- 買い物の仕方と商品の探し方の側面から、買い物のを分析する
- 私たちはどんな買い方をしているのか(=買い物の仕方)
- 私たちはどんなふうに商品を見つけて購入しているのか(=商品の探し方)
- ウィッシュリストショッピング
- レコメンドショッピング
- カウンセリングショッピング
- インフルエンサーショッピング
- DtoCショッピング
- ストップウォッチショッピング
- ECサイトで気になった商品を「欲しいものリスト」、「お気に入りリスト」 = ウィッシュリスト
- 買い物かごに入れるまでには至らないけど、ちょっと気になる商品をひとまずウィッシュリストにまとめておく
- あとで纏めて検討してから購入する買い方がウィッシュリストショッピング
- 「今は読む時間がないからこの本をウィッシュリストに入れる」という使い方も含む
- 情報をたくさん手に入れてもそれを取捨選択刷るのが面倒だったり、興味の薄い商品を選ぶ際に面倒くさいと思ったりする
- 自分では調べたり判断したりせず、SNSなどで他人がおすすめしている商品をそのまま買う買い方が、レコメンドショッピング
- 楽に手っ取り早い買い物がしたい層がよく使う
- 自分の情報を積極的に知らせた上で、店舗やブランドに自分に合う商品を選んでもらう買い方 = カウンセリングショッピング
- 百貨店などでよく見かける
- オンラインカウンセリングという形態に移行し始めている
- 好きなインフルエンサーが紹介した投稿動画を見て、「自分も試してみたい」とか後日店舗で見かけて購入するとかの買い方
- 有名なインフルエンサーとは限らず、自分の友人というケースもある
- 「SNSで他人がおすすめしている物を買う」という点では、レコメンドショッピングとも似ている
- レコメンドショッピングは自分が知らない多数の他人の評価を見て買う
- インフルエンサーショッピングは有名人やあこがれの他人がおすすめする物を買う
- メーカーが卸業者や小売などを通さず、直接個人に販売するビジネスモデル = Direct to Consumer(DtoC、D2C)
- 生活者がメーカーや小売店と直接の繋がりを持ちながら買い物をする「ブランドショッピング」も広がっている
- 購入型クラウドファンディングもここに入る
- お金を出して商品やサービスの提供を受ける意味で、買い物の一種といえる
- メーカーにとってDtoCの醍醐味は、「顧客に商品のメイキングストーリーを伝えられること」
- 従来は顧客に対して、出来上がった商品・サービスを見てもらうだけだった
- 通常の買い物では見えにくいメイキングの中身を見てもらうことで、顧客に応援してもらうことが可能
- 顧客自身が商品やサービスのメイキングも関わりながら、自分に近い価値観や世界観を持つメーカーとつながることが可能となっている
- 様々な場面で「時短」のブームが起こり、買い物も同様
- デジタルシェルフ時代の買い物は「かかる時間を減らしたい」という生活者のニーズに沿って、時短の買い物(ストップウォッチショッピング)が進んでいる
- 日用品のように、いつも買うものが決まっていて、比較検討が必要ないものに関しては、買い物にかける時間をなるべくゼロに近づけたい
- 買い物に出かける時間、商品選びから決済に至るまで極力時間をかけたくないから買い物履歴から「いつもの商品」を注文する人も多い
- ストップウォッチショッピングの究極の形は、考える時間すらなくすこと
- 「あとどれくらい残っているか、いつ買い足せばいいのか」を一つひとつ覚えておくのがしんどい
- なので、日用品に付いては、「ストックが切れる前」のタイミングで自動的に商品が送られてくるようなサービスが広がると考えられる
- 目的系
- 発見系
世の中の殆どの買い物は、目的系商品の買い物に含まれる
目的系の買い物は毎日あっても、発見系の買い物はたまにある程度
- 普段の買い物で購入する商品
- いつものと同じ
- 最初から買い物の目的が決まっている
- 生活者にとって面倒くさい買い物なので、店舗に行くことや決済などの買い物プロセスの自動化が進んでいる
- 生活者がその商品を発見して初めて買う商品
- SNSなどでその商品を発見するという買い物
- 特に買うものが決まっているわけでもないのに、何かないかと探すのも含まれる
- 発見系の買い物においては、多くの商品にコンセプトがある
- 顧客に見つけて貰う必要があるから
- 魅力的なコンセプトがある商品ほど、顧客に発見されやすい
- Googleが提唱しているマーケティング理論
- 客が店に来る前に、すでに何を買うかは決まっている
- ZMOT(Zero Moment Of Truth)
- デジタルシェルフの「いい場所」に商品があることが大前提で、商品に気づいてくれた生活者に対して、商品の魅力をどれだけ伝えられるか
- 検索したら、上位に出てくる
- レビューの評価が高い
- 他のユーザーによく買われている
- インフルエンサーが紹介している
- Amazon、楽天といったECサイトがデジタルシェルフ時代にもトップ企業として君臨し続けられている理由
- 初めての買い物でも失敗しにくい仕組みがあること
- 買い物の失敗を防いでくれる情報(=レビュー)をもとに買い物ができる
- 「おそらく大丈夫だろう」とか「ほぼ外れない」とかのレビューの参考に買い物を続けている
- 日用品になると、習慣化が進んでいく
- 人は失敗しない買い物の場を求めている
楽天 | 1回目の買い物においての便利さ ギフトに強い 商品情報を豊富に掲載され、特典も多い |
Amazon | 2回目以降の買いやすさ 日用品に強い 買い物のプロセスの自動化 |
- ファッション系の買い物
- 季節ごとに新作が出るので、そのたびに生活者は新しい商品と出会っている
- 毎年同じ服(知っている服)を買うはあまりいない
- 美容系の商品
- 目的系コマース
- スキンケア商品(いつも使っている物が選ばれやすい)
- 発見系コマース
- メイクアップ商品(新しい物エオ試してみたい心理)
- 目的系コマース
- 目的系コマースで買っているものを、発見系コマースに切り替えるような行動は起きにくい
- 同じ物を使っている人にその情報は受け付けにくい
- 習慣化されやすい商品ほど、新しい客に買ってもらうことのハードルは高い
- 知らないからこそSNSや口コミが効きやすく、多くの人に拡散していく
- SNSにはみんなが知っているものはなかなかあ存在しづらい
-
2種類のつながり
- 人のつながり
- コトのつながり
-
人のつながり
- 身の回りの人間関係
- 「絆」という言葉でクローズアップされているが、強調すること自体人と人のつながりがもともと弱くなっていたことの裏返しでもある
-
コトのつながり
- 弱くなったつながりを補完する かのように、新たな形として生まれてきたのがコトのつながり
- 好きなことや関心のあることで、知らない誰かとつながっている状態
- 人間同士のつながりという意味では人のつながりと同じだけど、きっかけがコト
-
つながりの強さ
- 絆のある人と人のつながり
- 自分と複数の相手とのつながり
- 知らない人同士でも成立するつながり(コトのつながり)
-
今後の買い物も、コトのつながりを活用したパターンが増えるだろう
- 3.のつながりを頼りに情報収集して、一人(あるいはコトでつながっている人と一緒に)買い物をしたほうが、自分に取ってはいい買い物になりやすい
- Amazonフレッシュやネットショッピングで家からなるべく出ない生活をするひとたち
- ネットがあれば、家から一歩も出ない生活は可能
- 外に出かけるための身支度がとても面倒
- 日本のすべての商取引における電子商取引の比率(EC化率)は2019年の時点で6.76%
- コロナ以降では100%に近い生活をする人がいる
- いずれは、ネット上のアバターを映して生活するのがオーケーになれば、もはや身支度の必要すらなくなる
- 2020年は人の動きが止まった一方で、物の動きが活発化した1年
- 生活者が近距離圏やネットで買い物を済ませるようになり、商品の流れも従来とは大きく変化した
- 中でも、高い家賃や土地代を払って、便利な都会に住む必要があるのかという議論も生まれた
- 郊外や地方の価値が見直されるようになる
- 新しい住まいや生活の構想を描いている人も少なくない
- 価値観の変化は店舗にも影響を及ぼしている
- 生活者にとって、買う場所はどこでも良くなっている
- メーカーからしたら、顧客の目に留まりやすい場所、手に取りやすい場所、棚の一等地に商品をおいてもらいたい
- しかし、SNS経由のネットショッピングをする人も増え、商品が置かれる場所もリアル店舗の棚からデジタルシェルフ上にシフトしている
- デジタルシェルフでいう一等地は、ユーザーの目に留まりやすいところ
- 検索結果上位に表示される商品のようなところ
- クチコミクスによると、ECサイトのサイトのレビューを「素直に信用している」/「それなりに信用している」人の合計が7割
- アメリカのPowerReviewsの調査によるとオンラインでの買い物客の97%がレビューを読んでいて、89%が購入の意思決定の際の重要な情報源として考えている結果も出ている
- レビューをまったく気にしていない人は3%しかない
- PowerReviewsの調査によるとリアル店舗の買い物客39%が、ネットのレビューを読んでから商品を購入する
- CMが影響するのは商品を認知するところまでで、購入の判断となると圧倒的にレビューの影響の方が強い
- よいレビューこそが商品の優位性となる
- オフラインでの買い物にも連動し始める
- アメリカでは「ソーシャル映画鑑賞」の動きが広まっている
- 動画配信サービスを通じて、自分の仲間や知らない人たちと一緒にオンラインで映画を鑑賞する
- Amazonプライムビデオの「Watch Party」
- ソーシャル映画鑑賞の醍醐味は、映画鑑賞そのものよりも会話(コメント)にある
- つながりをもっている人たちと同じ時間を共有する
- 一体感を抱きつつ、視聴とコメントを楽しむ文化のひとつ
- PtoC(Person to Consumer)
- 個人発のDtoC
- 個人発だと、市場の大きさは決して大きくない
- しかし、熱狂度は高い
- 熱狂度と市場の大きさは反比例の関係にある
- 熱狂度が高いほど、市場は小さくなりやすい
- 市場が大きくなるほど、熱狂度は下がりやすい
- 生活者の嗜好が多様化する中で、大きな市場が生まれにくくなっている
- メーカー側にとっても、現在は「熱狂的なファン」を作るかどううかが課題となっている
- 今後、企業がインフルエンサーのちからを借りて、新しい商品を作って行くようなケースは増えていくと見られる
- メーカーが表に出てこずに、OEM(Original Equipment Manufacturer)として、完全にインフルエンサーの裏方に回ることもあるだろう
- パンデミックが起きたものの、その先に待っていたはずの未来への流れが加速されただけ
- ただ、私たちの生活スタイルが大きく変わったことは事実
- 外に出る回数が減る
- オンラインで買い物をする機会が増える
- 巣ごもり消費が増える
- 老舗メーカーが築いてきた信頼の価値が再認識される
- 衛生用品の供給不足の際に、見たことのないメーカーの商品が並ぶことはあったけど、供給が安定するとそういった商品は売れ残り安くなる
- 結果、昔からある商品が安定して売れている
- 仕事では、取引先とオンライン会議でコミュニケーションを取るスキルが必要となる
- これまで進まなかった効率化が一気に進んだ1年でもある
- そして、強いつながりよりも弱いつながりを増やし、在宅中心の生活でも楽しめる方法を選択していった
- 電話の普及により、いい商品やサービスの口コミが距離の壁を克服する
- ポケベルで文字によるつながりが可能になる
- インターネットが普及し、電子メールを使ってテキストの口コミツールとして発展する
- 匿名でいいから誰かの本音が知りたい層に情報が届くようになる
- ただ、疑わしい情報のチェックは個々人のネットリテラシー次第で異なる
- ソーシャルにはなりきれず、アンダーグラウンドの中で、ユーザーを増やしていった
- ブログにより、商品/サービスの紹介がビジネスとつながる
- 日本の場合、識字率の高さにより、Twitterが定着しやすかった
- スマートフォンが普及することにより、ショートムービー系のSNSがはやる
- 文章で伝えるうよりも、写真や動画で伝えたほうが口コミは広がりやすい
- 文字を介さないコミュニケーションが世界的に広がっていく
- 【スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2020】によると、ショートムービーのSNSをもっとも使っているのは10代
- 中でもYouTubeの利用時間を見ると、2019年が約20分だったことに対して、2020年は約43分
- 2020年は有名人や企業が続々とYouTubeに参入し、それを見る人も大きく増えた
- もはやYouTubeこそが口コミの一等地と言ってもいいくらいに賑わっている
- 企業広告のアプローチ、個人間の口コミが動画主体に切り替わっていくだろう
- アンダーグラウンドだったネット口コミをソーシャルなものに変えたことで、アカウントを持った特定の人の口コミを目にすることが増えた
- インフルエンサー、自分の知り合いは身元が明らかな人なので、匿名の口コミよりも信用できる
- ECサイトに書かれているレビューは、レビュアーのレビュー履歴を閲覧することで、信用できるかどうかがおおよそ判断できる
- 匿名性を残しつつも、信用性を高める仕組みが整った
- 「あのひとが言うなら、自分も試しに使ってみたい」と購入の機会につながるようになった
- 私たちがなぜ口コミを頼るのか
- いい商品をより安く、より早く手に入れられる情報があるのなら、私たちはその情報をほしいと思う
- もっと根源的な理由は、買い物で間違いたくないから
- 口コミを参考しているもの
- 値段の高いもの(電化製品/家具など)
- 自分の健康に関わるもの(サプリ/寝具など)
- 時間のかかるもの(映画/ゲームなど)
- 良くないものを買ってしまうと、(ほかのもの以上に)なにかした損失のリスクがあるような商品
- 買い物は失敗することによるストレスがとてつもなく大きい
- 広告やスペックから得られない情報は口コミを見ることで失敗のストレスをなるべく減らし、間違いにくい選択肢を探し出す
- 間違えないためのセーフティーネットが口コミ
- 少しでも頼りになる口コミを獲得するために、他人とのつながりを保とうとする
- 中国ではEC化率が2019年は36.6%で2023年の予測は63.9%
- なのに、リアル店舗の出店ブームが起こっている
- コスメ業界でこの傾向が強い
- リアル店舗が増えている理由 → 体験
- 買い物のプロセスを省略していく一方で、体験を求めている
- 商品を見る体験
- 使う体験
- 写真や動画を撮ってSNSにシェアする体験
- 商品そのもので差別化が難しくなっている今、生活者は体験で商品やサービスを選ぶようになっている
- オンラインだけでは体験できないことを、オフラインで体験するために実店舗が求められている
- オフラインでの体験を、SNSに投稿することで再びオンラインに戻すことも含める
- ライブコマースとは、ライブ配信んおプラットフォームで、ライブ配信者が視聴者に商品を紹介して販売する買い物の形態
- テレビショッピングに近いが、売り手と買い手が相互にコミュニケーションをとっている点が大きな違い
- ライブコマースが日本で流行らない理由は、共感の違い
- 同性を相手にしているか、異性を相手にしているかのターゲットの違い
- 日本の場合、女性アイドルがファンの男性を相手にする構図が多い
- 女性アイドルはオンラインで投げ銭などをもらうことで収益を得ている
- しかし、物が売れるというところまではなかなかいかない
- 日本におけるライブ配信が、「オタク文化」に主な起源となって広がってきたことが大きい
- 日本のライブコマースが成功とはほど遠い理由には、こうした「異性ターゲット」のモデルになっていることが1つの要因
- 日本でアイドルに投げ銭をする人の動機
- 可愛いから
- かっこいいから
- 面白いから
- 見ているだけで気持ちが上がるから
- この動機には共感はない
- 好きが強い感情としてあるだけ
- 自分たちが物を買う時には、通常その商品に関する専門性に惹かれて買っているにもかかわらず、日本のライブコマース市場には商品知識が豊富なライバーがそれほど多くない
- 詳しい人から商品を買いたい
- この点、中国のライバーは商品知識を持っていることが前提
- 可愛いとかかっこいいとかは必要ない
- 同性のターゲットにその商品に詳しいライバーが自分に近い悩みを抱える同性を相手に商品を紹介するから、ものが売れやすい
- ただ、日本でも個別に見れば異性をターゲットにしたライブコマースが成功しているケースもある
- 特に、応援というキーワードになっている場合は、視聴者も商品を買おうとする気持ちになりやすい
- 「ライバー自身はマイナーだけど、オリジナルの商品が売れて有名になったら自分も嬉しい」という文脈で商品が売れる可能性はある
- 「EC化率が20%を超えると、その産業の店舗ビジネスは衰退・破綻が起こる」というアメリカの小売業界のジンクス
- 店舗は役割を変えながら生き残っている
- 体験型と倉庫型
- 体験型は、物を買う以外の体験ができるからこそ、その店に行く理由がある
- 倉庫型は、顧客の家の近所にある倉庫に近い
- 顧客が買うのは、デジタルシェルフ上にある
- 注文したら、あとはギグワーカーが配達をしてくれる
- 顧客が実際には足を運ばないような物流倉庫をダークストアと呼ぶ
- アメリカではこのダークストアが広がっていて、従来型の店舗の必要性が薄くなっている
- アメリカの場合、国土が広いため、日本みたいな「翌日配送」が当たり前ではない
- 2,3日後ぐらいに届くのが当たり前だそうだ
- 全米の物流拠点にまんべんなく商品が置かれているわけではないので、長距離輸送が前提
- しかし、生活者派配達のスピードに満足していない
- もっと早く届けて欲しいというニーズ
- Amazonに対応するための手段としてダークストアがある
- 自前で配送システムを持っていなくても、ダークストアを活用することで、Amazonのスピードを超えることができる
- 商品は配達専門のギグワーカーが運んでくれるので、倉庫だけを持っていればいい
- 生活者にとって買い物は面倒なことばかりで、中でも商品が手元に届くまでの時間が長いことはもっとも不快なことの1つ
- 今すぐ欲しいという欲求にまさるものは、買い物においてはなかなかない
- リアル店舗には勝てない点でもある
- Amazonとは違って、ウォルマートは大量の在庫を持っていて、アメリカ人の9割近くが利用している
- 商品の量、顧客に商品が届くまでのスピードにおいてAmazonを圧倒する
- 顧客から店舗に取りに来る
- 遠かったとしてもギグワーカーが配達してくれる
-
Amazo Goの次の展開として、買い物プロセスのログの活用を進めている
- Eコマースでは当たり前のようにとっていたログがリアル店舗ではそこまでデータ化が進んでいない
- オンラインでやっていることをオフラインでもやろうとする
-
買い物プロセスのデータ化
- 本当に価値が高いのは、客が迷っているときのデータ
- 迷った瞬間に「こんな商品はどうでしょう?」と顧客に提示するUXにもつながる
- この技術を磨き上げていくことで、小売として薄利多売で設ける会社から、広告で稼ぐ会社へと変身することもできる
-
goPuffの大手に割って入るガレージ戦略
- 日用品を注文から30分以内に届けるスタートアップ
- 従来の配達と一般家庭のガレージにも商品を並べて、ダークストア化した点が画期的
- goPuffのフランチャイズになることで、その人の家のガレージに日用品が並ぶ
- 商品が売れるごとにフランチャイズの人にはロイヤルティが入る
- Amazon、ウォルマートよりも、顧客に近くに倉庫を持てるようになる
- 住宅街にも店舗(=倉庫)を持てるようになったことで、注文から30分というスピードでの配達が実現可能になった
-
リーバイスがソフトウェア会社になる可能性がある
- リーバイスのスマートジャケットはユーザーの肌により近い場所でのデジタル体験を可能にしている
- 服というハードウェアを作って、それに寄るデジタル体験を提供する
- こうした製品を出すことで、ユーザーの行動のデータを集めることができる
- 将来的に、「どんな色の服が好みなのか」、「どのような場にどんな服で行く人が多いのか」、「天気によって人々が着る服にはどういう変化があるか」という視点でマーケティング戦略も立てられる
-
ルンバは家のプラットフォームになる可能性がある
- メーカーにとって重要なのは「製品」ではンクデータになりつつある
- ユーザーの興味は、「製品そのものの機能」よりは、どれだけ便利なソフトウェアであるかに移っている
- ルンバを作っているアイロボット社はルンバを使うことで蓄積される家のデータをもとに、他の家電にも展開して、家のプラットフォームになるかもしれない
- テスラは自らをことをソフトウェア会社と名乗っている
- 最初から完璧な自動車を作ろうとせず、乗りながらソフトウェアを最適化していく
- 移動に関するプラットフォームの提供者(=移動のプラットフォーマー)を目指している
- メーカーがプラットフォーマーを目指す流れが目に見えて加速するだろう
- その業界での主導権を握ることができる
- ひとたび実現すれば、自社プログラムだけでなく、他社のプログラムをのせてもいいし、便利になればなるほどユーザーが増えてデータがも集まる
- 市場での圧倒的な優位を獲得することができる
- 利便性が高まっているのに、自分たちが使える時間が増えていない
- 便利になるほど忙しくなるというジレンマ
- 自分たちの時間を奪っている通知機能
- 人間はアドレナリンが出るものに時間を使う
- スマホの通知機能もこれに当たる
- 通知機能で届いているお知らせの件数をゼロにすることに快感を感じる
- いいねが押されたことを知らせる通知も見ているだけで気持ちがいい
- 脳科学者による研究でも、通知によって脳に大きな刺激が与えられていることがわかっている
- 「ウィッシュリスト」に気になった物を入れる一連の動作にも達成感をもたらす作用があって、快感を感じる
- 企業の施策は、アドレナリンを出すように仕向けられている
- 飲みづらくなるような商品設計が意図的になされている
- マックシェイクはモーニング時間帯用の飲み物として開発された
- ある程度時間が経って、「マックシェイクをドライブスルーで買い、朝食代わりに車の中で飲んでいる人が多い」ことがわかる
- アメリカで車の通勤時間はおよそ1時間
- マックシェイクを早く飲めてしまうと、車内でやることがなくなってしまう
- そこで、車での移動時にゆっくり楽しんでもらうために、少し飲みづらい程度に設定したそうだ
- 「社内でゆっくり何かを飲む/食べる」、「朝食を済ませる」という目的にお金を払っているようなもの
- パーパス(Purpose) → 目的
- モノにあふれた現代社会では、目的を買うのが買い物という認識に変わっている
- 生活者がいつでもどこでもモノを買えるようになったから、この価値が高まっている
- 目的にお金を払っているという感覚
- スターバックス
- コーヒーが飲みたいというよりも、「本を読みたい」、「勉強をしたい」、「友達とおしゃべりがしたい」といった目的を求めて訪れる人がほとんど
- 牛丼チェーン店
- 牛丼を食べること以上に、「短い時間で昼ごはんを済ませる」、「お腹いっぱいになりたい」という目的で来る人が多い
- ショッピングパーパスの観点で見ると、自分たちの周りで浸透している商品やサービス、店舗がいかに目的を売ることで成功しているかがわかる
- 逆に、いくらブランド力や商品力があっても、目的を売ることから外れてしまうと、それによって失敗してしまうこともある
- 美味しさ、便利さはもはや生活者にとっては当たり前になってしまい、目的こそが重要な価値となる
-
ユニクロ
- EC化が7%程度
- しかし、EC化率は必ずしもデジタル化の進行度を表したものではない
- Eコマースの割合がなかなか高まっていかないのは、日本特有の事情
- アメリカ、中国と比べると、日本は住宅地と店舗の距離が近い
- これにより、ネットで注文するより自分で買いに行ったほうが早い
- 国土の広さや物流網の発展度を考えると、他の国との単純比較でEC化率が低いのはデジタル化が進んでいないのが原因だと結論づけられない
- EC化率が20%を超えるようなブランドの店舗は、都市部の商業施設には店舗があるが、郊外や地方にはなくなかなかその店に行けない人たちが、オンラインショップを多く利用している
- ユニクロはその点において、生活圏内にあることでオンラインショップがあまり必要でない人も多い
- ただ、店舗が「買う場所」としてでなく、受け取る場所として機能していることを表している
-
メルカリ
- Amazonが入れない領域でビジネスを展開している
- 世界に1つしかないものも、そこで売買することが可能な体験
- 売れたときの嬉しい感覚を知ったユーザーは、その売買を繰り返す
- 店舗での買い物にはない体験
-
ボタニスト
- レビューの点数が5点満点中4点を下回ると、市場に出してはいけない商品と判断する
- 顧客は買う前の段階ですでに買うかどうかを決めている
- なので、「買う前」において多大な影響力を持つレビューを集中的に見るのは当然
- 顧客がレビューにふれる機会は買う前と買ったあとの2回
- 買う前に読んで、買った後に書き込む
- 購入の瞬間にはレビューのことはあまり気にしていない
- 最近は購入後の顧客体験を向上させるため、Unboxingに力を入れているメーカーも多い
- レビューの評価によって、商品そのものの印象が買う前から決められてしまう
- 自分たちは普段、生活の中でちょっとした出来事があるたび、「何かをラベリングする」ことでそのことを覚えている
- 「何か」とは、場所、風景、匂い、触り心地など五感で感じ、体験できること(=アナログ情報)
- しかし、デジタルにはラベリングのための機能がない
- スマホやPCの画面で見ても体感できる情報は少ないので、ほとんどラベリングされない
- つまり、「見たはずなのに覚えていない」ということが起こりうる
- こういった点で、近年最先端を行く店舗がイベントに力を入れているのは、ラベリング機能を働かせたいから
- 生活者の体験に寄るラベリングが重要になる
- 買い物における体験は、より互換を刺激する(=ラベリングされやすい)ものに変わっていく
- ラベルのある大切なことだけを覚えておき、ラベルのない記憶をデジタル上に置いておくこともできる
- 例えば、ECサイトの履歴機能、ウィッシュリスト
- すべて記憶しなくても後で見返せばいい
- しかし、覚えていなくていいからといって、どうやら自分たちの脳に余白が生まれるわけではない
- むしろ、すでに脳はパンクしていると思ったほうがいいかもしれない
- 自分たちは多少の程度差はあるけれど、スマホを脳の外付け記憶領域として使っている(=電脳化)
- Eコマースの進化の過程を、3つに分けてみる
第1世代 目的系 |
第2世代 発見系 |
第3世代 ソーシャル系 |
---|---|---|
デジタルシェルフ消費 | アプリ消費 | つながり消費 |
Amazon 楽天など |
ZOZOTOWN メルカリなど |
ソーシャルコマース |
検索 比較 ランキング 購入履歴 |
検索 レコメンド パーソナライズ 売る体験 |
共同購入 ライブコマース ミニゲーム |
- 検索から商品を探すECサイト
- 欲しい商品の名前や種類を文字で入力
- 検索結果として出てきたものをそのまま購入したり、比較しながら検討したりする
- 顧客の満足度は、多くの商品から選べて、価格が安いほど高くなる
- しかし、商品の検索、詳細の調査、購入手続きなどにおいて誰かにやってもらいたいと思うぐらい面倒
- Amazonはこのプロセスを自動化させようとしている
- 楽天は、「ユーザーの滞在時間」を重視しているので方向性が違う
- 欠点として、検索からしか目当ての商品を探せない
- ユーザー自身がもともと何かしら「その商品に関するヒント、キーワード」を持っていないと商品ページにたどり着けない
- ユーザーが思いつかないものを探すことはできない
- 業種特化型のECサイト
- ZOZOTOWN、メルカリ、モノタロウ
- 欲しくなるモノを発見しやすいのが特徴
- PCの前に座って「しっかり探す」というよりも、あいた時間に明確な目的もなく、暇つぶしに「何かないか」と商品探しをするのに向いている
- **カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)**があるほど、ユーザーからの支持も集まりやすくなる
- ZOZOTOWNのZOZOSUIT
- モノタロウのきめ細やかな在庫管理システムから得られたデータベースをもとにしたマーケティング
- 第1世代でも簡単に入ってこられないほど、特定分野において先を進んでいる
- 第2世代でも「楽しい」をキーワードとして取り込んでいるが、単なる付加的な要素
- 第3世代では「楽しい」は重要な柱
- 第3世代のECサイトは、一人で買うことを前提としない
- 複数人数で買うことが前提のソーシャル型のECサイト
- 共同購入をSNSと連動することにより、ソーシャルEコマースとも呼べる新しいジャンルを生み出している
- 購入意思がある複数の人を集めて買うので、SNSの知り合いや友達を巻き込んで買い物をする
- 大量に注文が入るから安く買える
- ただ、自分が購入の意思決定をしてから商品が届くまでが遅い
- ソーシャルEコマースでは、弱いつながりが生み出す買い物
- 中国の「ピンドゥドゥ」というところが代表的なECサイト
- つながりが広がる仕組みや低所得者層の支持があるというのもあって、伸びている
- アプリを使うと、家族/友達だけでなく、知らない人ともつながり、弱いつながりの中で買い物が楽しめる
- 商品ページには「買いたいと思っている人リスト」があり、自分もそのリストに入って買おうとするソーシャル的な体験もできる
- ユーザーのつながりが広がることで、1人のユーザーが2人目、3人目の顧客を勝手に連れてきてくれるので、集客コストを書けなくても、商品が複数単位で売れていく
- 買うときだけつながる「弱いつながり」
- 日本の場合、クラウドファンディングやライブコーマスで少しずつ浸透している
- 買い物が楽しくなればなるほど、生活者と企業の距離は今よりも近づく
- 両者による商品やサービスの共創をもたらす
- 企業がSNSで顧客の声を集めて商品化に活かす事例は今後増えていく
- 企業がプラットフォーマーとなって、ユーザーのデータを収集し、製品づくりに活かすことも増えていく
- 共創が一大のムーブメントになる
- 共創自体は今までもあった
- スターバックスのフリーWiFi
- IKEAももともとは顧客ターゲットとしてハウスメーカーやインテリアデザイナーと一緒に家具を作っていた
- インフルエンサーと企業のコラボで生まれる商品も、インフルエンサーが生活者のニーズをすくい上げて共創されたもの
- 企業のクラウドファンディングも、メイキングを見せながら思いの部分で共創している
- 共創のメリット
- 生活者は自分の思いを商品に乗せる機会が増える
- 企業はユーザーの声をダイレクトに吸い上げられる
- もはや、共創は「したほうがいい」ではなく、「しないと生き残れない」時代になる
- 共創できない企業は、淘汰されていくしかないかもしれない
-
自分たちが知っている買い物
- 店に行く(ECサイトにランディングする)
- 商品をカートに入れて、レジに持っていく(決済ページに移動する)
- 代金を支払う(購入決定のボタンを押す)
- という、買うまでが買い物だった
-
これからの顧客体験はむしろ買ってから始まる
- 家で箱を開ける
- 実際に使ってみる
- その感想をSNSに書き込む
- 使ってみて、それを誰かに話してみて、はじめて楽しいと感じられる
-
商品やサービスを提供する企業が価値を生み出そうとするのであれば、ユーザの属性・好み・行動が読み取れるデータが要る
- これらの情報を持っている企業がデジタルシェルフの優位性を獲得して生き残る
-
すでにデータ収集が始まっているケース
- サブスクリプション
- 毎月の利用料が安定収入になる
- ユーザーのデータが取れる
- サブスクリプション
-
コーヒーのサブスク
- 「コーヒーは何時頃によく飲んでいるのか」という行動データが取れる
- 「休息時間によく飲んでいる」とか「起床後に目覚めのために飲んでいる」とかがわかってくる
- 生活者からしたら当たり前にわかることだけど、それまでは裏付けるデータがなかったのでそのための商品開発がされてこなかった
- 「コーヒーは何時頃によく飲んでいるのか」という行動データが取れる
-
データ活用の最新の動きとして、アメリカではIoBody(Internet of Bodies)という概念が生まれている
- 体がインターネットにつながる
- 人間の行動データ、生体データを活用した商品開発が進められていく
-
モノとインターネットをつなげただけでは、マネタイズに限界があった
- 本当に重要なのは、人間が何を考えて、どう行動するかという生きた情報
- 2030年までの間は、こうしたデータが蓄積されていく
-
この先の商品やサービスには楽しさと融合しながらますます便利になる