのぼる――が、このあなたの息子はそれで終りはしない、必ず人並み優れた事をやつてのけます、悪企みの餌に引掛りでもしなければ
コリオレイナス では、これで、いや、あなたは年を取り過ぎてゐる、それに、戦には十分食傷してゐる筈だ、この上、無傷の若い者と共に流離《さすらひ》の旅にお出掛けになるのは無理といふもの、城門の処まで送つて下されば、それで結構
さ、行かう、この地上に生きてゐる限り、必ず便りをする、今までの俺らしくない事は決して耳にしない筈だ。
ただ、行く前に、これだけは言つて置きたい、ジュピターを祀つてある議事堂はローマの最下等の家より尊い筈だ、それと同じ様に、あの子は――さあ、とくと御覧、ここにゐるこの女の夫は、お前達に追放されたけれど――お前達などよりずつと尊いのだ
オーフィディアス ところで、武将としては完全無欠の君だ、もし復讐がしたいなら、俺の手の者を半分譲らう、それを以て陣立てをしてくれ――自分の国の事だ、その長所、短所は十分承知の筈、いざ攻めるとなれば、君の右に出づる者は他にあるまい――駆引きは君の自由だ、直ちにローマの城門に迫らうと、或は首都を破壊する前に、何処か他処《よ そ》を攻め、遠巻きにして敵を震へ上らせようと、それはどちらでもよい
第一の召使 さうらしい、だが、あの男より強いのが一人ゐる、お前さんも御承知の筈だ。
メニーニアス いや、俺は行かぬ、皆も聴いた筈だ、嘗てはあの男の指揮官であり、特にあの男をかはいがつてゐたコミニアスの報告を
第一の衛兵 それなら、同じ様にローマを憎んでゐる筈だ。今更、何が出来る、ローマ人の守護者を城門の外に突出し、無智な暴徒のなすがまま、祖国の楯を敵の手に売渡して置きながら、今になつて復讐心に燃えるあの人にどうして顔が合はせられると思ふのだ、涙脆い婆連のめそめそ泣きや、おぼこ娘の柔い掌や、お前の様な老いぼれ爺の、よいよい病みの腑抜けた仲裁で、一体何が出来る
考へても御覧、この様な使ひでここへやつて来た私達ほど不幸な女はまたとありますまい、さうではないか、本来なら、かうして会へただけで、目は嬉し涙に溢れ、心は喜びに躍る筈のお前の顔が、それどころか、この私達を歎きの淵に引きずりこみ、恐れと悲しさに戦かせる、母親は自分の息子が、妻は夫が、子供は父親が、己れの国を打倒し、その腸《はらわた》を引きちぎるのを目の前にしなければならないのだもの
何も解らないこの子まで、かうして一緒になつて跪き、手を挙げて頼んでゐる、私達の願ひにとつては何よりの身方、これを見たら、さすがのお前も厭とは言へぬ筈。さあ、行かう、(四人立上る)この男の母はヴォルサイ人なのだらう、妻もコリオライにゐるに違ひ無い、この子供がこれに似てゐるのはただの偶然なのだらう
俺が非難してゐる当の御本人は、今頃は城門に入り、やがて民衆の前に姿を現す筈だ、恐らく吾が身の証しを立てたいに違ひ無い
戦は連戦連勝、片端から敵兵を薙《な》ぎ倒し、お国の軍勢をつひにローマの城門前まで進めた事は既に御存じの筈だ。持返つた戦利品はこの度の軍費の三分の一以上に匹敵する
だが、御一同にはお解り頂けませう、この野良犬の言ふ事が悉く嘘だといふ事位は、さうだ、奴自身、気附いてゐる筈です――奴の体に私の与へた傷があり、それを墓場まで持つて行かなければならぬ以上は――奴自身、無理やり嘘の横車を押し通さうとしてゐる事位、十分承知の筈だ。
もし正しい記録が残つてゐるなら、そこにははつきり書き留められてゐる筈だ、この俺がコリオライでヴォルサイ人共を羽ばたかせた事が、ふむ、鳩小屋に舞ひ降りた鷲の様にな
さう言へば第二幕第一場でコリオレイナス凱旋の通知がメニーニアスの留守宅にも届いてゐる筈だとヴァージリアに言はれて、メニーニアスは「これで私の寿命も七年延びた」とあり、その直ぐ後にコリオレイナスが登場し、メニーニアスに向つて「まだ生きてゐたのか
タイタス 貴様も、あいつも、俺の子ではない、俺の子がこの俺をこれ程までに辱《はづか》しめる筈《はず》が無い
ローマと公正なる神は御存じの筈だ、この私がどれほどサターナイナスを敬愛して来たかを
あなたも女の筈、それなら――
そんな必要は無い、母虎に向つて猛り方を教へるなどと、それは母親がお前に教へておいてくれた筈。その母親から吸取つた乳はお前の中で硬い石と化し、昔、その乳首を銜《くは》へてゐた頃から、お前は今と少しも変らず残忍な心を持つてゐた
ラヴィニア 待つて、それなら教へてあげませう、私の父の名誉に懸けて、あの時、父はあなたの命を助けて差上げた、自分の心一つで直ぐにもあなたを殺せた筈。お願ひします、さう頑にならず、私の言ふ事にも耳を開いて
クィンタス エアロンは何処かへ行つてしまつた、俺の心は憐みに動かされ、想像しただけでもぞつとする様なものをこの目に見せようとしないのだ、おお、教へてくれ、そいつは一体誰なのだ、今日までの俺は得体の知れぬ物などに怯《おび》えるほど子供ではなかつた筈だからな。
いや、何を馬鹿な、二人は決してそんな卑劣な真似をする筈が無い、何よりの証拠はこの子の悲しみ、見れば解らう
救ひはもう何処からもやつて来ない、地獄の底に天使が訪れる筈があるものか!
それにしても、俺達はまだそれほど惨めに追詰められてはゐない筈だがな、炭の様に黒いムーアに姿を窶《やつ》して飛んで来た蠅を漸く二人掛りで片附けられたなどと、まさかそれほどに
タイタス あれはいつもお前をかはいがつてきたではないか、ルーシアス、お前をひどい目に遭はせる筈が無い
これ、ルーシアス、お前には解つてゐる筈だ、ラヴィニアはいつもお前をかはいがつて来た、きつとどこかへ一緒に行つて貰ひたいのだらう
それにしても、お前はもつと難しい本が読める筈だ、それだけの教養も身に附けてゐる、さあ、俺の書斎に来い、その中からどれでも好きな本を選ぶがよい、さうして悲しみに傷附いたその心を紛らはすのだ、せめて神がお前をこの様な目に遭はせた呪ふべき張本人を教へてくれるまではな
あなたには娘をたつぷりかはいがつて貰つた筈では?
マーカス 兄上、私は月の彼方一マイルも先を狙つた、あなたの手紙、今頃はジュピターの手許に届いてゐる筈だ。
俺宛の正義が届いてゐる筈だが? ジュピターの返事はどうした、待ちくたびれたぞ
諸卿も知つてゐよう、全能の神は固より御存じの筈だ、この様に吾等の平和を脅かす輩が如何に民衆の耳に流言を注ぎ込まうと、この身は意に介しない、アンドロニカスの無法な息子共に対しては、ただ法によつて厳正な裁きを下しただけの事だ
サターナイナス だが、奴がこの身の為を思つて息子に頭を下げる筈が無い
もしもその肌の色次第でお前が誰の子とも分りさへしなかつたら、もしも自然がその肌の色だけでもいい、お袋のを授けてゐてくれさへしたら、小僧、お前は皇帝になれたかもしれないのだぞ、とはいふものの、牡牛と牝牛が揃つてミルク色の肌をしてゐれば、石炭色の仔牛など生れる筈は無いのだらうな
シェイクスピアが改訂を依頼された時、既に『リチャード三世』を書き、上演してゐたこの天才の目に、この不均衡が映じなかつた筈が無い
さもなければ、これほど似た作品が出来上る筈が無い
王 何たる事か、吾等は瘧《おこり》に取憑かれ、憂ひに蒼褪めてゐる、この上は疲れ切つた平和に一息入れさせ、内乱に怯えわななくその口に、せめて海の彼方で新たに始らうとしてゐる戦について語る様仕向けるほかはあるまい、もう沢山だ、これ以上、国内の皸《ひび》割れた渇ける大地の脣にその子等の血を貪り吸はせたくはない、これ以上、地肌を引裂く戦ひの魔手に田畑を荒させ、敵意に燃ゆる軍馬の蹄に野の花を蹂み躙らせてはならぬ、互ひに憎しみを籠めた目と目、が、それもあの天界の気象の乱れに流れ飛ぶ星と同じく、元はすべて一つ腹から生れ出でたものではないか、それなのに骨肉相食む激しい角突き合ひに明け暮れしてばかりゐる、今や一切を水に流し、美しく隊伍を整へ、同じ道をまつしぐらに進んで貰ひたい、これ以上、仲間、身内、同志の間に憎しみの眼《まなこ》を向けるな……戦乱の刃は鞘の出来の悪い短刀と同じ事、これ以上、持主を傷附けさせたくはない……となれば、良いな、目ざすはクリストの墓あるのみ、今こそ吾等はその主に仕へる兵《つはもの》となり、誓つてその聖なる十字架の下に戦はねばならぬのだ、その為、これより直ちにイングランド軍を徴集する、その将兵の腕《かひな》は既に生れながらにして彼の聖地の異教徒共を追払ふべく作られた筈だ、その土の上を漂泊ひ歩き給ひし聖なる足、その足ではなかつたか、今より千四百年前、吾等の為、酷き十字架に釘打たれ給うたのは……が、この挙を思立つたのはもう一年も前の事、改めて告げ知らせるまでもない、その為にかうして集つて貰つた訳ではない
飽きるほど溜め込んでゐる筈だ、そいつを洗ひ浚ひ吐き出させてやりたい処だ
お前さんなら知つてゐる筈だ、吾輩十八番《お は こ》の構へを、それ、まづかう構へて、それから切先をかう持つて行くのだ
お前、ついさつき二人と言つた筈だが。
王子 七つの切先、をかしいぞ、お前、つい今四人と言つた筈だが。
王子 よくも抜け抜けとそんな事が言へたものだ、貴様は十八年前に葡萄酒を一杯盗み飲みして、直ぐその場で挙げられた事がある、それ以来、鼻を赤くするのに何も格別の手続は要らない筈だ。面に火の玉、腰には剣、それでも貴様は逃出した
ゐるなら、直ぐにも連れて来るが良い、苟しくも女の胎から生れし者のうち、錬金魔法の術習得の為に重ねし苦業の数、吾に匹敵する輩がゐようとは思へぬ、秘法の奥義において吾に抗し得る者があらう筈は無い
グレンダワー さあ、地図だ、お互ひの境界をはつきりさせて置かう、既に三人の間で話合つた取決めがある筈だな?(地図を卓上に拡げる)
パーシー夫人 それではあなたも音楽が解る筈だけれど、さうでせう、あなたと来たら全く気紛れ屋さんなのだから
王 では、それを敗北者を悼む歎きの声と聴くが良い、勝利者にとつては何事も不吉に思へる物は無い筈だからな。(奥にて開戦の喇叭)
あなたの為にこそ、私はリチャード王の宮内卿たる職を抛ち、夜を日に継いでお出迎に馳せ附け、その御手に口附け致しました筈、その頃のあなたは勢力、名声いづれにおいても私に及ばぬ御小身のお身の上でございました
考へられぬ、そんな事は絶対にあり得ぬ、王が言葉通り約を守り、吾等を厚遇する筈は無い
もしさうなら、私は見て見ぬ振りをした筈だ、父上に伸《の》し掛つてゐる傲り昂つたダグラスの手を、さうすれば、その手が世界中のあらゆる毒薬よりも早くお命を奪ひ、父親殺しの大罪を犯す手間を省いてくれたでせう
俺はウェイルズ公だ、夢にも考へるな、パーシー、今後も俺と並んで栄誉を分ち合へるなどと、二つの星が一つ軌道を共にする事は出来ない、それなら、一つイングランドが二重の支配に堪へられる筈は無い、ハリー・パーシーとウェイルズとは並び立たぬのだ
主役、準主役、或は観客を休ませる為の第四幕と言ふが、その必要は一回の上演としては長過ぎるからこそ生じるものであつて、始めから二回に分けるものとして書く以上、それぞれに休息の場が必要になつて来る筈である。未だ嘗て芝居に続き物といふのは存在した例が無い
ベンヴォーリオ 目に立つ的なら、ロミオ、たやすく射抜ける筈だ。
もどかしい歩みの冬が去り、装ひを凝らした四月が訪れる時、血気盛りの若者達が感ずるやうな楽しさを、御身も花も蕾の娘達に立混り、今宵は吾が屋敷でとくと味ははれる筈、その際よくよく御検分の上、最も美しき娘をお選びになるがよい
何でもお見通しの日の神さへ、この世始つて以来、あれに較べうる美しい女は御存じの筈がない。
お嬢様にお乳を差上げたのはこの私、遠慮なく言はせて頂ければ、その位の分別はこの乳首からたつぷり吸ひ取つておいでの筈。
今夜の宴会にはお出でになる筈、パリス様のお顔を本と思つて隅まで読み取り、美の神の見事な水茎の跡を存分に味はふがよい、調つた目鼻立ちをとくと眺め、その一つ一つがどんなに素晴らしい中身を造上げてゐるかを確めるのです、そして、あの美しい書物にどこか腑に落ちないくだりがあつたら、註釈ほどに物を言ふ目を御覧
ロミオ キューピッドの矢に射抜かれたこの重い心、たとへその軽い翼を借りようと、宙に舞ひ揚るなど思ひも寄らぬ、そんな事が出来る筈がない、この重い心を抱へて少しでも飛び揚れるものか、恋の重荷に押潰され、ひたすら沈みゆくばかりだ
キャプレット おお、まさか! そんな筈はない、そんな筈は
あれはまだ二年前には後見人が附いてゐた筈だ。
この胸は既に恋を知つてゐた筈ではないか? 目よ、「否」と答へるがいい
ジュリエット それなら、その罪が私の脣に移る筈。
マーキューショー 恋が盲なら、的は射抜けぬ筈だ。今頃は枇杷の根方にうづくまつてゐるだらう、その名を口にする度に娘共がひそかに微笑むあの木の実のやうに、吾がいとしの娘もまた、などと思つてゐるかもしれぬ
庭の石垣は高くてたやすく攀れぬ筈、それに誰か身内の者に見附り、御身分が知れれば、忽ちお命は無くなりませう
ロミオ 夜の帷に身を隠してゐる、見附る筈はない、だが、愛して下さらぬなら、見附つたはうがましだ、憎しみの刃に倒れるにしくはない、愛されずして生き永へるよりは
ジュリエット それならお求めになる前にもう差上げた筈、でも、もう一度差上げる事が出来たら
年寄の目にはすべて気苦労が宿り、気苦労の在るところに眠りは訪れぬ、だが、頭に煩ひの種なく心の痛みも知らぬ若者なら、床に四肢を横へるや否や忽ち黄金の眠りが襲ひ来る筈。とすれば、その早起は、解つてゐる、何かの煩ひのため深く眠れなかつたのであらう、それとも、もしさうでなければ、よし、当ててみようか――ゆうべロミオは床に就かなかつた
お前が本当のお前で、あの悲しみが真実お前の悲しみであつたなら、お前もお前の悲しみも、悉くロザラインの為だつた筈。それが変つてしまつたのか
ひよつとするとお会ひ出来なかつたのかもしれない。いえ、そんな筈はない。ああ、あれは跛《びつこ》なのだ
ジュリエット 息を切らせてゐると言へるのだもの、息が切れてゐる筈はないだらう? こんなに待たせる言訳の方が肝腎の一言よりも長いのに
乳母 それなら今直ぐローレンス神父様の庵へ、夫となる方がお嬢様をお待ちの筈。それ、悪戯者の血がその頬に
私の夫は生きてゐるのだ、ティボルトに殺されたかもしれないのに、そしてティボルトは死んだ、私の夫を殺したかもしれないのに、それなら、嬉しい筈、なぜ泣く
ロミオ あらう筈はございますまい、賢人に目がないとすれば
いえ、移り気で結構、それなら長い間あの方を引留めてはおかず、直ぐ返して呉れる筈だもの。
ロミオ様は追放されておしまひになつた、たとへ世界が消え失せてしまはうと、舞戻つて来てまで異議を申立てる事は出来ません、よし戻つて来るとしても、人目を忍んで来なければならない筈。とすれば、かうなつた以上、伯爵と結婚なさるのが何より
もしも、パリス伯爵に嫁ぐよりはいつそ自害しようとまで臍《ほぞ》を固めてゐるならば、この汚辱から逃れる為には死の真似事など更に厭はぬ筈であらう、汚辱を免れる為には死神に嫁がうといふお前だ、やり遂げる勇気があるなら、救ひの手立てを授けよう
この仮死状態も四十二時間続けば、その後でお前はぐつすり眠れた朝のやうに目を醒す筈。が、木曜日の朝、花婿が起しに来る時には、お前は死んでゐる事になる
(短剣を下に置く)これが毒薬だつたら、神父様が私を殺さうとしてお盛りになつた企みの毒薬だつたら、先にロミオと縁組させた越度《をちど》が、今度の結婚で表沙汰にならぬやうにと? さうかもしれない、いいえ、そんな筈は無い、神父様はいつも変らぬ高潔なお方だつた
何よりも娘御の栄達を望んでをられた筈、娘御が高き身分に昇られる事こそこの世の天国とまで
ロミオ 夢を信じる訳ではないが、もしあれが正夢なら、いづれ喜ばしい便りが届く筈だ。この胸の内の愛の神も、常ならぬ喜びに朝から浮かれ気味、お蔭で俺も足が地に附かぬ
俺の宿は知つてゐる筈。インクと紙を取つて来い、それに早馬を傭へ
さうだ、あの薬屋、この辺りに住んでゐる筈、先に見掛けた時にはぼろぼろの着物を着て垂れさがる眉を顰め、薬草を選分けてゐた
パリスがジュリエットと結婚する筈と。さうではなかつたか? あれは夢だつたのか
が、実は愛欲はそれ自身の内に死を含み、死を願望してゐるのであつて、優れた作品においては、作者や登場人物がどういふ「積り」でゐようと、必ずさういふ真実が描き出されてゐる筈である。『ロミオとジュリエット』がそれであり、『アントニーとクレオパトラ』がそれである。近松の心中物についても同様の事が言へるが、シェイクスピアと近松との違ひは、また同じシェイクスピアでも『オセロー』とこの二作との違ひは、次の点にある
俺達は牡牛座の星の下で生れた筈ではなかつたかね?
心寛《ひろ》やかに、何の気も無く、さらりと聞き流してしまへば、相手の悪口も精たんぽ槍同然、痛くも痒くも無い、それがお前には大砲の弾ほど手剛《てごは》い物に思へるらしい、もともと天下御免の阿呆に悪意のあらう筈は無い、ただそれが役目なればこそ悪口ばかり言つてゐるだけの事でせう、それに引きかへ、名の通つた分別のある人となると、決して悪口など言ひはしない、ただ人のあらが目に附けば、それを咎め立てせずにはゐられないだけの事でせう
オリヴィア 公爵は私の気持を御存じ無いらしい、私はあのお方をお慕ひする気にはどうしてもなれません、勿論、徳の高い立派なお方とは思ひます、御領地も広く、御気質も清く正しく、お年もまだ若くていらつしやる、世の取沙汰も宜しいし、学はおありだし、それに自由闊達、勇気に富み、その優雅なお姿は一点非の打ち処も無い、それなのに、あのお方をお慕ひする気にはどうしてもなれません、さういふ私の気持はとうにお伝へしてある筈なのに。
血が繋《つなが》つてゐる筈ではなかつたかい? ふざけるな! 「お嬢様」だと
公爵 女の胸の内に、この身のそれの如き激しい情熱の火が燃え滾《たぎ》つてゐよう筈が無い、もともと女の心臓は大きくはない、激しい愛情を懐き続けるだけの力が無いのだ
まあ、本当に厭な世の中だ事、見せ掛けの謙遜が礼儀として通るのだもの、あなたはオーシーノー公爵の召使だつた筈。
ヴィオラ しかし、公爵は姫君の召使、御迷惑であらうと、きつとさうなつて見せるとの仰せ、とすれば、姫君の召使の召使である私は当然、姫君の召使であるべき筈。
あなたの様な察しのいいお方にはとうに解つておいでの筈、私の心臓を蔽つてゐるのは、この衣裳ではない、透けて見える薄いヴェイル一枚だけ、さあ、お気持をありのままにおつしやつて
マリーア さあ、お腹のよぢれるほど笑ひ転げたいなら、私の後に附いていらつしやい……あの間抜けのマルヴォーリョーが異教徒になつてしまつた、紛れも無い背教者に、なぜといつて、まともなクリスト教徒なら、正しい信仰によつて救はれたいと願ふ筈なのに、それが、とんでもない馬鹿な事を本気で信じ込んでしまつたのですもの……(笑ひを抑へ切れず)あの黄色い靴下
私に怨みを懐いてゐる人などゐる筈が無い、幾ら考へて見ても、誰かに無礼を働いた覚えは全くありません
成るほど、手前はあなたを存じ上げない、お嬢様の御命令で、またお話にお出で下さる様にと、さうお伝へしに参つたのでもない、あなたのお名前はサゼーリオーさんでもない、そしてこの鼻は私の鼻ではない、すべてさうある筈の物が実はさうではないといふ訳だ
道化 何を言ふ、そこには石壁の如く透明な張出窓があり、南北《みなみきた》の方に向つて高窓が一つ開いてをり、そこから黒檀の様に黒とした光が降り注いでゐる筈だ、それでも暗いと文句を言ふのか
今、あの男がゐてくれたら、いい相談相手になつてくれたらうにな、とにかく俺の魂は俺の五感と色問答の末、これは何かの間違ひかも知れぬが、気違ひではないと結論を出してくれはしたものの、この思ひも掛けぬ夢の様な幸運、人の話に聞いた事も無し、筋道も通らぬ、俺としては吾が目を信じる気にもなれず、己れの理性に議論を吹掛け、やつとの事でかう説得しては見た、詰り、この俺が狂つてゐるか、あの人が狂つてゐるか、どちらかに相違無いとな、だが、あの人が狂つてゐるとなると、自分の邸の事を取仕切つたり、使用人達に色用を言附けたり、家事の切盛りが出来る筈が無い、それが、どうして、俺がこの目で見た通り、隅まで行届いてゐて、その態度も楽しさうで落着いてゐる、これは何処かに落穴があるに違ひ無い
オリヴィア ああ、それこそ卑劣な恐怖心、さうして自分を押殺してしまふなどと、怖る事はありません、サゼーリオー、己が幸運を堂とお受取りなさい、さうすれば、どうなるか御存じの筈、今恐れておいでの御主人と対等の身分になれませう
俺に弟はゐない、といつて、この俺にそんな神通力があらう筈は無い、同時にあちこちに姿を現すなどといふ
詰り、この作品が最初に書かれた頃には、唄の上手な少年の役者がゐて、それがヴィオラを演じ、実際に唄も歌つたに相違ないのだが、その少年役者が後に声変りしてしまつたか、劇団を止めてしまつたか、いづれにせよ、ヴィオラに唄を歌はせる事が出来なくなつてしまつた、一方、道化のフェスティを演ずるアーミンといふ役者が唄の点でも評判になつて来たので、ヴィオラの歌ふ筈の唄をフェスティに与へ、新たにフェスティの為に唄を附け加へたりしたのであらうといふのである
馬車は晩にならなければ戻って来ない筈だった……それはそれは、いやな日だった
ビスクラでわたしは癒《なお》る筈だった。彼女は信じ切っていた
そこで、我々は昼餐をとる筈だった。
それは補欠に過ぎないけれども、確かに将来《さき》へ行けば、ずっと自由のきく筈のものだった。このことを知らせてくれた友人は、わたしの受諾する場合になすべき二三の簡単な手続を示して寄こした
マルスリイヌも、もう少したって後から来る筈だった。
わたしにはよく見当のつかなかったことだが、うちは六人の小作人を持っていること、一万六千乃至八千フランの小作料が取れる筈であること、それがやっと半分しか手にはいらないと云うのは殆ど全部が各種の修理や仲介《なかだち》の支払に吸収されてしまうためであること等を、彼は教えてくれた
それは、小作人のようにも、折半小作人《メテイエ》のようにも、下男のようにもなる筈だった。これはこの土地では新らしいことなので、うまく行くかどうかは彼にも見当がつかなかった
だが、前から大きなうちの身上《しんしよう》はもっと大きくなる筈だった。それに就いて、わたしはわたしの講義、著書の出版、それから何とばかげたことか
わたしの参考になってくれる筈の哲学者たちはと云えば、わたしはずっと以前から彼等に何を期待すべきかを知っていた
彼女は、もっと前から、この指図通りにしていなければならない筈だった。向う見ずにも元気よく、マルスリイヌはこの日まであまり体をつかい過ぎていたのだ
ボンヴォワザンが彼女を生かしておいた筈がないのは、わかりきったことだった。フィリップがそうであったように、彼女もオスカルの顔を見てしまったのだ
「ほら、君は知ってる筈だがなあ、トム」カニンガム氏が勢いこんでいった
パディラス、それからジミイ・マギイ、つぎにスペイン人、ついでポルトガル人、そして五番目はグリースン先生にぶたれる筈の大きなコリガンだった
君もよく承知の筈じゃないか。なぜこんなことに騒ぎたてるんだい
これは君もわかってる筈だ。ハーコート|通り《ストリート》であの晩、君の私生活のああいうことをいろいろ語って聞かせてくれた時はね、正直んとこ、スティヴィ、ぼくは夕食が食えなかったくらいだよ
彼らはあたりの静かな空気を破る怒鳴り声で、アデルフィ・ホテルでやる筈の玉突の勝負のことを相談していた
これはあの男も身に泌《し》みて感じなければならなかった筈ですがね」
《もしこの屋敷の召使どもに知られないようにして事を運ぶつもりなら、おれをつかまえる役目を引き受けた連中は、庭の塀《へい》を乗り越えてくる手《て》筈《はず》になっているにちがいない》
いな、そんな筈はない。生の潮があなたの中でまったく停止したのであれば、河は流れをとどめ、曙の足音は彩りの韻律を止めるであろう
そんなわけで、従来のタゴール詩集とは、かなりちがった趣を呈している筈である。今後また手がけることがないとはかぎらないが、当分のところは、これを私のタゴール訳詩集の定本と見ていただいてよい
「最後の質問をさせて」先行きのすべてがその筈に左右されるかもしれない、と思った
その筈を目にして、全身の血が凍りついた
後悔と悪企《わるだく》みをいっしょにできよう筈がない、
真の幸福というものはない。またある筈がない。なぜなら、その本質は人間の完全を条件とするが、人間の完全などということは論理的不合理だからである
「第一僕が、そんなことを望む筈がないじゃないか」とオルロフは、余儀なく弁解させられてでもいるような口吻で続けました
「人に服従したり、上官に新年の挨拶をしたり、それからカルタ、カルタ、カルタ、それはまだしもとして、それより一番肝心なことは、あなたに気持のいい筈のない制度のために勤務したり、――いいえ、ジョールジそんなことは駄目ですわ
いったい彼、あんなに多く読書して、思慮にも富んでいる筈の一人前の男に、いま少し気の利いたことがかんがえられなかったものでしょうか
「もしあなたが、誠意のある正しい方でしたら、あなたも一緒になってあたしの行為を誇りにして下さる筈ですわ。それはあたしとあなたとを、あたしと同じことをしたくていながら、臆病やちっぽけな打算のために、思いきって出来ないでいる幾千の人達の頭上高く、押し上げてくれるんですもの
成人して、すべての思想を知りはじめしとき、貴下は真理を見ざるを得ざりし筈なり。貴下は真理を知れり、しかも貴下はその後に従うことをせずして、いたずらにそれに慴《おび》え、自らの良心を欺くため、声を大にして、罪は貴下に在るにあらず、婦人自身にあり、婦人こそ貴下の彼女に対する態度と同様に低級なるものなりと自ら説得しはじめたりき
もしあったら、あたしだってとっくに知ってた筈ですもの。思想と愛のほか、あなたにはなんにもなかったのですわ
彼の計算によると、夕方その宿泊所へ来た労働者は、五六カペイカ出せば、パンに熱いシチューの定食と夜具つきの暖かい乾いた寝床と、服や履き物を乾燥する場所とを得られる筈であった。
どんな事業も、彼の知恵を借りないでは、うまくいく筈がないのである。食堂内では、彼はいつも一同の真ん前に立っていて、司祭達が、彼の解釈では正しくない勤行《ごんぎょう》の仕方をすると、彼等に向って注意さえするのだった
あなたはわたしにどっさり義理がおありなんですから、これくらいのことを拒否する道徳上の権利はお持ち合せにならない筈よ」
「第一に、あなたにゃ一文だってたまる筈がないし、第二に、あなたは|けち《ヽヽ》だからさ
彼女の許を出ると、彼は、仲間の者が待っている筈のドクトル倶楽部へではなく、家の方へ歩き出した
しかし、たとえどんな大水だったにしろ、それが地球全体を浸す筈はないからね。そりぁ平地は水浸しになったろうが、山はきっと残っただろうからね
「貧しい人を助けてやるくらい、易しいことはない筈なのに」
「自分の使用人にとっては、わしはいつも恩人だったよ、あれらはわしのことを永久に神様に祈ってくれる筈じゃ」老人は自信を持ってこう言った
君がたの年頃にあってこういう考え方がどんなに害悪と不合理を形作るものであるかは、君の合理的な、独立した生活の一歩一歩に徹して、よくわかる筈ですよ。仮に今すぐ君がダーウィンとかシェイクスピアとかを読むとしてみ給《たま》え
奥様は只今お不在でございますが、もう間もなくお帰りの筈でございますと、老婢が言った
さ、行って頂戴……もうすぐ旅客列車が着く筈よ。乗り遅れたりしちゃいけないわ、ねえ、あなた』
『オーシップ、そんなことある筈がないわ!』
うちのパンは謝肉祭まで足りる筈だったのに、今じゃ村の居酒屋で粉を買ってるの――それで婆さま怒るのさ――お前達や大食らいだってね』
もしもあなたに出会いさえしなければ、身分の釣り合った良家のお嬢さんを正式にお貰《もら》いになって、今頃は世間並みの生活をしてらっしゃる筈《はず》の立派な青年を、あなたは誘惑したんですもの
だってあなた、もしも女がこういう点で男より馬鹿で弱かったら、神様が育児の仕事を女にお任せになる筈がないでしょう。それからまた、あなたというひとは恥を忘れ果てて悪徳の小道に踏みこんだ
さもなきゃ見つからずにすんだ筈《はず》だ。以下同様
「もしも同じなら、あなたは天の恵みによって主教になっている筈ですが、あなたは主教ではないのだから、従って同じではない」
『もちろん、サモイレンコではない……補祭でもない、あいつはおれが発とうとしていることを知らない筈《はず》だから。フォン・コーレンかな?』
そもそも愛とは、何らかの点で人間に害を及ぼすもの、現在および未来において人間の脅威となるものを、排除することにある筈《はず》でしょう。ぼくらの知識と明証の教えるところによれば、人類の脅威は精神的・肉体的な異常者の側から来る
朝五時に来てくれる筈《はず》だ。ああ、すっかり曇ったな
われわれもまたそのような見方をする者であって、さもなければここへは来ていない筈《はず》です。なぜなら、われわれの面前で人間同士が撃ち合いをするのを許すわけにはいかないのですから」 シェシコフスキーは顔の汗を拭《ぬぐ》って続けた
時刻表によれば、船は午前九時すぎに到着する筈だったが、正午と、昼食後の二度、海岸通りへ出てみたフォン・コーレンの双眼鏡には、灰色の波と、水平線を覆《おお》い隠す雨の外には何も映らなかった
勝利者なら鷲《わし》のように見えてもいい筈だが、あの男は惨めで、おどおどして、疲れ切って、シナの置物みたいにお辞儀ばかりしているし、ぼくは……ぼくは悲しくてたまらない」
パパなら園芸学の講座でも書ける筈《はず》なのよ」
自然の秩序のままに発展していれば、人類は今後も永いこと、地上の歴史の終末を覚悟せねばならない筈《はず》だ。お前たちは人類を永遠の真理の王国へ導き入れるのを数千年早めているのだ
だから、今日にもあれを連れて立ちのく筈だったんですが、ひょいとある考えが頭に浮んで、それに引き留められました
「そんな筈がない……どうしてそんなことが?……」と私は云いかけたが、女中は鈍い目つきでじっと私の顔を見て、やがて掃除にかかりました
「あなたがご自分の方からおいでになったのでなければ、これをお渡ししちゃならない筈だったのですが、あなたが余りお立派な方だから、差し上げますよ
孤独が人間に稔り多き結果を齎す場合が、いかにしばしば起り得るかという事は、君も自分の経験で知っている筈だ……今の僕には、ありとあらゆる流転を重ねて来た僕には、この孤独が全く必要なのだ
『プリイームコフは、僕の覚えている限り、かなり空っぽな男だった筈だ。もっとも人は善くて、まんざらの馬鹿でもなかったが』それは正にその通りだ、わが親愛なるセミョーン・ニコラーイッチ、しかし二人の会話の続きを聞いてくれ給え
生活が無意味に過ぎ去る筈はないのだから。彼女は極めて愛想よく僕を迎えてくれた
たとえどんな性質のものだろうと、男と女の関係がいかに危険なものかということも、また一つの感情がいつとはなく別の感情に入れ代るということも、僕はちゃんと心得ている……もし僕らが二人とも完全に平静でいると意識しなかったら、僕は綺麗にここから足を抜いてしまった筈だ。
僕がいつも感情を誇張する癖があるのは、君も知っている筈じゃないか。それは何かこう自然にそうなってしまうのだ――女々しい性格
僕は彼女を愛している、人妻を愛していると感じた時、直ぐにも遠ざかるべき筈だったのに、依然としてなお踏み止まっていた――こうして、美しい自然の創造物はこな微塵に砕けてしまった
息子たちよ、いかに恐《おそ》ろしい呪《のろ》いといえども、祈《いの》りと悔《く》い改めることによってとり除かれない筈《はず》はない。されば余がいまここに語ろうとする物語を読んでも、それは過去の凶事《まがごと》であって、何ら恐れるには及ばず、むしろ将来に対し慎重《しんちよう》な用意を為《な》せば、わが祖先をかくも苦しめ悩《なや》ませた禍根《かこん》を絶つことも容易であることを、自ら覚《さと》るであろう
「偶然《ぐうぜん》である筈《はず》がない」ホームズはたまりかねて、つと立ちあがり、あらあらしく部屋のなかを歩きまわりながら、大きな声で独語した
だが払いがいくらかある筈だ。いくらかきいてくれたまえ、ワトスン。すっかり力が抜けてしまって、一人じゃどうにもできやしない」
ところでこちらの馬車はこの辺にいる筈なんだが!」
いまや私は、騒々しい黒ずんだ君たちのパリなんぞに、未練のあろう筈がない。私の風車小屋は快適至極
……しかし僕にだってパトロンがあっていい筈なんだ。昔は鳴らした男だからね
それは今年の暮、クリスマスの日に出版される筈の、フレデリック・ミストラルの新作叙事詩『カランダル』であった
われわれ一行は、迎えに来てくれる筈の監視人を待つために、家の中に入って行った
このように、孤独のあまり近づきにならねばならぬ筈のこの荒野に住んでおりながら、どちらも同じように無知で同じように朴訥なこの二人の野人、年に一回そこそこ町に出かけ、金箔を塗りたくり鏡を飾り立てたちっぽけなアルルのカフェを見てさえ、さながらプトレメ《**》の宮殿を見たように眼を回す、テオクリトスの作品中の牛飼のようなこの二人の男は、めいめいの政治的信念の名の下に、睨み合いの種を見出したのである
もしかしたら、もうすっかり手《て》筈《はず》ができていて、もうすぐそれが正体をあらわし、頭上におそいかかってくるのではなかろうか……
もし力ずくであなたを奪うつもりなら、その手《て》筈《はず》がもうできていることは、あなたもおわかりでしょう。ソーフィヤ・セミョーノヴナは不在だし、カペルナウモフの住《すま》居《い》まではひじょうに遠く、間に五つも鍵のかかった部屋がある
等
猟師は、積もった雪、灌木《かんぼく》、洞窟《どうくつ》等、あらゆるものを利用して身を隠し、獲物を待つ
奴は何とかわたしに食欲を取り戻させるべく精肉店で新鮮な鶏肉を仕入れたり、大好物のボイルされたホタテを出す等、あらゆる手を尽くしたのだが――
それはどんな生き物でも等しく有する権利だ
ユリイカが昼間自由になる時間は無きに等しかったし、陽が暮れてから嫁入り前の娘が外出するなどもっての外《ほか》だったからだ
上っ等だっ!」
自由航行する船は瞬間的に、その推進力が媒体《ばいたい》の摩擦《まさつ》と正確に等しくなるような速度をとることができる
なぜなら、有重力加速によって達しうるかぎりの最高速度でも、無重力加速と比べれば、這《は》っているに等しいからである。
もちろん、まだ視覚《しかく》探知器や電磁《でんじ》探知器で探知される危険はあったが、その危険はないに等しいほど小さかった
しかし、繋留棹《けいりゅうかん》が車を捕捉《ほそく》するまえに、はね戸から生じた渦巻《うずまき》が車にぶつかった――その渦巻の媒体《ばいたい》は気体ではあったが、事実上、個体に等しい衝撃をあたえるほどの速度をもっていた
あの死に絶えた宇宙船のパイロットが、偶然《ぐうぜん》にも全宇宙空間の中で総基地の方向へ正確にコースを向けるという数学的確率がどのくらいあるだろうか? ゼロに等しいほど小さい
風は「無」に等しいほど弱まっていた
一つの攻撃ステーションを活動させたところで、効果はほとんど無に等しいだろう。それに、この異変の背後には、あのにくむべきレンズマンがいる
各吸収スクリーンは通常は十万対一の比率で作用しながら、一時間四百万ポンドの物質を消滅させるに等しいエネルギーを船の受容器に供給していた
一時間すくなくとも六十万トンの物質を消滅させるに等しいエネルギーが、六個の小さな機構からその網状体《もうじょうたい》の中心に投入される
そして惑星の直径に等しい距離から見ても、もっとも目だつ陸標を隠し場にするのだ
まだ早いので、商売はないに等しいほどひまなのだ。ストロングハートは、バーテンとひとりのホステスを相手に、むだ話をしていた
事実、彼らはアイヒ族については何も知らないに等しかった。ジャルトはアイヒたちに会ってはいたが、彼らを明瞭に見なかったのか、彼らの真の姿を記憶にとどめることができなかったのか、どちらからしい
彼にとっては何も起こらなかったのと同じで、そのあいだの時間はなかったに等しい。彼は自分の心が処置を受けたことさえ感じない
機械を操作しているポセニア人は、まったく超然としているように見えた――ポセニア人は目がなく頭もないに等しいので、その態度や姿勢から彼の注意の焦点を見わけるのは不可能なのだ――しかし、観察者たちは、彼が老レンズマンの頭蓋骨の中にある小さな腺を、顕微鏡的な精密さで検査していることを知っている
つまりSF作家のイマジネーションが、大宇宙の渺《びょう》たる砂粒にも等しい銀河系という限界を破るために、なぜ、一九二八年まで、つまりE・E・スミスの「宇宙のスカイラーク」の出現まで待たなければならなかったのか、という謎である
「そのエネルギーはほぼ、毎秒四百十五万トンの物質が分解して発するエネルギーに等しいのです」
わたしはこの惑星に等しい反質量の|負の球体《ネガスフィア》を持ち帰った
ドームの中に存在する醜悪《しゅうあく》で有害な感情や特性を列挙することは、悪徳についての完全なリストを読みあげるに等しかった。そしてナドレックは、冷静に容赦《ようしゃ》なく、びくともせず、超効果的にそれらを操作した
「どんな物体でも、無重力状態にあろうと、有重力状態にあろうと、破滅《はめつ》をまぬかれ得る可能性はゼロに等しいほどわずかであります。念のため、わたしは付近の宇宙空間から任意に七百二十九のサンプルをとって分析しました
だから、このような攻撃が再度おこなわれる可能性は、ないに等しかった。しかし、キニスンの機動部隊の一部はひきつづき警戒にあたり、アリシア人の分遣隊は付近の宇宙空間を精査していた
このように完全になめらかな惑星上では、あの四匹のうちの二匹が再会することは絶対にないし、彼らの第一代の子孫同士が出会う可能性も、無に等しい。しかし、どうやら時間をむだにしていたようだ
「もちろん、媒質《ばいしつ》の摩擦がこの船の推力に等しければ、速度は一定だ
各艇は高出力探知スクリーン、実視板、記録《レコーダー》ビーム等をその隣接偵察艇と連結《ロック》すべきこと……
球体が限られているから、君たちの使える宇宙エネルギーはゼロに等しいからだ。
セカントはコサイン分の一に等しい――うーむ、む、む、一ポイント・ゼロ三五となる
他の条件が等しければ、太陽が古ければ、その惑星も生物が生まれてからの期間が長いと考えていい
その内容は、細かすぎるから、今の段階ではまだ君に教えないが、彼らはビーム、超エネルギー武器、発生機、スクリーン等をもっている。どれもオスノーム人の聞いたこともないような、すごい威力のものばかりだ
フェードンは質量はほとんどゼロに等しいが、加速するのに莫大なエネルギーが要るのです
銀河系外縁部に達する数日前、分子駆動をカットし、地球表面の重力に等しい加速度で進むことが必要になってきた
ちょんまげ、爆破スイッチ、一本釣り、等。状況によっては痴漢行為と見なされることもある
私はそのどちらに対しても、×××(塗りつぶされている)の屹立する意志を感じずにはいられずまた彼女たちが等しく有する神秘の××××で×××に鼻寄せ口つけて××××の際には惜しみない愛とともに――
行為の名称に等しいオノマトペを発しつつ、的確な一撃が顎を強打した
とはいえ、専門知識などないに等しい。
私はそのどちらに対しても、×××(塗りつぶされている)の屹立する意志を感じずにはいられずまた彼女たちが等しく有する神秘の××××で×××に鼻寄せ口つけて××××の際には惜しみない愛とともにあるのであり――
群青に校則はあってなきに等しい。
もはやそれは、カレーパンとの格闘に等しい。
E大地は命に等しく、命もまた大地に等しい
私はそのどちらに対しても、×××(塗りつぶされている)の屹立する意志を感じずにはいられずまた彼女たちが等しく有する神秘の××××で×××に鼻寄せ口つけて××××の際には惜しみない愛とともにあるのであり
基本的に心の治療という名目もあってか、群青での校則はあってなきに等しい。
話しかけづらいという気分も等しく。
が、移動力はもうないに等しい。
俺の家の敷居をまたいだ瞬間、おまえは非処女に等しくなる」
太一「なぜなら、おまえは箱の中に入れられた猫めいて、処女と非処女が等しいのだ」
周囲にいる人間のことも、等しく愛護の目を向けている
一時間も一分も、等しい苦しみをもって流れ去る
世界と等しくなった自分は、己が中心に置いてきたちっぽけな肉体を、忘れてしまわないか
宗教体験トリップトランス……等。
長兄である僕の威光など徹底的に無きに等しくなるのであって。
百合川の白い柔肌、小雪ちゃんの滑らかな浅黒い肌、それが僕の想像力の中で現実に等しいまでにリアルになっていた。
――それは、わし等スーラの民が帝国を呪っておるからじゃ
お前の船に積まれているコンピューターも、わし等の仲間の犠牲者なのじゃ
歴戦の彼にすれば、男の行為は自殺に等しかった。
九月までに、ジッダ、ラベグ、イェンボ、ウムレジ等を占領する
灰色の小箱は今はまだ全く動く気配が無いが、いつその神に等しい能力を発するのか分からないのだ
同じ植物でも達磨草を取り扱った本は皆無に等しいというのに。
謂わばその命名の力は無から物体を生み出す創造の力であり、まさしく神の力に等しい。そして、その強い力故、物は名前を付けられた事を覚えている
それまでは名前が無いので石と区別が無いに等しい」
その中途半端に巨大化した骨を見て「昔はこんなに大きな動物が居たんだよ」等と言う人間は、想像力が足り無すぎて少し哀れでもある
僕は霧雨の親父さんと霧雨家の商売の話や、今の香霖堂の商品、外の世界の道具について等、そんな話をして緊張も解け、いよいよ話題は本題である五月蠅い蝉の事に移ろうとしているその時だった
流石にこんな破片だけでは骨董品としての価値は皆無だが、千年以上前位の古い物と言うと選択肢は無いに等しい。
作者アーヴィング(Washington Irving一七八三〜一八五九)は、改めて記すまでもなく、十九世紀前半に仕事をしたアメリカのエッセイスト、短篇作家、伝記作者であるが、その主な作品には、この「スケッチ・ブック」の他に「オリバー・ゴールドスミス伝」(一八四九)、「マホメットとその後継者たち」(一八五〇)「ジョージ・ワシントンの生涯」(一八五五〜五九)等がある。一八〇六年、二十三歳の時、弁護士となり、再三ヨーロッパに遊び、一八四二年には、スペイン公使に任ぜられて、四年間マドリッドに滞在した
「大草原の旅」(一八三五)「アストリア」(一八三六)等の、ミシシッピー河以西の初期探険家の物語も、あることはあるが、やはり、かれの本領を余すところなく伝えているのはこの「スケッチ・ブック」であると言われている
こういうと等しく寝台に上って私の傍にきっちり坐り、たびたび前へのり出しながらしなやかに体をうごかし、ぴちぴちした背中をゆすぶり、揺りうごく恋神《ウェヌス》のたのしみで私を満ち飽かせてくれましたが、しまいには心もつかれ手足もいたみ、すっかりくたびれはてて、二人とも一緒に息もあえぎあえぎ、お互いの胸の中へくずれおちるという始末でした
万人に等しく仰ぎみられ、万人から賞め讃えられはしても、国王にも王子にもそれどころか庶民の間にさえ、誰一人として婿にと望んで来る者がありません
下手《へた》な答えをしやしないかという心配がひまし油にも等しく激しく作用する
現在だけというのは無いに等しい。なるほど、痛みは味わうかもしれない
ギリシャの哲学者、形而上学、数学、論理、等を研究した
しかし、それと同時に、どちらも相手に対する忠告が相手にとって無に等しいことを確信している
「名誉にあずかるも、恥辱に耐えるも、等しく強い心がなくてはならぬ
沈黙のうちに過ぎ去った十一の日々は、十一の世紀にも等しかった。
しかしハーグの市民たちは、人間の前でも神の前でも等しく高貴な人物たるにふさわしかったジャンとコルネイユの二つの死体をもって、彼のために階段を作ってしまったのだった
作者のアレクサンドル・デュマは「モンテ・クリスト伯」「三銃士」等で明治以来わが読者に最も親しまれているフランス浪漫派出身の歴史小説家であり、「椿姫」の作者デュマの父である
アラミス殿に至っては、無きに等しい。そういうわけでみなさんに、改めておわびを申します
二人は等《ひと》しく自分たちの相手の男を認めたのである
軍律は、なんぴとに対しても等しくあるはずだからな」
そのようにして一年、二年、三年を無為に送るということは永遠に等しかった。ダルタニャンやその仲間たちが、それまでの働きによって王妃から恩賞を受け、得々としているときに、やっと帰って来るようになる
彼の最後の著作は『料理辞典』であって、未完ではあったが、彼にとっては遺書に等しかった。
しかしこれとても、青年が将来、王妃の感謝のしるしとして、なにか立身の手段にでもと思って残しておく気だとすれば当分手離せないのだから、さしあたっては足で踏みつけている小石にも等しいものだった。
だが、予の手によって高官の地位に登った者ども、予の運命はすなわち彼らの運命であり、彼らは予の現われる以前には無に等しい存在、予なき後も再び無と化するのだから、自分の身よりも予の身を厳重に見守っていたはずの者どもに囲まれていながら、無能愚鈍の故にみじめにも身を滅ぼすとは
だって、あの手紙は、あなたの死刑宣告に等しいからです」
ハシッシュの力をはじめて味わうフランツにとっては、蛇のとぐろのような、冷たくしなやかな石像どもの唇が、かわるがわる彼の口に重ねられるのを感ずるとき、この愛は苦痛であり、この官能の悦楽は拷問に等しかった。だが、彼の手が、このいまだ味わったことのない愛をしりぞけようとすればするほど、彼の官能は、ますますこの神秘な夢に魅了され、魂までも投げ出してしまうほどの苦闘の末に、惜しみなく身も心も与えてしまったのだ
それは、私がすでにしたことにくらべれば、(なに事も相対的なものですからね)あなたがなすべきことなど無に等しい、私がすでに習得したことにくらべれば、あなたはまだまだ数多くのことを習得しなければならないということです」
苦痛というやつは、拷問に等しいものになり、被害者を殉教者に、加害者を文字通りの処刑人にしてしまいますからね
ダヴリニーは、人の心を見通す点にかけては神業《かみわざ》に等しいものがあった。彼は、つねに肉体を精神で治療する医師の一人だったのである
つまり、私が言いたいのは、君がきわめてすぐれた医者であること、とりわけきわめて良心的な医者であることは十分承知しているが、そしてまた、どんな場合にも君の言葉は、太陽の光にも等しいほどに光り輝く松明《たいまつ》として私を導いてくれるものではあるけれども、しかしだ、それにしても、そう信じてはいるけれども、私は『過《あやま》ツハ人《ひと》ノ性《さが》ナリ』というあの公理にすがらずにはいられないのだ」
わしの計算によれば、昔オハイオ河の流域に一エーカーの土地を持っていたのは、鉄道のレールを百万分の一だけ持っているに等しい。しかもこれは担保つきの投資だ
おお、お母さん、お母さんがいなければこれも無に等しい、ほんとうですよ。もしお母さんがいなければ、誓って申しますが、僕がお父さんに疑惑を持ち、お父さんの名前を拒否したあの日以後、僕の人生はすでに終っていたはずですから
しかし、これら三人の男どもは、だいたい等しい間隔を置いて見張りに立ったようであった
サタンのように、一時は己れを神に等しい存在と思いこんだが、今はキリスト教徒としての謙虚な心から、至高の力と無限の知恵は神のみ手にのみあることをふたたび知った男のことをときには神に祈ってほしいとね
「マルグリット・ド・ヴァロワに会わずしてフランス宮廷を去ることは、フランスも宮廷も見なかったに等しい」。そのためか、シャルル九世とナヴァール王妃に対して浴びせられる祝辞はひきもきらなかった
若者はもはやたんなる見知らぬ男ではなく、知人に等しい存在になっていた
つまり、女は、実際には、愛と打算が等しい分量で一緒になっているときにしか力を発揮できないということです
そうしておいて、この百姓男に自分を与える決心をし、世間が何と言うだろうとか、家族はどうなるだろうとかいうことはもう考えずに、そういう逡巡《しゅんじゅん》こそ喜びを損《そこな》うものであり、遅れれば何事も腐ってしまい、後悔は死にも等しいと思い定めて、早速に公証人を呼びにやり、その願いを充たしたのよ
七七八年、シャルルマーニュ帝|麾下《きか》の将ローラン等がここで戦死〕の勇士たちより強いのね
ガルシン「紅い花」、バルザック「おどけ草紙」、シャルドンヌ「ロマネスク」、チェーホフ「桜の園」、ゴーリキイ「どん底」等。
どの詩のなかにもすぐれた詩句があったが、時としてそれらが嵌め込まれている思想は、彼の心にとって明らかに特別な価値があるとしても、ほかの人にとっては、見知らぬ国の貨幣に等しいことが多かった
その湖のほとりには、森が途切れて少しばかりが開けた野原があったが、石がごろごろしていて、ハシバミ、ハイネズ、ハンニチバナ等の灌木が生い茂っていた
また陽が沈むと、何もないに等しいほとんど動く気配もない、なにか漠然とした存在しかないのであろうか
しかし、このビディー・コリガンとサリー・ゴーマンの二人は、計りにかければほとんど等しいほどだったので、ショーンは自分の人生の伴侶に、この二人のうちのどちらを選べばいいのか決めかねていた
イエイツの詩人としての生涯や作品を理解するためにも、このアイルランド妖精物語集は欠かせないものであり、イエイツがその伝承文学蒐集のバトンを渡したグレゴリイ夫人は言うまでもなく、ウィリアム・シャープ、M・J・シング、ライオネル・ジョンソン等の文学や詩の源泉も、ここにある
「すなわち妖精の国は、いわば文明人も非文明人も、等しくそこをたとえば神や悪魔やあらゆる善と悪の霊などという見えない存在とともに、死者の魂が住んでいる場所、そうした状態とか条件を持った場所、あるいはその領域と同じではないにしても、きわめて似通った場所なのである
『妖精事典』にも妖精の具体的な話の例として、このイエイツの本から多くの挿話が引用されており、またイエイツの妖精に関する考え方、とくにその分類、例えば「|群れをなす妖精《トルービング・フエアリー》」と「|ひとり暮らしの妖精《ソリタリー・フエアリー》」という二大別や、あるいは妖精の起源――|異教《ペイガン》の神トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ巨人神族)縮小説、堕天使説――等は、これ以後今日まで、妖精について書く学者たちに重要な指針を与えており、この書はいわば妖精学のそして民間伝承研究、フォークロアの分野において、一つの古典的存在となっていると言えよう
その最初の集成ともいえるこの一冊は、P・W・ジョイスの『古代ケルト伝説』やグレゴリイ夫人の『神々と武人』、クロフトン・クローカーの『西アイルランドの妖精譚と伝説』等と共に、文芸復興運動の代表的な動力の書にも数えられるのである
道路は石ころ道に等しかった。ぼくらはガタガタ揺られながら谷間を登った
これは緯度でカムチャツカの北に当り、アラスカと等しい。世界でいちばん寒いといわれるシベリアのベルホヤンスクと同緯度だが、それでも比較的暖かいのはメキシコ暖流が沿岸を流れているためである
にもかかわらず、ダイアナは滑走路の真ん中で声を限りにセイトンへの思慕を訴えたに等しかった。予定を尋ねた時のただならぬ気配も、「二日
仕事は行き詰まり、懐中無一物に等しいありさまである。旋盤に向かっていた頃が懐かしくさえ思われた
実際、私はこの世との繋《つな》がりを絶たれたに等しかった。白い光点が流星のように頭上をよぎった
眼下の地形は白地図を見るに等しかった。フリシンゲンで北海に出ると、私は勝手を知った道を行くようにその南限を横切り、テムズ河口を見つけてケネット河の合流点まで遡《さかのぼ》った
私自身が考えていることをエルゼの口から聞くに等しかった。タビーはどうしているだろうと思うと気が気でなかった
汚れたレインコートをはおって、化粧気もないエルゼは、すでにして名もない群衆の中に埋没したに等しかった。わずかに、ランプの明りに絹の光沢を放つ髪の毛だけは常のエルゼと変わりない
エルゼと私は、彼にとっては縛り首の縄にも等しい存在である
彼女の声は、ほとんど吐息に等しかった。それは永久に失われてしまった何かへの詠嘆《えいたん》の吐息のようであった
船体がさびてボール紙のように弱く、エンジンが一つしか働かないこのボロ船で通るのは、自殺行為に等しいように思われた
泥棒を捕まえないのなら、警察はなきに等しい。ああ、もうサルチィヌ殿〔第三十一章参照〕はいない
両方とも略奪的な性質のものであって、武人も猟師も等しく種をまかなかったところで刈り取るのである
それからまもなく、単純な強奪による富の蓄積は不可能になり、したがって論理的に一貫していることだが、勤労による富の取得は、気高い男にも無一文な男にも、等しく不可能になる
以上の顕示的な閑暇と消費の成長に関する検討から分かるように、名声を獲得するという目的にとって等しく両者がもつ効用は、両者に共通する要素としての浪費のなかにある
したがって、社会発展の初期段階では、いずれの方法も等しくよく役立つであろう
生存必要最低限さえをも満たしていない赤貧の人々と比べる場合を除けば、たんなる生活必要品の消費から生じる利点など、ないに等しい。どうしようもないほど平凡で、しかも人の気を引くこともない上品さを除けば、そのような比較から支出の標準など生じるはずはない
個人的な装飾品の場合には若干の例外はあるが、この部類に属する大部分のものは、鑑賞する人物によって所有されているか否かにかかわらず、名声以外の他のあらゆる目的にとって、等しく役に立つであろう
他の事情が等しければ、慣行や方法は、明白に浪費的であればあるほど、この法則の下で生き残る可能性が高くなる
どのような場合であれ、他のなんらかの動機が存在するにしても、それはおそらくごく限られたものであろうが、しかし、スポーツに熱中することについてしばしば他の理由があてがわれるという事実は、それがとってつけたようなものでしかない、と言っているのに等しい。スポーツマン――ハンターと釣り人――は、自然の愛好や息抜きの必要性等々を、彼らのお気にいりの気晴らしに対する誘因として指摘する、という習慣を多少とももっている
運動競技の練習によって身についてくる肉体的な活力――練習がこのような効果をもつと言いうるかぎりでのことだが――は、他の事情が等しければ、それが経済的な有用性にも役立つという意味で、個人にも集団にも利益となることである
両者はともに、金銭的文化によって促進される。だが、等しく両者は、集団生活の目的にとって少しも役に立たないものなのだ
経済理論の見地からみると、スポーツ好きな性格は、次第に宗教的心酔者の性格と等しくなるのである。賭け事をする男のアニミズム的感覚が、ある程度固定した伝統によって助けられるところではどこでも、それは、何かしら擬人観的な内容をもった超自然的ないし超物理的な力に対する、多少とも明確な信念へと発達してきた
もしこのような組織が大衆の世俗的な利益に対してともに等しく真剣な注意と努力を払うとすれば、その事業の直接的な経済的価値がかなり高まるに違いない、ということに疑問の余地はほとんどありえない
後の時代の信心深い儀式におけるそうしたものの役割は、高等教育体制におけるその位置と同様に、人間性の発展としてはきわめて初期のアニミズム段階から生き残ってきたものと等しいのである。
たとえば、二等辺三角形の二角は相等しいとか、二辺が等しければ、底角も等しいとか、あるいは、直角三角形の斜辺の上の正方形の面積は、ほかの二辺の上の正方形の和に等しい、というようなことを証明してみせろというのです
小さな白アリの作ったこのアリ塚を、カメロン大尉は、エジプトのピラミッドよりもいっそう驚くべきものだと考え《ヒマラヤ山脈中の最高峰エベレストを、一国民が築いたのに等しい》と述べている
「このすばらしい虫は脈翅目(みゃくしもく)に属していて、頭より触角が長く、特徴的な大顎(おおあご)があり、たいていの場合、上翅(じょうし)と下翅(かし)の大きさが等しいんだ。脈翅目はシリアゲムシ科、ウスバカゲロウ科、ヒメカゲロウ科、白アリ科、カワゲラ科の五つの科に分かれる
奴隷売買に従事するヨーロッパ人――ほとんどポルトガル人である――というのは、罪を犯したことのある人間か、脱獄囚か、首吊(くびつ)りをまぬがれた昔の奴隷商人など、要するに人間社会のくずに等しいならず者たちだった
アフリカ最大の奴隷市場はニアングウエにあり、そのニアングウエを通る子午線(しごせん)はアフリカ大陸をほぼ等しく二分する
だが今、ネゴロがこういう尋ね方をするということは、彼が羅針儀をこわしたことを明らかに自分で認めたに等しかった。ディックは沈黙しつづけた
実際、この隊商と出会うことができたのは天の恵みに等しかった。ヌタモ滝からイェララまで滝と急流がつづき、筏(いかだ)で川を下ることは不可能だったからである
パガネルの追うこのモアはメガテリウムやプテロダクティルスと時代を等しくする生物で、体高五・七メートルに達するはずだった
この敬虔なスコットランド人は彼にとって祖国の土に等しいものに触れたとき、誰よりもまず神に自分を救ってくれたことを感謝しようとしたのである
また別のときには船の速度は波の速度に等しくなり、舵は全然利かなくなり、横倒しになりはしないかと思うほど途方もなく針路からそれる
オーストラリア原地民の顔面角は非常に狭く、一見してオランウータンのそれと等しかった。つまり六〇度から六五度だったのだ
かくして六カ月間というもの、ブラジルの地理学協会、ベルリンの科学アカデミー、イギリスのブリティッシュ協会、ワシントンのスミソニアン・インスティチューション等の諸論文をはじめ、「インディアン・アーキペラゴ」、アベ・モアニョの「宇宙」、ぺーターマンの「ミットタイルゲン」等で行われた諸討論、その他フランスや諸外国の大新聞雑誌の科学記事を通して、はげしい攻防戦がたたかわされた
ところで、大気の圧力は、一般に高さ約十メートルの水柱の重さに等しいことになっている。が、実際は、海水は淡水よりも密度が大きいから、その水柱はもっと短くていいわけだ
そこで、もし君が十メートルを幾倍も、幾十倍もした水の底にもぐるとしたら、君の身体は大気の圧力――つまり身体の表面一平方センチに対して約一キログラムの圧力――の幾倍、幾十倍にも等しい圧力を受けなければならない
この計算で行くと、百メートルの深さでは、水圧が十気圧に等しく、千メートルの深さでは百気圧、一万メートルの深さでは千気圧に等しいということになる。そうすると、かりに君が大洋のそんな深みへもぐることができたとすると、君は身体の表面一平方センチごとに約一千キログラムの圧力を受けなければならないわけだ
各派の古い巨匠の作では、ラファエロの『マドンナ』、レオナルド・ダ・ヴィンチの『聖処女』、コレッジョの『水の精』、ティティアンの『婦人像』、ヴェロネーゼの『礼拝』、ムリーリョの『聖母昇天』、ホルバインの『肖像』、ベラスケスの『僧侶』、リベラの『殉教者』、ルーベンスの『美女』、テニエのフランダースの風景画が二枚、ゲラルド・ダウやメッツやポール・ポッテルの風俗画が三枚、ジェリコーとプルードンの小品が二枚、バックホイゼンとヴェルネの海洋画が数枚あったし、近代画家の作品では、ドラクロア、アングル、ドカン、トロイアン、メッソニエ、ドービニ等の署名のあるものがあった
それから、アメリカ沿海でとれる黄緑色のものをはじめ、オーストラリア近海に産する赤褐色のもの、鱗状の貝殻をもっているので有名なメキシコ湾産のもの等、さまざまな種類のサザエ
ですから、もし一千メートルの深みへ沈もうとすれば、一千メートルの水柱に等しい圧力、つまり百気圧の下における容積の減少を計算に入れなければなりませんが、この計算は極めて簡単です
地球上の水に蔽われた部分は、約八千万エーカーと見積られているが、この海水の容積は二十二億五千万立方マイル、それを球体になおすと、直径六十リーグとなり、重量は三百|京《けい》トンに等しいことになる。これらの数字を理解するには、百|京《けい》が十億の十億倍に当るということを知る必要があるだろう
とにかく、この莫大な海水の量は、地球上のあらゆる河川が四十万年かかって海に注ぐ水量にほば等しいのである。
羅針盤は依然東北東の針路を示し、圧力計は二十五尋の深度に等しい五気圧を指し、測程器は十五マイルの時速を示していた
ここの岩壁は、ハイドロサンゴ、ハマサンゴ、イシサンゴ、星形サンゴ等の名で知られているミドリイシのつくったものであった
カルティエ、ヒバーニア、セリンガパタム、スコット等の砂浜に沿って進んだ後、一月十四日に、私たちは完全に陸地の影に別れを告げた
一秒間十一、二メートルの速力で走っているノーティラス号からボートを出すことは、全速力で疾走している急行列車から飛びおりるに等しい無謀なことだからである
長さ七千マイル、幅二千七百マイル、広さ二千五百万平方マイルに達する渺茫《びょうぼう》たる大海原――相対する東西のえんえんたる海岸線は、涯しもない周線を描き、セントローレンス、ミシシッピ、アマゾン、ラ・プラタ、オリノコ、ニジェール、セネガル、エルベ、ロワール、ライン等、世界の最も文明化した国々と最も未開な国々とから流れこむ大河巨川の水をあわせ呑む大洋
しかし二つの気球を操作するには、双方に等しい上昇力をもたせなければならないので、たいへんむずかしいことなのである
二五メートルぐらいの柱が二本、どちらも気球から等しい間隔をおいて立てられた
売れゆきはたいへんよろしく、同時代の有名新聞の発行部数約一万に対して、なんと「ル・プティ・ジュルナル」は、発刊された年の一〇月にすでに八万三千部刷り、六九年には二八万七千部にも達し、第三共和制に入ると、同じ型の新聞「ル・マタン」「ル・プティ・パリジャン」「ル・ジュルナル」等と発行部数を競いながら、一八九二年には一〇〇万の大台を突破するに至った
ところが、こういうことははじめてなのだが、彼は南部にずっと派遣されていたので老母に三年も会えなかった――それは彼にとっては三〇〇年にも等しかった! さて、規定による休暇は数日中に与えられることになっていて、彼はすでにオムスクへ向けて出発する準備をしていたときに、諸君もご承知の事情がもちあがってきたのである
その日常生活の物質面の苦痛にたいするこの老婆の克己的な無頓着、肉体的な苦痛にたいする蔑視感、マルファはそうしたものを、彼女自身の精神的な苦痛に等しい苦痛をなめている一人の女性のなかにしか汲みとれなかったのだろう
これらのロシア人は避難民たちで、身分はそれぞれ違うが、等しい関心から、彼らはバイカル湖のこの一箇所に集まったのだった
その主なるものを挙げれば、『地底旅行』(一八六四年刊)、『グラント船長の子供たち』(一八六六年刊)、『月世界旅行』(一八六九年刊)、『八十日間世界一周』(一八七三年刊)等、この小説は翌年脚色されてポルト・サン=マルタン座で上演され、大評判で二年間も続演されたという
羅針盤《らしんばん》の発明による「大航海時代」の到来。ヴァスコ・ダ・ガマ、コロンブス、マジェラン等によって、七つの海は人類のものとなり、世界は広がったのである
そして、現に、リヴィングストン、スタンレー、ヘディン、ナンセン、スコット等の探検隊が、十九世紀の後半に、次々と極地を征服し、地球上から人類未踏の地を一掃《いっそう》していったのである
近年ヴェルヌが注目されだしたのは、アンチ・ロマン(反小説)の旗手ミシェル・ビュトールとか、今は亡くなったが前衛的な芝居など書いて最近声価の高くなったボリス・ヴィアンといった人たちによってなのである。そして、クローデル、アポリネール、サン・ジョン・ペルス、アンリ・ミショー等の現代の大詩人たちへのヴェルヌの影響が語られているのである
はげしい暑熱が、赤道も極地も等しく、地球の全表面に広がっていた
地球というこの球体の内奥にもぐりこんでしまったぼくにとっては、地表の一切はもう存在しないに等しかった。都会も、田園も、ハンブルクも、ケーニッヒシュトラーセも、可哀そうなグラウベン、きっとぼくのことを地底深くに永遠に消えたと思っているにちがいない、あのグラウベンも
その結果、弾丸の重力は急速におとろえ、月の引力が地球の引力と等しくなったとき、ついにゼロとなってしまう。つまり、全行程の五二分の四七の点で、である
そうすれば、地球の半径と等しい距離、つまり六三七〇キロメートルだけ、また行程を短縮することができる
しかし、同様に地球の自転運動が弾丸におよぼす方向逸脱を考慮に入れなければならないし、弾丸は地球の半径の一六倍に等しい距離──月の軌道上で言えば、ほぼ、一一度になる──だけ方向を逸《そ》れるから、さきに記した数字にこの一一度をくわえなければならない
バビロニアのカルデのひとベロッソスは、月の自転に要する時間は公転に要する時間と等しいことを発見し、そのことから、月がつねにおなじ面を見せている事実を説明した
その中心に、コロンビアード砲の外径と等しい直径の穴があけられた
距離というのは、相対的なことばにすぎません。だからついには、ゼロに等しくなる日がやってくるでありましょう」
この、海王星と太陽とのあいだの距離も、恒星間の距離にくらべれば、無に等しいのです。事実、恒星間の距離をはかるには、最小数値が九ケタもある、目がくらむような数を用いなければなりません
酸素と塩素の両方でも等しく平気だったあの化け猫でさえ、ある程度の暖かさは必要としたし、宇宙空間のつめたさと、無気圧状態では、おそらく生きてはいられなかったでしょう
ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf 一八八二〜一九四一)の代表的な小説『ダロウェイ夫人』『燈台へ』『波』等は、かつて出版されるとともに、いち早く日本でも紹介されて、一部には愛読者や讃仰者をもち、また研究の対象とはされてきたけれども、しかし全般的には敬遠され、むしろ食わずぎらいをされすぎているようで、私にはいささかふしぎであり、残念な気もするのである
男にも女にも等しく、その[#「その」に傍点]時がやってくる
この意味は、この二つのうちどちらもそうであるように、等しく重要であり、真実である
最も遠方の森林の最小の種子の中にも、人の目の届かぬ暗黒の中に転がりこんだ種子の中にさえも、等しく住んでおられる、あなたよ≫[#≪≫は《》の置換]
われわれは自由意志でこうしようとか、ああしようとか選択し、罪を犯したり、愛他主義によって〈|神の住居《エンピリアン》〉の聖なる栄誉を盗んだりするが、それでも、自存神《インクリエート》は万物を統べたまい、従う者も逆らう者も等しく(つまり、完全に)その目的に沿って動いているのだという説がある
ちょうど水平距離を無限に掛けあわせても、垂直距離と等しくはならないように、いくら大金を出しても、いくら群島や帝国を積み上げても、その価値に近づけることはできなかった
しかし、今ここで言われたことは、わたしに北方を思い出させ、そちらのことは知らないに等しいことを思い知った
「市民と〈十七人組〉の関係は、いい子供と母親の関係に等しい」
しかしメシアを演じた時には、それ以外には決して考えないようなことを、考えたこともあった。それは、セヴェリアンにとってもセクラにとっても等しく異質な考えで、物事の始まりという考え、世界の夜明けという考え、であった)
何百年という時間も無に等しいと思われた
さもなくばエレニアのすべても無に等しい。エラナのみが、エレニアの正統を継ぐべき者なのだ
どうやら豪族たちは、老いも若きも等し並みに、これをエレニアの玉座を手にする好機と見たようだった
アニアスはいささか困惑したようだが、それでも能力を失った女王は死んだに等しいと理由をつけて、リチアスを摂政の宮という地位に就けた
残念ながら無罪放免の希望はないに等しい――もちろん、われわれとしては男爵の無罪を祈るのみだが」
「ここぞと思う数ヵ所で崖くずれが起きれば、センダリアへ攻めこむのは月へ行くにも等しいむずかしさになります。崖くずれがタイミングよく起きれば、アンガラクの全軍はあの細い山道に閉じこめられてしまうでしょう」
このような場所では、時間は存在しないに等しい。だからドアそのものから出ているようなガリガリ、カチカチというかすかな金属音が聞こえてきたとき、いったいどのくらい長いあいだこの独房でひとり恐怖に震えながらうずくまっていたのかガリオンにはまったく見当もつかなかった
おぬしの兵士なぞ、わたしのまえでは草の葉片に等しい。おぬしの運命はもう決まったもおなじだ」かれはそう言うと同時に大きな剣を引き抜いた
「われわれは無に等しい」ゴリムは説明した
だが夫とマンドラレン卿への愛があまりにも等しいため、彼女は二人のあいだで永遠に同じ位置に凍りついたままなのである
それに背を向けるのは――たとえそれが彼自身の責任ではなくても――心の奥底にあるなにかを踏みにじるのに等しかった。ガリオンはひそかに悪態をついてから、悩めるウルギットのほうを向いた
かれらの身にふりかかった残忍さが個人的侮辱にも等しい感情をかきたて、暗い思いが意識を満たしはじめた
まもなく、ダーシヴァ中が――グロリムも宗教とは無縁の人々も等しく――ザンドラマスの足元にひれ伏した
「まったく、本人同士のたくらみによるいざこざの多くが、ただ馬上試合をするための口実であることもよくあるのだ――貴族も平民も等しく馬上試合を楽しみにしているのでな」
いわば生活者として、伝記家の興味をそそるに十分な性格の人物であり、材料も多いからであって、つい今年(一九六一年)も有名なダフネ・デュ・モーリア(『レベッカ』等の作者)が彼を主人公にした伝記小説をものし、評判になっているが、わたしはまだ書物を見ていない
『虜囚』The Prisoner 『追憶』Remembrance 『老いたるストアの徒』The Old Stoic 『幻想』The Visionary 『われに怯懦《きょうだ》の魂なし』No Coward Soul in Mine 等が傑作として挙げられる
ぼくらが願うのは――いや、願うときはとうに過ぎ去った、ぼくらが要求する[#「要求する」に傍点]のは――新しい声、つまりラベル好きの連中が「新しい波」なる囲いに入れて無視しようとしている作家たちにも等しい機会を与えよ、ということなのだ
何世紀もの重みが、生きものと、生命のない岩石とを等しく押しつけている
このほかにあるものは、といえば、小銃だけだったが、それも、ほとんどがくず鉄に等しいものだった。使用されている小銃は三種類だった
第二の形式の資本主義を擁護するために、第一の形式の資本主義と戦うに等しい。しかも、この第二の形式たるや、いつ何どきでもすぐさま第一の形式に逆もどりする危険性をはらんでいるのだ
一箱十ペセタ(これは義勇兵の一日分の給料に等しい)払うだけのゆとりさえあれば、ハイカラなホテルではおおっぴらに、いや街頭でだってほぼ同じほどおおっぴらに、密輸たばこが手に入るのだった
したがって、口では「七月十九日の精神をもう一度呼び起こせ」等、といった革命的なスローガンを叫んではいたけれども、労働者の行動を防衛的な程度におさえておくのに最善の努力を払っていた
それで、彼はすぐにこの依頼を引き受け、一九三六年一月、ロンドンを発ち、シェフィールド、マンチェスター、ウィガン等の北部工業都市を歴訪し、約二か月間、労働者の悲惨な生活の実態をつぶさに観察し、記録した
ついでながら、オーウェルが帰国してから後のスペイン内戦の推移について一言する。POUM等のアナーキスト系の諸派が粛正され、POUMに好意的なラルゴ・カバリェロ首相が辞職し、共産党の支持を受けたファン・ネグリンが首相となり、共産党が共和政府の指導権を握ったが、政府の力は著しく弱まった
オーウェルの死後、E・M・フォスター、バートランド・ラッセル等がそれぞれ追悼の辞を書いた
『獅子と一角獣』『英国、君の英国』、彼の死後刊行された『象を射つ』等、優れた評論集はずいぶん多い
ところが、これに対して、イギリス、フランス等、いわゆる自由主義諸国の態度は極めて微妙であった
ともかく、以上のようなわけで、フランスが率先して提唱し、イギリスがそれに同調した形をとって、ドイツ、イタリア、ソ連、ポルトガル等を含む二十七か国の間で不干渉委員会が成立した
イギリスからは、オーウェルを始めとし、W・H・オーデン、スティーヴン・スペンダー、クリストファー・イシャウッド、アーサー・ケストラー、ジョン・ラングドン=デイヴィス等、アメリカからは、アーネスト・ヘミングウェイ、ジョン・ドス・パソス、シオダー・ドライサー、ウォールター・リップマン、マルカム・カウリー等、フランスからは、アンドレ・マルロー、シモーヌ・ヴェイユ、ドイツからは、フランツ・ボルケナウ、ルートヴィッヒ・レン、グスタフ・レグラーがいる。また、ソ連からは、イリヤ・エレンブルグ、ミハイル・コリツォフ等、枚挙にいとまがない
しかし、この事件の真相の究明はともかく、何よりオーウェルを憤激させたのは、事件そのものよりも、この事件を契機として起こった共産主義者たちの、政敵、とりわけPOUM等のアナーキストを粛正するために行使した、フランス革命当時の恐怖政治を思わせるような、陰険で、組織的で、大規模な残酷きわまる弾圧の手口であった
先にも述べた通り、『ウィガン波止場への道』の刊行をめぐって、出版者のゴランツとオーウェルとの間に、すでに意見の衝突があった。ところが、ゴランツ等が非難してやまぬこの『ウィガン』についても、みながみなゴランツ一派のような見方をしていたわけではなく、例えば、フィリップ・トインビー〔イギリスの小説家
ある批評家は、オーウェルは、(一)英本国や大英帝国における社会的不公平に対して憤る善良なパブリック・スクールの生徒エリック、(二)革命主義的国際的社会主義者、(三)ヒレア・ベロックやラドヤード・キップリング張りの超愛国主義者、(四)反ソ宣伝家、といった四つの政治的性格をもっており、それが、反共主義者で右寄りの作家、例えばキングズリー・エイミス等や、明らかに左寄りの作家ノーマン・メイラー等の、思想的には全く相対立する双方から親近性を感じられるゆえんである、と評している
虚栄心や浪費の習慣、目新しいものへの執着、良きにつけ悪しきにつけ、なにかしなくてはいられない落ち着きのなさ、また、父親や夫人の喜びに対する冷淡さ、自分の行動が他人の目にどう映るかほとんど頭にない、等の非難を受けてもしかたがないように思われた
その点についてのリッチモンドとロンドンの違いは、いつも息子に会えるか、まったく会えないかという違いにも等しいものだった。十六マイル、いや十八マイル、マンチェスター通りまでの距離も合わせたら十八マイルはある
母親はそれからキャラコ、モスリン、リネン等の詳細に及んで、もしジェーンが骨折っておとうさまがおひまになられてご相談できるまでお待ちになってはと説き伏せなかったら、まもなくたいへん多くの注文を書きとらせたでありましょう
彼はいつ何どきでも喜んで、等、等。もしおゆるしいただければ早い機会にごきげんうかがいにまいりたいものといいました
僕とドクロちゃんは等しくその音がした方向を向いていました
破片は濃い血煙《ちけむり》と同じ、霧雨《きりさめ》のように部屋を等しく紅《あか》く染めました
父と母とは二十年の|昔《むかし》に|彼《かれ》|等《ら》が|経《けい》|験《けん》したロマンスを、ふたたび静かに味わいながら|仲《なか》よくそこにすわっていた
すると、生物は魔法に等しい力を発揮し、生命のない物質を少しずつ、ほんの少しずつ土に変えていった
鳥への影響を考えれば、ヘプタクロールの規定使用量は、一エーカーあたり二十ポンドのDDTに等しい。そして、ディルドリンの場合には、一エーカーあたり百二十ポンドのDDTにあたる
たとえば、百年ばかりまえ、トマス・ハックスリーが計算してみせたところによれば、一匹のアブラムシの雌から一年間に生れる子供が全部大きくなるとその総重量は、当時の中国の住民の体重の総計に等しいという(アブラムシは、交尾せず子供を産む不思議な性質がある――単為生殖)
発見当時の死体の位置、室内の家具の配置、テーブル、倒れた椅子、床に転がった、検察側のいわゆる毒害グラス、テーブルの上に明らかにフェイ・アリスンの指紋の付いた囮グラス、ウィスキーの瓶、ソーダの瓶、氷のジャー等を示す写真であった
彼らは自動車を捜索したこと、最後に舗道上に血痕を発見したこと、雨水とまじっている赤い汚れのあとをつけて、ついに埠頭まで達したこと、一台の自動車を水中から鉤にかけて引き揚げたこと、その車はレンウォルド・C・ブラウンリーの車であったこと、それは低速《ロウギヤ》のままになっていて、引き揚げられたときもまだロウギヤであったこと、手押《ハンド》しスロットルは引きあけられ、車を引き揚げた後にテストした結果によれば、ハンド・スロットルの位置は、車が引き揚げられた時と同じハンド・スロットルの位置ならばロウギヤで正確には時速十二・八マイルで走るであろうようになっていたこと、その車の床の上に・三二口径のコルト自動拳銃を発見したこと、彼らは空らの薬莢を数個発見し、車の内部被覆から二発とりだしたこと、そのうち一発は明らかに車に乗っていた人物から外れ、他の一発は人体を通過した証跡を示していること等を証言した
ガードナーの作品が、アメリカ、イギリス、カナダ等、英語国民の間ではもちろん、フランス、イタリアその他、世界各国で、最も多く読まれていることは、いまさら、こと新しく喋々を要しないところであって、日本も、もちろん、その例外ではない
「証人は、一九二五年一月五日の結婚以後、グレゴリイ・モクスレイ、別名グレゴリイ・ロートン等、さまざまな名前で呼ばれていた男と離婚しましたか
いまや、本弁護人は、これに対してつぎの言葉を、検察側に返すことのできるのを、等しく喜びとするところであります
昭和十二年頃より「LUNA」「LEBAL」「詩集」「荒地」「新領土」「文芸汎論」等に、詩、評論を発表
戦後は「純粋詩」「荒地詩集」「詩学」等に作品を発表
わたしたちの思考は等しい速度のグレイハウンドのように並んで走っていく
可能性は皆無に等しかった。彼女が私を拒否するのか、彼が会わせるのを邪魔するのかは分からなかった
このふたつの情念はわれわれをけだものに等しくするからだ。しかし、不幸なことに、われわれが理屈をこねたくなるのは、いつもどちらかの情念で興奮しているときに限られている
また、本作品の内容 を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します
勤め人というやからは、揃《そろ》いも揃ってくずにも等しい人間なのだろうか
彼らは、捜すというよりはむしろ、書類の山のなかを掻き回しているに等しかった。そして、一方の助手がなにやら書いてあるものを一字一字たどたどしく読みはじめると、他方の助手が必ず横合いからそれをひったくるのだった
しかし、これらの希望も、また失望も、ともに、ただ彼の言葉に基づいたものにすぎませんので、従って、根拠は、ほとんど皆無に等しかったのです」
この弁護士たちは、どんなに無に等しいような些細《ささい》なことがらでも、依頼者が望みさえすれば、なんなりと、一切を捏《でっ》ち上げる術《すべ》を心得ているんですの
一九一六年(大正五年)三十三歳 この頃から翌年にかけて『田舎医者』等の短編を書く
一九二二年(大正十一年)三十九歳 『城』、『ある犬の回想』、『断食芸人』等を執筆
これらの事件がすべて現実にあったことを確め得るような手がかりは、何も残っていないに等しい。事件はほんの一年前のことでありながら、早くも昔語りの伝説同様になってしまったのだ
その暗い息吹がその道すじにおいて、私の生きる日々ほどには現実的とはいえない年月のうちに、私に差し出されるすべてのものを、等しなみにするのだ。他人の死、母の愛――そんなものが何だろう
機械人形みたいな小柄《こがら》な女も、マソンが結婚したパリ女と等しく、また、私と結婚したかったマリイと等しく、罪人なのだ。セレストはレエモンよりすぐれてはいるが、そのセレストと等しく、レエモンが私の仲間であろうと、それが何だろう
ここに愛の表現の全てが描写せられ、探求されている、等と思っては下さるな
又ここに愛の個々の場合が詳しく論じられている等と考えて下さるな
なぜなら、それは到る所に本質的に、全体的に示現されているのですから、本質的に描写する等ということが出来る訳のものではありませぬ
それ故に又、己れが仕事をほこりたい等いうおごり心を少しも有つものではなりませぬ
彼は、なおその詐偽的な不信実の犠牲となった他のものを、慰めることができる等と言うかもしれませぬ
しかし、自ら永遠において、取り返しのつかぬ過ちを犯したものが、危篤にひんしている重病人を治癒しよう等とは、何たる狂気の沙汰でありましょう
)幸福にあざむかれた他のものに対して同情をもっている、等と言うかも知れませぬ
例えば人が、甚しい錯誤を以って元来利己愛でしかないものを「愛」等と呼んでいる場合
それ故に、自らを知る人は何人もキリストの愛について、「その愛は花咲く、」等とは言いませぬ
しかしおぞましくも好奇心にかられて光りの始源を探究しよう等とこころみる厚顔無恥のものらを、いましめるため、盲目を以って罰することがあります
むしろその至福を呪いであるかの様に、ああ、まるでその解明しがたい凋落の秘密の様に、ひとり自分のうちに秘めておかねばならぬ、と言うのに等しいのです。幸いなことに、これは愛の場合に当てはまることではありませぬ
人はある種の植物について、それは「心臓」の果を結ばねばならぬ、等と言います
――実《み》などをつけるためには、あまりにも気品高いのである、或いは、あまりにも秘密な情である故に、その実は果《はた》して愛のものか、それに反するものやを知らぬ、いやたとえ毒ある果の実であったとしても何事をも立証するものではない、等と人を悟《さと》そうとするかも知れませぬ
それは又、一本の樹は、他の樹の批判を蒙らねばならぬ、等《など》言うのではありませぬ
もしあなたが彼の人のために一番よいであろうことを、彼自身よりもよく解っていたならば、彼の害になることが、彼自身の希望であった、彼自身からせがまれたのだ、等と弁解がましいことを言うことはゆるされませぬ
ここでこっそりと逃げ出して仕舞おう等という事も不可能であることは利己愛も悟らざるをえませぬ
自然の恋愛の中に、燃え立っているものは、その情火の上に、又その情火の故に、決して自己の二重の存在を堪えしのぶ等ということは出来ませぬ
ああ、而もなお彼は他のものを、己れ自らよりも、もっと高く愛している等と言おうとするのでしょうか
例えば、未だキリスト教徒の思想の空虚な饒舌や、自分がもうキリスト教徒であると言う自惚れ等によって甘やかされていない一人の異端の人を考えて見ましょう
恰かも異端主義が没落してから、千八百年の年月が経った等と。いや何もそんなに永い昔の話ではないのです
あなたは信仰を何か別のものに作り更えるために、頭の良さを用いたり等してはなりませぬ。いや、あなたの頭の良さは、人々に対して頭の良い警戒をする事によって、信仰の神秘をあなたの心のうちに保つ様に利用せねばなりませぬ
詩人らの作において読みおぼえたこと、又あなた自らが愛について発見しうること等を思い浮べてごらんなさい
この場合には大変大きな一つの不平等さが支配している、と言うことを思い出したりして我々の注意を外らしたり、乱したり等する事は止めることにいたしましょう
人は或ものが自分の試しに合格した等と言います
標準銀についてはそれ故に何人も永い時間をかけて合格するかどうか試してみよう等いうものはありますまい。なぜならば、それは標準銀でありますから
でなくてどこから一体あの自然的な愛は、愛を試してみよう等という念を起すのでありましょう
「不安」であればこそ、あなたをして「試し」がより偉大な確証を与えるであろう等と想像せしめるのです
それは端一な愛を以ってその愛するものだけをえこひいき[#「えこひいき」に傍点]する等という事をしませぬ
愛せられたい等という願いを少しも有っていないでただ自分の方から愛するために他の人が必要だと言うのです
人から愛されたいという念い等は毛頭なく、愛するために誰かを有ちたいと言う
「人はあまり心を過剰に痛ましめてはならぬ」等と。この様に「悲しまぬ様にしましょう」と言う憐れむべき知性は愛する者の絶望にまさるとも劣らぬ「絶望」ではないでしょうか
「汝は愛さねばならぬ」等といういましめは、あなたがどうにも思い当らなかった最後の言葉であったでありましょう
幸、不幸、何れの場合に於ても、等しく、絶望から救われているのであります
殊に、キリスト教を擁護しよう等ということはひかえた方がよろしい
詩人をなくしたらよい等と(或いは暴力を用いたり等して)言うことは勿論我々の意に背くものであります
――併し又盲目的な賢明ならざる熱狂のあまり詩人の作などは読ませたくない等とやりすぎる事はキリスト教徒には希むべきことではありませぬ
同じく又他のものと一緒にもういつもの食物を食べてはならぬ、或いは他のものと交際せず、孤独の寂寥の中に閉じこもって存在すべきだ、等と要求することもよろしくありませぬ
いかに詩人をよみ、いかに詩人に感嘆するか等。ごらんなさい。我々の時代においてはかかる事について、未だ殆んど論ぜられた例はありませぬ
他面、又我々は自分からキリスト教徒であると名乗っている所の者を彼はキリスト教徒ではないという判決を下そう等とは元より思ってはいませぬ
従って非キリスト教徒に対して我々のキリスト教を告白しよう等という事も問題にはなりませぬ
従って個人にも亦自分自身にとっても、大したものだ等とつい自惚れさせる様な結果をひき起し易いのであります
それ故に詩人が(彼は常に自然の愛だけを考えています故)愛を命令しよう等という事は愚の骨頂であり、背理も甚だしいと主張するとき、正当な理を有っているのであります
すると欺瞞的な智慧は彼女にもしこれこれの事をすれば、彼女がこれこれの日にめぐり合う最初の人こそ、その目ざす人に相違ない等と思い込ませたりします
人間に糧と飲物とを禁じよう等とは思わなかった、と同じ様に、人間の本能に対して攻撃を加えよう等とは思ったことはありませぬ
もし人が恋をしたとき、或いは一人の友を見出したとき、キリストの言う愛を発見した等と思い込んだとしたら大変な錯誤を犯すものだといわねばなりませぬ
併しもしあなたがその「教養」を以ってこの「最高のもの」に接近しうる、等と思ったら、錯誤も甚だしいと言わねばなりませぬ
娘は教養をもち、而も、しかじかの教養を有っていねばならぬ、等。又強大な教養のテロリズムのために殆んど自分ののびのびした気持を吐露することもできないでいます
いくらかは、寛大に見て貰えるだろう、それで幾何かの人々、親戚のものとか、友人とかに対するあなたの愛は、隣人愛として許して貰えるだろう、等と甘く見つもってはなりませぬ
そして、あなたは、その甘く値切ったものから身を守るために、あなたの説を、丁度、全て値切ったりすることを軽蔑している詩人のほこりと、全ての値切り等を以って原罪であるとする王者のごとき誡命の神の様な権威、との中間に置こうとします
キリスト的な慰さめについては、凡そそれが何かの後に来る、等といわるべき筋のものではない
なぜならば、隣人に対する愛は、ある種の愛が、他の種の愛に対してどういうものであるか、等という関係とは違う
人は、敵を愛する等ということは、人間にとっては不可能だと言います
なぜならば、遺憾乍ら、敵同士が互いに相見える等ということすら殆んどありえない事なのだから、と言います
――彼は無に等しい。彼は『素生でないのだ』等と
いや、我々は決して、ただ権力あるものや高貴な人々のみがその責を負うものだ、等と、大胆不敵な狂気沙汰を何人にも強いようとする者ではありませぬ
また、この人間の福祉を願う世俗主義自らが、全ての人間に対する生活状態の平等さ等はただ美しい敬虔な願望にすぎないことを承知しているのです
凡てある一定の不平等を撤回しようとする、しかしその代りに、他の不平等を置き換えようとする、――この様な方法によって、不平等をなくそうと戦っているものは、正に不平等をつくるがために戦っているに等しいのであります。
その特殊な地位に引きかかって、心に傷害を受け、隣人を愛することが何であるかを忘れてしまう様な事はもう起りえないのだ、等ということにはなりませぬ。
また何人もそれと気が付かぬ様に、それによって気を持ち損ねたり等させぬ様に充分細心に手心を加えてなさねばならぬ
誰かの眼と眼がぶつかったりして、凡人どもとどこか似通った所もある等と思われたくないからである
ここに於いては、名誉、権力、奢侈、等その世俗的な光輝を失ってしまう
――到底そんな所で物を考える等ということは出来ぬ業なのですから
と言って人が彼等に尊敬の念を欠いている、等と言う言いがかりを付けられない様な仕方で
彼が隣人を愛するという事こそ、貴族らにとって、あまりにも卑俗なことと断ぜられたのですが、卑俗な者らからは逆に、隣人を愛する等とは、僭越至極な事と指ざされます
ああ、世間というものは、誰彼について、真面目さがない、等と兎角愚痴をこぼし勝なものであります
世間が真面目さ等と言うとき、何をさして一体真面目と言っているのかが問題なのです
死に臨んでは少しもにげ隠れたり等した覚えはない、むしろ堂々と堪うべきことを堪えしのんだのだと言うことが唯一の慰藉ではありませぬか
併し、自分の特権あるグループの中の隔壁の中でのみ卑劣にも活動をつづけている様な者たち、たとえどの様に多くの仕事をなし、多くの利益を収めえたかは知りませぬ、が、生れの卑しいもの、と高いものを問わず、卑怯にも人に解って貰おう等ということをしないもの、人間の理解などは、何れ矛盾なるものだと思っているからでありましょう
我々が王者であり、乞食であり、学者、富豪、貧困、男女、等である限りにおいて、私共は互いに相似たものではありませぬ
「私」などというものは無にも等しい、もし「私」が「あなた」にならなかったとしたら
約束によって自分自身の良心をあまやかすこと等はしない、決して二重の支払い、――先ず約束のために、それから次に約束の履行のための支払い、を要求することはしない、ということがもう、ふくまれているのですから
即ち愛は、たとえば、それ自らに対して悦びを有ってよいのだ等いう、甘やかす様な空想を描く余暇などを与えてはなりませぬ
誰かがそれを観ているかどうか、にも無関心であり、又誰かがそれをよく観ることによってあまりにも理性に接近しすぎる等ということもありませぬ。之に反して神の権威は全てこれ眼である、と言う概があります
もし人が、あらゆる一秒一秒の瞬間も(もしその様な事が可能だとすれば)不断に、永遠の問題に取りついているとしたら、この仕事に於いて、「仕事に忙しい」等とは言いませぬ
真に永遠の問題にたずさわっている者は、永久に「忙しい」等という事はありませぬ
キリストの愛の中には、彼が律法の無限の要求を提げてのぞまれた人間に対する慈愛の他に、それと並んで、他の者らと、標準を引き下げた、妥協的な、党派的な協同をつくる等という事はなかった
かくのごとき人は、神の前に出るとき、己れが無にも等しいものであることをよくよく身に沁みて知るがよろしい
あなたは、而も、なお無に等しく、何らかの効果などを言うまでには無限の距離を距てている、無限の負債を担うものであることを発見されましょう
又無からあなたを造ったのは神である、等ということを決して真面目に受取ったり、決して悟ったりしてはならぬ
又人間はそもそも何人に対して、無限に又無条件にかかる一切を負債しているか、等という思想にふり向けるための時間の余裕などはないのだ、という前提から出発されるがよい、従ってある人は他の人に向ってその様なことを訊ねる権利も有る筈がないのだと
――少しずつとか、多量に奪うとか、或いは少しも取らぬ、又は、驚ろくべく多くを奪う、等というものではない。「それ故に、神を逃れたがよい
律法の愛に対する関係は悟性が信仰に対する関係に等しいと思う
ただ暗愚の者が律法の要求するところと愛との間には、超え難い溝が横たわっているのだ等と主張することがあります
又愛が一旦誤解されてからの始終というものは、何もかも堪えがたく辛いものになってしまうのであります、等、等。
キリストの愛は人間的な意味で犠牲的だった、等と言われる様なやさしいものではありませんでした
これでは全ゆる関係を知悉している、という事にもならないし、隣人に対する愛の教えが、正にその事を深く考えに入れていたこと等をも除外してしまうことになります
今日はこの人を律法の要求する人だと云い、明日はあの人こそ、律法の要求する人だ等と思ったとしても
個々の人はもう「他人」等を相手にすることなく、弁解や、言い訳で逃れ様とすることも要りませぬ
世間などは、愛の決定についてそれ以上に抜け出る等という事は出来ることではありません
もし人が真に愛を有っていたら、必らず他の人からも愛せられる筈だ等と。――むしろ真に愛する者は利己的な者として非難せられるでありましょう
実に不思議な話ではあります、――と言うのは、少女があまり男の愛を高く讃美しすぎて、遂には、神の前に於いては全て人間の間の差別などは微塵にも等しく、屡々差別は無にしかすぎない、と言うことがどうでもよい程だと言うのです
世間では、世間的なことが幅を利かせ、横行しているのですから、もし人が「まやかしの友情」等を耳にすると、すぐある友人がある友達を何か巷間の利益か財産か、欺瞞を働いて奪ったのだろう、位のことを、考えます
あなた方が互いに愛せねばならぬ、事をそっちのけにして、人から愛を以って報われる事の方が大事だ、等と思わぬ様に戒めていただきたい
子供は決して見せかけに欺されたり、錯覚を起したりして、いろはを習わないうちからもう本が読める等という自惚れを起したりすることは、ないでありましょう
ただ、我々凡俗のものにとって困ることは、精神の登高があまりに至難であり、苦難に充ちているので、殆んど風景の壮麗さ等を感覚している余裕をもつことが出来ないことです
では何故私が、僭越至極にも、こういう及び難いものに取りつこう等と思い立ったか、と怪しまれるかも知れません
白秋、啄木、牧水等の詩人やヴェルレーヌ、ボードレール等の飜訳が少年の書架を飾った
誰かに聞いたことがあるが、平均的な人間の体内の血液量は、おおよそビールひとケースに等しいとか。
この点についてはみなさんなりに、音楽・映画・演劇・パフォーマンス・マンガ・アニメ等と通ずるノリをみつけられるだろう
「『すべての角度は等しい』ということを証明するにも、でしょうね
また、本作品の内容 を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します
「いちばん上《じよう》等《とう》のバターだったんだ」と三月兎《うさぎ》がおとなしく答えました
「ネーミングセンスは最悪に等しいが
立会人席では、幾人かの看護婦や実習生、ダニング博士、彼の娘、フィリップ・モアハウス、ミンチェン博士、エラリー等が、身動きもせずに、座席の端に坐っていた
日誌中の某所に記されたところによると、ジェニー博士のダニング博士に対する態度は、事実上暴行に等しいダニングの醜聞によって影響されることなく、彼のつまづきは許さるべきであるという寛容な考えを持っていたようです
年代をへて黒ずんだ暖炉でごうごうと燃えさかる火から渦巻いて流れ出る熱波にぬくもりながら、エラリーは半ば意識がないに等しい状態で、しばらくぼんやり立っていた
それにくらべたら、ほかのごまかしなど児戯に等しい。というのは、一見相いれない二つの要素がそこに含まれているからです――アリス・メイヒュー嬢と殺人という」
体には暴行のあとなし、内臓器官には毒物の徴候なし、等、等、うんざりです。例のくどさでね」
自分の村から歩いて二日で行けるところでさえ、もう外国に等しく、まして、自分の島から船で三日かかるような島は、噂に時たま出る程度
なぜそう呼ばれるかは、この「ゲド戦記」を含む彼女の作品のほか、エッセイ集『夜のことば』(The Language of the Night: Essays on Fantasy and Science Fiction, 1979)や『世界の果てでダンス』(Dancing at the Edge of the World, 1989)等を読めば、誰しも納得はいくであろう
裏切りを選んだ、無に等しい人間だ
流れていないに等しい小川は膝《ひざ》まできた
失われた王とその水晶《すいしよう》の剣のもとにたどりつくという不可能に等しい務めにおいて、おぬしに未だかつて知ることのなかった絶望を味わわせようとしているものは何だ
ここでは、この場所に備《そな》わっている力に較《くら》べれば<闇>など無力に等しい。おぬしらが全てを賭《と》して立ち向かっているのは失せし国そのものなのだ」
名文家のラフカーディオウ・ハーンは若いころにゴーティエやフロベールの小説を翻訳して英語を磨きあげたが、スミスの場合は既に文体を自在に駆使する力が身についていたので、ボードレール等の詩を原文で読みたいという思いに動かされたのだろう
スミスは『ウィアード・テイルズ』を主要な発表舞台にしたが、早くからヒューゴウ・ガーンズバックの編集する『アメイズィング・ディテクティヴ・テイルズ』や『ワンダー・ストーリイズ』等のSFパルプから、ロウ・ティーン向きの『ストレンジ・テイルズ・オヴ・ミステリイ・アンド・テラー』にいたるまで、さまざまなパルプ・マガジンに小説を発表した
スターグライダーは、「直角三角形の斜辺の平方はほかの二辺の平方の和に等しい」という命題がどういう意味であるかを、正確かつ完全に理解できた
全く気まぐれに振る舞う機械――どんなに多くの情報を得ても、その結果を絶対に予測できない事象――こういったものは、哲学者も賭博師も、等しく楽しませるのである
二人が担いでいる道具は全く物凄いものに見えたが、それは嵩張ってこそいたけれども、重さは実際にはないに等しかった。荷物はすっかり重力偏向コンテナーに詰めてあって、重さは打ち消されており、消えずに残っている慣性とだけ取り組めばいいのだった
人類にも非人類にも等しく啓示を与えた彼の個性というものは、際限もなく強烈なものであったに違いないし、またこれほど広く心を惹きつけた宗教には、多くの優れた立派なものが含まれていたことも疑いないところである
マスターも彼の弟子たちも、等しく忘却の淵に埋められてしまったのである
小説は、ほとんど芝居と等しくなるわけです。
その他、アラン「情念について」「音楽家訪問」ミルン「赤い館の秘密」等の訳書がある
「彼がそれらのことから、何を得ようと望んでいるかを、私は明確に言えるとは思わんですが、しかし私は彼の病は、アクバル皇帝や、アレクサンドロス大帝やナポレオン等の偉大な頭脳を襲った……独裁力と権力に対する欲望いう病気の一種と仮定しております
この発明に対する主張は、全くばかげていると思われますが、私はそれ等の資料が果して価値あるものかどうかを調査するように本部へ提出しました
彼はポワロにB氏の見かけだおしの公表や、K氏の罪悪にも等しい年代錯誤、G氏の望みない非科学的な地層の仮説などに、迷わされないようにといった
しかもジョージ・プリチャードにとっては、それが生き地獄にも等しいんですからね。奥さんが怯え死にでもしてくれれば、願ってもないしあわせというところですわ』わたくし、言ってやりました
それから、ジムの伯母さんのジェニファー、この人たちは、トレベリアン大佐の死によって、等しく利益を受ける人たちよ
その瞬間から、わたしは、彼を逮捕させてはならんと、等しく決心したのです」
夫の方は扱い易くて、アンドルー・ペニングトンのような抜け目のない男の手にかかったら、子供に等しいだろう。アンドルー・ペニングトンの頭に、この考えがひらめいたことを、僕がこの目で見たんだよ
不死人にも等しい健康な肉体を保ち、みずからの愚かさ以外の原因では死ぬことのない人間が、蟻塚からあふれでる蟻のように、次から次へと子宮からあふれだしてきた
この時には彼は、この緩《ゆる》やかな坂になった大通りが、世界有数の有名な通りであるランプラスであって、ロンドンのピカデリー、パリのシャンゼリゼー、ニューヨークの五番街と等しく知られているのだとは夢にも知らなかった
「引き出されたというのは、ほとんど全額に等しい額の小切手が切られた、という意味なのです
我が初の数《すう》《けつ》を歌ひて聞せし霊《たま》等は
お前さんがあいつ等に天の光の影をお遣りなさらなかったら、
あいつ等に附けて置いて、悪魔として為事をさせるのだ
死ぬべきもの等《ら》に喜《よろこび》あれ
われ等、主《しゆ》にまつろへる女《おみな》子《ご》は
君、来給え。あいつ等の行く方へ附いて行《い》こう
尨《むく》犬《いぬ》です。あいつ等の流義で、御苦労にも
あいつ等はあなたを誘い出すのです
あいつ等の鼻の穴から蛆《うじ》を引き出すのは、
僕は賭をしよう。あいつ等は山師だよ
悪魔はあいつ等には分かりません
なんでもあいつ等はライン地方の奴だぜ
僕はこっそりあいつ等を追っ払ってしまおうと思うのだが
今こいつ等と遣るような会話が
この目がどうかしていなけりゃあ、あいつ等は二人連だな
あはれわれ等、何をか願ひ、何をか恋ふる
ふくろふ、たげり、かけす等も、
われ等を怖れしめ、捉へんとす
咀われたやつ等《ら》め。好くもそんな事が出来るな
これがわし等の楽人だ
こいつ等を詩の女神にして持ち出すことなら、
この間、自ら創刊した『しがらみ草紙』等を舞台に「即興詩人」「雁」「阿部一族」「渋江抽斎」「歴史其儘と歴史離れ」「審美論」等、翻訳、創作、評論、研究に目覚しい業績を残した
われ等若きフィレンチェの女《おみ》等《なら》は、
なぞとや仰する。われ等はそを功《いさお》ありとし、
われ等が造りなせる、このかゞやく花は
われ等庭作の女《おみ》等《なら》も
われ等の伴うを許せ
さわなるを、われ等も積み飾らん
あいつ等も天使としての名聞を思わずに、
あいつ等はどこへ歩いて這入るか知らないのだ
男、女《おみな》、穉《おさ》子《なご》等を嘲み笑はんとす
われ等は善き人の友なり
そは皆われ等の咎《とが》にはあらじ
われ等の忍べるごと、おん身等も忍べかし
われ等をこゝへ牽《い》て来ませるこの神を
その時われ等、土《つち》蜘《ぐも》の巣なす家を、
悪霊どもがわれ等を侵そうとする時には、
あいつ等は別の地獄にすんでいるのだ
おん身われ等を造りましぬ
それには似ずて、蝨《しらみ》等は
見たく思った女共だ。そいつ等と
(これより先《さき》、スフィンクス等の間に坐を占む
ここなんぞはあいつ等の覗《ねら》って来そうな所だ
あいつ等がいたら、証人になるだろう
あいつ等は己をオオルド・インイクウィチイと云った
聴き給へ。われ等こゝに群《むれ》なして、
彼《かの》女《おみ》等《なら》は醜き角《くま》鷹《たか》の爪を
(スフィンクス等に。)
われ等の住む野へ来まさば、
(池沼、ニュムフェエ等に囲《いに》繞《よう》せられたり
われ等さやぎ、そよめきつゝ、
歌はむは、われ等に似附かはしかるべし
楽める貴きまらうど等。
われ等を濡らす所に行かむ
最《もと》も小さき侏《しゆ》儒《じゆ》等には
あいつ等は鎖を拵えおる
テッサリアの奇《く》しき女《おみ》等《なら》、
ネエレウス族とトリイトン等と
優しき歌われ等を誘ふ
見給へ。われ等は喜ばしさの余《あまり》に、
舟摧《くだ》けて沈みし宝を、われ等がために、
われ等は見ばやと思へり
ネエレウス族とトリイトン等と
われ等の日に逐はれざらむために
ネエレウス族とトリイトン等と
われ等の手に載せ、かしづきて来ぬるもの、
われ等が傅《かしず》きて来ぬるは神々ぞ
ネエレウス族とトリイトン等と
われ等おん身等に及ばず
ネエレウス族とトリイトン等と
ネエレウス族とトリイトン等と
ネエレウス族とトリイトン等と
われ等は知らず
そもわれ等に憐を垂れ給ふらめど、
祈る習をわれ等は棄てじ
ネエレウス族とトリイトン等と
この祭執り行ふわれ等の誉
(ネエレウス族とトリイトン等と過ぎ去る
三《みつ》股《また》の杖を鍛ひしはわれ等なり。
果しまして、火の如く赫く目してわれ等を見給へり
彼神の御《みこ》心《ころ》に《かな》へり。われ等の周囲《めぐり》を
あいつ等はその形を金で鋳て、
われ等の祭は闌《たけなわ》なり
われ等キプリスの車を蔵《おさ》め持《も》たり
われ等ひそかにいそしむもの等は
逞しき女《おみ》等《なら》、ネエレウスのたけき族《うから》
ルナの神よ。われ等に光と陰とを借させ給へ
われ等は父のみ前に、願ふ心もて、
夫《おつ》等《とら》を率《い》てまゐりぬ
われ等の救ひ出《い》だしし若者等なり
その光はわれ等の賜ぞと、まめやかに
熱き口《くち》附《づけ》してわれ等に報いつ
父君、われ等の業《わざ》を褒めまし、
われ等の享けし楽《たのしみ》をゆるしまさば、
めぐしき童《わら》等《わら》。われ等は惜めど、
われ等すなほなる舟《ふな》人《びと》の子を、
余所の努力を食い潰す奴《やつ》等《ら》奴《め》
滅びた時、あれ等が尽してくれた誠実を、
いるはずだのに、あれ等のしてくれた奉公もある
お前達、陰気な、円《まる》まっちい慌《あわ》者《ても》等《のら》奴《め》
あれ等には、まあ、臆病がらせてお置《おき》
いつもそいつ等の中心になって、
あいつ等を集めたものには、利運が向きますよ
あいつ等は物の体《たい》と影とを分けて使う
あいつ等を早速逐い退《の》けて遣りました
あいつ等もやっぱり悪魔だ
あいつ等と仲直りの出来ぬ喧嘩をしている己ではないか
愛の等よ。
己《おのれ》を咀ふもの等を、
われ等が救うことが出来る
われ等の訴ふるを聞き給へ
悔を知る、優しきもの等よ。
近《ちか》比《ごろ》伊庭孝君は同書の中の痴人と死との誤訳を指摘してくれられた。それ等も改版の折に訂正したく思っている
新詩社に加わり、『スバル』『明星』等に耽美的作品を発表
逍遙、鴎外を顧問に「ヘッダ・ガブラー」「ファウスト」等を上演した
鴎外は「追儺」「電車の窓」等の短篇をはじめ、詩、評論、翻訳を多数発表した
この間、自ら創刊した『しがらみ草紙』等を舞台に「即興詩人」「雁」「阿部一族」「渋江抽斎」「歴史其儘と歴史離れ」「審美論」等、翻訳、創作、評論、研究に目覚しい業績を残した
すみずみの戸棚には、いろんな水さし、緑色や水色のフラスコ、彫刻の施された銀の大杯、三人も四人もの手を渡って、あらゆる手段方法によって、ブーリバの客間へ納められた(こうした戦乱の時代では、これはきわめて普通の事であった)ベネチア、トルコ、チェルケス等の、各地の産なる金ぴかの盃などが、ずらりと並べられてあった
廠舎隊がぞくぞくと繰り出した。――ウマンスキイ、ポポイチェフスキイ、カネフスキイ、ステブリコフスキイ、ネザマイコフスキイ、グルグズイフ、トゥイタレフスキイ、トゥイモシェフスキイ等の率いる廠舎隊が、相次いで出動したのである
が、誰よりも長く寝なかったのは老いたるタラス・ブーリバで、アンドリイが敵軍の中に見えなかったのはどういうわけだろうと、絶えずそのことを思いふけっているのであった。ユダにも等しい裏切者が味方に向かって打って出ることを恥じたのか、それともあのユダヤのやつめが俺をだましたのか、せがれは単に捕らわれているだけなのではあるまいか
ダッタン人の追撃におもむこうと決心した連中の間には、善良なコサックの老人チェウェワットゥイを始め、ポコトイポレ、レミッシ、プロコポウィチ・ホオマ等の面々が控えていた
ともあれ、死というものは、偉人にあらわれても、小人にあらわれても、等しくおそろしいものである。つい先ほどまで歩いたり、動いたり、ホイストをやったり、いろんな書類に署名したりして、またしょっちゅう役人たちのあいだにまじって太いまゆをうごかし、左目をぱちぱちさせていたのが、いまは卓の上に横たえられ、もはや左目はぴくりともうごかないのだ
それは、あるいは暗い姿をとるかもしれないし、あるいは世界を喜悦《きえつ》させる明るい光明となってあらわれるかもしれないが、いずれにしても等しく人間には知るすべもない超自然の意志によって呼び出されるのである
というのは、ゴーゴリによって写実主義の道が開かれ、その道をたどりながら、ドストエフスキー、トルストイ、ツルゲーネフ、チェーホフ等の大作家がロシア文学の黄金時代をつくり上げ、その伝統は今日につづいているからである
『死せる魂』における写実主義、現実に対する芸術的判決、仮借なき風刺の精神は、その後継者であるドストエフスキー、トルストイ、ツルゲーネフ、ネクラーソフ、チェーホフ、シチェドリン等の作品の中にも、永遠に生きているのである
ドストエフスキーが「われわれはみなゴーゴリの『外套』から出た」と言ったのは有名であり、しいたげられた人々の描写はロシア散文のおもな流れの一つとなり、ツルゲーネフ、ドストエフスキー、ガルシン、コロレンコ、チェーホフ、ゴーリキイ等の作家が、ゴーゴリの遺産を受けついだのである
その他、赤、黒、金色《こんじき》、緑、灰色、ばら色、むぎわら色、真珠母色、等、等、ほとんどあらゆる色が彼女の絵具箱から飛びだして、華やかな色彩のシンフォニーをかなでている
彼は、我々白人は到達した発達段階からして『彼らにとって、超自然の存在のように必ず見えなくてはならず――我々は彼らに神のような力をもって近づかなければならない』等といった議論で始めていた
僕は、何だっけ、愛、正義、人生の行ない――等について、これらのすばらしい独白を聞いていなかったということを彼は忘れていた
日本で『青春』『台風』等が早くから翻訳され、海洋作家として広く知られている
その他、『ナーシサス号の黒人』『ノストローモ』『密偵』『西欧人の眼に』『勝利』等がこれまでに翻訳されている
苦力《クーリー》のべつの一群が、死地を求めるのにも等しく、釘づけの艙口《ハッチ》を破って水びたしの甲板に逃がれようと梯子にとりついていたが、前と同じく落ちこぼれて、ジュークスは地すべりに埋められた人のように、かれらのなかに姿を消してしまった
実際に、コンラッドは十七歳から三十七歳まで船員生活をし、イギリス商船の船長として、アジア、アフリカ、西インド等、世界のあらゆる航路に航海の経験を積んだ人である
一八九七年の『ナーシッサス号の黒ん坊』The Nigger of the "Narcissus"、一九〇〇年の『ロード・ジム』Lord Jim、一九〇四年の『ノストロモ』Nostromo 等が有名であるが、『ノストロモ』はコスタグアーナ Costaguana という南米の架空の国を設定しての政治小説で、これをコンラッドの畢生《ひっせい》の傑作と認める人が多く、二十世紀の英語小説中の最高作とさえ激賞する批評家もある
だが一体全体あいつ等はなんの役に立つってんだ、知りてえもんだ
わしは、一日中でも、船の沈むのを見物しながら、プカプカ煙草をふかしていられるわい。なぜ、あいつ等は、わしのパイプを戻してくれんのじゃろう
『船はピンクの蝦蟇《がま》でいっぱいでしたぜ、ねえ、それで、わし達ゃ、ごく内密に、そいつ等を洗い流しちまわなくちゃいけなかったってわけでね』
進んでそれと正面からぶつかろうとしていた、そしてそれの可能な唯一人の男の取り調べは、すでに判明している事実のまわりを無駄に堂々めぐりするだけで、それに投げられる質問遊戯は、金槌で鉄の箱の外を叩いて、中味を見つけようとするに等しかった。とはいえ、畢竟公式調査とはこういったものである
まあいい……僕がやっとブリッジに着くと、あいつ等はボートの一つを敷台からはずしていた
『やつ等は、ぼくをさんざん罵倒しました』彼の声はささやくように低くしずみ、ときどき、ひどく嫌悪するものの話をでもするように、はげしい軽蔑をこめて急に大きくなった
』と彼は無鉄砲に叫んだ。『あいつ等は、自分の言いたいことを言えばいい
最初は夜、もしあいつ等がいなかったら、あるいはそうしたかもしれない……いや! 金輪際しない
『行ってしまった……病院へ行ってしまった……あいつ等は一人として、それに正面からぶつかろうとしない……あいつ等は!……』
しかし実際には、それ等こそ彼を所有し、それ等こそ、彼の最も奥深く秘めた思想までも、血の最もかすかな動きまでも、彼の最後の息までも、我が所有《もの》にしていたのだ
そして、あんな凄い悪魔にリードされとる攻撃隊に、どうしてわし等が低抗できよう
その中の一人は、前方の樹陰に立って、長い銃身によりかかり、村人たちにさんざんお祈りや悔い改めをさせ、そのあげくに、――お前達の中にいる異国人を皆殺しにしろ、そいつ等は異端の悪魔や、また悪魔以上の悪党ども――つまり、マホメット教徒の姿をよそおった大悪魔《サタン》の子供たちだ、と教えた
それは、諸君が夢の中で走り、髪を汗でべとべとにし、全身の関節をガタガタいわせながら、脱走できたことをよろこぶ、あの夢中の脱出計画に等しい。弾丸は突き刺さらず、亡霊を殺す刃はまだ作り出されておらず、幽霊の喉を締められる人間はまだ生まれていない
そのあとで、この新しい同盟者どもは料理してしまえばいい。あいつ等には友人はいないだろう――
俺の部下どもは――まあ――あいつ等はどうだったにしろ――俺ゃとにかく、あんな野郎に生命乞いはまっ平さ
この俺が無害同様で餓死しかかってる時に、そいつ等が無害だなんてことを考えていられると思うのか
こんな時笑うなんて場違いだんべ。あいつ等は、人を殺したくてがつがつしてる血に飢えた盗人どもでねえのか
そこで死の床に友人の司教を呼んで、自分の計画を打ち明け、二人の子供のために等しく分配された、莫大な遺贈金の人った紙入れを渡し、二人の遺子の教育を司教に頼み、法律の規定する成人の年齢に子供が達したら、彼らの手に帰着すべき遺贈金を、それぞれ二人に返してやってほしいと言い添えた
小説「ゾロエ」の背景となっている時代は、テルミドールの政変によってロベスピエール一派を倒したバラス、タリアン等が、五人の総裁政府をつくった後、やがてナポレオンの執政政府に政権の座を譲り渡そうとしていた反動時代である
創造されたものが創造者と等しいなんて、あり得ないことだよ
そしてユダヤに姿をあらわすやいなや、彼はわれこそは神の子であり、父なる神と等しきものである、などとほざき、かくしてその狂気沙汰がはじまるのだ
そしてこの幸福とは、われわれが自らかくありたいと願うと等しく、他人をも幸福にしてやることによって成立するのであることを、彼らに教えてやらねばならぬ
それは市民のあいだに完全な平等を維持し、彼らすべてをして等しく所有権擁護の法律に従わしめることではないか
強姦《ごうかん》すらこの権利の一つの帰結であるからして、われわれはこの手段をも等しく使用することができる
だから、もしも人間と諸動物とのあいだのこうした類似が、哲学者の鑑識眼をもってしてさえいかなる相異点も認められがたいほどに、厳密に近しいものであるとしたならば、動物を殺すのは人間を殺すのとまったく等しい悪事であるか、さもなければ、どっちの場合も取るに足らないことであるか、そのどちらかでしかないだろう
諸君はいま、人間を破壊することも動物を破壊することも、まったく等しいことにすぎないのを認めないわけには行くまい
グラス家の居間は、ペンキを塗りかえる準備など、およそできていないというに等しかった。フラニー・グラスがソファーの上で、アフガンをからだに掛けて眠っていたし、ゆか一面に敷きつめた|絨毯《じゅうたん》は、取りのけてもなければ、壁ぎわのあたりでめくりあげてあるわけでもなく、そして家具は――一見、家具の倉庫で――いつもどおり、静的=動的に配置してあったのだ
すると、レーヴィンは、キティが彼のたくましい手にいかにもゆっくりと優しく口づけするのを見て、これまでほとんど未知に等しかったこの男にたいして、新しい愛情が全身に湧きおこるのを感じた
そして、じっさい、ここに現存する書物その他をかなりじっくりと調査してでもみないかぎり、そのかつての居住者がふたりとも、この部屋の秀れて児童向きな容積の中で選挙年齢に到達したという確かなしるしは、あるとしてもほとんどないに等しかった。また、どちらの机の上にも、タバコの焼けこげがかなりな数、あった
おそらく、途中で折れている長い廊下、プラス涙の余波、プラス電話のベルの音、プラス塗りたてのペンキの匂い、プラス足もとの新聞紙が――おそらくは、こういったものすべての総計が、彼女にとっては、新しい、おもちゃの乳母車に等しかったのであろう。いずれにしても、彼女が両親の寝室の戸口に行きついたころには、彼女の、注文じたての、タイシルクの化粧着は――たぶん女子寮ではシックで最高に性的だとされているものすべての象徴なのだ――まるで、子供の、ウールのバスローブに変わってしまったみたいであった
第一期(二十八歳から三十三歳頃まで)は、処女作『アンディアナ』に続いて『ヴァランチーヌ』『レリア』『ジャック』等の作が書かれた時期で、おおむね不幸な結婚に苦しむ男女を主人公として、宗教と制度の束縛に対する叛逆と、情熱の神聖を説く作品によって占められている
第二期(四十一歳頃まで)は、彼女が新たな愛人たる社会主義者ミッシェル・ド・ブールジュの影響のもとに政治問題に熱中する時期で、社会主義の領袖ルドリュ・ロラン、ピエール・ルルー、アルマン・バルベス、ラムネー等の思想的感化を受け、『スピリディオン』『フランス遍歴の職人』『コンスュエロ』『アンジボーの粉ひき』『アントワーヌさんの罪』など、いわゆるユートピア社会主義的な傾向の強い社会小説が書かれた
第四期(七十二歳まで)は、いよいよ晩年に入ったサンドが、孫たちのよき祖母としてまた「ノアンの奥様」として村人に親しまれ、静かな余生を送りつつ、第三期の作風をさらに発展させて、フランス各地の自然や都市を背景とする優美な社交界の恋物語を次々に書き続けた時期で、『ボワ・ドレの名士たち』『ジャン・ド・ラ・ローシュ』『ヴィルメール侯爵』『一少女の告白』等「都会《まち》の牧歌物語」ともいうべき作品が数多く書かれている
また、本作品の内容 を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します
また、本作品の内容 を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します
大地をたたくにも等しい確実無比な実例が、
そして「人間」を描くドラマとして、喜劇・悲劇・ロマンス……等の各様の方法・態度がある
疫病《えきびょう》にも等しい習慣などというものに左右されて、
なぜならばこの劇において、アントニーの演説や悲嘆のことば等によって、シェイクスピアはジュリアス・シーザーを理想君主のイメージにもどしているからである
世の中から追放されることは死にも等しいのです。ですから追放というのは
この恥辱を追いはらうためには、死にも等しい決心がいるのだが、
『オセロウ』、『リア王』、『マクベス』、そして『アゼンスのダイモン』、『アントニーとクレオパトラ』、『コリオレーナス』等、古い時代から、新しい時代への移り変わりは人間観、世界観、宇宙観の変化とともにこれらの悲劇に反映されている
いわゆる問題劇といわれる『末よければすべてよし』、『以尺報尺』、『トロイラスとクレシダ』等がこのような創作態度のあらわれた作品である
それは王様ご自身、王様はご自身の神聖な名誉も、王妃様の名誉も、将来あるご子息のも、生まれたばかりのお姫様の名誉も、その切っ先が剣よりも鋭い中傷に引き渡してしまわれました、そして一度だってご自分のお考えの根を除こうとはなさらないのです、――と言いますのは、現在のような事情ではそれは呪いにも等しく、だれ一人として強硬手段をとる事ができませんので――その根がくさっている程度は、樫の木や石が堅固であったのにも匹敵します
だが、これを許すことは死にも等しい。
(20) One inch of delay more is a South Sea of discovery. 直訳すれば「あと一インチ引き伸ばすことは、南海への探索旅行に等しい(要するに、ものすごく長く思える)」ということだが、ニュー・ケンブリッジ版がもう一つの解釈として挙げた If you delay your answer any longer, I shall inundate you with further questions - or even reveal (discover) my true identity. を採った
胃袋は微笑を浮かべて、といつても心の底からの笑ではない――解るだらう、思ふに胃袋にしても口をきくからには笑ひもするといつた程度の事さ――詰り、嘲笑する様に答へたものだ、その不平不満の輩、胃袋の取分を猜《そね》む謀反人共にな、いや、そいつ等の言ひ分も尤もさ、元老達が自分達の様に働かないといつて文句を附けるお前達と同じ様なものだ
畜生め等! 貴様等を信じるだと
マーシャス 畜生め等! 言つてゐるだと
マーシャス 奴等はもう解散した、畜生め等! てんでにひもじさを訴へ、諺を次から次へと吐き散らす始末――曰く、餓ゑは石壁も穿ち破る、犬も食はずば生きられず、肉は口の為にあり、神は穀物を金持の為に贈りしものにあらず、まあ、かういつた類《たぐひ》の諺の切れ端を並べ立て、自分達の不平不満の捌け口に利用した、それに対して貴族達は適当に答へ、奴等の請願を受容れてやつたのだ――全く考へられない話さ、そんな事をしたら、貴族は打撃を受け、その権力はやがて地に墜ちる――が、それで、奴等は帽子を天まで抛り上げ、歓声を挙げて大喜びさ
マーシャス 行け、家へ帰れ、このぼろ屑め等!
あの子がかう地団駄踏んで叫んでゐるのが聞えて来る様だ、「ええい、附いて来い、臆病者め等! ローマで生れたといふのに、恐怖の産湯でも使つたのか」と
この畜生め等――膿み爛れた腫れ物が体中を覆ひ、目に見えぬほど遠く離れた連中にも忌み嫌はれ、一哩も風上にゐる奴等にまで片端から病気を移しやがれ
座蒲団、鉛の匙、鐚銭《びたせん》で手に入る剣や短剣、何でもいい、首締め役人さへ鼻も引掛けず死人と一緒に埋めてしまふ様な胴着まで、この奴隷め等、まだ戦も終らぬうちから荷造りしてゐやがる
コミニアス 今日の君の武者振りを、たとへ私が君に話して聴かせたとしても、恐らく君は信じまい、しかし、私はありのままを報告する、元老達は感激の余り、泣いたり笑つたり大騒ぎするだらう、貴族達は耳を聳て、或は疑ひもしよう、が、最後には皆、君を礼讃する、女達は怖がりながらも、喜びに興奮し、もつと話してくれとせがむだらう、それから例の護民官め等、悪臭芬たる平民共に身方して君の名誉を憎んではゐるが、奴等もつい己れの心を裏切つて、かう呟くに違ひ無い、「神のお蔭だ、吾がローマがこの様な勇士を生んだのも」と
コミニアス 君自身と雖も、自分の手柄を墓の下に葬り去る事は許されない、ローマは吾が子の値打を知るべきだ、君の功績を隠すのは、それを盗むより悪い、いや、それは汚名を着せるにも等しい所業だ、絶讃の言葉を以てしても決して褒め過ぎとは言へぬ行為を黙つて見過すなど、どうして出来よう、この上は黙つて聴いてゐてくれ、それも君といふ人物の存在を確認するだけだ、君の行為に対する報酬ではない、吾が軍の将兵を前にしてそれだけは言はせてくれ
第一の市民 俺ならその倍は大丈夫、それにそいつ等の仲間も引きずりこんでやる
民衆共はこんながらくた護民官をどうしようといふのだ、こんな奴等に頼つてゐるから、元老達の言ふ事が聞けなくなる、それが解らないのか? もともとこいつ等は資格の有無より、暴動を抑へる為に止むを得ず選ばせただけの事だ、事態が納つたら、有無を言はせずこちらの考へを言つたらいい、こいつ等の権力など、塵芥の如く掃き捨ててしまふに限る
ブルータス 種は解つてゐる、弱虫め等がマーシャスを呼び戻さうとして流した噂だ
神がお前の怒りを鎮めてくれる様に、そしてその残り滓を、それ、ここにゐる奴等の頭上に浴びせ掛けてやれ、こいつ等がいけないのだ、二人の間に立ち塞り、俺をお前に会はせてくれようとしなかつたのだからな
だが、これには五六十語の誤植と思はれるものがあり、必ずしも善本とは言ひ難いが、それ等の誤植が卻つて信用度を高めてゐると言へるのである
タマラ お待ちを、今は兄弟にも等しきローマの御一族
マーカス その名も高きタイタス、吾が魂にも等しきタイタス――
サターナイナス お前を抵当《か た》にこいつ等の身柄を任せる訳には行かぬ、お前はこの身に附いて来るがよい
おお、お前の心が読めさへしたら、その野獣が誰か解りさへしたら、そいつ等に罵詈雑言《ばりざふごん》を浴びせ掛け、少しは鬱憤を晴せように
少年 僕なら、お祖父様、僕が大人だつたら、あいつ等が母親の寝室に逃込んだところで無事には済まさない、皆このローマへ軛に繋がれて連れて来られた卑しい奴隷なのだもの
では、これにて御無礼……(傍白)どころか、残忍極まる悪党め等。(退場)
あの爺、こいつ等の罪を嗅ぎつけたな、武器を包んで贈つて寄越したその巻物の文句、それが見事、いや、こいつらにはとんと通じぬらしいが、二人の急所をぐさりと突いてゐる
(子供を乳母から奪ひ、剣を抜き放つ)待て、人殺しの悪党め等! 貴様達は自分の弟を殺さうといふのか
やい、やい、すつかり逆上《の ぼ》せやがつて、頬ぺただけに血を吸上げて肝腎の心臓は空つぽの臆病者め等! 塗りたての白壁《しろかべ》野郎
ルーシアス おお、残虐な、獣同然の恥知らず、貴様に退けを取らぬ悪党め等!
それ、お前の側に「凌辱《りようじよく》」と「殺人」が立つてゐる、さあ、お前が「復讐」の女神だといふ確かな証拠が欲しい、今直ぐにもその二人を刺し殺すか、それともお前の戦車に括《くく》り附けてそいつ等の胴体を真二つに引裂くかして貰ひたい、さうすれば俺もそこへ降りて行き、お前の馭者《ぎよしや》となつて共に地球の囲《まは》りを駆け巡らう
悪党め等、恥ぢて慈悲を乞ふ事すら出来はすまい
のみならず、改訂版が火事で焼けて失はれたといふのでは、物的証拠は固より状況証拠としても殆ど無きに等しい。三百年も前の話では、在つた物が焼失してしまつたといふのと、初めから存在しなかつたといふのと、その差は全く零である
尤もイタリア語からの飜訳は散文であり、殆ど粗筋に等しい詰らぬものである
だが、これ等はいづれも私には承服出来ない
見物の椅子、クッション等を配置する
「未だ嬰児《みどりご》にも等しい私の運が開け、やがて成年に達する時も来よう、その時はいづれ」などと抜かしやがつた、それから「吾がハリー・パーシー」とか「吾等が身内の頼みの綱」とか、憶出せば切りが無い、ああ、悪魔の奴、何だつて放つて置くのだ、あんないかさま師を
こいつらを引連れてコヴェントリーの街中が歩けるものか、解り切つた事よ、厭な事だ、あの畜生め等、行進するのに両股を拡げやがつて、まるで足枷でも嵌められた様に歩きやがる、尤も、正直の話、大抵は監獄から引張つて来た連中だからな
ブラント そいつ等の言ふ通りだ
しかし、このやうに国王に刃向はんとして帰国し、おのが意のまま、自分の道を切り進まうとするのは、邪《よこしま》な法を以て正しき目的を達せんとするに等しく、天が下に許されまじきこと
天が与へ給うた手立ては、必ずこれを用ゐねばなりませぬ、蔑《ないがし》ろにするのはもつてのほか、もし天がこれを欲し、われらがそれを欲せざる時は、みづから天の御《み》恵みを拒否し、天佑神助を《しりぞ》くるに等しい所行と存じます
オーマール 私の父は僅かながら一群の手の者を率ゐてをります、それにお訊ねになり、一挙手一投足、もつて五体の働きに等しい力を発揮し得る法をお考へ下さい
リチャードは初めから負け戦さと決めて、牢に押し込められるまで筋書どほりの芝居を演じ通す。ノーサンバランド等に向ひ、「所詮、お前らはみんなピラトだ、かうしてこの私を酷い十字架に附けるのを許したではないか」と言ふ
しかし、両家共に等しく重罪を課する、流された吾が一族の血を共に悔いるがよい
その魅力についてはコーリッジ、ドライデン、ジョンソン等が口を揃へて激賞してゐる処であり、誰も難癖は附けられまい
ヴィオラ 片想ひの標《しるし》の柳の枝で御門前に掘立小屋を造り、お邸《やしき》に向つて吾が魂にも等しき姫君の名を呼び立て、蔑《さげす》まれた恋の切ない唄を作り、たとへ真夜中であらうと、大声張上げ、それを歌つてお聴かせします、それ処か、姫君のお名を辺りの山も響けとばかり呼び立て、おしやべりの空気のこだまに乗せて叫ばせませう、「オリヴィア
そしてこの雑誌を中心として、彼の周囲には、アラン = フルニエ、ロジェ・マルタン・デュ・ガール、ヴァレリー・ラルボー、ジュール・ロマン、ジャック・リヴィエール等の若い有望な人々が集まった
一八八八年(明治二十一年)十九歳 アンリ四世校に転校。スピノザ、ライプニッツ、デカルト、ニーチェ等の哲学書を読みふける
まことに、わたしはこれまで、博言学の研究に従い、例えばラテン語の変形におけるゴティックの影響部分を確定するに没頭して、テオドリック、カシオドル、アマラゾント等の面影や彼等の眼ざましい熱情を無視閑却し、記号と彼等の生活の滓《かす》とのほかには感激を求めずに来たのであった
わたしにはよく見当のつかなかったことだが、うちは六人の小作人を持っていること、一万六千乃至八千フランの小作料が取れる筈であること、それがやっと半分しか手にはいらないと云うのは殆ど全部が各種の修理や仲介《なかだち》の支払に吸収されてしまうためであること等を、彼は教えてくれた
その他、アラン「情念について」「音楽家訪問」ミルン「赤い館の秘密」等の訳書がある
鉱油の方は、工場、作業場、ガレージ等に勤めたか、しばしば出入りしたことを物語っています
彼らはおたがいに相手の姿を見ていないに等しかった。ベッドの上にだれかが倒れていたが、そちらに注意を向ける余裕もなかった
さっきの無茶苦茶な飲みっぷりは、毒薬をあおるにも等しいものだ。頭痛に襲われたのにちがいない
その上、かつてあの女の夫であったという等ぼくの記憶――この記憶は、いまと同じく、そのときもまた、ぼくにとっていいようもなくおぞましいものであった
前貸しなんかしてくれるものか……レナードやオハラランやノージイ・フリン等の仲間と会う場所はわかっている
義にかなうものにもかなわざるものにも、聖者にも罪人にも等しくこの静修が忘れがたきものとなりますように
――しかもこの火の力と性質と涯しのなさについて私がお話ししてきたことも、その火の猛烈さ、魂と体とを等しく罰せんがために、神意により選ばれた手段として、それが有している強烈さに比べれば、ものの数ではありません
――一番最後に、そういう詛われた霊魂にとって、誘惑したものも、されたものも等しく、悪魔と共にあることの恐ろしい責苦を考えてみましょう
そして自分は「永遠《とこしえ》にメルキゼデクの位に等しき祭司」(詩篇、ヘブル書その他)となるのだ
この年にイェーツ、レイディ・グレゴリー、ジョージ・ムア等が「アイルランド文芸劇場」を計画した
『ユリシーズ』を容易に読むには、比較言語学と文学の博士号を持っていなければだめだし、かろうじて読むにも、ジョイスの他の作品と彼の生涯、ホメロスの『オデュッセイア』、フレイザーの『金枝篇』等を知っていなければならないし、むろん英文学史、アイルランド文芸復興、アイルランドの政治、ローマン・カトリックの典礼についての相当の知識を持っていなければならないという
きわめて漠然《ばくぜん》とした感じ方ではあったが、彼の青春の残骸《ざんがい》や墓標、昔の友人たち、たしかな手で彼を招きよせる良き時代の色香、そうしたものの探索に戻ってゆくのは死に等しいことのように思われた
なぜなら彼にとって、自分の本当の娘にも等しいこの二人の少女は、彼の愛する唯一《ゆいいつ》の人間だったから
そこには、いまだなお二〇年代の暗さがつきまとってはいるものの、しかしあきらかに前代と区別しうる要素、いうならば人間性に対する愛情の回復、建設的志向、積極性、オプティミズム等を指摘しうるのである
宛名は「パルマ大司教区首席副司教、司教区参事会員……等、ファブリツィオ・デル・ドンゴ猊下《げいか》」となっている
運命をも人間をもまったく信じなかったにもかかわらず、この瞬間の彼の心は幼児のそれに等しかった。三時間前に教会のなかで震えていたあの一瞬からもはや数年の歳月が過ぎ去ったように彼には思えた
小生も彼にいささか神学を教えておきましたが、ボスュエ、アルノー、フルーリ等の、古くかつ有益な神学であります
彼らは君のことを自分らと身分の等しい人間でいながら、不当にも自分らより高い位置につけられたのだと見るだろう
そういうことがあったときには、ここに送る手稿の固有名詞を消して写しを八通つくり、マルセーユ、ボルドー、リオン、ブリュッセル等の新聞に送ってもらいたい
たとえば、『知事殿』と題する小説その他二十冊ばかりの作品のあるド・ラ・モット・ランゴン男爵がそれです。ポール・ド・コック、ヴィクトル・デュカンジュ等の諸氏も、小説と同時に悲劇やメロドラマを書こうと決心しなかったとすれば、ド・ラ・モット・ランゴン男爵と同じくらいパリでは知られなかったでしょう
遠くからでも近くからでも、その魅力は、等しくほれぼれと見事なものに映った
セヌセの恋が彼女に与えたすべての喜びも、この長い一夜の彼女が陥った極度の苦しみの前では、もはや無いに等しかった。こうしたローマ女の魂は、他国の女たちの知らぬ激しい苦しみのエネルギーの財宝を持っているのだと言えるかもしれない
それは奇跡にも等しいと言いうるほどである
ジュリヤンは、だれもがほとんど例外なく、上《・》等な生地の《・・・・・》服を着ている人間に本能的な尊敬をはらっているのを知った
〈フランス小説史における『赤と黒』〉 フランスの小説は十八世紀にはいると、真実な恋愛の姿を追求したアベ・プレヴォーの『マノン・レスコー』(一七三一年)によって、冒険小説や理想派恋愛小説の域を脱《ぬ》け出すことになり、マリヴォー、ディドロ、ルソー、ラクロ等の小説上の試みが、小説にいっそうの飛躍を促す素地を作ったが、大革命によって小説の近代的自覚の道は中断された
七月、陸軍省に辞表を出し、劇作家を志して、さかんに劇場に出入りし、戯曲の習作を試み、英語、イタリア語、ギリシア語を学ぶ。コンディヤック、エルヴェシウス等の十八世紀哲学やイデオロジー(観念論)に心酔する
そんな人間にとっては、金をなくすということは、最も衝撃的な不運であり、一瞬にして、天国から地獄へ、至福から無へと転落することに等しい。その金を手に入れるために自分の首を危うくするという高価な代償を払ったのに、愚かにもなくしてしまった財布のために、明日首を吊《つ》られるかもしれないとすればなおさらのことである
作品の永続的価値については、作者自身疑念を持っていたようであるが、『宝島』や『ジーキル博士とハイド氏』『新アラビア夜話』『水車小屋のウイル』等の短編、『若い人々のために』『旅は驢馬《ろば》をつれて』等のエッセイは、作者の死後百年以上たった今日でも、広範な読者層から愛好されている
また、『ハーミストンのウィア』『バラントレイの世嗣』等の後期の作品は、物語のおもしろさだけでなく、レアリストとしての観察眼によって、芸術的深みを増している
スティーヴンスンは稀代《きだい》の文章家といわれ、文章にもっとも意を用いた作家の一人であるが、このころから文章修業を怠らなかった。モンテーニュ、ハズリット、ラム、サー・トマス・ブラウン、デフォー、ホーソン等、内外の偉大な先輩作家たちの文章を模倣し、文章の彫琢《ちょうたく》に心がけた
フランス文学に興味をもち、セーヌ川のほとりの古本屋から本を買いあさり、デュマ、モリエール、ヴォルテール、ロシュフーコー、ボードレール、フローベル、アナトール・フランス等の作家たちのものをかたっぱしから読んだ
今日伝わっている詩集には『形見』『遺言書』等があり、その放浪生活から得た人生模様が巧みな才能で語られている
われわれは大量の火薬と弾丸《たま》、山羊の塩漬け肉の大部分、かなりの薬品、その他の必需品、道具、衣類、予備の帆布、一、二|尋《ひろ》の綱、それに先生の格別の希望で気まえのいいタバコの贈物、等をあとに残すことにした
制作の上でもこの最後の六年間は多産で、『カトリオーナ』、『難船掠奪船』、『ひき潮』、『島の夜ばなし』等の成熟した作品が生まれた
両親と和解し、それから数年は夏はピトロクリ、ブレエマー等の避暑地に住み、冬はスイスのダヴォスに避寒し執筆に専念
遺言状には、医学博士、民法学博士、法学博士、王立協会員、等、等、であるヘンリー・ジーキル死亡の場合は、その所有財産はすべて、「友人にして恩人たるエドワード・ハイド」の手に譲渡《じょうと》すべきこと、なお、ジーキル博士の「三カ月以上にわたる失踪《しっそう》、もしくは理由不明の不在の場合」にも、前記エドワード・ハイド氏は、遅《ち》滞《たい》なく、前記ヘンリー・ジーキル氏の財産を相続し、博士の家人に対して、少額の支払いをなす以外には、なんらの義務または責任を負わざること、が規定されている
そしてこの最後の六年間は健康にも恵《めぐ》まれて、『バラントレー家の若殿《わかとの》』、『カトリオーナ』、『難船掠奪《りゃくだつ》船』(ロイド・オズボーンとの合作)、『島の夜話』等の成熟した作品を書き、不朽《ふきゅう》の傑作『ハーミストンのウエア』執筆中、一八九四年十二月四日、突然《とつぜん》卒中の発作を起こし、わずか二時間で息を引き取った
わが同胞の一人を捕えんとすることは、われわれすべての者を捕えんとすることに等しいのであります。根本原理《プリンシプルズ》が同じだからであります、――それは明瞭なことであります
そして、おお、この物語を読んで下さるお母さん、あなたのお宅には、それをあけることが、あなたにとってもう一度小さなお墓をあけることにも等しいような引出しや押入れがありませんでしょうか
そのうちの四十九人は死後地獄に堕され、刑罰として底のない器で水を汲むことを命ぜられ、未来永劫同じ仕事に従事しているといわれる)の努力にも等しかった。失望した彼女は、ある日セント・クレアに訴えた
多くの家庭でよく聞かれる話であるが、現在生きている子供たちがどんなに多くの美点をもち、長所をもっていても、いまは亡き子供のもっていた固有の魅力にくらべれば、それは無にも等しいのである。このことは、まるで天国には特別な役目をもった一団の天使がいて、彼らはしばらくの間この地上にとどまり、気ままな人間の心をひきつけて、彼らが再び天国へ帰る時、それを一緒にもち去ってしまうのではないかと思えるのである
獣にも等しい彼はそれを見ても何も感じなかった
その言葉は火薬庫への火花にも等しかった。思慮分別だけがこのケンタッキー男児の主徳ではなかった
そして、この母子離別のテーマは単に黒人ばかりでなく、白人の登場人物の間にも見られ、愛児の遺品を見て悲しみを新たにするバード夫人や(作者自身この二年前に幼児を失っている)、亡き母を慕い、母の愛を語るセント・クレアや、家出するレグリィの足もとに必死にすがりつく彼の母親、等の中に貫かれている
海外におけるこの作品の評判については、今さら多く語る必要はなかろう。イギリスからはディケンズ、キングズリー等が讚辞を寄せ、マコーリーはこの作品を、「アメリカが英文学に寄与した最も価値ある作品」と評した
何の関係も、何の経歴もわからず、そのうえ衣服さえつけていない男の、殺人の動機を決定することは――想像力に対しては賞讃すべき課題ではあるが――まるで四次元を具象化するに等しいものだ。たとえ、この日の面会で、クリンプルシャム氏の、過去および現在の隠された一面が暴露されたにしろ、明らかに、過去の分らぬ人間であり、現在は浴槽と警察の死体安置所という狭い範囲に局限されたもう一人の男とを、どんな風に関係づければいいのであろう
しかしそのようなお考えは、児戯《じぎ》に等しいものです。もし、あなたが社会に対して、殺人犯についての真実を発見しなければならないという義務をもっていらっしゃれば、あなたはその義務を最も有効な態度で遂行なさるべきです
すなわち、汝、故ミゲル・デ・セルバンテス・サベドラの妻、ドニャ・カタリーナ・デ・サラサル(1)が、上記ミゲル・デ・セルバンテス遺筆の労作、『ペルシーレスの苦難』に関し、出版許可、ならびに、二十年、もしくは朕のさだめる有効期間を有す版権を申請したこと、それに対して余の諮問院が受理のうえ現行印刷法のさだめる諸手続きの履行を命じたこと、当該命令を汝が履行したこと、等。よって、朕は本勅許書の授与を許可する
俗に習慣は第二の天性、断つは命を断つに等しと申しますが、このときはじめてこの諺の真義を思い知らされました
そもそも魂はみな等しいものであり、はじめは同一の集団の中で創造主によって形成されるが、やがて別々の肉体に吹き込まれてその器(うつわ)の形になじむ
王は富者にも貧者にも等しく耳を傾けて、その訴えを迅速に処理し、法が賄賂(わいろ)や血縁で曲げられることもありません
この王の場合がまったくそれであり、彼には客人たちに対する負い目が全然ないに等しかったので、客人からつけこまれる弱味もなかったわけだ
島の周囲はせいぜい十二マイルほどだが、木々はたわわに実をつけ、さわやかな水が豊かに流れ、緑は萌え、花々はかぐわしく咲き競って人々の五感のすべてを同時に等しく酔わせた
しかし異教徒の血をひく何十万という人間を根こそぎ国外に追放し、「生粋カトリックにあらずば人に非ず」とした社会において、真相はともかく、自分が純正な宗門の氏子であることを主張し、それのみか特権階級の身分を名乗る者にとって、相応の境涯にないことは存在しないに等しかった。当時の芝居に、百姓として育てられた貴族の青年が、「おまえは誰か」と貴婦人から尋ねられて、「わたしは今のところ居りません
著書に『ドン・キホーテの食卓』『スペイン・ラプソディ』『コロンブスの夢』等がある。 本作品は一九八〇年六月、国書刊行会より刊行され、一九九四年八月、ちくま文庫に収録された
コンスタンサも涙ぐみ、アウリステラも等しく同情をあらわしたので、ペリアンドロとしても救ってやるてだてを考えざるをえなくなった
なぜなら神の最大の属性は、と言ってもすべて等しいものであるが、その一つがあらゆる場所に潜在として実在としてまた臨済としてあらせられることであるからだ
この点では、天はペリアンドロとアウリステラを同じ鋳型の中で等しく造りたもうていた
奇跡にも等しいことなのだ。
なぜならアウリステラに疎まれたとしか思えなかったからであるし、また今彼女が世を捨てることは、自分に死ねと言うに等しかったからでもある。彼女と結婚できないなら、自分にはこの世に生きていく理由もなくなるのだ
島の規模はイングランドにほぼ等しいか、わずかに小さいくらいで、人間の暮しに必要なものは何でもふんだんに揃った豊かな島です
著書に『ドン・キホーテの食卓』『スペイン・ラプソディ』『コロンブスの夢』等がある。 本作品は一九八〇年八月、国書刊行会より刊行され、一九九四年八月、ちくま文庫に収録された
魚はほとんどないに等しく、ときたま肉ばなれした骨が見え隠れするだけだ
太陽から見ると、地球は全体が庭のように等しく耕されているように見えるのだ
あの悪魔らと等しかろう」
上等な餌は、距離の自乗にほぼ等しく増加することを発見したんでね
しかし、最後にすべてを篩《ふるい》にかけて洗ってみたら、残ったのはわずか二、三粒のキラキラ輝く醜聞《スキャンダル》の粒だけ、というに等しかった。
「一体、皆さんはどんな権利があれば、ここにきて、家じゅうをひっ掻きまわし、こんなにも陵辱《りょうじょく》にも等しい方法であたしを苦しめようとなさるのです
この手掛りの表徴性にメスを入れることができたとしたら、われわれは既に解決への緒《ちょ》に就《つ》いたに等しい、とぼくは思いたい」
だが、『他の条件が等しいとすれば』|cetris paribus《セトリス・パリブス》、六グレーンで必ずや致死量を構成します
僕は強力な手で――パット・ハンドで、スポッツウッドを脅かしているが、もちろん娘が彼を脅かしたのと等しいものだ。妥協する代りに――お手許拝見と出たり、投げる代りに――僕を圧倒しようとしたんだ
そのほか、組織的な捜査網によって、あの朝七時から八時までの間リヴァサイド公園で誰かを目撃した者が居ないかを探ること、スプリッグの習慣や交友関係を洗って綿密な報告を作成すること、またあちこちのポストから郵便物を取り集める際に各新聞社に宛《あ》てた封書のあったことを気付いていて、それがどのポストであったかを記憶している者が居るかも知れないという見込みで、その局区の取り集め人を訊問するため特に一名を派遣《はけん》すること、等が決められた
ファーシュの態度が歓迎とはほど遠いうえ、ルーヴルそのものがこの時間は墓地に等しい空気を醸し出している
先見の明を持つ天才である一方、異彩の同性愛者にして厳然たる自然の摂理の信奉者でもあり、神に対して永遠の罪を背負っていたに等しい。そして、常軌を逸した不気味なふるまいが悪魔的な印象を与えたことも否めない
「それぞれの項の値が、先行するふたつの項の和に等しいという性質を持っています」
信仰の大きさは耐えうる痛みの大きさに等しい、と導師は語った
その数列は、隣り合うふたつの項の和がつぎの項の値に等しいことで名高いが、隣り合うふたつの項の比がある数へ近づいていくという性質も持っている
はるか昔にそれを見たときの記憶―縦横の長さが等しい十字形をした金色の握り、三角柱の差しこみ部分、無数の小さな穴、花の紋章の浮き彫り、そしてP.S.という頭文字
「わたしが言えるのは、こんなふうに腕の長さが等しいものは平和な十字だということだけだ
世界が正気を失ったいま、ヨーロッパの多くの地域において、イエス・キリストへの愛を誇示する行為は車のルーフに標的を描くに等しい。
それはルチフェロから地表に通じる道で、その長さは地獄の入口からルチフェロまでの距離と等しい〕だった。(九九)
その二つをそなたから等しい距離に立てて、
彼は、会話の中で好んでよく次のような言葉を使う――「長談議」「でたらめ」「お茶をにごすのはたくさんだ」等、々、々
「名を偽《いつわ》って他家へ入り込み、下僕の仮面に隠れて他人の私生活を観察し、頼まれもせぬに後日その虚偽を実証せんがため、すべてを見聞きすること――すべてかかる行為を、貴下は盗賊にも等しきものと言わるるならん
小生の書簡にしてたとえいかに雄弁、強力、恐るべきものあるにせよ、所詮、棺の蓋を叩く音に等しきのみ――いかに叩けばとて、死人を呼びさますこと思いもよらず
生涯長篇を書かなかったこの人としては、長いほうに属するもので、『決闘』『女の王国』『三年』『私の生活』『百姓』『谷間』等と並んで、力作(主要作品)の部に入るべき一篇である
「燈火」は、作の年代こそ比較的前期に属するが、ひとり前期のみならず、チェーホフの全作品を通じて、「退屈な話」「六号室」等につぐ主要作品の一つであり、量的にも、この作者としては中篇として扱わるべきものである
わたしには彼らがたばこをのむこと、アルコール飲料を用いること、晩婚であること等が気に入らない
外套を着、頭布をかぶったワーリャ、ガーエフ、シメオーノフ・ピーシチック、ロパーヒン、包みと傘とをもったドゥニャーシャ、手荷物をさげた召使い等……一同部屋を通りかかる
そしてこの、没落に瀕した貴族階級(ラネーフスカヤ、ガーエフ、シメオーノフ・ピーシチック)が無気力な姿をさらして流れ去るあとへ、新興資本家たるロパーヒンが出て一応事態を収拾する一方、前の没落階級直系の新しい後継者たるアーニャ、トロフィーモフ等は、ロパーヒンとは別に、古い荘園の荒廃のなかから、どこか新しい世界を目ざして飛び出して行くという劇全体の骨子には、何か象徴的なものが漂っている……こう考えるのは少し行きすぎだろうか
夏が過ぎて夜が長くなると、恋する男も囚われ人も、等しく心の痛みを二倍も感じるようになった
「世にあるあいだ定命を待たずして死せる者なかりしとまさに等しく、いつしか死ぬことなき者、天が下に生けるためしなし
また修道院に住まぬ修道僧は水中に住まぬ魚に等しいともいうが、それはつまり修道院を出た僧侶のことである
主な作品に『公爵夫人の書』『誉れの宮』『トロイルスとクリセイデ』等がある。最後にして最大の傑作が中世物語文学を集大成した『カンタベリ物語』であり、ヨーロッパ史における偉大な記念碑の一つと称される
きゃしゃな体の女軽業師、果物売りの娘、竪琴をひく歌い女《め》、売笑婦、菓子売り等。
若きホルン物語、イポチス物語やベービスや、サー・ギーやサー・リベウスや、プレン・ダムール等の物語もあるが、なかでもこのサー・トーパスの物語は騎士道の花ともあおがれ、最大なロマンスだ
またソロモンも『他人のけんかにくちばしをいれる者は耳をつかんで犬をおさえる者に等しい』と言った
刺繍や凝った切目や、筋、波型の線、縦筋、曲線、斜線をつける等その他そういった虚飾のために布を無駄に使う費用だけではありません
そして金持だろうと、貧乏人だろうと等しく、同じ堕落した天性から育ったのです
日本的にいえば、栄枯盛衰の無情をのべることに等しい。ギリシャ悲劇も多く運命悲劇ではあるが、中世紀のものはボエーチュウスなどから出発している悲劇観であった
主な作品に『公爵夫人の書』『誉れの宮』『トロイルスとクリセイデ』等がある。最後にして最大の傑作が中世物語文学を集大成した『カンタベリ物語』であり、ヨーロッパ史における偉大な記念碑の一つと称される
また、本作品の内容を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します
その拷問にも等しい哲学的な時間に耐えられる人間が、果たしているのだろうか
「ああ、これはこれは、父にも等しいお情けぶかい御前様」と彼は歌でもうたうように、今にも涙がこぼれそうな感激の色を顔に浮べて言い出した
「ですが、父にも等しい御前様、――誰が結構なんでございましょう
紫《むらさき》丁香花《はしどい》や、アカシヤや、すいかずら等の貧弱な株が(僕たちがこんなものを一緒に植えたのを、覚えているだろうね)、びっしり隙間もないほど、見事な茂みになっているし、白樺も楓も、すべて思う存分のび拡がっている
(『違法』、『議長』、『イェス』、『ノー』、『つづけろ』、『やめろ』等の声)
なおディケンズは、晩年になってもう一度アメリカを再び訪れたが、今度は自作朗読を求められたのであった。ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア等の各地で、『オリヴァ・トゥィスト』や『骨董店』の一部を朗読したのだが、どこでも多くの聴衆が押しよせた
ガーター勲章は青リボン(ただしこれは脚につける)のほか、特別のマント、上着、星形記章、カラー等の附属品がある
ことに「ハウスホールド・ワーズ」(一八五〇―五九年)、「|一年中《オール・ザ・イヤア・ラウンド》」(一八五九―七〇年まで編集)の両週刊誌は、文学を軸にして、娯楽と啓蒙・教化を目的にし、社会改革から自然科学等にわたる記事を、人道主義的な進歩主義の見地からディケンズが統轄して、ブルワー・リットン、チャールズ・リーヴァ、チャールズ・リード等の寄稿を載せ、ギャスケル夫人、ウィルキー・コリンズ等の新人を育てた
「ちいさなおばさん、私は考えていた――つまり、ここにすわってから考えていたということなのだが――君は、私の知っている、君の経歴を全部知って置くべきだとね。だが、それはごくわずかなことだ。なにもないに等しいよ」
「それよりももっとたびたび、その子は自分にとって父にも等しい、後見人のおじさまに、神さまのみめぐみがありますようにと祈っております
タルキングホーン氏の事務所一面に積っている塵の中からきらめいた礼服官服と|宝冠《コロネツト》(1)、星章とガーターについてのおぼろな印象、全法曹学院、全大法官府横町、全法曹地区に等しく畏敬されている、彼のもっとも|昵懇《じつこん》なあの最上の客が支配している数々の秘密に対する崇敬の念、人さし指を振り上げたり、いかにも打ち解けた態度を見せて、避けることも拒むこともできぬバケット警部についての記憶、こういったことからスナグズビー氏は考えて、自分はなにも知らずに危険な秘密に関係してしまった、と確信する
(7)イギリス等にいた古代ケルト族の宗教ドゥルイディズムの僧
(9)むかし、火のともったろうそく等の上にかぶせて火を消すのに用いられた円筒形の金属または陶製の火消し器を、この老人のずきんにたとえたもの
自分は死人の悪口はいいたくありませんが、もしあの男が存命でしたら、鬼畜にも等しい行為、といってやりたいくらいの目に会わされました
この寒い冬の夜ふけ、こととも音のしない静寂に耳を傾けるというのは、真暗闇を見つめるに等しい。もしたまに遠くでもの音がすると、それは暗闇の中にかすかな光が見えるようなもので、その後は前よりもいっそうしんと静まりかえる
どこまでも続く丘陵、峰々は等しく高く、緑に満ちて、午後の太陽の下に暖かく輝いていた
それらは一様に等しい――同じ失敗をする
実際、もしやっていたとしたら、故意《こい》の殺人に等しい罪を犯したと考えるべきりっぱな理由がはっきりわかったのだ
チャラシアブ(派遣《はけん》)、シャープール、カブール等に勤務
場合もあるというのは、その自転車が発見され、かつあとで車輪を反対につけかえる等の技巧《ぎこう》を弄《ろう》してないならばという意味である
されど、気質は元来短気にして片意地、熱すれば狂者に等しく自己の行為の善悪をも弁ぜざる性質なりし
老人も老人、余が今日《こんにち》までに見たいかなる老人も、これにくらべたら赤子に等しいと思われるような、大時代つきの老人である
余はインドにありしころ、シーク及びシポーイ等の戦闘において、死を恐れざること何人《なんぴと》にも劣らざりき
ドイルは死の前年の一九二九年に、これらの短編をばらばらにし、同じ種類のものを集めて五六編ずつの「冒険」「恐怖」等の十種にまとめ、さらにこれらをまとめて「コナン・ドイル・ストーリズ」という千二百ページの大冊として出版した
」(一八八三年三月号心理学会雑誌)等の著あり
氏は豊富なる経験と熟練によってただちに犯人|捜査《そうさ》に乗りだしたが結果はすこぶる満足すべきものがあり、被害者の弟サディアス・ショルトーと家政婦バーンストン夫人が、執事《しつじ》をつとめるインド人ラル・ラオ、門番マクマード等とともに早くも嫌疑者《けんぎしや》として引致《いんち》された
この奈落をだいぶ長い時間おちて来た今となってみると、さっきまで、いよいよ深海だとばかりに、感激して観察していたこの海溝の尾根などは、まったく水面にいるのと等しいくらいだ。そんなことを考えている間にも、ぼくたちは、暗緑色によどむ水の中を、ゆっくりとうず巻きながら、下へ下へと落ちて行った
「手にしたのは、ただ一条の希望の光――無にも等しい微かな光とはいえ
それは選抜隊の歩兵から酒瓶を取りあげるのに等しかった。わしは絶望してあきらめた
怒りに燃え、猛り狂い、熱狂的で、皇帝陛下を崇拝すること、さながらイスラム教国の奴隷兵が予言者を崇拝するのに等しかった。自分の熱血が陛下のお役にたつものなら、おのれの銃剣の上に突っ伏すことも辞さない連中だ
戦友の非業の最期など、任務の遂行にくらべれば無に等しかった。彼らはさながら警察犬のように執念ぶかく、残忍だった
それにたいして、彼はこう等えた。
ドイルの文体に影響を与えたのはラテンの歴史家タキトゥス、イギリスでは『ガリヴァー旅行記』の作者スウィフト、詩人ポウプのホメロス訳、随筆家アディスンが創刊した雑誌「スペクテイター」のエッセイ等である。
歴史小説としては『マイカ・クラーク』『ホワイト・カンパニー』『ロドニー・ストーン』等、見るべきものがあるが、コナン・ドイルの名声を一躍高めたものは、言うまでもなくシャーロック・ホームズものであった
『シャーロック・ホームズの冒険』『回想』等の短編がそれである
彼は誰にも目をくれず、ただ憎悪と驚異の等しくまじり合った表情のまま、ホームズを睨(にら)みつけて、繰り返し繰り返しつぶやいていた
ジョワキ会戦、アフガン会戦に参加、その他チャラシアブ、シェルプール、カブール等に歴戦
これらの犯罪と解決に寄せられる推理的興味はイギリス十八世紀末の、ウォルポールの『オトラント城奇譚』、ベックフォードの『ヴァセック』、ラドクリフ夫人の『ユドルフォーの怪事』、ルイスの『修道僧アンブロジオ』、マチューリンの『放浪者メルモス』、シェリー夫人の『フランケンシュタイン』等のいわゆる「ゴシックロマンス」の怪奇的ロマン性を傍流に、十九世紀中頃に至って、エドガー・アラン・ポオの推理小説に近代的創造を見ることになる
怪奇小説ではアイルランドのル・ファニュに『墓畔の家』『死妖姫』等があり、オーストラリア作家ファーガス・ヒュームの『二輪馬車の怪事』は探偵小説として紙価を高めた評判作であった
最近のアメリカでは行動的な動きの多い物語として、ハメット、チャンドラー、スピレーン等の、推理をさして第一義に置かない、いわゆるハード・ボイルドが読まれている
ドレッバー氏がなぜ同所に行ったのか、またなぜ悲惨な死を遂げたのか等の点は、依然として謎につつまれたままである
ドイルの文体に影響を与えたのはラテンの歴史家タキトゥス、イギリスでは『ガリヴァー旅行記』の作者スウィフト、詩人ポウプのホメロス訳、随筆家アディスンが創刊した雑誌「スペクテイター」のエッセイ等である。
歴史小説としては『マイカ・クラーク』『ホワイト・カンパニー』『ロドニー・ストーン』等、見るべきものがあるが、コナン・ドイルの名声を一躍高めたものは、言うまでもなくシャーロック・ホームズものであった
『シャーロック・ホームズの冒険』『回想』等の短編がそれである
ここではアイバの大学教育も無に等しく、すべて一からやり直しだった
「まるで頑固なカキの口を開けるのに等しい難業」(サンフランシスコ・クロニクル紙、一九四九・七・十四)といわれた恒石から、その後もコリンズは長時間かけての尋問でさらにいくつかの「真珠を吐き出させる」のに成功した
「天声人語」等で取り上げられたのを初め、多くのマスコミ関係者からの取材が相次いだ
文壇での地位を確立したドーデは『ジャック』『ナバブ』『ニュマ・ルーメスタン』等、自然主義的傾向の強い長編小説を続々と発表していった
それにしても、この縁談を機縁として起こったさまざまな物語や事実を話すとすれば、もっと多く言わなければならないわけであるが、筆者はあまりに先を言いすぎているのである、さらに今までに述べた事実のあるものは、かなりに取りとめもない噂にも等しいものである。たとえば、ナスターシャ・フィリッポヴナがエパンチンの令嬢たちと、妙に取りとめのない、他人に隠れた交際を始めたということを、どこをどうしてか、トーツキイが嗅《か》ぎつけたというごときは、全く不確かな噂である
しかし彼はその答えとして、実に苦々しい顔をしながら、何かの照会がどうとか、きわめて取りとめもないことをつぶやいて、もちろん、それはみんなたわごとにも等しいことだと言った
まだあけても見ないうちから、公爵にはこの手紙が存在し、存在し得るというその事実が、すでに悪夢にも等しいものと感ぜられた
つまり、これは、独自性をうるだけのいささかの素質もないのに、全く自分自身たることを欲せず、いかなることがあろうとも独自な、独創的なものたろうとする凡庸性に等しいものである。
そして暇を見つけては、ひとり部屋に閉じこもり、プーシキン、ゴーゴリ、シラー、スコット、バルザック、ジョルジュ・サンド等の小説を読みふけった
しかも、つづいて発表された「分身」「プロハルチン氏」「主婦」「白夜」「ネートチカ・ネズワーノワ」等の諸作品は概して読者にも批評家たちにも不評であった
それはペトラシェフスキーを首班とする、サン・シモン、フーリエ等のユートピア的社会主義を研究し、宣伝する団体であったが、この会の動きは官憲に細大漏らさず探知されていて、一八四九年の四月、ついに全員が逮捕され、ペトロパヴロフスク要塞監獄に投獄されることとなった
そこへ行くと、こんもりと茂ったぼだい樹や、スグリ、ニワトコ、スイカズラ、ライラック等の古い灌木のあいだに忽然としてなにやら古色蒼然とした緑色のあずまやの残骸のようなものが現われた
『エリセーエフ兄弟商会元詰め』の酒類、果物類、葉巻き、茶、砂糖、コーヒー等、なんでもあった。常時番頭が三人店に詰めていて、配達の小僧がふたりで走りまわっていた
――みなさんはおぼえておられるでしょうが、その杵一本をもとにして、被告はなぜその杵を当然凶器と見なし、それを凶器としてつかんで行ったか等について、大変な心理分析が展開されました
一月より個人雑誌の形で『作家の日記』を再び継続する〔なかに、『百姓マレイ』『おとなしい女』等、すぐれた作品をふくむ〕
等、等。
スープにはスプーンが二本と皿が二枚と、それに塩入れ、こしょう入れ、牛肉用からし入れ等、こんなにきちんとそろったことは絶えて久しくなかったような付属食器がひとそろいついていた
唯一の楽しみは、ひとり部屋に閉じこもって、プーシキン、ゴーゴリ、シラー、スコット、バルザック、ジョルジュ・サンド等に読みふけって、文学の世界に耽溺《たんでき》することであった
これらの戯曲は現存せず、それにその後ドストエフスキーは戯曲を手がけたことはなかったが、この経験は、彼の小説の劇的な構成や、シラーを思わせるような情熱的な長広舌(『罪と罰』などにも見られる)等、作風に歴然たる痕跡を残している
それに、作家としては、『ルージン』『貴族の巣』『その前夜』等で文壇の中心となろうとしていたツルゲーネフと並んで、新星トルストイも『幼年時代』『少年時代』、戦記物等をひっさげて花々しくデビューしていた
その翌年には最初の外国旅行に出て、パリ、ロンドン、ジュネーヴ等をまわって見聞をひろめて帰国した
第一の「内的独白」の方法は『ネートチカ・ネズワーノワ』、『虐げられた人々』、『地下生活者の手記』等でこれまでに幾度も試みたことのある手なれた叙述形式である
実に、実に独創的ですな、しかし……私がとりわけ興味を覚えたのはあなたの論文のその部分じゃなくて、論文の末尾にある、残念ながら手を抜いて暗示だけにとどめておられるためあまり明瞭でないある思想なんです……ま、要するに、覚えておられますかな、世のなかにはどんな無法な振舞いでも犯罪でもなし得る……いや、なし得るというよりもむしろなす絶対の権利を持つある種の人間がいて、そういう人たちにとっては法律もなきに等しいといったようなことを暗示しておられる」
……無きに等しいですよ。あちらは名声の高い人間だというのに、こちらはどうかといえば、……まったくの話……存在していないもおなじなんですからね
さらにもうひとつ言わしてもらいますがね、そしてこれは厳粛《げんしゅく》な気持ちで言うのですから、……私の言うことをよく聞いてください、ワーリニカさん……私は誓って申しますが、私は、あなたを見、あなたの不幸を見、自分を省《かえり》み、自分の卑屈さと自分の無能ぶりを省みて、私たちの不幸の厳しい日々に、心の痛みにどんなに死ぬような思いをしているにもせよ、そういうことがあるにもかかわらず、私にとってありがたいのはこの百ルーブリよりもむしろ、閣下が私のような、藁《わら》くずにも等しい、飲んだくれの、取るに足らぬ男の手を握ってくだすったという事実だと、あなたに断言しますよ
この頃はロシア文学の受難の時期であると同時に、ようやくロマン主義からリアリズムへの移行の兆《きざ》しが見えだし、プーシキンの小説『大尉の娘』、ゴーゴリの小説『タラス・ブーリバ』、戯曲『検察官』、ベリンスキイの論文『文学的空想』、レールモントフの詩『詩人の詩に』『ボロジノー』等が出た時期である
果たしてこのあと、グリゴローヴィチの『不仕合せ者アントン』、ゲルツェンの『だれの罪』『泥棒かささぎ』、ゴンチャローフの『平凡物語』、ツルゲーネフの『猟人日記』、オストローフスキイの『内輪同士はあと勘定』等、この派の新人の作品が続出するのである
双方とも主人公は写字以外に能のない下っ端役人で、勤勉で実直で、浄書という仕事をこよなく愛している等、確かに類似点が多いからだ
例えば、プーシキンの『吝嗇《りんしょく》の騎士』『スペードの女王』『青銅の騎士』、ゴーゴリの『外套』『肖像画』等がそれである。だが、『貧しき人びと』のように広く大きなテーマとして扱われたことはかつてなく、ドストエフスキイをもって嚆矢《こうし》とする
この後ドストエフスキイは『罪と罰』『白痴』等で、この問題を人間の運命までも左右するおそろしい問題として掘りさげていくことになる
一八七六(五十五歳) 一月より個人雑誌の形で『作家の日記』を再び継続して発表(なかに、『百姓マレイ』『おとなしい女』等、すぐれた短編をふくむ)
自分の鼻の先までしか見えない現実主義は、もっとも愚かしい夢想よりも危険である、なぜなら盲目に等しいからだ。しかし、エフィムの正しいことを認めながらも(彼はそのころ、わたしが通りを歩きながら彼のことをののしっているだろう、と考えていたにちがいないのだ)――わたしは自分の信念から一歩も退《ひ》かなかったし、いまだにそれを堅持しているのである
彼の心をもてあそぶのはやめてください、彼はまだ未成年者で、知的にも肉体的にも未成熟の子供に等しいのです、そのような者をもてあそんであなたになんの利益になるのです
十年ほどまえ、後家がまだ娘だったころ、マクシム・イワーノヴィチがすっかりのぼせてしまって(なんでもひどく美しい娘だったそうだ)、莫大な金をつぎこみ、それが神殿を破壊するにも等しい罪だということを、すっかり忘れていたというのだ
彼の観察によると、患者の病気は、最近数カ月間の物質的な窮状のほかに、さらに若干の精神的な原因がある、《いわば、たくさんの複雑な精神的および物質的影響の結果なのです、例えば不安、危懼《きぐ》、心労、ある種の観念……等といったものですね》アヴドーチヤ・ロマーノヴナが特に注意深く聞き入りはじめたのを、ちらと見てとると、ゾシーモフはこのテーマをすこしひろげてみることにした
すべては環境に支配されます、人間自体は無に等しいのです。さて、ソーフィヤ・セミョーノヴナとは、ぼくはいまでも親しくしています
ほかの料理人をやといにやらなくてもいいか? 等、等、等
七月、ドイツで結核療養中の兄ニコライの見舞いと西欧の教育状況視察のため、妹マリーヤとともに出発、ライプツィヒ、ドレスデン、ジュネーヴ等を回り、兄を見舞う
神学の研究の結果を、『教義神学批判』『四福音書の統一と翻訳』『わが信仰』等の著作として発表した
七月、ドイツで結核療養中の兄ニコライの見舞いと西欧の教育状況視察のため、妹マリーヤとともに出発、ライプツィヒ、ドレスデン、ジュネーヴ等を回り、兄を見舞う
七月、ドイツで結核療養中の兄ニコライの見舞いと西欧の教育状況視察のため、妹マリーヤとともに出発、ライプツィヒ、ドレスデン、ジュネーヴ等を回り、兄を見舞う
里
里に戻ってくるなり嫌な男に逢った
むろん善意の施しができるほどこの里は裕福ではなかった
喧嘩が絶えないこの里でも刃傷沙汰《にんじょうざた》は厳しく罰せられる
傭兵の道を断たれた以上、里の中で畑仕事や機織《はたお》りに明け暮れる、当たり前の娘になるしかなかったが、身よりもなく他所者である彼女にとってサイガの暮らしが居心地がよいはずがなかった
アスクは迷った。里に戻ったらユリイカに告げようと思っていたことがある
他所からきた子は里の家に預けられる
決闘となれば、アスクが勝っても里から追放処分、殺されてもニルドに咎《とが》めはない
(技量が足りない分を機体で補おうってことか。里で挑んでこないわけだ
里の境界ぎりぎりまでエアリエルが見送りにきてくれた
アスクは笑顔で応えた。里に置き去りにしていくものは多かったが、それでも足枷《あしかせ》を取っ払ったような清々した気分だった
この数日後、副頭目が里の近くで行き倒れになっていた若者を連れてくる
今や、里の医者では治せない病気を煩ったら永遠亭に行けと言われる程の名医である
あ、関係ないけど、里の道祖神様が雪に埋もれてたわ、誰が傘当番だったのかしらね
「障の神、里を災いから防ぐ神だよ
僕は暫く蝉の駆除の方法を老えていたが、締め切った店の暑さに耐えきれず、久々に店を出て里へ出掛ける事にした
霧雨の親父さんとは最後に会ってからもう十年以上も経とうとしてたのと、お客以外の里の人間に会うのが苦手な事もあって、酷く緊張していた
僕を認識出来るだろうか……。里の人間は歳を重ねると成長し、老けていく
その当たり前の変化が少ない僕は、どうしたって里に長く居る事が出来ない。里の人間に不快感や恐怖を与えてしまうのだ
「里に着いた時から何となく記憶の奥底に引っ掛かる物があったんだが、何せ11年前は蝉の鳴き声だとは思わなかったからね
霧雨家を後にして里のとある人間の家を訪ねたんだ」
その人間とは、里の人間で最も多くの資料を持ち、知識も深い稗田家である
人間の里には自分の親が住んでいるのだから、そこへ帰れば良いのに……
その腕の立つ医者は、迷いの竹林に突如として現われ、里の人間のみならず妖怪達の病気をも治していると言う
霊夢の話だと、里の人間の大半は既に同じ症状の風邪にかかっているそうである
「ふう、これで一安心。これを里に持っていって廻れば、みんなの病気も治る筈よ」
あんたが馬鹿な事をしたお陰で、里の家を一軒一軒訪ねて廻らないといけないじゃないの」
里に住む妖怪達は、毎日の生活を楽しむ事しか考えていない
山に住む妖怪達は、同じく山に住む同士達の為だけに歴史を創る。里に住む人間は歴史を纏める余裕など無い
しかも私達は本来が年上なのに、外国人の良人の処へ下婢《はしため》同然にやられてしまい、自分の家にもお里にも国にさえ別れて、両親からも遠いところでまるで流人《ながしもの》同然に暮らしているのに、あの人は一番下の妹で、もうお産は結構という末子に生れておいて、あんなに沢山なお宝や神様の良人を持ってるのだもの
そんならば俺達がお一人歩きの護衛役をつとめてあげようかい、それでお里への路案内をするとしようかね」
日本のいくつかの地方で、まさにこうしたイエイツの意図を汲んだかのように、妖精が人々に土地と自然へ愛着を覚えさせ、そこに「妖精の里」や「エルフィン・タウン」を構想させている現今である
【ノーラ】 里にいたころは、もちろんパパがいちばん好きでした
この契約はヴェルヌの人気がたかまるにつれて五回ほど更新されてはいるが、ヴェルヌ自身もこの契約を忠実に守って、たとえば一八七一年のパリ・コミューンでエッツェルの店が被害をこうむったとき、『海底二万|里《リュー》』を出版したいというアメリカ出版社からのたっての懇望をしりぞけて、彼は私財を投げうってまでしてエッツェルの店を修理させ、そこから出版させて大いに当てたという美談を残しているほどである
ここにいくつかの例を申しあげましょう。ただし、『里』で申しあげることを、お許しねがいたい
また、一日じゅう一人で寝室に坐り、籠の雲雀の歌を聞いたり、母親が里から持ってきた本の頁をめくったりしていることもよくありました
キャサリンはそれを拾って熱心に読み、彼女の里の家の人々について僕に二、三|尋《たず》ねたが、それらの問の中には|辻《つじ》|褄《つま》の合ったのも合わないのもあった
なにが心の楽しみよ、あのうぬぼれたっぷりの気取りはどう? お里が知れるというものよ
静けさの住む、この里《さと》
さだかならぬ、夢の里の夢
パリは私のふる里のように私を感動させました
ふん、このぼくと肩を並べるだと? ますますお里が知れようってものさ
彼女が父親を偶像視していたのは明らかであったが、自分の家の用事にかまけて、里に帰れたのはほんの時たまにすぎなかったのである
生れて一度もないような、大ガックリの里がえりだった。
空洞《うつろ》で暗い里の門から、
田舎娘から急にパリの女になったコレットは、いつもウィリーの影の存在にすぎず、里《さと》母の意見にいつもしたがって行動していた
やすらぎの里モーズル・バートン
やすらぎの里モーズル・バートン
あなたはどなたか存じませんけれど、あなたのお話ぶりや態度を見れば、たちまちお里が知れるというものですわ
楽しい君の里がえり、飲んだり食ったりはしゃいだり
つまり、家族をあげてもう一度ローマに移り住むこと、エーレナをふたたびカストロの里マリア訪問童貞会修道院にあずけ、しかるべき縁談がみつかるまでそこにとどめておくこと
「あなたの子を、ヴェリエールへ里《さと》子《ご》に出してもらいたいんだ
十時すこし前にはまったくの無風状態となり、町の犬の声、里の羊の声までが耳につくほどの静けさで、波止場の楽隊の賑やかなフランスふうの吹奏も、大自然の静けさの諧調《ハーモニー》には不協和音のようであった
ガブリエル〔天使長〕が翼をひろげたナザレの里〔キリストの故郷で、ここで天使ガブリエルがマリアに受胎告知をした〕へは
また、誕生日にはごちそうをし、あたしを陽気に浮かれさせ、乳母や部屋の小間使い、はてはあたしの里の家の子郎党にまでねんごろに心づけしなければ、あたしがふてくされるんだから、とこうおっしゃっているが、うそっぱちもいいかげんにしておくれ
この二人の学生は、どこか北方の国のストロゼルというある里の生れであった
悪魔は、その里にすむ一人の若い騎士に、クスタンスに対してよこしまな恋慕をさせ、もしその望みが遂げられなければ死んでしまうとさえ思いつめさせた
あなたのところへまいった時、わたしの着物はみんな里の家に置いてきたと同じように、自分の意志も自由も置いてまいりました
おまえにあげたあの衣裳もみんな、新しい妻にやることにした。おまえは里の父親のところに戻っておくれ
セシリヤの話が終って、五マイルも行かないうち、ボホトン・ウンデル・ブレという里で、白い法衣の上に黒い衣をつけた男がこの団体に追いついた
「しかし、総司が女じゃと里に帰って絶対口外しちゃいかんぞ
ゆっくりと朝食をとり、柿《かき》の木がたくさんある里に小さな家を借りている彦次郎を待つ
奈良と三重の県境に月《つき》が里《さと》というところがある。そこから深いすすき野原を抜け、原始林に覆われた広大な湿地帯を越えると、昼なお暗いお化粧谷が眼下に見えてくる
クラスノゴーリエの里びとたち!)
「妻の名はヴェーラ・ニコラーエヴナ。里の姓はエリツォー〓です……」
「あんた、ときどきこの子をこの子のお父さんに見せに連れて来てくれる、ティリ」と、女主人は涙を拭きながらきいた。「あたしがここにいられなくなって、里へ帰ってしまったらね
あなたは今夜、あたしを里には帰さないわね
谷間の里、ぶどう園、くるみやレモンのことを憶《おぼ》えている
彼は開戦四カ月後の一九四二年四月、東京の区役所で戸籍入りし、一九四四年、亡父の里に家名を継ぐべき男子がいなかったことから、その姓を継いだ
私は麓の里の噂を、洗礼や結婚のことなどをいろいろ話して貰うのでした
きみ来らずや、ひなびたこの里へ?
そのうえ、今この家でも五人の子供の面倒をみるのは並みたいていではないのだから、みんなを引き連れて里へ帰ったら、なおさらたいへんだろう、とも感じていた
今ここには里の父も来ていますの