Cloud LaTeX について調べていると,分かりづらいと感じるところがいくつかあった.本記事では,非 Cloud LaTeX ユーザーがちょっと調べてみたときに感じた不明瞭点を挙げます.
Cloud LaTeX - Build your own LaTeX environment, in seconds |
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もしも Cloud LaTeX の中の人が見た場合は,「素人は黙っとれ ―――」の気持ちでお願いします.喧嘩を売っているつもりはありません.
確認出来る限りで,Cloud LaTeX ではトップページと次の 4 ページのみで構成されている.
これらには最終更新日がページの上部に記載されているが,2018 年となっているページが散見される.もちろん,2018 年から状況が何も変わっていない場合は問題ないのだが,更新履歴を見る限り変わっていないことはないと思われる.
トップページだけがまともに更新されている印象を受ける.
ちなみに,更新履歴の更新も怪しく,トップページに更新情報があるにも関わらず,更新履歴のページには反映されていない.(2022/02/28 現在)
Cloud LaTeX では TeX Live による環境構築に加えて,次のようなものも利用することが出来る.
- TeX Live に集録されていない有名なパッケージ
- emath や ceo 等
- TeX Live に集録されていない BibTeX のスタイルファイル (bst)
- フリーフォント
- テンプレート
- knitr を利用した Rtex
- Pandoc
- Markdown から LaTeX 経由で PDF に変換することが出来る
これらの情報はすべて 更新履歴のページ か 公式 Twitter または 公式 Facebook でしか得ることが出来ない.Cloud LaTeX について情報を得たいときに SNS を確認したり,煩雑な更新履歴のページを閲覧する人がどれくらいいるのだろうか.
また,これに加えて不明瞭だと感じる点は次のようなものが挙げられる.
- TeX Live に集録されていない有名なパッケージ
- emath や ceo 等のドキュメントがない
- そもそも,TeX Live に含まれているパッケージ等のドキュメントも見られないので同じと言えば同じなのかも
- ユーザーはドキュメントの存在を知らない可能性もある
- 一覧のページが欲しい
- TeX Live に集録されていない BibTeX のスタイルファイル (bst)
- どのスタイルファイルが追加されているのか分からない
- 一覧のページが欲しい
- フリーフォント
- 源真/源柔ゴシックは pxchfon などのプリセットに登録されていないのでは?
- フォントマップは作成されているかしら?作成されているなら,どのような名前で?
- テンプレート
- どのようなテンプレートが追加されているのか分からない
- 一覧のページが欲しい
- knitr を利用した Rtex
- knitr が利用できるのであれば,R Markdown も可能?
- 特段,言及はされていない
- Pandoc
- R Markdown から LaTeX 経由で PDF に変換することが出来る?
- 外部コマンド(
-shell-escape
を含む)は何が使える?- extractbb (ここ を見るとどうやら使えるらしい)
- Inkscape
- gnuplot
- Python(minted パッケージとか使いたい)
- Lua, Perl, R は使えそう
個人的には,それぞれ別個のページを作成しておいた方が良いようにも思う.
おそらく,以下のページを参照すれば追加で導入されているパッケージは確認することが出来るが,ヘルプに含まれているのはどうなのだろう.
また,emath, ceo, jlisting 以外は TeX Live scheme-full にデフォルトで導入されているのでは……?(plistings は含まれていないのね)
ちなみに,利用できるエディタのテーマも知りたい.
LaTeX を提供するサービスとして十分な量の解説ではないように感じる.そもそも,最終更新日が 2018 年 12 月 12 日なので,誰もメンテナンスしていないのかもしれない.リンク切れも確認される.改行もなんだかひどい.読ませる気がないのでは?
LaTeX の利用を始める際の敷居は下がっているのに,利用するときの敷居は下げられていないように感じる.ユーザーの内外でこのページを参考にする人はどれくらいいるのだろうか.
比較として Overleaf を取り上げると,ブログ や テンプレート,LaTeX に関するドキュメント が膨大な量で揃っている.もちろん,サービス展開としてのあり方には違いがあると思われるが,これらの手厚さを思えば Overleaf の方が圧倒的だろう.
もちろん真似をしてほしいわけではないが,現状で解説が完結しているなら自力で環境構築するのもそれほど難しくはないだろうし,美文書などの書籍も出版されることはないのではないだろうか.
縦書きに関する記事やフォントの変更に関する記事,R や Pandoc を併用する場合の記事など,かなり多くの記事を書くことが出来る気がする.
参考になっているのかしら
Cloud LaTeX の説明には「Cloud LaTeX は前節で説明した環境構築の手間を省くために株式会社アカリクの Cloud LaTeX Team によって開発された LaTeX のオンラインコンパイルサービスです」と書いてあるにもかかわらず,Could LaTeX が行った環境構築に関しては何も説明がなされていない.TeX Live にないものが Cloud LaTeX にあるのかないのか瞬時に分からないのはかなりもどかしい.
下手に LaTeX のことを知っていると「ココはどうなっているんですか?」が大量に出てくる.
これだけ言っておいて,「実は登録すると全部見ることが出来ますよ」だったら笑うしかない.