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トランプ大統領のアジア歴訪

• ハワイ，日本，韓国，中国を次々と訪れた．
• 大統領就任後初の来日．
• 各国首脳と主に北朝鮮問題と通商問題について会談した．

• 北朝鮮へ経済的圧力をかけたい米国側に対し，日本と韓国は同調姿勢を示し，中国は対話の重要性を強調した．
• 日本では「日本は米国から多数の装備品（≒兵器）を購入することになるだろう」と述べたほか，中国で28兆円規模の商談を成立させるなど，ビジネスマンとしての一面も見せた．

TPPが11ヶ国間で大筋合意

• 長きにわたって協議されてきたTPP協定（環太平洋パートナーシップ協定）だが，保護主義を掲げるトランプ政権の成立により，米国抜きでの締結を目指すことになっていた．
• このたび，日本，オーストラリア，ベトナム，ペルーなど，環太平洋の国々によって協定が大筋合意された．
• 米国が離脱したことにより，いくつかの項目は凍結（締結見送り）された．

安倍政権による改憲論議が本格化

• 今年10月の衆院選で圧勝した安倍政権が日本国憲法の改正に向け検討を開始した．
• 安倍政権は，これまで，9条や96条の改正，緊急事態条項の創設などを主張してきた．
• 衆院選の勝利により勢いづいた自民党がより一層改憲に向け活発な動きを見せることが予想される．
• なお，自民党と連立を組んでいる公明党は改憲に否定的な立場を取っており，自民党と協議に入ることにも否定的な構えである．

注釈

• 1: 環太平洋，つまり太平洋を囲む国々によって協議されている，自由貿易化を進める経済協定．通常，外国から輸入される品には，関税という手数料的なサムシングがかかる．これによって，外国の安価な品物が国内の品物を駆逐しないようになっている．TPP協定では，特定の品物，たとえば食料品などについて，この関税を無くすことなどが目指されている．

• 2: 国内の産業を保護し，外国勢力の参入を排除する経済思想．TPP協定が目指す自由貿易と真っ向から対立する考えである．

• 3: 平和主義と武力の放棄を定めた条項．これについて詳しく解説すると燃えるのでやめとく．

• 4: 憲法改正の手続きについて定めた条項．諸外国と比べて改正手続きが厳しすぎるなどの意見が挙がっている．一方で，改正手続きをユルユルにすることで，議論が深まらないなかでの専横的改正が行われてしまうなど，この条項を改正することに反対する意見もある．

• 5: 天災や戦争など，国家存亡の危機に際して，権力を一部（ふつうは政府）に集中させ，素早く断固とした処置を講じられるように取り決める条項．現行憲法には存在しない．一方で，多くの諸外国では制度として存在している．外国と同様，緊急事態に備えるためこの条項を制定すべきだとの意見があるものの，独裁的体制を招きかねない，同様の条項が悪用されてきた歴史（ヒトラー政権の成立など）がある，といった反対意見も根強い．

補遺をホイっと投げておきます．

13日，北朝鮮と韓国との国境線上にある板門店を通じて北朝鮮の兵士が亡命しました．通常，交戦状態や敵対状態にある国同士の国境線は非常に厳重な警備がされており，インドとパキスタン，韓国と北朝鮮，イスラエルとパレスチナなどが代表的です．亡命した兵士はその厳重な警備をなんとかくぐり抜け，別の北朝鮮兵士が撃った5発の銃弾を浴びながらも亡命に成功しました．
亡命した兵士を北朝鮮側が追いかける際，国境線が踏み越えられるなどしており，国際問題に発展する可能性があります．
国境線に関しては，授業で取り扱った「国家の三要素」を形成する一つ「領域」の話と絡めて出題されるかもしれません．

10日と11日，APEC首脳会談が開かれました．APECはアジア地域の経済協力について話し合うためのフォーラムです．今回の会談で発せられた首脳宣言では，反保護主義が謳われました．

13日と14日，ASEAN首脳会談が開かれました．こちらは東南アジア地域の（経済に限らない）総合的な連合です．北朝鮮問題について話し合われました．