某PC環境の使用者のためのスタートガイドである。Markdownという形式で書かれている。最新版は次で入手できる可能性がある。 https://gist.github.com/LennMars/7323738
- Cygwin (Unixライクな開発環境)
- W32TeX (TeX関連ツール)
- Emacs 24.3.1 for Windows (汎用エディタ)
- サクラエディタ 2.1.0.0 (汎用エディタ)
- TeXstudio2.6.4 (TeX専用エディタ)
Windowsのデフォルトのインストール先はスペースや括弧を含み問題の原因になりやすいので、Cygwinを除く以上のソフトウェアはC:\bin\以下にインストールしてある。インストーラ等は各ユーザのドキュメント\setup\以下に残してあるが消して構わない。
デスクトップで左下にカーソルを合わせるとポップアップするスタートボタンを右クリックする。
スタート画面で右クリック→「すべてのアプリ」。
よく押すキーが押しやすい位置にあったほうがよい。次のようにする。 http://handcraft.blogsite.org/blog/2013/06/07/1063
Linuxのような環境をWindows上で再現するプログラム。プログラミングが素のWindowsでやるよりも大分楽になる。もっといいのは最初からLinuxを使うことである。Linuxのインストールの敷居が高いという向きにはVirtualBoxを使ってWindows上にLinuxの仮想環境を構築するのをおすすめする。
デスクトップに残してあるsetup-x86_64.exeを実行する。
- 次へ
- Install from Internetをチェックして次へ
- Root DirectoryとInstall forはそのままで次へ
- Local Package Directoryもそのままで次へ
- Select Your Internet Connectionという画面が現れる。使用するプロキシ設定を適切に選ぶ。IEでwebが普通に見えているならUse Internet Explorer Proxy Settingsでよいはずである
- 接続がうまくいけばミラーサイト一覧が現れるので近そうなサーバを選んで次へ
- Select Packagesなる画面が現れるのでインストールしたいパッケージを選ぶ。Currentというカラムが現在インストールされているバージョン番号(空欄なら未インストール)で、Newというカラムは Skip:未インストールのまま Keep:現在のバージョンを保つ (数字):その数字のバージョンをインストールする ことを(これら以外にもあるが)意味しており、クリックすることでこれらを切り替えられる
- 次へをクリックするとインストールが始まる
Cygwin64 Terminalを実行すると端末に
admin@Lenovo-PC ~
と表示される。これは (ユーザ名)@(ホスト名) (カレントディレクトリ) の意味である。とりあえずカレントディレクトリ(現在作業を行なっているディレクトリ)以外は気にしなくてよい。
最初にカレントディレクトリとして表示される"~"とはUnix系OSの約束事で"/home/(ユーザ名)"の略である。このディレクトリはWindowsから見るとC:\cygwin64\home\(ユーザ名)にある。端末で
$ touch test.txt
を実行する($ は既に表示されているマークで、自分は入力しない。この文章ではコマンドの合図として以降も用いる)とC:\cygwin64\home\adminにテキストファイルが作成されるのが確認できる。
逆にCygwinからはWindowsの例えばCドライブのファイルは /cygdrive/c というパスで見えている。
$ cd /cygdrive/c
を実行するとカレントディレクトリがそこに移り、次に
$ ls
を実行するとCドライブの直下にあるファイルがリスト表示される。 なおパスを入力するときにはtabキーによる補完が効く。
端末を終了するときはexitコマンドを使う。
あとは Linuxコマンド集 などを見て勉強する。ここで見たtouch(空のファイルを作るかタイムスタンプを更新する), cd(カレントディレクトリを変える), ls(ファイルリストを表示する)の他、 echo, cat, less, cp, mv, rm, mkdir, ln, grep, sed, find, which, export, リダイレクト(>, >>, <), パイプ(|), 制御構造(if, for, ...), 複数コマンド実行(&, &&), グロブ(*), 環境変数 あたりが特に重要である。
グラフはgnuplotで書くのがよい。Cygwinにインストール済みである。使用法はgnuplot tipsなどを参考にする。
汎用のエディタとしてサクラエディタとEmacsをインストールしておいた。とっつきやすいのはサクラエディタだがEmacsを頑張って覚えることをおすすめする。TeXを編集するときはこれら汎用のエディタを使うか、後述のTeXstudioを使う。
Cで説明する。次のようなファイルをC:\cygwin64\home\admin\main.cとして保存する。
#include <stdio.h>
int main() {
printf("Hello World!\n");
}
これに限らずソースファイルを保存するときには文字コードをUTF-8にしておくのがよい。
Cygwin端末を起動して
$ ls
を実行すると(先ほどCygwinのデフォルトのカレントディレクトリに保存したので)main.cがリストされるはずである。そこで
$ gcc -o hello.exe main.c
とするとhello.exeなるファイルが生成される。このファイルを実行するには
$ ./hello.exe
とする。Hello, World!(改行)と表示されれば成功だ。
ちなみに頭の./は現在のディレクトリの下にある、の意味であり、これがないとCygwinは
$ echo $PATH
でコロン区切りで表示されるディレクトリ(これらのディレクトリは「パスが通っている」と呼ばれる)の中からhello.exeなる実行ファイルを探してきて実行しようとするが、この場合は存在しないというエラーを返すだろう。 環境変数PATHにhello.exeがあるディレクトリを追加するか、パスが通ったディレクトリの下にhello.exeを移動すれば、どのディレクトリにいても(./でディレクトリを指定せずとも)hello.exeを実行できるようになる。
gccはCコンパイラであるが、他にもg++(C++), gfortran(Fortran), ocamlc(OCaml)の各種コンパイラやperl, ruby, pythonの各種インタプリタをインストールしておいた。 他にも効率のよい開発のためにはmakeなどのビルドツールやgitなどのバージョン管理システムの使い方を覚えるのが重要である(これらもインストール済み)。
gccに限らず、コマンドでよくわからないことがあったら
$ man (コマンド名)
を実行するかググるとよい。
論文はTeX(というかLaTeX/pLaTeX)で書くのがよい。扱いはとにかく面倒だがよい代替品がないので我慢する(自分でよい代替品を作れたら英雄になれる)。 図書館や研究室にあるであろうTeXの本やググるとすぐ出てくるTeX Wikiなどのサイトの他にもこのようなお役立ちサイトがあるので活用してほしい。
Detexify2 - LaTeX symbol classifier
サンプルとして次のようなTeXソースをC:\cygwin64\home\admin\first.texとしてUTF-8で保存する。
\documentclass{ujarticle}
\begin{document}
\LaTeX で文章を書きます。下は数式の例です。
\[ \mathrm{Nat}(h^A,F) \cong F(A) \]
\end{document}
これをビルドしてPDFを生成するのだが、そのためのTeX処理系は2セットインストールしてある。CygwinのパッケージによるものとW32Texによるものである。bibtexを使うなどするとビルドの手順はより複雑になるがここでは扱わない。
Cygwin端末を開いてuplatex first.tex
→dvipdfmx first.dvi
とすればfirst.pdfが生成される。
C:\bin\editor\TeXstudioにインストールされているTeXstudioでfirst.texを開き、F1を押せばビルドとPDFの表示が行われる。実はTeXstudioは単なるエディターであり、別途インストールされたTeX処理系へのパスやビルドコマンドを設定しなければならない。今回はそれは既にやってあるわけだが、将来的には自分でいろいろいじる必要があるかもしれないことを覚えておいてほしい。