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@3846masa
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<div class="multi-cols-15em">
<h1 class="title">赤ずきんちゃん</h1>
<h2 class="author">グリム兄弟 Bruder Grimm</h2>
<div class="main_text">
<p>むかし、むかし、あるところに、ちいちゃいかわいい女の子がありました。それはたれだって、ちょいとみただけで、かわいくなるこの子でしたが、でも、たれよりもかれよりも、この子のおばあさんほど、この子をかわいがっているものはなく、この子をみると、なにもかもやりたくてやりたくて、いったいなにをやっていいのかわからなくなるくらいでした。それで、あるとき、おばあさんは、赤いびろうどで、この子にずきんをこしらえてやりました。すると、それがまたこの子によく似あうので、もうほかのものは、なんにもかぶらないと、きめてしまいました。そこで、この子は、<strong class="sesame_dot">赤ずきんちゃん</strong>、赤ずきんちゃん、とばかり、よばれるようになりました。</p>
<p>ある日、おかあさんは、この子をよんでいいました。<br/>
「さあ、ちょいといらっしゃい、赤ずきんちゃん、ここにお<ruby>菓子<rp>(</rp><rt>かし</rt><rp>)</rp></ruby>がひとつと、ぶどう<ruby>酒<rp>(</rp><rt>しゅ</rt><rp>)</rp></ruby>がひとびんあります。これを赤ずきんちゃん、おばあさんのところへもっていらっしゃい。おばあさんは、ご病気でよわっていらっしゃるが、これをあげると、きっと元気になるでしょう。それでは、あつくならないうちにおでかけなさい。それから、そとへでたら気をつけて、おぎょうぎよくしてね、やたらに、しらない横道へかけだしていったりなんかしないのですよ。そんなことをして、ころびでもしたら、せっかくのびんはこわれるし、おばあさんにあげるものがなくなるからね。それから、おばあさんのおへやにはいったら、まず、おはようございます、をいうのをわすれずにね。はいると、いきなり、おへやの中をきょろきょろみまわしたりなんかしないでね。」</br>
「そんなこと、あたし、ちゃんとよくしてみせてよ。」と、赤ずきんちゃんは、おかあさんにそういって、指きりしました。</p>
<p>ところで、おばあさんのおうちは、村から半道はなれた森の中にありました。赤ずきんちゃんが森にはいりかけますと、おおかみがひょっこりでてきました。でも、赤ずきんちゃんは、おおかみって、どんなわるいけだものだかしりませんでしたから、べつだん、こわいともおもいませんでした。</br>
「赤ずきんちゃん、こんちは。」と、おおかみはいいました。</br>
「ありがとう、おおかみちゃん。」</br>
「たいそうはやくから、どちらへ。」</br>
「おばあちゃんのところへいくのよ。」</br>
「前かけの下にもってるものは、なあに。」</br>
「お菓子に、ぶどう酒。おばあさん、ご病気でよわっているでしょう。それでおみまいにもってってあげようとおもって、きのう、おうちで焼いたの。これでおばあさん、しっかりなさるわ。」</br>
「おばあさんのおうちはどこさ、赤ずきんちゃん。」</br>
「これからまた、八、九<ruby>町<rp>(</rp><rt>ちょう</rt><rp>)</rp></ruby>もあるいてね、森のおくのおくで、大きなかしの木が、三ぼん立っている下のおうちよ。おうちのまわりに、くるみの<ruby>生垣<rp>(</rp><rt>いけがき</rt><rp>)</rp></ruby>があるから、すぐわかるわ。」</p>
<p>赤ずきんちゃんは、こうおしえました。</p>
<p>おおかみは、心の中でかんがえていました。</br>
「わかい、やわらかそうな小むすめ、こいつはあぶらがのって、おいしそうだ。ばあさまよりは、ずっとあじがよかろう。ついでにりょうほういっしょに、ぱっくりやるくふうがかんじんだ。」</p>
<p>そこで、おおかみは、しばらくのあいだ、赤ずきんちゃんとならんであるきながら、道みちこう話しました。</br>
「赤ずきんちゃん、まあ、そこらじゅうきれいに咲いている花をごらん。なんだって、ほうぼうながめてみないんだろうな。ほら、小鳥が、あんなにいい声で歌をうたっているのに、赤ずきんちゃん、なんだかまるできいていないようだなあ。学校へいくときのように、むやみと、せっせこ、せっせこと、あるいているんだなあ。そとは、森の中がこんなにあかるくてたのしいのに。」</p>
<p>そういわれて、赤ずきんちゃんは、あおむいてみました。すると、お日さまの光が、木と木の茂った中からもれて、これが、そこでもここでも、たのしそうにダンスしていて、どの木にもどの木にも、きれいな花がいっぱい咲いているのが、目にはいりました。そこで、</br>
「あたし、おばあさまに、げんきでいきおいのいいお花をさがして、花たばをこしらえて、もってってあげようや。するとおばあさん、きっとおよろこびになるわ。まだ朝はやいから、だいじょうぶ、時間までに行かれるでしょう。」</br>
と、こうおもって、ついと横道から、その中へかけだしてはいって、森の中のいろいろの花をさがしました。そうして、ひとつ花をつむと、その先に、もっときれいなのがあるんじゃないか、という気がして、そのほうへかけて行きました。そうして、だんだん森のおくへおくへと、さそわれて行きました。</p>
<p>ところが、このあいだに、すきをねらって、おおかみは、すたこらすたこら、おばあさんのおうちへかけていきました。そして、とんとん、戸をたたきました。</br>
「おや、どなた。」</br>
「赤ずきんちゃんよ。お菓子とぶどう酒を、おみまいにもって来たのよ。あけてちょうだい。」</br>
「とっ手をおしておくれ。おばあさんはご病気でよわっていて、おきられないのだよ。」</p>
<p>おおかみは、とっ手をおしました。戸は、ぼんとあきました。おおかみはすぐとはいっていって、なんにもいわずに、いきなりおばあさんのねているところへ行って、あんぐりひと口に、おばあさんをのみこみました。それから、おばあさんの着物を着て、おばあさんのずきんをかぶって、おばあさんのお<ruby>床<rp>(</rp><rt>とこ</rt><rp>)</rp></ruby>にごろりと寝て、カーテンを引いておきました。</br>
</br>
</p>
<p>赤ずきんちゃんは、でも、お花をあつめるのにむちゅうで、森じゅうかけまわっていました。そうして、もうあつめるだけあつめて、このうえ持ちきれないほどになったとき、おばあさんのことをおもいだして、またいつもの道にもどりました。おばあさんのうちへ来てみると、戸があいたままになっているので、へんだとおもいながら、中へはいりました。すると、なにかが、いつもとかわってみえたので、</br>
「へんだわ、どうしたのでしょう。きょうはなんだか胸がわくわくして、きみのわるいこと。おばあさんのところへくれば、いつだってたのしいのに。」と、おもいながら、大きな声で、</br>
「おはようございます。」</br>
と、よんでみました。でも、おへんじはありませんでした。</p>
<p>そこで、お<ruby>床<rp>(</rp><rt>とこ</rt><rp>)</rp></ruby>のところへいって、カーテンをあけてみました。すると、そこにおばあさんは、横になっていましたが、ずきんをすっぽり目までさげて、なんだかいつもとようすがかわっていました。</br>
「あら、おばあさん、なんて大きなお耳。」</br>
「おまえの声が、よくきこえるようにさ。」</br>
「あら、おばあさん、なんて大きなおめめ。」</br>
「おまえのいるのが、よくみえるようにさ。」</br>
「あら、おばあさん、なんて大きなおてて。」</br>
「おまえが、よくつかめるようにさ。」</br>
「でも、おばあさん、まあ、なんてきみのわるい大きなお口だこと。」</br>
「おまえをたべるにいいようにさ。」</p>
<p>こういうがはやいか、おおかみは、いきなり寝床からとびだして、かわいそうに、赤ずきんちゃんを、ただひと口に、あんぐりやってしまいました。</br>
</br>
</p>
<p>これで、したたかおなかをふくらませると、おおかみはまた寝床にもぐって、ながながと寝そべって休みました。やがて、ものすごい音を立てて、いびきをかきだしました。</p>
<p>ちょうどそのとき、かりうどがおもてを通りかかって、はてなと思って立ちどまりました。</br>
「ばあさんが、すごいいびきで寝ているが、へんだな。どれ、なにかかわったことがあるんじゃないか、みてやらずばなるまい。」</p>
<p>そこで、中へはいってみて、寝床のところへ行ってみますと、おおかみが横になっていました。</br>
「ちきしょう、このばちあたりめが、とうとうみつけたぞ。ながいあいだ、きさまをさがしていたんだ。」</p>
<p>そこで、かりうどは、すぐと鉄砲をむけました。とたんに、ふと、ことによると、おおかみのやつ、おばあさんをそのままのんでいるのかもしれないし、まだなかで、たすかっているのかもしれないぞ、とおもいつきました。そこで鉄砲をうつことはやめにして、そのかわり、はさみをだして、ねむっているおおかみのおなかを、じょきじょき切りはじめました。</p>
<p>ふたはさみいれると、もう赤いずきんがちらと見えました。もうふたはさみいれると、女の子がとびだしてきて、
「まあ、あたし、どんなにびっくりしたでしょう。おおかみのおなかの中の、それはくらいったらなかったわ。」と、いいました。</p>
<p>やがて、おばあさんも、まだ生きていて、はいだしてきました。もう、よわって虫の息になっていました。赤ずきんちゃんは、でも、さっそく、大きなごろた石を、えんやらえんやらはこんできて、おおかみのおなかのなかにいっぱい、つめました。やがて目がさめて、おおかみがとびだそうとしますと、石のおもみでへたばりました。</p>
<p>さあ、三人は大よろこびです。かりうどは、おおかみの毛皮をはいで、うちへもってかえりました。おばあさんは、赤ずきんちゃんのもってきたお菓子をたべて、ぶどう酒をのみました。それで、すっかりげんきをとりかえしました。でも、赤ずきんちゃんは、(もうもう、二どと、森の中で横道にはいって、かけまわったりなんかやめましょう。おかあさんがいけないと、おっしゃったのですものね。)と、かんがえました。</p>
</div>
</div>
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