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NextDNS包括調査レポート

NextDNSの概要と基本機能

NextDNSとは:NextDNSは、インターネット通信の安全性とプライバシー保護を強化するクラウド型のDNSサービスです。通常、ウェブサイトのドメイン名をIPアドレスに変換するDNSサーバーをISP任せにしますが、NextDNSに置き換えることでドメイン名解決時に悪質なサイトや広告・トラッカーをブロックし、安全な閲覧環境を提供します。2019年にDailymotionやNetflixでインフラ設計を手掛けたエンジニアによって設立され、個人用途であれば無料プランでも十分利用可能です。

基本機能:NextDNSには大きく以下のような機能があります。 * セキュリティ保護:マルウェアやフィッシングサイトへのアクセス遮断、暗号資産マイニング(クリプトジャッキング)サイトのブロックなど、各種オンライン脅威からの保護。DNSクエリ(問い合わせ)をリアルタイム分析し、新規に出現する悪質ドメインも検知・ブロックします。 * プライバシー強化:ウェブサイトやアプリ内の広告・トラッカーのドメインをDNSレベルでブロックし、利用者のオンライン活動履歴が追跡されにくくします。DNS自体も「DoH(DNS over HTTPS)」や「DoT(DNS over TLS)」による暗号化通信に対応し、通信内容を第三者に盗聴されないよう保護しています。 * ペアレンタルコントロール:成人向けコンテンツや暴力・ギャンブルサイトへのアクセスを禁止したり、主要なSNSやアプリ(TikTok、Instagram、YouTubeなど)を制限するなど、子供のネット利用を管理する機能も充実しています。検索エンジンのセーフサーチ強制やYouTubeの年齢制限モードの適用もワンクリックで設定可能です。 * カスタムフィルタ & リスト:ブロックリスト/許可リストのカスタマイズが柔軟に行えます。あらかじめ用意された広告・トラッカー用ブロックリスト(例えばAdGuardの各種フィルタや日本向けの280blockerリスト等)を組み合わせることができ、ユーザー自身で特定ドメインを手動でブロック/許可リストに追加することも可能です。 * 分析とログ:どのデバイスでどのドメインにアクセスしたか、どのクエリがブロックされたかといった詳細なDNSクエリログと分析機能が提供されます。リアルタイムで閲覧できるログにより、自身のネットワークで何が起きているか把握できます。ログ保存期間は1時間から2年までユーザーが選択でき、**ログを完全に残さない設定(No-logs)**にすることも可能です。

以上のように、NextDNSは**「モダンなインターネットのための新しいファイアウォール」**と謳われ、あらゆるデバイス・ネットワークで動作し、個人から家族まで幅広く利用できるサービスとなっています。

NextDNSの仕組み

DNSレベルでのフィルタリング:NextDNSはユーザーのDNS問い合わせをプロキシし、そのドメイン名が悪質・不要と判断されれば正しいIPアドレスの代わりにブロック用の応答を返すか、問い合わせ自体を拒否します。いわば広告やマルウェアドメインに対するDNSレベルの「盾」として機能します。この手法は、各デバイスに広告データが届く前に遮断できるため効率的です。例えばブラウザ拡張による広告ブロックが「受信後に非表示」にするのに対し、NextDNSは受信自体を発生させないので通信量の節約やパフォーマンス向上につながります。

高度な脅威インテリジェンス:NextDNSは多数の信頼できる脅威インテリジェンス・フィード(Google Safe Browsingを含む複数のリスト)を利用し、何百万もの悪意あるドメイン情報をリアルタイム更新しています。さらに新規ドメインが攻撃に使われるケースにも備え、DNSクエリと応答内容をナノ秒単位で解析して挙動から有害かを判断する独自技術も備えています。これによりドメイン登録から攻撃開始まで数時間しかないようなゼロデイ的な悪質ドメインも検知し、従来型のセキュリティ対策より早期にブロック可能とされています。

DNS暗号化と匿名化:NextDNSを利用する際は、対応するクライアント設定やアプリを通じてDNS over HTTPS/TLSで問い合わせが行われます。これにより、通信途中でDNSクエリ内容が盗聴されたり改ざんされるリスクを軽減します。またNextDNSのDNSサーバー側では、プライバシー保護のためEDNS Client Subnet拡張を工夫して実装し、権威DNSサーバー(最終的にドメインのIPを返すサーバ)へユーザーの生IPアドレスが漏れないようにしています。さらに問い合わせドメイン名を必要最小限だけ上位に伝えるQNAME最小化も実施し、ユーザーの情報露出を極力抑える仕組みです。

クラウド上のPi-hole:NextDNSはしばしば**「クラウド版Pi-hole」と形容されます。Pi-holeとは自前のサーバーに導入してLAN内のDNSをフィルタリングするOSSですが、NextDNSは同等の機能をクラウド上で提供します。自宅サーバー不要で外出先のモバイル通信も含め全ネットワークで適用可能、さらに高性能なフィルタリングと世界各地に配置されたサーバー網による低遅延な応答**を実現している点が強みです。

セキュリティ機能の詳細

NextDNSは総合的なオンラインセキュリティ対策をDNSレベルで提供します。具体的な機能を見ていきます。 * マルウェア・フィッシングサイトのブロック:既知のウイルス配布サイトや詐欺サイトへのアクセスをDNS段階で遮断します。Google Safe Browsingをはじめとする信頼性の高いブラックリストを参照し、ユーザーを危険サイトから遠ざけます。たとえば、誤ってフィッシングメール内のリンクをクリックしても、NextDNSが有害ドメインと判断すればサイト閲覧自体がブロックされます。 加えて、DNSリバインディング攻撃(特定の手法でローカルネットワークを狙う攻撃)やTyposquatting(有名サイトのタイポを狙った偽サイト)、ドメイン生成アルゴリズムを悪用したボットネット通信なども検知・遮断する高度な保護機能も搭載しています。 * 広告・トラッカーのブロック:煩わしいWeb広告やユーザー追跡スクリプトのドメインをDNSでブロックします。有名なフィルタリングリスト(AdGuardやEasyList系列など数百万件のドメイン)がリアルタイム更新で適用されるため、日々増える広告配信ドメインにも追従します。このブロックはブラウザだけでなくアプリ内の広告やバックグラウンドのトラッキング通信にも及ぶため、スマホアプリの広告除去にも効果的と評されています。なお、万一ブロックが行き過ぎて表示したいサイトのコンテンツまで遮られた場合は、NextDNSの管理画面から該当ドメインをホワイトリストに追加して許可することができます。 * ペアレンタルコントロール:NextDNSは子供の安全なインターネット利用を支援する機能を豊富に備えています。カテゴリベースでポルノ、暴力、ギャンブル等を一括ブロックしたり、個別に特定サイト(例:FacebookやTwitterなど)やアプリ・ゲーム(例:TikTok、Fortnite等)をドメイン単位で指定してブロックできます。さらに検索エンジンのSafeSearch(セーフサーチ)強制機能により、有害な検索結果や画像が表示されないようにしたり、YouTubeの制限モードを強制して年齢不相応な動画を非表示にできます。ユニークな機能として利用時間帯の制限(Recreation Time)もあり、夜間など指定した時間だけ特定アプリ・サイトへのアクセスを許可/ブロックするといったスケジュール管理も可能です。こうした設定はNextDNSの管理画面からプリセットを追加するだけで簡単に適用できます(下図参照)。

NextDNSのペアレンタルコントロール設定画面の例。あらかじめ用意された主要アプリ・サービス(TikTokやTinder等)が一覧表示され、ワンクリックでブロック対象に追加できるようになっている。カテゴリ別の一括制限や時間帯指定など多彩な制御が可能。 * DNSSEC検証:DNS回答にデジタル署名を用いるDNSSECにも対応しています。これにより、DNS応答の改ざん検知を自動で行い、中間者攻撃などによる偽のDNS応答を受け取らないよう保証します。 * その他セキュリティ機能:NextDNSはこの他にも、仮想通貨を不正にマイニングするスクリプト(クリプトジャッキング)のブロック、ドメイン駆動型のボットネット通信遮断、新規に登録されたドメインへの警戒(取得直後のドメインは悪用されやすいため)等、総合的なセキュリティフィルタを実装しています。さらにNextDNSチームは子供の性的虐待に関与するドメインのブロックにも取り組んでおり、インターネットの悪質コンテンツから幅広く利用者を守る姿勢を見せています。

NextDNS管理画面で選択可能なブロックリスト一覧の例。デフォルトで推奨されるNextDNS独自の包括的な広告・トラッカーブロックリストに加え、AdGuard提供の各種フィルタ(モバイル広告、トラッキング保護、ベースフィルタ等)、GitHub発の自主フィルタ(notrackingなど)、日本向けホストファイル(AdAway日本語版や280blocker)など、ユーザーの目的に応じて細かく追加・選択できるようになっている。すべて定期的に自動更新されるためメンテナンスの手間も不要。

プライバシー保護とログポリシー

ログ無効化オプションと方針:NextDNSはプライバシー重視を掲げており、ユーザーが明示的に有効化しない限りDNSクエリのログを記録しません。アカウント設定でログ機能をオフにすれば、どのサイトにアクセスしたかという足跡が一切残らない「完全ノーログ」運用も可能です。ログを有効にする場合でも保存期間や内容をユーザーが細かく制御でき、自分が見えているログが保持されているすべてという「WYSIWWH(What You See Is What We Have)」ポリシーが採られています。例えばログ保存期間を1週間に設定すればそれ以上古いデータは自動削除され、ユーザーはいつでも自身のデータをエクスポートしたり削除要求することが可能です。加えて、プライバシーポリシー上ユーザーのDNSデータを第三者に販売・共有しないことを明言しており、創業者が100%所有・運営する独立企業として今後もデータ売買は一切行わない立場を表明しています。

データ所在地の選択:ログを保存する場合、そのデータが保管されるリージョン(国)を選べるのもNextDNSの特徴です。アメリカ合衆国、欧州連合(EU)、イギリス、スイスの中から選択でき、自社のデータをどの法管轄下に置くかを管理できます。たとえばGDPR対応としてEU内にデータを留めたい場合や、プライバシー保護法制の厳しいスイスを好む場合など、ニーズに合わせたデータ管理が可能です。

追跡防止の技術:NextDNSは前述のように広告やWebトラッカーをブロックすることでプライバシー保護しますが、それ以外にもOSレベルの追跡行為にまで目を光らせています。たとえばスマホやPCには、ユーザーの行動をOSやアプリが裏で記録・送信する「テレメトリ」が存在します。NextDNSの「ネイティブトラッキング保護」は、そうした広範囲なトラッキング通信を検知・遮断する機能で、ブラウザのITP(Intelligent Tracking Prevention)をかいくぐるようなファーストパーティ偽装のトラッカーにも対抗します。このようにドメイン単位だけでなく挙動から追跡を見抜く技術も導入し、ユーザーのプライバシーを徹底防御しています。

通信の暗号化:NextDNSを利用するときのDNS問い合わせ自体が暗号化プロトコル(DoH/DoT)で送信されます。従来の平文DNSでは、ISPや公共Wi-Fi提供者に検索履歴を傍受されたり改竄される恐れがありましたが、NextDNSはHTTPS/TLSトンネル経由でDNSサーバーと通信するため、その中身を傍受することは困難です。特にモバイル環境や不特定多数が利用するWi-Fiで盗聴リスクを軽減でき、DNS通信のプライバシーが飛躍的に向上します。

利用者からの信頼:Mozilla(Firefoxの開発元)は2019年、NextDNSをプライベートDNSサービスのパートナーに選定し、Firefoxブラウザにおける安全なDNS over HTTPSの提供に協力しています 。これはNextDNSのプライバシーへの取り組みが評価された例と言えます。もっとも、どんなサービスでも「本当にログが残っていないか」をユーザー側で完全検証するのは難しく、最終的には運営会社を信頼するかに委ねられる部分があります。NextDNSは少なくともコミュニティで信頼できる企業と見なされており、またクライアント(CLIや一部のアプリ)をオープンソースで公開するなど透明性向上にも努めています 。

NextDNSのリアルタイムログ画面の一部。どのデバイス(ユーザー名“Archaxbami”で識別)からどのドメインにアクセスが発生し、ブロックされたか(赤アイコン)/許可されたか(鍵アイコン)が一覧表示されている。上図ではMicrosoft関連のドメインへの多数の通信がブロックされている様子が見える。ユーザーはこのログを通じて、自身のデバイスが裏でどんなサーバーと通信しているかを可視化でき、不要・不審な通信の発見にも役立つ。ログはユーザーが指定した期間保持され、必要に応じてエクスポートや完全削除も可能。

NextDNSの料金体系と無料プラン制限

NextDNSは無料から利用開始でき、必要に応じて有料プランに移行できます。それぞれのプランと制限は以下の通りです。

プラン 料金(税込目安) 月間クエリ数上限 デバイス/設定数 機能制限 サポート
無料 0円 30万クエリまで 無制限 なし(全機能利用可) コミュニティ
プロ ~$1.99/月(約250円)または$19.90/年(約2,500円) 無制限 無制限 なし(全機能利用可) コミュニティ
ビジネス $19.90/月 *(50人毎) 無制限 無制限 なし(全機能利用可) メール
教育機関 $19.90/月 *(250人毎) 無制限 無制限 なし(全機能利用可) メール

無料プランでも機能面の制限は一切なく、30万件/月までのDNSクエリをフィルタリングできます。月間30万件というと1日あたり約1万クエリですが、一般的な個人利用であればおおむね足りる量とされています(動画視聴やSNS利用が非常に多い場合は超過の可能性があります)。万一上限を超過した場合でもサービスが停止することはなく、その月の残りは自動的に通常のDNSサーバーと同様の動作(フィルタリングなしのDNS応答)に切り替わります。無料枠の25万件および30万件到達時には通知メールも届くため、使いすぎも把握しやすくなっています。

プロプラン(個人/ファミリー向け)に課金すると、月間クエリ無制限でNextDNSの全機能を引き続き利用できます。月額約200円程度と比較的安価で、家族全員のデバイスをまとめて保護したい場合などに選択されています。ビジネスおよび教育機関向けプランは、大人数での利用を想定したボリュームライセンス契約で、メールサポートが付属します(50ユーザーまたは250学生ごとに料金が設定されており、必要人数に応じて契約)。“Unlimited devices/configurations”とあるように、契約ユーザー内であればデバイス台数や設定プロファイル数は無制限なので、社員や学生が多数いても一括管理できます。

無料プランの活用とアップグレード判断:先述の通り、月30万クエリの範囲であれば無料で全機能を試用できます。そのためまず無料で使い始めてみて、不足を感じたら有料化するケースが多いようです。実際に「TikTokを長時間見るとクエリ消費が増えるので、頻繁に超えるなら月250円払っても良いのでは」という利用者の声もあります。NextDNS側もサインアップ無しでお試し利用できる仕組みを提供しており、気軽に導入してみて必要十分と感じたらプロ版にする、といった柔軟な利用が可能です。

対応デバイス・OSと設定方法

NextDNSは主要なOS・デバイスすべてに対応しています。家庭内のPCやスマホはもちろん、タブレット、ゲーム機、スマートTV、IoT機器に至るまでDNS設定が可能なものなら利用できます。設定方法も複数用意されており、自分の環境に合った手段で導入できます。 * ウェブブラウザ単位で設定:FirefoxやChromeなど一部ブラウザには、ブラウザ個別にDNS over HTTPSを設定する機能があります。その場合ブラウザ内の通信に限りNextDNS経由となります。例えばFirefoxでは設定画面からNextDNSをプロバイダに選択可能で、手軽に導入できます。ブラウザ以外のアプリには効果がないため、必要最低限の適用方法です。 * OS(デバイス)レベルで設定:Windows、macOS、Linux、iOS、Androidといった各OSは、ネットワーク設定でDNSサーバーを指定できます。ここにNextDNSのサーバー情報を設定することでその端末全体の通信が保護対象となります。手動設定の方法としては、NextDNSのサイトで発行される一意のConfiguration IDに紐づくDNSエンドポイント(特殊なホスト名や特定IPアドレス)を指定する形になります。公式サイトの「How To Setup」にデバイスごとの手順が詳細に記載されており、案内に従ってIDを入力すれば数分で完了します。 * Windows/macOS:システム設定からDNSサーバーをNextDNSに変更するか、NextDNS公式のインストーラ(アプリ)を利用します。NextDNSはWindows/Mac向けにGUIクライアントを提供しており、これを導入すると自動的に暗号化DNSが使われるようになります。CLI版クライアントも公開されており、Linuxではパッケージマネージャ経由(Arch LinuxならAUR等)でインストール可能です 。 * iOS:iOS 14以降ではプロファイルを使ったカスタムDNS設定や、**専用アプリ(App Storeで提供)**による導入が可能です。プロファイルを使う場合、NextDNS管理画面から構成プロファイル(設定プロファイル)をダウンロードし、端末にインストールします。専用アプリを使う場合は、アプリをインストール後に数回タップするだけでVPN経由のような形で端末全体のDNSがNextDNSに切り替わります。いずれの方法でもiPhone/ iPadを数クリックで保護できます。 * Android:Android 9以降であれば「プライベートDNS」機能にNextDNSのドメイン名を設定することで利用できます。例えば <あなたのID>.dns.nextdns.io をプライベートDNSホスト名に指定すると、以後そのAndroid端末は常にNextDNS経由で問い合わせを行います。また、NextDNSはAndroidアプリも提供しており、そちらを使って有効化することも可能です。 * ルーター/ネットワーク機器で設定:家庭用ルーターや社内ネットワークのDNSをNextDNSに向けることで、その配下にあるすべての機器を一括保護できます。具体的には、ルーターのDNS設定画面でプライマリDNS・セカンダリDNSとしてNextDNSのアドレスを指定します。対応するルーターであればDNS over TLSによる暗号化通信にも対応可能です。UniFiやASUS、NECなど主要メーカーのルータでNextDNS設定を行った報告例があり、設定ガイドもネット上で共有されています。ルーターで導入すれば、個々の端末にアプリを入れられない場合(ゲーム機やIoT家電等)でもネットワーク全体で保護が及ぶ利点があります。 * その他デバイス:ゲーム機(Nintendo SwitchやPlayStation等)やスマートテレビでも、ネットワーク設定でDNSを手動指定できる場合はNextDNSを利用可能です。スマートスピーカーやIoTセンサーなど直接設定できない機器も、前述のルーター側でNextDNSを指定していればまとめて保護されます。

NextDNSは公式サイトで非常に丁寧なセットアップ手順を公開しており、ユーザーは自分の環境に応じて適切な方法を選べます。ネイティブサポートされるプラットフォームが多く、設定も数分で完了するため、技術に詳しくない方でも比較的導入しやすいサービスと言えるでしょう。

他のDNSサービスとの比較

DNSサービスにはNextDNS以外にもさまざまな選択肢があります。ここでは代表的なCloudflare DNS、Google Public DNS、AdGuard DNSとNextDNSを、機能・性能・価格の観点で比較します(必要に応じてその他サービスにも触れます)。

Cloudflare DNS(1.1.1.1)

概要:Cloudflare社が提供するパブリックDNSサービスで、IPアドレス「1.1.1.1」で知られています。元々CDN大手の同社インフラを活かし、非常に高速で低遅延なDNS応答を売りに2018年に開始されました。基本機能は名前解決のみですが、近年はマルウェアや成人向けコンテンツをブロックするフィルタ付きサービス(1.1.1.2 / 1.1.1.3)も選択可能です 。

セキュリティ・フィルタリング:デフォルトの1.1.1.1はコンテンツフィルタリングを行いませんが、希望に応じて悪質サイトやアダルトサイトを遮断する専用DNSサーバーを利用できます 。さらに、さすがセキュリティ企業だけありDDoS攻撃への耐性も非常に高く、インフラ全体でDNSへの大規模攻撃に対処できる設計です  。DNSSECにも対応しており、セキュリティ面は堅牢です 。

プライバシー:Cloudflare DNSはプライバシー重視のリゾルバとして、ユーザーのIPアドレスを完全には記録せず24時間以内に匿名化する方針を取っています  。ログには一部情報が残るものの、個人を特定しない形で短期間保持し、プライバシーに配慮しています 。またトラフィックの最適化に必要な範囲でしかデータを利用しないと明言されています。

パフォーマンス:世界中に分散配置されたCloudflareのエッジサーバーネットワークを利用しているため、非常に応答が速く信頼性も高いです 。多くのベンチマークでクエリ応答速度のトップクラスに位置し、日本国内でも遅延が数ミリ秒程度と体感でも高速です。NextDNSも独自に世界132か所にサーバーを持ち高速化を図っていますが、Cloudflareのネットワーク規模と比べるとカバレッジとスピードの面で優位性があります。

カスタマイズ性:基本的に1.1.1.1を指定するだけのシンプルなサービスで、NextDNSのような細かなブロックリスト選択やログ閲覧機能はありません。必要最低限のフィルタリングのみ提供されます。その反面、設定やアカウント登録の必要がなく手軽でトラブルが少ないのが利点です。

料金:完全無料で利用できます。アカウントも不要で、ルーターやOSに「1.1.1.1」を設定すれば即利用可能です。

Google Public DNS(8.8.8.8)

概要:Googleが提供する無償のDNSサービスです。IPアドレスは「8.8.8.8」「8.8.4.4」で、2010年頃から提供されています。大規模なキャッシュとGoogleのインフラによる高速処理が特徴で、純粋な名前解決サービスとして多くのユーザーに使われています。

セキュリティ・フィルタリング:Google Public DNS自体にはコンテンツブロック機能やマルウェア対策機能は基本的にありません(安全なDNSSEC検証はサポート)。そのため、ISPのDNSをGoogleに変えることで速度向上や信頼性向上を期待する用途が中心です。悪意のあるサイトブロック等は行われないため、セキュリティフィルタ目的であれば他サービスと組み合わせる必要があります。

プライバシー:GoogleはDNSクエリに関する一時ログと永続ログを運用しており、一時ログにはフルIPアドレスが含まれますが24~48時間以内に削除されます。統計目的の永続ログには位置情報を概ね特定できない範囲(市区町村レベル)でIP情報が保存されます。データ収集に敏感なユーザーからは「GoogleにDNS履歴まで渡すのか」と懸念されることもありますが、Google側はプライバシー方針ページで収集データと利用方法を開示しています。とはいえNextDNSのようにユーザーがログ保持を管理・無効化する術はなく、完全な匿名利用という点ではユーザーのコントロール余地が少ないと言えます。

パフォーマンス:Googleの広大なサーバーネットワークと最適化技術により、速度と可用性はトップクラスです。世界各地にDNSサーバーを配し、Anycastで最寄りのサーバーに誘導するため、遅延が非常に低くなっています。日本国内でも8.8.8.8は根強い人気があります。NextDNSも高速ですが、Google DNSは長年の実績と大企業の信頼性から企業システム等でも採用されるなど堅実な選択肢です。

カスタマイズ性・機能:シンプルなDNS解決のみで、ユーザー向けの設定UIやログ提供機能はありません。言い換えればGoogle側で設定ミス等が発生しにくく、初心者でも安心して利用できます。

料金:完全無料です。8.8.8.8を指定するだけで誰でも利用できます。アカウント登録等も不要です。

AdGuard DNS

概要:AdGuardは元々有名な広告ブロックソフトウェアの開発元であり、その提供するDNSサービスがAdGuard DNSです。DNSレベルで広告やトラッキングをブロックする点ではNextDNSとコンセプトが似ています。パブリックDNSとして誰でも使える「AdGuard DNS(Default版・Family版)」と、ユーザー登録してカスタマイズ可能な「AdGuard DNS(Private版)」があります。

セキュリティ・フィルタリング:AdGuard DNS (Default) は、既定で広告・トラッカーのドメインをブロックし、マルウェアドメインからも保護してくれます。Family版ではさらにアダルトコンテンツのフィルタが追加され、ペアレンタルコントロール用途に適します。NextDNS同様にDNSレベルで不要コンテンツを遮断するため、ブラウザやアプリ問わず効果があります。ブロックリストはAdGuard自身が管理・更新するものが使われ、誤判定の少なさにも定評があります(海外ユーザーから「AdGuard DNSのフィルタは誤ブロック率が低い」との評価もありました)。

プライバシー:AdGuardはクエリログをデフォルトで記録しない設計で、ユーザーのプライバシーを尊重しています。必要に応じてユーザーが統計やログを確認できる機能もありますが、これはユーザー登録して**自分専用のDNSサーバーを発行した場合(Private版)**に限られます。AdGuardのプライバシーポリシーでも、個人情報やDNSクエリを第三者に共有しないことが明記されています。総じてNextDNSと同程度にプライバシーには配慮されたサービスと言えます。

パフォーマンス:ロシア発のサービスということもあり、日本を含むアジア地域ではサーバーロケーションがやや少ないとの指摘があります(例えば台湾のユーザーから「台湾にNextDNSは2拠点あるがAdGuard DNSはゼロなのでNextDNSの方が高速だった」という報告)。欧米では高速ですが、地域によってはNextDNSやCloudflareに比べ応答速度で劣る場合もあります。ただしAdGuard DNSもAnycast対応で世界各地にノードを配置し続けているため、徐々に改善されています。

カスタマイズ性:NextDNSほど細かな設定UIはありませんが、ユーザー登録することで自分用のAdGuard DNSサーバーを作成し、フィルタ適用・例外設定・統計閲覧が可能です。機能的にはNextDNSのカスタムリスト管理に近いことができますが、NextDNSほど多数の外部リストを組み合わせたり詳細設定を調整する自由度は若干制限されます。またUIデザインや操作性に関して、NextDNSの方が「洗練されていて使いやすい」というユーザーの声もあります。

料金:AdGuard DNSのパブリック(Default/Family)は無料で無制限に利用できます。カスタマイズ可能なPrivate版については、AdGuardが提供する有料製品(AdGuard VPNなど)に付属する場合や、単体ライセンス購入が必要な場合があります。料金体系はNextDNSのプロプランとほぼ同様との情報もあり、月額数百円レベルで利用できるようです。ちなみに自前でAdGuard Homeというソフトウェアをサーバーにインストールすれば、完全無料で独自のDNSフィルタリング環境を構築できます(技術知識と管理の手間が必要)。

その他のサービス

上記以外にも、DNSサービスはいくつか代表的なものがあります。 * Quad9:IBMやGlobal Cyber Allianceの支援で提供されている非営利のDNSサービス。セキュリティ特化型で、既知のマルウェア・フィッシングサイトブロックに非常に注力しています。プライバシー面でもログを残さず個人情報を収集しない方針です。フィルタリング精度が高い反面、広告ブロック目的のリストは含まれません。無料で誰でも利用可能。 * OpenDNS:Cisco傘下のDNSサービス。古参のサービスで、無料のファミリーシールド(有害サイトブロック)や、有料のプレミアムサービスではカスタムフィルタやレポート機能も提供しています。歴史が長く企業利用の実績もありますが、近年はCloudflare DNSやNextDNSの登場で個人ユーザーへの訴求力はやや薄れています。 * Pi-hole:自前で用意するDNS広告ブロックシステム。Raspberry Piなどにサーバーを立て、家庭内DNSとして動作させます。自由度は極めて高く、フィルタも自由自在ですが、自力でのメンテナンスが必要です。外出先で使うにはVPN経由で自宅に接続するなど工夫が要ります。技術的知見があるユーザー向けですが、コミュニティも活発で根強い人気があります。

NextDNSの評価・ユーザーレビュー

NextDNSは比較的新しいサービス(正式版公開は2019年~2020年)ながら、その利便性と効果から多くのユーザーの支持を集めています。以下に主な評価ポイントをまとめます。 * 使いやすさ・導入の容易さ:ユーザーからは「設定が簡単で、数分でネット全体の広告ブロックができた」といった声が聞かれます。Firefoxが標準採用したことも安心感につながり、公式サイトの日本語化も進んでいるためか、日本のユーザーからも「日本語対応しており分かりやすい」という評価があります。また、アカウント無しで試用できる点や、無料でも機能制限が無い点も好意的に受け止められています。 * 効果・メリット:「ほぼ全てのアプリで広告を削除でき、スマホに負荷もかからない」といったNextDNSの効果を実感する声があります。DNSレベルでブロックするため端末のCPUやバッテリー消費に影響せず、また実際に広告通信自体が来なくなることでモバイル通信量が節約できたとの報告もあります。あるユーザーは3か月間有料版を使った所感として「通信の半分近くがGAFAMに占められ、その20%が広告/trackerだったことがログで可視化され驚いた。NextDNSのおかげで自分の通信を管理・分析する手段が得られた」と述べています。このように詳細レポートによる可視化はユーザーに新たな気づきを与え、好評を博しています。 * パフォーマンスと信頼性:NextDNSは世界各地にサーバーを持ち、日本近隣にもノードがあるため応答は速く、「ISP既定のDNSより明らかに高速だった」という意見もあります。公式にも超低遅延ネットワークを謳っており、東京を含む主要都市のキャリア網にサーバーを埋め込んでレイテンシ最適化しているとのことです。信頼性の面でも月間1000億超のクエリを捌いている実績があり、大きな障害報告は見当たりません。Mozillaとの提携やTech業界著名人からの推薦もあり、サービスへの信頼感を高めています。 * カスタマイズ性・多機能ぶり:NextDNSの充実した設定項目や多彩なブロックオプションについて、上級ユーザーから高評価です。「Pi-holeほどではないが非常に多くのリストを組み合わせられ満足」「簡易なWebダッシュボードで設定できるPi-holeとして素晴らしい」等の意見が見られます。プロファイルを複数作成して、デバイスごとに別々のフィルタルールを適用できる点も便利という声があります(例:子供用デバイスには厳しめの設定、大人用は緩め、など無制限に作成可能)。 * 懸念・改善要望:一方で、ユーザーから指摘される点もあります。もっとも一般的なのは**「誤ブロック(過剰なフィルタ)による不便」**です。安全なサイトまでブロックされてしまうケースでは、自分で原因ドメインを突き止め許可リストに追加する手間が生じます。NextDNSはログからブロックされたドメインを確認し簡単に許可へ切り替えられますが、それでも技術に詳しくない人にはハードルになる場合があります。また、広告ブロック全般に言えることですが「皆が広告をブロックし始めるとWeb運営側の収益モデルに影響が出る」という議論も存在します。NextDNS利用者の中にも「良質なコンテンツ提供者への収益減少は悩ましい問題だ」と指摘する声があり、今後のインターネット広告モデルの変化も含めた課題と捉えられています。

総じて、NextDNSは**「便利さ」「効果」「安心感」**のバランスが取れたサービスとして高く評価されています。「有料でも使い続けたい価値がある」「家族や友人にも勧めたい」といった肯定的なレビューが多く見られ、特に広告や追跡に悩むユーザー、子供のネット利用を心配する保護者層から支持を得ています。今後も競合サービスとの機能競争や、より一層の使いやすさ改善が期待されるところです。

参考文献・情報源: 本調査レポートはNextDNS公式サイトおよびヘルプ、技術系メディアの記事、ユーザーによるブログレビュー、比較サイトの分析記事 など信頼性の高い情報を参照して作成しました。各種機能やポリシーについては引用元を明記していますので、詳細はそちらも併せてご確認ください。

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