「何をしてきたか?」
「どうしてそれをしたのか?」
「どういう理由で何をしたのか?」
- どこの地域の学校に通っていましたか? どの科目が好きでしたか? その理由は?
- 最初の仕事はなんですか? なぜその字ごとを選んだのですか? その仕事に就いてよかった点・良くなかった点はなんですか?
- 次に就いた仕事はなんでしたか? その仕事を選んだ理由は? その仕事に就いてよかった点・良くなかった点はなんですか?
- 次の仕事は? (……とすべての仕事に就いて聞いていく)
- 将来の仕事についてどんな考えを持っていますか? そのように考える理由は?
大学修了後の生活や仕事の実体験によって、キャリアに関するセルフ・イメージが形成され、それがキャリア選択の際に道しるべや、足かせとなっている
セルフ・イメージの要素
- スキルや能力領域
- 動機と目標
- 価値観
自分自身の得意なことやできることがどういうものなのかを知る
自分がキャリアに望むことや、どういった動機を持っているのかについて知る
どのようなキャリアを望むかということに影響する価値観というものができている
「自分が何を求めていて、何が得意で、どういった価値観を持っているのか」は、社会での実際の経験からのFBによって、はっきりしていく
経験を積めば積むほど、自分自身についての概念がより明確になっていく
とくに、以前から大事に思っていた価値観を脅かすようなことが起きて初めて気づくこともある
キャリア・アンカーはキャリアの中盤以降に適応される概念
学生にはキャリア・アンカーがない
学生はすべてがベストであることを望んでいる
歳を重ね、経験を積むことによって初めて、自分が本当はどういう人間であるのかがわかるようになる
適性、動機、価値観などでそれぞれ共通点を持つ人々のグループ → 8つ
それぞれのタイプは、異なった報酬、インセンティブ、仕事の種類を望んでいる
キャリア・アンカーと実際の仕事やキャリアの状況が一致しているのが理想的な状態
一致しなければ、あまり幸せではないし、生産性も上がらない
- 自分の得意な分野において、さらに能力を伸ばしていきたいと思っている
エンジニア、セールスマン、エコノミストなどの職
自分自身の仕事を愛している
- 自分と同程度の能力を持った人と同じくらいの報酬を得たいと思っている
- 報酬については、高いかどうかというよりも、公平であるかどうかが重要
- 自分と異なった専門分野に就いている人が自分よりも高い給与を持たっていたとしても構わない
- しかし、他者で自分と同じような仕事をしている人が自分よりも高い給与をもらっていたとしたら、不公平だと感じる
- このグループの人にとって最も重要なのは、自分の専門能力を成長させるような仕事の機会を得ること
- 同じ専門分野の人々から評価されたいと思っている
- こういった専門分野では、専門家として認められることが、すぐさま高い給与につながるわけではない
- このグループの人にとって、管理職への昇進は望まない傾向がある
- 管理職になると、ジェネラリストになることが求められ、自分の専門分野だけで働くことは諦めなければならない
- 「本当に管理職になりたいのか?それとも、自分の専門分野にとどまりたいと思っているのか?」
- もしくは、自分とは異なる専門分野の仕事をしている人を管理したくないのか?
- シニア・エンジニアと社長という肩書きでどちらを取りたいのか
- どの企業も技術的な分野ではより専門性の高いスペシャリストを求めると同時に、スペシャリストのマネージメントが大きな課題になりつつある
- 管理職へ昇進させるのではなく、デュアル・ラダーという形で技術専門職のまま、昇進や昇給ができる方法を編みだす
- 「専門・職能別コンピタンス」のタイプとは対照的
- 会社の中で昇進していきたいと思い、社内の様々な機能を統括する立場になりたいと思っている
- どれだけ昇進できるかによって自分自身を評価する
- 裁量権が増して、部下を何人も抱えていくことを望み、自分を評価する
- 上司から評価されることが重要
- 責任の重い仕事を望む
- マネジャーを比較的オープンなキャリアだと考えている
- 多くの種類の問題に直面する
- 給与に関しては、自分の部下よりもどれだけ多くもらっているかが目安になる
- どれだけの給与を得るかが、成功を測る目安
- 他社の同じ立場の人がどれだけ給与をもらっているかよりも、自分の部下よりどれだけ多くもらっているかが関心の的
- 「ゼネラル・マネジャー」として成功するために必要となる適性
- 高いモチベーション
- ゼネラル・マネジャーは多大な犠牲を強いられるので、覚悟がなければ、目指さないほうがいいかもしれない
- 情報分析能力
- 不十分だったり、信頼性の高くない情報からでも、瞬時に周りの情報を分析し、必要な質問をして決定をくださなくてはならない
- 分析と適切な質問、決定
- 1対1、グループでのコミュニケーション能力の高さ
- 他の人々と楽しく上手くやっていけることができ、上下関係も上手くこなせ、独立心もありつつ皆で協力することもでき、集団を上手く導くこともできなければならない
- 感情のコントロールができること
- 心を病んだり依存症に陥ったりすることなく決定を下す必要がある
- 高いモチベーション
- 「高い目的意識をもっているか?」
- 「不確定な情報から決定を下すことができるか?」
- 「誰とでうまくやっていけるか?」
- 「厳しい決断で胃を痛めたりしないか?」
- 自分の会社を立ち上げたいと思っているグループ
- 何かを作り上げるのが好きで、新しいアイデアや新しい製品、今までとは異なった仕組みを作り上げたいと思っている
- 失敗することもあるが、成功を目指して努力する
- 自分の立ち上げた組織の規模で成功を測る傾向にある
- 自分と自分の会社を同一視しており、自分を大きくするために会社を大きくする感覚を持っている
- 何度失敗しても、成功に向けて邁進する
- 失敗することを悪くとらえるような文化の中では上手くいかない
- 集団主義の文化の中ではよく見られる
- 社会が保障や安定をどのように見ているのかを反映するアンカーでもある
- 野心や成功といったものの目安は、その人の生い立ちに大いに左右される
- 安定した給与、報酬、福利厚生の充実などを望む
- 会社に対し忠誠心が高く、会社にも誠実な対応を求める
- 「保障・安定」とは逆のタイプ
- 仕事上で縛られることを嫌う
- できるならば自営業、そうでなくとも、できるだけ自由が得られる仕事を求める
- 少なくとも自分の仕事は自分の自由にできる職を選ぶ
- 自由を得るために、不安定な給与や福利厚生も受け入れる
- 世界全体の傾向として、このタイプのキャリアに対して、寛容になってきている
- 自分の仕事を自分の自由にできることに重きを置く
- 企業側からしたら、対処に苦慮することになる
- 従業員に与える自由度を重視することでアウトプットの質が高くなる可能性
- 「自分のキャリアは何か高い価値のあることに貢献しなければ意味がない」と考えているグループ
- 給与や昇進よりも自分にとって意味のある、奉仕や社会のためになる仕事を続けていくことに重きを置く
- 人事部門で人を援助する仕事など
- 人を援助することが自分の仕事の原動力になっている人
- 非常に困難な状況を乗り越えることを求める
- 「今まで誰も成し遂げることができなかった」ことがモチベーションにつながる
- 手強い相手に打ち勝つという意味で、人との競争を求める傾向もある
- 物事にすぐに飽きてしまうので、組織の中で業務内容を広げてやることも一つの手
- 共働き過程の増加に伴い、ますます重要になってきている
- 夫婦それぞれが自分のキャリアを持つようになると、それぞれのアンカーに対処しなければならなくなる
- 夫婦のどちらか、あるいは双方が何らかの妥協をしなくてはならない
- 個人のキャリアが多少おざなりになっても、自分と家族のニーズを含む幅広い文脈の中で、自分のキャリアを位置づけるというのがこのアンカー
- 個人のアンカーを仕事によって満たすことができなくなることもある
- 何か趣味を見つけ、そこで自由を得ようとすることもある
同じ職種だとしても、求めているものはそれぞれに異なっている
職種なりのアンカーがあることは、つい言いたくなるものだけど、間違い
40人のエンジニアが板としても、ひとりひとりのアンカーはバラバラ
職種のタイプが分かればアンカーがわかると考えてしまうような罠には、決して陥らないこと
対面でのインタビューが不可欠
自己診断をしていると、どのカテゴリーも同じような結果になりがち
理由は2つある
- 回答者が自分自身に正直ではないことがある
- アンケートの質問は、現実の状況のように何らかの選択を迫ってくるものではないので、すべての回答にイエスと答えるという矛盾した事もできる
インタビューの場合、その人のこれまでのキャリアをすべてチェックすることになる
現実世界でその人がとってきた行動は、その人が口にすることよりもずっと如実(にょじつ)にその人のアンカーを表す
選択を迫るような質問をするまでは、自分がどちらをより好んでいるか、気づいてないことが多い
自分のアンカーが何かということをはっきりさせるには、選択を迫るような質問をしてみるのがいい
インタビューは、その人が一貫性のないことを言っている場合に、それを指摘することもできる
そこで、どうしても譲れないものは何かということを聞いていく
- 自分のアンカーに会った仕事をすることが一番よい
- 何が最も重要で諦めることのできないことを知る
- 自分の持っている個人的な価値観も、仕事によって満たす事ができる
- 仕事のアサイン、昇進など、何かを選ばなければならない状況下で最適な選択をすることができるようになる
人は、年齢を重ねたり、成功を重ねたりすることで自律性が増していく
より自由を求めるようになり、もっと自由な仕事を作り出すこともある
最もよく見られる変化は、家庭の事情に伴い、ライフスタイルのアンカーになるケース
自己開発のためのツール
一つの職種の中にも様々なアンカーの人が混在している
キャリア・アンカーを、職種を決める際のツールとして使ってはいけない
自分自身を知ってもらうことが最も重要
自分自身についてより深く知り、より良い人生の選択をしてもらうこと
キャリア・アンカーのグループは人間の性質のカテゴリー
自分の特質を伸ばしていってもらう
仕事が求めるものと、個人のキャリア・アンカーが求めるものが近づければ近いほど、理想的
特定のキャリア・アンカーを持っていたとしても、自分のキャリア・アンカーにそぐわない仕事もこなすことができ、自分のアンカーは趣味や副業や他の活動で満たすといった柔軟性が求められている
今の自分のアンカーやキャリアが労働市場の求めるものと合致していない時、どうやって新たなスキルを身につけるのか
西欧で見られる実例の中では、再教育が重要になっている
再教育
- 行政などの支援を受け、比較的規模の小さい専門学校や大学で行われる
- エンジニアの失業者に対して再教育を行い、そのスキルによってそれまでのような民間企業ではなく、市役所や地方自治体で働く機会を得る
- 企業で、大規模な解雇の発表があった時など、従業員を次のキャリアへと送り出す際にも必要になる
再教育に特化した新しいタイプのコンサルティング会社もでき始めている
こういった会社で、現在のキャリアの方向性を見直して、ときにはキャリア・アンカーを変化させて全く新しい道に進むこともできる
キャリア・ダイナミクスの2つの要素
- 個人に寄るキャリアの選択
- 仕事を成し遂げるための能力を持つ人材を求める会社からの要請
キャリア・カウンセリングで行うべきポイントは「社会が求める人材」と「個々人のキャリアや生活」をどうマッチングさせるか
マッチングのプロセスを向上させるために必要なこと
- 個人が自分のキャリアのニーズを見つけ出すためのプロセス
- 組織が自らのニーズを見つけ出すためのプロセス
- 双方向のより良いコミュニケーション
キャリア・アンカーは1.のプロセス
2.は組織が実際の業務を遂行するために求める人材像を、よりわかりやすく個人へ伝えるために必要となるもの
マッチングにおける問題の最初のポイントは、個人が自分のキャリア・アンカーを明確にできている場合でも、自分にオファーされている仕事がどういうものかはよくわかっていないことがある
ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)には、その人が仕事上で果たさなければならない具体的な職責がそこに示されている
しかし、実際に仕事をしてみると、ジョブ・ディスクリプションで書かれた内容は非常に抽象的なことが多く、その仕事に付随する他者との関係性の側面については記述されていないから理想通りにはならない
なので、素直なコミュニケーションを行い、仕事を設計できるよう、その分析をするためのプロセスが要る
着目するのを職務を担当する個人に当てるのではなく、職務自体にして、担当する範囲をどれだけ設けるか決めるのも一つの手
マネジャーに仕事や職務について考えさせるようにするために「ジョブ・ロール・アナリシス」という考え方
原則として、仕事そのものよりも、その仕事をする上で求められる人間関係を中心に考える
「会計の仕事をいて、数字を出している」→「数字を使って計画を立てる人たちのために数字を出している」と考える
何かを設計するエンジニアであれば、その設計に従って作られたものを実際に使う顧客のことを考えなくてはならない
組織内のすべての仕事は、人々のネットワークの一部
ネットワーク上の人々は、特定の仕事をする人に対して何らかの期待を持っている
組織内のすべての仕事に就いて、その役割を決定づけている人間や利害関係者が誰なのかを明らかにすることができるはず
ジョブ・ディスクリプションの代わりに、「この仕事を担う人には何を期待しているのか」と尋ねる
仕事に何らかの期待を持っているすべての人々に、担当者となる人を会わせる
自分の役割全体に関わる様々な要素を特定する
ロールマップを作成することで、自分がいかに複雑なネットワークの中にいるのかに気づく事もできる
3つのことが分析できるようになる
- 役割の曖昧さ
- 自分に何を期待しているのかがよく分からない人たちがいる
- 「周り全員が自分に何を期待しているかが分からない」
- 自分に何を期待しているかが分からない人がいる場合、その人と話し合いをすることで、何を期待されているかを知る
- 役割の矛盾
- ある人々から期待されていることが、他の人々空の期待と異なっていたり、全く逆だったりする場合がある
- 自分の仕事の本質が、実は、相反する要求の矛盾を解決すること
- どうすれば、矛盾を解決できるか
- 役割の過負荷
- それぞれの期待の総和が一人の人間のできる限界を超えてしまっている場合
- 仕事の優先順位を決める
- 周りからの期待の過負荷を徐々に減らす
3つの分析をしてみると、自分の仕事がどうしてこれほど大変なのか、その理由がわかってくる
「その職における、自分の役割全体という視点で見ると、どうなのか?」
「自分に求められる役割全体を分析すれば、それが自分のキャリア・アンカーに合っているかどうかがわかる」
「ロール・マップによって、役割を分析することで、その職が自分のキャリア・アンカーに合っているかどうかがはっきりとわかるようになる」
キャリア・マネジメント-パーティシパント・ワークブック-変わり続ける仕事とキャリアに、キャリア・プランを立てることについて書いた部分がある
将来就くかもしれないいくつかの異なった職種の人々から話を聞き、それらがジョブ・ロール・プランニングの視点で見るとどのようなものであるかを知る必要がある
将来のための職務・役割の計画
将来の職において、自分自身の求めるものや、動機、価値観が何かを明らかにする必要がある
将来の成長のために必要なことに対し、自分自身を照らし合わせるための項目が設けられている
中には、世界の動向に伴い、この先どのような種類の仕事が求められていくかの分析も入っている
自分のキャリア・アンカーと将来就く可能性がある職とをどうつなげていくかについて図を描き出す
「どうしたら新しい組織の文化を理解できるでしょうか?」
文化は簡単な方法で調べられるようなものではない
新しい組織に入る場合、まず、その組織全体の大きな文化の中に入るのではなく、自分と働くグループ内のサブカルチャーの中に入ることになる
そのサブカルチャー内でのロールマップを作成するよう勧める
その組織内の人が、自分の仕事について個人的にどのように感じているかということが、組織文化を知るのに最もよい手段
採用担当者に、自分自身のしごとについて話してもらう
「採用担当という仕事はどうですか?」
「どういったことをどれくらいされているのですか?」
「どうやって採用担当になったのですか?」
文化を知るためには、そこでの人間関係を個人的な観点に落とし込むことが必要
重要な情報はジョブ・ディスクリプション空ではなく、その職における様々な人間関係からこそ得られるもの
ロールマップはそれを目に見える形にして、さらにその職に求められるものの将来の変化を予測するための有用なツール
- キャリアの発達
- 個人と組織の間の非常に複雑なマッチング・プロセス
- マッチング・プロセスは、それぞれのキャリアが発達する国や社会に置ける様々な要素に左右される
- 個人の問題と組織の問題
- どのようにマッチングさせればよいのか
- 大前提として、よい社会、よいキャリア・システムは個人が求めるものと組織が求めるものの両方をしっかりと満たしてなければならない
- 個人から見た場合 → それぞれの能力や動機、価値観が十分に生かされなければならない
- 組織から見た場合 → その組織の業務を効率的に成し遂げるためのシステムを必要とする
- 組織が提供できるキャリアの種類は、その組織の業種に左右される
- さらに、どのような業種が成立するかは、その国の持つ資源に左右される
- 経済交流における規範やルールも国によって異なる
- さらに、資源や社会の要請によって、組織のタイプが決まってくる
- その国の資源やそれによって成立する組織のタイプが異なるため、求められる職種が異なる
- それぞれの職に就くための教育システムも、国によって異なる
- アメリカの場合、20~30代の人でも、職種を変えることが可能
- 日本、ヨーロッパの企業では、学生は比較的早い段階でキャリアの選択をしなければならない
- 職業的な成功に対して社会が与える報酬も重要な要素
- アメリカの場合、どれだけ成功しているかの基準は、どれだけお金を稼いでいるか
- どのような教育を受けてきたかといったことは、給与の額ほどには問題にされない
- 最近は、成功を測るための判断基準が変化してきている
- アメリカの場合、どれだけ成功しているかの基準は、どれだけお金を稼いでいるか
- 職業が個人の行動を規定する要素もある
- エンジニアの場合、物事をどれだけ上手く設計したかによって、業績が左右される
- セールスマンの場合、どれだけの売上をあげ、ノルマを果たしたかでパフォーマンスを判断される
- 職業によって成功の判断基準すら変わってくる
- キャリア・アンカーのことを考える際にも、それぞれのアンカーでその成功の判断基準が異なる
- どのような仕事がこの世の中にあるのか、どのような仕事をすべきかといったことについて両親や学校が自分にどのような影響を与えたかを考えてみる
- どのような仕事が良くて、いけないのかといったことを教えるということもある
- 社会における個人のアイデンティティは、どのような仕事をしているかということに反映される
- 自己紹介で自分が何の仕事をいているかということが、その人のアイデンティティになっている
- 社会が個人のアイデンティティを決定づける際、その国のシステムが働いていることを留意すべき
- 特定の仕事に就く際のインセンティブや報酬の問題
- 業界に入ることで得られる金銭的な報酬と経験のどちらかを選ぶ必要性が出てくる
- それぞれの職にはそれぞれの魅力があるけれども、選択は非常に注意深く行わなければならない
- それぞれの職種はそれぞれの規範やルール、職種による統制を持っている
- 職種によって、何をして良くて何をしては行けないかというルールがある
- このルールは、社会における文化を反映していることも多い
- 個人は、自分自身の志と受けてきた教育を持ち込む
- キャリアの初期の段階では、それまでに仕事上で受けたトレーニングも持ち込む
- どれくらい雇用を保証されたいか、どのくらいの成功を収めたいか
- 労働市場の中で自己実現をしようとする
- 自分自身のアイデンティティを確率する方法を探し求めている
- 業務を遂行する能力が求められる
- 採用者は履歴書によって、応募者がその仕事に適うようなトレーニング屋教育を受けてきているかを確かめる
- アメリカの場合、イノベーションをもたらす力を持っていることも求められる
- 新しい物事を学ぶ能力も求められる
- 個人と組織のマッチングの際に問題になること
- 組織の求めるものと、応募者の受けてきたトレーニングや仕事に抱く願望とのマッチング
- 人を雇うかどうかを判断する際にマネジャーの側が判断を誤ることがしばしばある
- 一旦、個人と組織のマッチングが起こり、雇用した後に、次の段階として、組織に入った社員たちのキャリアを、実際どのように発達させて行けばよいかを考えてもらう
-
外的キャリア
- その仕事をする際のステップとして、社会が規定するもの
- エンジニアの場合
- トレーニングを受ける立場からスタートする
- 一人前に仕事ができるようになる
- マネジャーもしくはその専門領域でのリーダーになるという2種類の昇進の仕方
- 齢を重ねると、後進の指導者になりえる
- 日本では、誰もがゼネラリストになることを求められる傾向がある
- アメリカでは、スペシャリストがゆくゆくはマネジメントを担うことを期待される
- ところが実際には、優秀なエンジニアをスペシャリトとして止めようとする動きもある
- スペシャリストとしてとどまってもらうには、マネジャーへの昇進を補完するような報酬システムなどの外的キャリアを開発する必要がある
-
内的キャリア
- 個人は個人で、自分自身のキャリアについての概念を発達させる
- 組織がキャリアの段階として求めるもの(外的キャリア)と個人が昇進について求めるもの(内的キャリア)とをいかにマッチングさせるか
- 就職後の職業体験の中で、自分自身についての理解が進み、それによって自分が本当は何を求めているのかがはっきりとしてくる
- 自分自身についてのデータを得ることができ、自分自身を知る
-
初期のキャリアは、個人にとって非常に重要な学習期間
- 個人は、自分自身の能力や動機、ニーズについて学ぶ
- 組織にとっても非常に重要な学習期間
- 個々人の能力を使って、いかに組織の求める業務を遂行するかということを学ぶ
- 組織は、自分たちの業務がどのようなものであるかを知り、それを従業員に適応させなくてはならない
-
キャリア発達とは、一生涯続くマッチングのプロセス
-
内的キャリアと外的キャリアのマッチングは社会全体の問題にも関わってくる
- 社会全体のレベルで考えて、必要な人材を育てる必要性もある
- 新しく会社に入るという段階に組織側が個人に求めるのは、能力とやる気
- モチベーションが人の本来持つ性質なのか、マネジャーによって引き出されるべきものなのか
- ほとんどの従業員は、仕事をしたいと思う
- 仕事をすることで自分のアイデンティティを確立しようとするのは、人間の自然な姿
- 自分たちは、仕事を通して知識や技術を得て、それによってアイデンティティを確立したり、自尊心を持ったりしたいと思うもの
- なので、マネジャーのしごとは、個々人がよい仕事をするための環境を整えることになる
- 複雑な仕事の状況の下では、マネジャーと従業員がお互いをよく知り合う必要がある
- マネジャーが適切な環境を整えれば、従業員は自分で自分を管理できるようになる
- 日本の自動車産業における画期的な生産システムの研究によると、労働者は自分たちの現場の再設計や改善に加わることで、仕事に積極的になる
- 改善や改革といったことが、よりよい仕事をしようとした結果として、自然に生まれてくる
- 雇用主側が求めること
- 会社に献身的で忠実であってほしい
- 命令に従順に従ってほしい
- マネジャーが求めること
- 結果を出せることを示してほしい
- 部下には、新しいことを学ぶ能力がほしい
- 従業員が求めること
- 前に向かっている、先に進んでいるといった実感を持ちたい
- 適切な仕事に対して、適切な報酬が得られる報酬システムを望む
- よい仕事をすれば、その組織の中で働き続けることができることを保障してもらいたい
- テニュア(就寝在職権)
- 組織と個人の関係性が変化しつつある現状
- 両者がお互いに対して高い期待値、要求を求めることに応じられないことがだんだん出てくることになる
- 仕事自体の変化により、新しいタイプのキャリアが出現する
- 契約ベースでのみ仕事をして、福利厚生などは自分たちで賄うと行った人々も生まれる
- 企業からしたら、仕事の保障という考え方自体も難しくなり、健康保険や福利厚生にかかる費用が高すぎて契約社員を使う考え方も導入される
- 組織または個人が不満を抱いている場合、どのような仕事が必要なのかの分析が不十分であったことが見受けられる
- 仕事の性格をはっきりとさせ、それを社員に明確に伝えなくてはならない
- ジョブ・ロール・プランニングを行うことで達成できる
- 部下に期待する仕事を十分に分析し、それを部下に伝える際に、マネジャーに取っ手有用なツールとなる
- 個人が自分の求めるものや、やりたいことをよくわかっていない、または、上手く伝えることができていない場合
- 自分自身のことを明確に理解できるように、それを探求していく
- 自分が求めるものやアイデンティティを、採用担当者やマネジャーに明確に伝えることを学ぶ必要がある
- キャリア・アンカーが役に立つ
①人は自分のキャリアに対してもっとよく知る必要がある
- 自分のキャリア・アンカーが何かということを知る
- キャリア・アンカーを考えるためには、これまでのキャリアについてインタビューをする
- 自分のキャリアのステップについてインタビューを受けて、分析していくことこそが、自分にとって何が重要なのかという気付きにつながる
- 用意されている質問事項は、あくまでキャリア・アンカーについて考える入り口であり、これによって結論が出せるということではない
- 質問紙に答える際には、自分の理想像を答えてしまいがちなもの
- なので、これまでにしてきた様々な意思決定を振り返ることで、自分自身の本当の姿に目を向けなければならない
②個人とマネジャーについて
- 個人とマネジャーは、現在と将来の職についてロール・マップを一緒に作成し、仕事についてのコミュニケーションを改善することで、もっと仕事を理解しなければならない
- 技術的な条件以上に、その仕事における人間関係に焦点をおいて考える必要がある
③キャリア・コーチやキャリア・カウンセラーがすべきこと
- 組織の要請と個人の要求を上手くマッチングできるよう、よりよいモデルを作って行かなければならない
- キャリアの研究では、組織が仕事の本質を理解するというものより、人が自分自身を理解するといったものの方が格段に進んでいる
- リーダーシップの研究のほとんどが個人の能力についてのものだという問題
- 実際に組織を観察してみると、リーダーシップというものは、社会的な文脈や仕事そのものの本質など、社会学的に分析されるべきものとの関連が非常に強い
- なので、キャリアは社会的な概念として考えられるべきであり、個人の資質という考え方をすべきではない
- 組織内でのキャリアは、この先あまりキャリア研究者の興味の対象にならなくなっていく
- 職業的キャリアがもっと重要になっていく
- 社会化の期間は短くなっていて、トレーニングに関する経費も削られてきている
- 出身学校の学歴による権威に頼ることが増えている
- つまり、組織は実質、就職希望者をどう評価するかということを自分たち以外の機関に明け渡してしまっている
- 社会が流動化し、雇用保障性を高めなければ行けないのに、キャリア・パスに関する予算が下がっている
- 失われた働き口が復活する傾向はあまり見られない
- 組織は、多くのことをアウトソーシングできるのだと学習し、トレーニングも専門的な技術の習得も組織外の機関で行われ、組織内にもたらされるものになっている
- 職を失ってしまった/得られなかった若者の社会的コスト
- 政府がその責務を追うべきだけど、なされていない
- 晩婚化、自立せずに家にいる期間が長くなり、教育にかける期間も長くなってきている
- キャリア・カウンセラーの使命も、カウンセリングよりたくましく生きていくための教育のようなものに変わっていく可能性
- 世羅ポスト的なものに変わってきている
- 個人が自分でどうすることもできないような絶望的な状況も含めた、より幅広い状況を理解できるように援助する役割が求められている
- 現代には仕事場にも家庭にもセキュアド・ベース(心の安息地)がなくなっている
- 仕事の性質の変化が、人々の安心感に影響を与えている
- 安定感や自己肯定感を得るために、自分自身そのものが、自分のしている仕事よりも大切な存在なのだという考え方が、重要になっていく
- 仕事は、本来は自分自身の表れであるべき
- どのような友人を持って、どこに住んで、といった、人生の中での重要な選択すべての表れ
- しかし、なかなか仕事が見つからなかったり、本当はもっと意味のある仕事をしたいのに毎日つまらないことの繰り返しに甘んじたりしている状況のために、そのような本来の仕事の姿を実現しづらくなっていっている
- 全世界的にマネジメントの意味が変わってきている
- 人を管理するという意味合いを失い、地位的なものになってきている
- 従業員の声を聞くことが少なくなることで、不満が溜まったり、転職したりすることもある
- リーダーシップというカルト信仰によって、マネジャー無き時代に生きている
- もはやリーダーしかいない
- リーダーは、ビジョンを持って将来を見通していくべき
- いかんせん、どのリーダーも部下に気を配ることをしない
- 指示ではなく、話を聞く
- 徴兵制を経験すると、自分のキャリアが不連続になるかもしれないという前提について考える意識は芽生える
- 不連続という可能性も含めて自分のキャリアを考えることが求められる
- 社会の中に入っていって仕事を創造するとか、新しい環境でどのように自分の仕事を継続していくかといったことを考えなくてはならない
- 継続的なキャリアが一種の例外になってしまった