このチェックリストは,論文の完成度を高めるためのチェックリストです. 指導教員の論文チェックを効率化するためにも,すべての学生は,指導教員に論文をチェックしてもらう前に,最低2名の学生(うち1名は必ず後輩)に以下の項目をチェックしてもらうこと.論文執筆者はこちらのリンクからチェックリストをダウンロードし,印刷したチェックリストをチェックしてもらう人に渡すこと.最低2名の学生からすべての項目にOKが出たことを確認してから,指導教員チェックを行うことにします.
- 投稿者の氏名・所属・メールアドレスは間違っていないか?
- 共著者に氏名・所属・メールアドレスが間違っていないかの確認をとったか?(第1著者のToDo)
- 独自のテンプレートを使用せず,投稿先から指定されたテンプレートを使って論文を執筆しているか?
- ページの枚数制限を満たしているか?
- DEIM論文:4-8ページ
- 卒業論文・修士論文:専用テンプレートで20ページ以上
- 論文の目的(何を提案する,何を調査するのか)について,1-2行で簡潔に書かれているか?
- 提案手法・調査事項の具体的なアイデアについて,1−2行で簡潔に書かれているか?
- 評価実験や調査の結果,明らかになった(or なる)ことについて,1-3行程度で簡潔に書いてあるか?
- 本論文によってどんなことが可能になるか,社会や学術コミュニティにどんな波及効果があるかについて,1-2行程度で簡潔に書いてあるか?
- アブストラクトに研究背景を書いていないか?(書いてはいけない)
- 200-400文字に収まっているか(投稿規定で字数が決まっている場合はそちらに従うこと)?
- 取り組む問題につながるような背景を書いているか?
- 論文で取り組むべき問題が何か(リサーチクエスチョン),明確に書かれているか?
- 取り組む問題が重要であることを客観的に示す文献が引用されているか?
- 論文で明らかにしたいこと,すなわち研究目的が明確に書かれているか?
- 掲げた目的が達成させると何が嬉しいのかが明確かつ共感できるように書かれているか?
- 提案事項の説明は「直感的なアイデア→それを実現するための要素」の順でわかりやすく説明されているか?
- 取り組む問題や提案事項のアイデアをわかりやすく説明するために,「例」が導入されているか?
- 章末に「本論文の主要な貢献は以下の通りである」という書き出しで,研究で得られた知見(どんな実験をして,どんな知見が結果が得られたか)を箇条書きでまとめているか?
- 「はじめに」の章は分かりやすく,興味が惹かれる内容になっているか?
- 類似する研究をひたすら羅列しただけの説明になっていないか?
- この論文の位置づけを整理するために観点(節)を2,3つ程度設定しているか?
- 各関連研究の内容を2,3行程度で簡潔にまとめているか?
- 各節の最後で,関連研究と自分の研究の方向性の違いを説明しているか?
- 提案手法やシステムの挙動をわかりやすく説明するために,例を用いた説明がなされているか?
- 手法・システム提案系の論文であれば,本章の最後に「仮説」という節を設けて,提案事項に関して検証すべき仮説が設定されているか?
- この論文を初めて読む人でも実験を再現できるよう,必要な情報が正確かつ十分に書かれているか?
- 実験協力者・調査対象者の集め方をきちんと説明しているか?
- 実験協力者・調査対象者の属性情報をまとめているか?
- 実験協力者・調査対象者に対する報酬額が適切に設定されているか?
- 実験・調査のための装置やシステム,環境について説明されているか?
- 実験系であれば,比較手法が設定されているか?
- 仮説に対応した評価指標が設定されているか?
- 仮説を漏れなく立証できるよう,必要となる実験・調査結果を載せているか?
- 各データが「何のために収集した,どんなデータである」説明されているか?
- 図・表はページの上部もしくは下部に配置されているか(LaTeXではtbで位置指定しているか)?
- 本文や表にある実験データの数字は,有効数字を考慮して数を丸めているか?
- 図・表から客観的に読み取れる事実をきちんと説明しているか?
- 調査結果・実験結果の解釈は「結果」の章ではなく「考察」の章に書いているか?
- 「結果」の章で記した結果の解釈について書かかれているか?
- 設定したすべての仮説に対して,その立証結果(最終的に支持されたのか,支持されなかったのか)が書かれているか?
- 提案手法がうまく機能した理由,うまく機能しなかった理由の考察がされているか?
- 「考察」の章で記した「提案手法がうまく機能しなかった要因」を踏まえて,提案手法の改善策について考察がされているか?
- 拡大解釈を防ぐために,研究の限界を述べているか?
- 参考文献リストに載せている文献のフォーマットは正しいか?(参考:参考文献の役割と書き方)
- 参考文献リストは以下の条件を満たしているか?
- DEIM閲読用論文:Google Scholarで被引用数が5以上の英語論文(ショートペーパーは不可)が5本以上リストアップされているか?
- DEIM最終論文・卒業論文:Google Scholarで被引用数が5以上の英語論文(ショートペーパーは不可)が10本以上リストアップされているか?
- 修士論文:Google Scholarで被引用数が5以上の英語論文(ショートペーパーは不可)が20本以上リストアップされているか?
- 参考文献リストに掲載されたすべての文献について,本文中できちん言及しているか?
- 参考文献番号に抜けがないか?(本文中で文献番号が[?]のようになっていないか?)
- 「出来る」は「できる(平仮名)」になっているか?
- 「の為」は「のため(平仮名)」になっているか?
- 「〜毎に」は「〜ごとに(平仮名)」になっているか?
- 「予め」は「あらかじめ(平仮名)」になっているか?
- 「全て」は「すべて(平仮名)」になっているか?
- 「但し」「又」「及び」等の接続詞はすべて平仮名になっているか?
- 1文が2行以下(どんなに長くても3行)に収まっているか?
- 適切に読点が使うことで,文の切れ目や句の修飾関係は分かりやすくなっているか?
- 略語を使う場合,その後が一番最初に出現したときに何の略語かを説明しているか?
- 図のキャプションは図の下に配置しているか?(投稿先によって指定が異なる可能性がある)
- 表のキャプションは表の上に配置しているか?(投稿先によって指定が異なる可能性がある)
- 図表は,それについて言及する文があるページもしくは近くのページに配置しているか?
- 図表はページの上部または下部に配置しているか?(文中に挿入する形で配置していないか?)
- 句点は「。」ではなく「.(英語は半角)」に統一されているか?
- 読点は「、」ではなく「,(英語は半角)」に統一されているか?
- 数字,アルファベットは半角に統一されているか?
- 主語がある文において,主語が述語ときちんと対応しているか?
- 悪い例:活動内容は,学生を集めて研究議論をしたり,金曜日には関連論文の紹介をしています.
- (引用文以外で)すべての文は「である」調に統一されているか?(「ですます」調,「だ」調の文が含まれていないか?)
- 「(私は)・・・だと考えた(考えてみた)」という表現を書いていないか?(根拠付きで「・・・であると考えられる」という表現を用いるべき)
- すべての英単語に対してスペルチェックを行っているか?
- 若者言葉が含まれていないか?
- 例1:ネット→ウェブ or インターネット,インスタ→Instagram,検索→ウェブ検索
- 例2:お店→店・店舗,いろいろな・いろんな→様々な,いい→よい,たくさん→多く,だんだん→徐々に
- 図の解像度は適切か?少しでもボケて見づらくなっていないか?
- 図に含まれる字が小さく見づらくなっていないか?
- 図のアスペクト比は適切か(縦横比をいじっていないか)?
- すべての図に関して,本文中できちんと言及しているか(図を貼り付けるだけになっていないか)?
- 誤字・脱字がないことを確認したか?
- 論文の「タイトル」は内容を適切に表すものなっているか?
- 論文を紙に印刷して,2回以上読んだか?
レビューを依頼された者は,上記チェック項目とともに,下記観点から論文の内容面に点数およびコメントをつけてみましょう.下記観点は,電子情報通信学会の論文査読で用いられる審査基準です.この基準を満たすよう心懸けることで,学外的にも評価が得られる論文を書くことができます.
- 新規性:投稿の内容に著者の新規性があること(1-5)
- 有効性:投稿の内容が学術や産業の発展に役立つものであること(1-5)
- 信頼性:投稿の内容が読者から見て信用できるものであること(1-5)
- 了解性:投稿の内容が明確に記述されていて読者が誤解なく理解できるものであること(1-5)
なお,学生レビューは 忖度なし で行ってください.批判的にレビューを行うことは,研究を進めるために必要な事です.非難と批判は異なります.論文のレビューは批判にあたります.批判をできる/受け止められる人間になりましょう.
各観点の審査ポイントは以下のとおりです(電子情報通信学会の査読の基準からの引用です).
様々な観点から論文を吟味して,できるだけ幅広く新規性を見出すように心がける.たとえば,次のような要件を満たす場合には,論文の新規性があると評価する.新規性のレベルの判定は,従来の論文(信学論の平均的な掲載論文)を基準にする.いずれかの要件において,従来の論文に比べて,大きな差異が認められる場合には新規性が極めて優れていると評価する.
- 新しい概念が提案されている
- 新しいアルゴリズムが提案されている
- 新しい実現方式が提案されている
- 概念や方式の新しい組み合わせ方が提案されている
- 理論上の新しい結果が述べられている
- 新しいデータが (それを得るに至った方法に関する議論とともに)提示されている
- 新しい解釈が提示されている
- 新しい事例が提示されている
- 新しい問題領域が提示されている
- 要素技術の新しい利用方法が(従来のものとの独立性を明確にした上で)提示されている
- 実践的システムへの最新技術の新しい適用例が提示されている システム開発経験に関する新しい知見が述べられている
様々な観点から論文を吟味して,できるだけ幅広く有効性を見出すように心がける.たとえば,次のような要件を満たす場合には,論文の有効性があると評価する.有効性のレベルの判定は,従来の論文(信学論の平均的な掲載論文)を基準にする.いずれかの要件において,従来の論文に比べて,大きな差異が認められる場合には有効性が極めて優れていると評価する.
- 得られた効果が大きい
- 得られた結果を適用できる領域が広い
- 得られた結果を適用したい人が多い
- 得られた結果を適用した場合に得られる利益が大きい
- 得られた結果により大きな利益が得られたことが,客観的に示されている
- 得られた結果に対する分析が十分になされている
- 十分広い範囲に渡って問題が考慮されている
- 現実世界との対応付けが十分に考慮されている
- 新しい研究につながる可能性が高い
- 他の研究へ大きな刺激を与える可能性が高い
- 新しい研究分野を開く可能性が高い
次のような条件をすべて満たすとき,信頼性があると判定する.
- 十分具体的に記述されている
- 技術的な裏付けが示されている
- 議論の展開に誤りがない
- 前提条件が明確である
論旨の展開が,読者に十分理解できるように,分かりやすく,順序立てて,明瞭に記述してあること.