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グリモア だいたいのあらすじ
  • イベントとその前後の流れを(これでもなるべく短めに)メモしていきたい。さらに掻い摘んだあらすじはWikipedia攻略Wikiの年表とかにある。
  • モアトモの主に検索機能に助けられているところが多々あります、ありがとうございます。
  • たぶん誤読や記憶違いがあり、たくさん意図的な省略があり、そもそも下のような序文からして本編にはない(オフライン版が提供されているのだから本編を読みましょう)。

グリモア だいたいのあらすじ

背景

18世紀の初頭、人類を襲う「霧の魔物」が突如として現れた。霧に似た未知の気体から現れ続ける魔物に対し、同じ頃に人々の中からも魔物を倒せる力を持つ「魔法使い」がわずかずつ覚醒するようになり、現代に至るまでの300年近くにわたって戦いは続いている。

南半球の大部分など多くの地域を魔物に奪われ生存圏を脅かされる人類だったが、その一方で魔法の力や高い身体能力を持つ魔法使いとそれ以外の一般人との間では、差別や衝突が繰り返された。これらの歴史的反省から現在の魔法使いは、「魔法学園」と呼ばれる養成機関の卒業を義務付けられている。

魔法使いは、在学中も卒業後も魔物の矢面に立つのを事実上強制される。それは戦わなければ生き残れない人類社会の要請する役割分担であり、また互いを恐れる一般人と魔法使いが傷付けあわないための方便でもあった。

第1部(2014年8月~10月)

第1話、第2話

西暦2014年(※サービス開始年。本編中には明言がない)、8月。魔法使いに覚醒した主人公は、埼玉県風飛市にある日本唯一の魔法使い養成機関・グリモワール魔法学園へと編入される。魔法使いとしての才能はほぼ皆無の「転校生」だが、無尽蔵の魔力を他の魔法使いに分け与え強化できる世界唯一の体質・「魔力譲渡」を持つことから、在校生や生徒会・精鋭部隊・報道部・風紀委員など学生機関の注目を浴びる。

第2話、第3話、第4話、第6話

転校生たちが学園生の責務として魔物討伐クエストをこなす中、グリモア付近の風飛市街地や神凪神社が立て続けに魔物に襲われ、さらに数日後には学園敷地内にも魔物が発生する。

市街地に直接魔物が出現するのはきわめて珍しく、さらに街の次に魔法学園へと魔物が現れるのは、魔物の大量発生現象「大規模侵攻」の前触れと経験的に知られていた。生徒会長の武田虎千代は、公式に学園全体へ第7次大規模侵攻の非常事態宣言を発する。

特級

素性不明の新たな転校生、朱鷺坂チトセがグリモアにやってきた。「覚醒してから何年も当局に発見されず魔物と戦ってきた」という信じがたい経歴を自称するチトセは、特級危険区域「大垣峰」の探索クエストを転校生(主人公)を連れて軽々とこなし、間もなく生徒会書紀に就任する。

第7話、第7次侵攻、第4回討伐強化週間

いつ第7次侵攻の本格的発生があるとも知れない中、学園執行部は大型の魔物・タイコンデロガ級の討伐クエストを発令する。洞窟の崩落によって本隊とはぐれてしまった生徒会長の武田虎千代と転校生のふたりは2日間洞窟をさまよい歩き、ターゲットを討伐する。朱鷺坂チトセから学園への予言めいた助言によって虎千代たちは無事救出されるが、そこから間もない翌午前2時、ついに魔物の大量発生が入電。虎千代は過労の身体を押してグリモアの先頭に立つ。

平時のクエスト(国軍監視下の「適切な」強さの魔物が下げ渡される)と異なる真の実戦は数日間に及び、学園生に強い緊張と負傷を強いたが、グリモアからは死者を出さずに戦闘終結を迎えた。国軍をはじめ多くの損害を出しながらも、それでも人類全体にとっては、大規模侵攻としては奇跡的なまでに少ない被害と考えられていた。

第2部(2014年11月~2015年2月)

テスタメント・グリモワール、第9話

歴代生徒会長の間では「第7次侵攻の後に学園の地下を調べよ」と言い伝えられてきた。新たな転校生である予知の魔法使い・西原ゆえ子と共にコロシアム地下の迷宮を進む学園生たちは、江戸時代の遺構「魔法使いの村」や最奥部の魔導書「TESTAMENT」を発見する。何かを知る様子の朱鷺坂チトセと、自称312歳の魔法のエキスパート東雲アイラに加え、魔導科学研究所出身のふたりの天才・宍戸結希と如月天は魔導書にかけられた時間停止魔法の分析と解除を試みる。

生徒会の古い資料には「第8次侵攻に備え、魔導書を開くべし」という言葉が、報道部との密約によって封じられていた。生徒会長の武田虎千代と報道部部長の遊佐鳴子の密談のなか、魔導書とは裏の世界へと繋がる「ゲート」であり、自分はその世界に行ったことがあると鳴子は語る。

愚者の檻、第8話、緊急出動 鐘の音は遠く、阿川奈鬼譚

ここ数ヶ月、魔物の不可解な行動が目立ち始めていた。

第7次侵攻の際には一部の魔物が土砂を掘り返し、学園から程近い科研(魔導科学研究所)旧施設の封印を破った。放棄されていたはずの施設は魔物共生派テロリスト「霧の護り手」によって近年まで密かに運用されており、彼らは魔物の行動を操る「ポチ」テクノロジーを手に入れていた。

留学生エミリア・ブルームフィールドはクエストの最中、人に近いかたちの魔物に遭遇した。武器を持つ人型の魔物は稀な存在で、日本においては魔物の進化の可能性として要警戒対象である。

間もなく訪れたクリスマスの時期には、遠く鳥取から学園に向けて移動する魔物の群れを風紀委員と精鋭部隊が迎撃した。

そんな折の年明け、阿川奈の砦跡に現れた「オニ」は、今までの常識を覆す人喰いの魔物であった。クエストでオニを掃討した学園生たちは「霧の護り手」幹部、間ヶ岾昭三の他殺死体を発見する。風紀委員の服部梓は、護り手によるオニの生成・制御の実験に乗じて組織内の何者かが間ヶ岾を殺害したのではと推理する。

第10話、アナザーワールド

封印の解かれた魔導書TESTAMENTは、異世界へと繋がる空間の穴「ゲート」をつくりだした。ゲートの先で魔物のはびこる一面の廃墟を探索する武田虎千代たちは、そこが変わり果てたグリモワール魔法学園の跡地と知る。あらゆる観測結果がこの世界を地球であると示していた。

詰め寄る虎千代に対し、報道部部長の遊佐鳴子は「裏世界」がもう一つの地球であることを認める。かつて「霧の嵐」という神隠しのような現象でこの裏世界に飛ばされ、現地の人間に助けられたと鳴子は語る。裏世界にも人類は居るが、それは魔物に敗れたわずかな生き残りなのだという。

1周目はここまで: 第7次侵攻と裏世界発見

  • 50年ほど前から歴史改変を受けているが(後述)、房総半島襲撃事件や第6次侵攻の被害は裏世界と大きく変わらない模様
    • 技術革新が大きく実を結んで魔物の奇襲を超えられるようになるのが7次侵攻からか
  • 討伐強化週間あたりで「魔物の知性・異常行動」というトピックが発生しているが、実際には何本かのラインに分けられるはず
    • 魔物制御実験: 鐘の音は遠く、阿川奈鬼譚
    • 魔物の進歩(エミリアの知識や恐れの反映?): 第8話
    • 愚者の檻の施設を掘り返すのは何だったんだろう? 大規模制御実験の一環ならば護り手によるものか

第3部(2015年3月~7月)

卒業記念 代表選抜戦、兎ノ助あのね2015年4月1日「0401」~兎ノ助あのね2015年4月3日、第11話

裏世界発見の衝撃も落ち着かぬまま年度は過ぎる。最上級生の武田虎千代や生天目つかさ、遊佐鳴子たちはそれぞれの進路へと卒業したはずだった。新学期の朝、制服を着て平然と登校してくる虎千代たちと、それを疑問に思わない周囲に対し、転校生と天文部部長の風槍ミナだけが困惑する。

普段はライトノベルかぶれの「中二病患者」的な言動で隠しているが、ミナは魔法効果を無視し幻惑を見破る右目を持っていた。彼女の事情を知る宍戸結希は星図を調べ、地球全体の暦と、暦に関する人々の認識が魔法で1年分戻っているらしいと結論付ける。

暦が戻っているのを知った朱鷺坂チトセは、「来年」に(本来なら今年に)起こる第8次侵攻を回避するためにループ現象が仕組まれたのではないかと指摘する。彼女は第8次侵攻の時期の根拠として、自らが人類のほとんど死に絶えた50年後から訪れた未来人であることを虎千代に明かす。

(この頃(4月1日開始『マリオネットの棺』)、転校生や音無律・楠木ありす達が汐浜に行き、霧に侵食された人形館を攻略する)

時の異邦人

裏世界探索のために集められた転校生以下5名の生徒だったが、突然の霧の嵐に巻き込まれ、学園地下のゲートとは異なる裏世界……過去の風飛市に飛ばされてしまう。生天目つかさ、遊佐鳴子、エレン・アメディック、椎名ゆかりの4人は約12年前の自分たちに会う中で、子供のエレンの辿ってきた人生と現在のエレンの記憶との食い違いに気付く。困惑するエレンに鳴子は、この過去世界もあくまでも裏世界であり、自分たちの過去とは連続していないと断言する。ならばつかさ・鳴子・ゆかりが裏世界に来てから思い出した「未来の自分らしき人物に会った」記憶は何なのか? 一同は疑問を抱えつつも表世界に戻るのだった。

第12話

報道部部長・遊佐鳴子は、この表世界が分岐を操作された側のパラレルワールドであると語り始めた。50年前にパワードスーツ「デク」の技術にブレイクスルーが起きたこと、12年前にエレンの父リヒャルト・アメディック少将が魔物共生派の間ヶ岾昭三と交流しなかったこと、「去年」武田虎千代が洞窟に閉じ込められても霧に汚染されなかったこと……それらは朱鷺坂チトセの工作の結果であり、結果、第7次侵攻で人類は半減しなかった。人類の大敗する裏世界こそが本来の歴史だと、現地に協力者を持つ鳴子は断言する。

(この頃(第12話)、犬川学園長が死去)

瑠璃色万華鏡、第17話、第18話

碧万千洞(へきまちどう)で探索任務についていた瑠璃川春乃・秋穂の姉妹が崩落に巻き込まれ離れ離れになってしまう。妹の秋穂は5年前の房総半島襲撃事件で霧の浸食を受けたために、数時間おきに障壁の魔法を受けなければ魔物化が進行するという、本人すら知らない秘密を抱えていた。密かに障壁を施術し続けてきた姉の春乃は、南半球出身の新たな転校生ヤヨイ・ロカらの助けを得て秋穂を救出する。

後にヤヨイや外患対策に駆り出された風紀委員・冬樹イヴの調査によって、この崩落事故が魔物共生派テロリスト「霧の護り手」に仕組まれたものと判明する。護り手は学園生と魔物との戦いによっていつか事故が起こるよう、多くの箇所にトラップを仕掛けていた。

第13話、パンドラ

この世界と裏世界を繋ぐゲートは少なくとも7つあると遊佐鳴子は言う。その先に居るさまざまな時代の自分と連絡を取っていた彼女は、学園地下の魔導書TESTAMENTのゲートは12年後にあたる裏世界に接続しているという。彼女の協力者である12年後の鳴子と接触するため、グリモア生徒会は第2次裏世界探索を決行する。

魔物共生派になっている裏世界のJGJインダストリーの攻撃を掻いくぐり、転校生たちは現地の鳴子との合流地点へと辿り着く。そこには拳銃自殺を遂げたばかりの29歳の鳴子の死体と、裏世界の出来事や学園生の生死などを集めたデータ(後にパンドラと名付けられた)があった。データをチェックした表世界の鳴子は、裏世界に「転校生」にあたる人間が存在しないという謎を突きつける。

風飛の丘に花は散り

ひとりで霧の嵐に巻き込まれた転校生は、2ヶ月後(第7次侵攻から約9ヶ月後)の裏世界、グリモワール魔法学園に飛ばされる。遭遇した月宮沙那やメアリー・ウィリアムズにはスパイと疑われながらも、里中花梨の優しい性格により、また転校生の話す奇妙に具体的な情報と「表世界」への興味もあり情報交換を行う。

裏世界は何かが決定的に違っていた。JGJインダストリーはこの時代で既に共生派テロ組織「霧の護り手」に与し、神宮寺初音は裏切り者の一族と学園内で蔑まれていた。メアリーは兵士時代の戦場で親友のエレンを喪い、心の傷を引きずっていた。中国からの留学生が学園にいないため、料理部は里中花梨が孤独に切り盛りしていた。「冬樹ノエル」は姉妹が入れ替わって遊んでいた時に魔法に覚醒してしまい、仲違いしたまま相手の立場を演じ続けていた。

魔物に敗れつつある世界、転校生の居ないグリモアはあちこちが険悪で、学生機関同士は互いに隙を見せないよう緊張していた。「学園執行部や生徒会は転校生の力を欲しがるだろうが、彼の力は魔物に勝てる望みのある表世界でこそ振るわれるべきだ」と考えるメアリー達が転校生を匿おうとした矢先、第8次侵攻発生を報せる鐘の音が学園に響く。更には霧の嵐が巻き起こり、転校生は死地に向かう仲間たちの運命を変えられぬまま表世界に戻されてしまう。

1周年記念オープニングムービー完全版「おわりははじまり」、兎ノ助あのね2015年8月17日「恐ろしい夢」

ある晩、南智花は第8次侵攻の夢を見ていた。夢の中の智花は古文書クラスの超巨大な魔物・ムサシ級との交戦中に子供を庇って致命傷を負う。「もし、やり直せたら」と後悔の念を抱いたまま智花は死に、グリモワール魔法学園は壊滅した。

裏世界の遊佐鳴子の遺した情報のひとつ「裏世界における学園生の生死」には、智花のみならず半数近くの生徒が死亡か行方不明と記されていた。記録はほとんどの生徒には伏せられていたが、この日の智花をはじめとして生徒やその関係者からは、裏世界の出来事を夢に見る者や、ふとした時に記憶に混乱を来たす者が現れ始める。

第4部(2015年8月~10月)

第11話、第12話、第13話、風飛の丘に花は散り、第14話

裏世界に直面し戦力不足を感じたグリモア生徒会は、学園生にしてJGJインダストリー創業者一族の神宮寺初音の伝手を使い、彼女の姉で重役の神宮寺茉理を学園に招く。さっそく彼女は先の第2次裏世界探索の支援要員、エンジニアとして活躍していた。

第2次探索でグリモアが得た「遊佐鳴子のデータ」によれば、第7次侵攻後の混乱に乗じた間ヶ岾昭三がJGJに入社して間もなく、社内に魔物共生派思想が急速に広まったという。裏世界では「今頃」神宮寺の兄妹はほとんど始末され、間ヶ岾はJGJのスポークスマンになりおおせる。この急な転向に間ヶ岾だけでなく上役の関与を疑い始めた宍戸結希と如月天は、「データ」にあるムサシ級の情報を提供すると茉理に約束し、交換条件としてJGJグループの内偵を依頼する。

第14話、楽園崩壊

転校生が裏世界のグリモアから持ち帰った情報によると、第8次侵攻の前には汐浜ファンタジーランドが魔物に襲われるという。「遊佐鳴子のデータ」による裏付けを得ながらも学園執行部を動かせる確信のない生徒会は、留学生シャルロット・ディオールの所属するヴィアンネ教司会を通じ警戒クエストを発令、程なくしてその見込み通りに魔物が発生する。

第15話、マーセナリーズヘヴン

裏世界の「予言」通り、汐ファン襲撃は起こった。翌月の9月に起こるかもしれない第8次侵攻に備えてPMC(民間軍事会社)「ナチュラルエネミー」との合同訓練を決行するグリモアだが、訓練の場のハワイ諸島は海を渡る魔物を押し留める前線基地でもあった。かくて普段のクエストより強力な「渡り」の魔物が現れ、ナチュラルエネミーとグリモアは共同での迎撃作戦を展開する。

第14話、第15話

急逝した前学園長・犬川芳郎の実子、わずか10歳の犬川寧々が新学園長としてグリモアにやってきた。意外にも国内外に強力なコネクションを持つ寧々を見込んだ生徒会長・武田虎千代は国連事務総長に対して「起こるかもしれない」第8次侵攻の備えを依頼し、裏世界に関する情報の全てを国連に提供する。

第16話

裏世界では汐ファン襲撃の少し後、9月27日にあるとされた第8次侵攻だったが、表世界のその日は大事なく過ぎた。時間停止の魔法……300年前にアイザック・ニュートンが発明し東雲アイラを不死者たらしめる秘術が世界そのものにかけられ、本来あるべき第8次侵攻を迂回しているのではないかと、東雲アイラと朱鷺坂チトセはそれぞれ推理する。

希望と幻想の理想郷

大規模侵攻が起こらなかったことで厳戒態勢を解いたグリモアは、第3次裏世界探索を決行する。生きていれば多くの情報を持っているはずの12年後の宍戸結希を見つけるため、裏世界にある反抗のシンボル「ゲネシスタワー」周辺を偵察するが、無限に再生する強力な魔物「ガーディアン」の群れに阻まれ撤退を余儀なくされる。

撤退の最中、意を決した朱鷺坂チトセは東雲アイラたちに真の姿を晒す。彼女は別の裏世界の不死者、今から50年後のアイラその人であった。南極のゲートに飛び込んで自殺を図り(霧を噴き出すゲートは魔物の根源であると信じられていた)50年前の表世界に流れ着いた「東雲アイラ」は、長年の工作の末に朱鷺坂チトセとなってグリモアに現れたのだ。

チトセは「東雲アイラがふたり居れば、学園生がふたりずつ居れば……表裏の世界の力を束ねれば魔物に勝てる」と、ゲートの先で辿り着いた表世界という希望を語る。しかしアイラは「アイザック」との300年の約束を一度でも手放した未来の自分に衝撃を受け、当分のあいだ戦う気力を失うのだった。

兎ノ助あのね2015年10月9日「実は裏では」

転校生たちがゲネシスタワーのガーディアンに阻まれていた頃、世界最強の魔法使い「コズミックシューター」こと始祖十家ジェイソン・デラーも裏世界を訪れていた。国連の依頼で風飛中心街を探索した彼は「何か」を回収するが、その正体はグリモアにとっては長らくの謎となる。

Note(読み飛ばし推奨):

ごくわずかな描写の割には2年半ほど引っ張られるパンドラ並の遠投なので、その後の流れを別枠で補足:

  • 2015年10月: ジェイソンが裏世界から「何か」を回収する(兎ノ助あのね)
  • 2016年 7月: 宍戸結希が円野真理佳に「何か」のことをジェイソンから聞き出すよう依頼(第26話)
  • 2016年10月: 真理佳がジェイソンに会えそうになるが、「何か」のことを聞くのは気が乗らない(第29話)
  • 2017年 1月: マーヤー来日、行方をくらます(第32話)
  • 2017年 3月: マーヤーが学園のネットに侵入(第34話)
  • 2017年 4月: ドッペルゲンガー騒動(兎ノ助あのね4月28日、第35話~第36話)
  • 2017年 4月: 我妻梅がマーヤーを追ってグリモアに滞在(第35話~第36話、兎ノ助あのね6月8日)
  • 2017年 5月: ジェイソンの探索していた座標が転校生の隠匿されていた風飛大深度地下と同一であると判明、メアリーに「古代の話じゃねーかよ」と煽られる(第36話)
  • 2017年 6月: マーヤーの幻覚魔法が見破られグリモアと戦闘(命の天秤)、鳴子がマーヤーのデータを検討(第37話)
  • 2017年 9月: 岸田眞吾や裏の桃世ももの情報を頼りに風飛大深度地下を捜索(パラディンジェイル)
  • 2017年12月: ウィッチが間ヶ岾に検体Aの映像を送信(オペレーション・サイバリア)、間ヶ岾がデータを検討する(第43話)
  • 2018年 2月: 間ヶ岾による学園侵攻(インベイジョン)
  • 2018年 3月: ジェイス・カルマンの怪文書によりグリモアの宇宙行きがキャンセル(スターゲイザー)

裏世界探索でジェイソン・デラーは、裏世界のマーヤー・デーヴィーの残した一連のデータを回収している。この中には「武田虎千代から託されたパンドラのキー」と「風飛大深度地下の検体Aがムサシに変わる映像」が収められており、特に後者、あるいはそれに関連するデータによって転校生を危険視した表世界のマーヤーは日本に行き、転校生の命を狙うことになる(イベント「命の天秤」)。

マーヤー捕縛後の第37話では、パンドラのキーがインドで得られたこと(裏世界のマーヤーが第8次侵攻を生き延びてインドに帰り、その後本人またはデータが風飛に渡ったとする足取りは謎めいている)、虎千代がインドのゲートを消滅させたらしいことが資料から発見され、パルチザン潜伏から一時中断されていた裏世界探索は「ゲートの消し方を得るために裏の生徒会と接触する」という新たな目的を得る(イベント「パラディンジェイル」「風飛の丘に花は散り 巨星墜つ」)。

検体Aの記録はIMFのサーバーに侵入したウィッチも確認しており(イベント「オペレーション・サイバリア」)、ウィッチの死後に間ヶ岾の手に渡ったことで彼の魔物化のきっかけとなる(第43話、イベント「インベイジョン」)。またジェイス・カルマン名義での怪文書作成にも寄与したと考えられる(イベント「スターゲイザー」、第46話)。

第5部(2015年10月~2016年3月)

第15話、第16話、第17話、火焔の誓約、第18話、第19話、第20話

精鋭部隊の来栖焔は天涯孤独の身であった。6年前に家族を「目に傷のある魔物」に殺され、魔法に覚醒して以来ずっと仇を討つための訓練を重ねている。その捨て鉢な生き方は精鋭部隊の上官や同僚の学園生たちからも危ぶまれていた。

やがて「傷の魔物」スカーフェイス討伐が発令され、焔は精鋭部隊を解任されながらも無謀なクエストを受注する。尋常の学園生の手に余る強さのスカーフェイスは、焔のみならず助けに現れた守谷月詠・我妻浅梨たち同僚をも窮地に陥れた。独りで戦うこだわりを捨てて仲間と連携した焔は、仇を霧散させる。

無事に生き延びた焔は精鋭部隊への復帰を許されるが、同じ頃、学園生兼科学者・如月天のもとには古巣の科研から「来栖焔を速やかに処分せよ」という指令が届いていた。天は指令の真意を探るため、宍戸結希との決裂を装って科研へと復帰する。

第18話、時の異邦人 Christmas

グリモアの風紀委員の職務には外患対策も含まれる。風紀委員長の水無月風子は10年前の風飛市連続児童誘拐事件を調べ始めていた。事件をテロ組織「霧の護り手」によるものと指摘していた故人のジャーナリスト岸田眞吾に注目した風子は、その娘の学園生・岸田夏海を通じて詳しい資料を取り寄せる。

それから間もなく、クリスマスを前に再び転校生は過去世界につながる霧の嵐に遭遇し、4名の学園生、双美心・冷泉葵・氷川紗妃・宍戸結希が同時に巻き込まれる。10年ほど前の風飛市街では、子供の紗妃が連続児童誘拐事件の犯人を捕まえようと無謀なパトロールをしていた。過去の双美心の誘拐を防いだ学園生たちは、実行犯のひとりが霧の護り手の構成員・間ヶ岾昭三であったことに驚く。

第18話、未来遺志

忍者の服部梓ら少人数で行われた偵察により、ゲネシスタワーのガーディアンは名門・始祖十家のような強力な魔法使いだけを阻む仕掛けだったことが判明、第4次裏世界探索が決行される。武田虎千代・生天目つかさ・東雲アイラたち魔力の高い面々をパーティから除き、風飛市からゲネシスタワーへと繋がる地下迷宮を進んだ一行は、ついに裏世界の宍戸結希と対面する。彼女はクリスマスの風飛市で会った、小さな宍戸結希本人の未来の姿であった。

裏世界の結希こと宍戸博士は隠れ家で人造人間の研究をしていた。彼女と対面した学園生にして出所不明の人造人間・立華卯衣は、自分を創り上げた「マスター」が更に未来の宍戸結希であることを思い出し、結希の呼称を「ドクター」から「マスター」へと更新する。

宍戸博士を表の学園に避難させようとする結希に対し、宍戸博士は、魔物共生派の魔法使い・双美心に報復するまでは、そして卯衣を造りだすまではそちらに行くことはできないと告げ、エナジーシェルなるアイテムを託して裏世界に残るのだった。

第19話、第20話

転校生たちが10年前の誘拐事件に居合わせたことで、はからずも事件への霧の護り手の関与が証明される。風紀委員の入手した岸田眞吾の資料でも双美心が誘拐のターゲットであると指摘されていたが、しかし当時、表世界の心は両親の死去によって風飛市を離れていた。

過去の裏世界では心の両親は生存していた。風紀委員たちは、眞吾の資料が指すのは裏世界の事件ではないかと考える。しかし同時に「魔物共生派の両親が生きているならば、なぜ霧の護り手が心を狙ったのか?」と資料のメモと同じ疑問に突き当たる。過去への介入で誘拐を阻止したはずの心が、その地続きである12年後の世界で共生派に与しているのも不可解であった。

Note: 心の共生派行きに関しては「オペレーション・サイバリア」周辺で断片的に顛末が語られている

第17話~第19話

生徒会や東雲アイラ、遊佐鳴子たちは、世界を1年足踏みさせつつある時間停止の魔法の術者を探していた。第8次侵攻を恐れる何者かの心が無意識のうちに転校生の魔力をたぐり寄せ、時間停止を発動させたのではないか。そう考えた報道部部長の遊佐鳴子は、先の年度末(『兎ノ助、あのね』2015年3月30日)に彼女の話す侵攻の「予言」を偶然聞いてしまった学園生・南智花のことを東雲アイラに打ち明ける。智花は早期に裏世界の夢を見始めた一人であり、また「先輩に卒業してほしくない」「学園生活がずっと続いてほしい」と周囲に漏らしていた。

智花はアイラから時間停止の魔法の有力候補であると知らされるが、彼女には術者の自覚が一切なく、暦のループも指摘されるまで知覚できていなかった。「やはり無意識に転校生の魔力を使って発動したのかもしれない」「いずれにせよ術はまだ解除してはいけない」とアイラに告げられた智花は、制御も関与もできない事柄にただ困惑する。

第14話~第19話、あけましておめでとう! 少女たちの新年会!、第20話

JGJインダストリーの役員でグリモアに出向している神宮寺茉理は、JGJを魔物共生派に寝返らせようとしている(裏世界では「寝返らせた」)犯人を探っていた。茉理とその兄であるJGJフューチャー社長の神宮寺樹による数ヶ月間の内偵の結果、樹の弟、JGJフューチャー役員の神宮寺光男がドイツ軍人のカイザーリンク大佐と通じ、共生派の人間を送り込むパイプ役となっているのが判明する。エレンの父親、表世界のアメディック少将はかつて軍内外の告発・粛正を行ったが、カイザーリンク大佐はその難を逃れて工作を続けていた。

JGJクライシス、第21話

JGJの内通者が判明した矢先、JGJフューチャーに保管されていたパワードスーツ・デクの最新モデル「カムロジクシー」のコントロールを共生派組織「霧の護り手」が奪い、社屋をも占拠する。転校生やJGJ関係者の神宮寺初音・月宮沙那らによる救出作戦もむなしく、社長の神宮寺樹は千切れた左腕を残し姿を消していた。間もなく霧の護り手のミサイル攻撃によって社屋は破壊され、また社長を失ったJGJフューチャーはカムロジクシーの信用回復のため組織ごと解体されてしまう。

第16話~第21話、北海道奪還、第22話

第7次侵攻の9年前、第6次侵攻の際に人類は北海道を放棄した。反撃のために霧を払えば周辺国に魔物が拡散するとして日本・中国・ロシアの間で折衝が続いていたが、第7次侵攻を余力を残して乗り切った国連の後押しにより奪還作戦は発動する。

札幌に配置されたグリモアの戦力は、6次侵攻の生き残りの学園生・雪白ましろの奮闘もあり市街の魔物を撃破する。更に国連軍や国軍により他の大部分の地域の魔物も倒され、北海道の地は人類の手に戻る。しかし霧に汚染された土壌の浄化には更に数年を要するのだった。

2周目はここまで: 裏世界の協力者との接触と北海道奪還

  • 時間停止の発覚
  • 裏世界の情報入手 - 「パンドラ」発見、「花散り」イベント投入
    • 汐ファン襲撃を当てたことで裏世界の情報が信用できると判断する虎千代
      • だからこそ、もはやグリモアだけの手に負えない。国連を巻き込むし、ハワイにも行く
    • 一連のJGJの内偵が始まり(関係ないがマキちゃん初投入もこの辺)、「JGJクライシス」でいったん幕となる
  • 裏世界探索 - 宍戸結希との接触
    • 「裏世界の結希を見つければ多くの情報が手に入るはず」という理屈は、執行部から精鋭部隊に伝えられた体でやや唐突に発生している
    • 希望と幻想の理想郷 - 50年前から工作していたのはチトセであり、未来のアイラだったことの確認
      • 工作の結果が最も大きな形で現れるのが、第7次侵攻の流れを汲む「北海道奪還」
    • ジェイソンの持ち帰った「何か」はさすがに遠投すぎ、この時点で何が入ってるか考えてなかったはず
    • 時の異邦人 Christmas~未来意志 - 宍戸結希の発見
      • 始祖十家は敵になった?
        • いなくなった始祖十家が敵になって戻るかもしれないからガーディアンを建造した?
  • 「火焔の誓約」もこの年
    • 「花散り7次侵攻」を経て、グリモアAメインストーリーに接続(遠投)

第6部(2016年3月~7月)

第22話

グリモア生徒会は、国連による北極圏の特級危険区域解放計画を知る。北極のゲートに世界中の霧を集めて送り返そうとする遠大な作戦は、もしも霧の行く先が裏世界ならば、そこを犠牲にする可能性をはらんでいた。

兎ノ助あのね2016年4月1日「確信と共に」

起きた事実はそのままに、みたび同じ年の4月が訪れる。年度の繰り返しを知っている者は、自覚さえ持っていれば記憶を整合したまま新年度を迎えることができた。世界にかけられた時間停止の魔法がひどく歪なことは東雲アイラ達に一抹の不安を残す。

ヴィアンネ

魔物討伐を宗とするヴィアンネ教司会からの留学生シャルロット・ディオールは、本国から聖ジャン=マリー・ヴィアンネの手記を探す命を受け、福音七枷教会への同行を精鋭部隊と転校生に依頼する。教会の隠し部屋で見つかったのは聖ヴィアンネの手記であるもう一冊のTESTAMENTと、彼がかくまっていた「人語を話す魔物」であった。シャルロットは内心の動揺を隠し、魔物を霧散させる。

第21話、第22話、第23話

JGJフューチャー元役員の神宮寺光男は、交流のあったカイザーリンク大佐を穏健派の共生派組織「ライフストリーム」の人間と信じていた。グリモアを幾度か訪れた光男は、ライフストリームの一部がテロ組織「霧の護り手」と繋がっていること、カイザーリンクがJGJフューチャー襲撃の実行犯と目されていることを神宮司茉理から伝えられる。自分の過ちを妹の茉理と初音、メイドの月宮沙那に詫びた光男は、樹を救出する責任を果たすために霧の護り手への潜入を妹たちに宣言する。

ミネルヴァの梟、第24話

いかなる経緯か、12年後よりも更に未来の裏世界からやってきた間ヶ岾昭三は、阿川奈の「オニ」事件で表世界の自身に成り代わり、共生派テロ組織「霧の護り手」の上級幹部に登りつめていた。霧の護り手が科研本部施設を襲う中、防戦する如月天と転校生は間ヶ岾に撃たれ重傷を負う。背中の生命維持装置エナジーシェルを砕かれ瀕死の天の前に現れたのは、霧の護り手に身柄を移した神宮寺光男であった。JGJの御曹司という立場により穏健派思想と一定の自由を黙認される光男は、相馬レナから受け取った予備のエナジーシェルを天に送り届け、彼女の命を救う。

ミネルヴァの梟、第24話

先の襲撃で科研が壊滅したことで、来栖焔の処分命令は白紙となった。戦いの当事者として一命を取り留めた如月天は、すでに焔の記録を調べ上げていた。焔は盛山研究所で作り出された試験管ベイビーであり、偽の記憶を植え付けられた強化兵士実験体の失敗作であった。

ヴァチカンからの留学生シャルロット・ディオールも焔の秘密を知っていた。ヴィアンネ教司会の目的のひとつは魔法にまつわる不幸を背負った者を守ることであり、彼女は焔のためにグリモアへ派遣されたという。宍戸結希たちは焔本人のためにも、かつての盛山研究所の非道な行いを公表せずにおくのだった。

時の異邦人 Scouts

霧の嵐に巻き込まれた転校生以下5名(武田虎千代、水瀬薫子、シャルロット・ディオール、瑠璃川春乃)は、十数年前の裏世界、とある小学校の課外授業・ガールスカウトの現場に現れていた。過去の自分たちと対面する中、ガールスカウトの目的が一部教師による共生派思想への洗脳であると看破した瑠璃川春乃は、過去のシャルロットが共生派思想へのブレーキ役となるよう期待し、また過去の自分へ房総半島襲撃事件に居合わせないための助言を残す。

第24話、パルチザン

裏世界の宍戸博士の手引きにより、生き残りの学園生と接触するための第5次裏世界探索が決行される。12年後の裏世界、七枷市に現れたレジスタンス「パルチザン」メンバーの風槍ミナは表のミナとの対話に応じるが、戦士となった裏のミナは表世界への避難という提案を「自分の世界を見捨てられない」と却下し、さらに会談はムサシ級の出現によって中断される。いつか目の制御を教えると約束を交わし、ふたりのミナはそれぞれの世界へと撤退するのだった。

第25話、パルチザン

裏世界の遊佐鳴子の遺した「パンドラ」データからブラックボックスが発見された。数学的暗号や謎かけ、果ては魔法までも仕込まれたプロテクトを解くのはコンピュータのエキスパート・双美心にも困難だったが、第5次裏世界探索で接触した裏世界の風槍ミナによれば、鳴子はミナを始めとした幾人かの学園生に「パンドラのキー」なるデータを託していた。

第7部(2016年7月~9月)

兎ノ助失踪

学園のマスコット・進路指導官の兎ノ助が自分の正体を知ってしまい、ショックのあまり「ポチ」テクノロジーの研究が行われていた旧科研施設へと逃走する。兎ノ助は魔法使いの人格を移植されたロボットではなく、ぬいぐるみを被った霧の魔物……より正確には人を襲わない「モンスター」に分類される魔物だった。

あらかじめ兎ノ助の正体を知っていた宍戸結希はひそかにクエストを発令し、国軍特殊魔法隊からサボテンのようなモンスター「メノコ姉さん」と共に転校してきた浦白七撫、構成要素に霧を多く含む人造モンスターの立華卯衣たちを伴って兎ノ助のもとへ向かう。彼女たちや転校生の必死の説得により兎ノ助は学園に戻ることを決め、その中で自らの人格が第3次大規模侵攻で死んだ魔法使い・倉橋清太郎に由来することを知る。

日英魔法少女共同戦線、ロンドンおまかせ紀行、第28話

新学園長・犬川寧々の尽力により、グリモア総出でイギリスへの修学旅行が決行される。到着早々ロンドンに魔物が大量発生するが、学園生たちは現地のネテスハイム魔法学園との共同作戦でこれを退け、ネテスハイムの首席レティシア・ハミルトンらと友誼を結ぶ。

のちの調査で、魔物の発生は「霧の護り手」からテロ組織同士の交流により魔物制御の技術を得た「ライ魔法師団」による犯行と見なされた。ライに魔物制御技術を伝えるためのJGJへの目くらましは済んだとして、霧の護り手の間ヶ岾昭三はかつて誘拐した神宮寺樹を解放する。

第8部(2016年9月~2017年1月)

第28話、驕れる者

ロンドンの魔物を倒されたライ魔法師団は、報復のためグリモアと周辺の学生街を襲う。防戦にあたる霧塚萌木は捕らえられた構成員との話し合いを試みるが、「我々の活動はテロではなく選別である」「なぜ魔法使いより劣り、魔法使いを忌み嫌う者達に奉仕せねばならないのか」という苛烈な選民思想にショックを受ける。かつての隔離政策の引き起こした「モンマスの悲劇」で流れた多くの血は、片やライ魔法師団のような怒りと怨恨として、片やテロリストを相手にしてもヒトには殺傷魔法を使えない体制側の教育として魔法使いたちに息づいていた。

ラストワルツ

引き続きレジスタンスと接触するための第6次裏世界探索が行われる。「パルチザン」のアジトの阿川奈城砦跡は、裏世界の双美心の率いる魔物の一大攻勢にさらされていた。仲月さらは、パルチザンのリーダーである裏世界の仲月さらに会い、ミナと同様に表世界への避難を提案するがやはり聞き入れられない。阿川奈城砦が崩壊する中、追撃をかわすためにパルチザンは解散、メンバーは散り散りに潜伏するのだった。

代表選抜戦、みまわり魔法少女!特級危険区域、第30話、キミアの印象

長きに渡る偵察と攻撃を経て、グリモアは特級危険区域「大垣峰」の最深部を踏破する。霧を噴き出すゲートを時間停止の魔法で制御し裏世界へ渡った転校生や東雲アイラたちが見たものは、第1次侵攻の只中にある1724年のロンドン、そしてアイラの恩人となる前のアイザック・ニュートンであった。原初の魔法使いとは思えぬ強さを発揮し魔物を退けたニュートンは、初めて魔物が観測された日には太陽がわずかに欠け、霧で天が覆われたと語る。彼は魔物が宇宙から来たと確信していた。

UNGA

国連総会がニュージーランドで開かれ、世界の存亡にかかわる裏世界案件の当事者としてグリモア生徒会長の武田虎千代が召喚される。レジスタンス狩りのために裏の双美心を欠き戦力の整わない間ヶ岾はそれでも魔物を差し向け、また別のテロ組織「キネティッカ」のスパイも会議に紛れていたが、グリモアを含む防衛戦力がこれらを撃退する。

国連決議では「対魔物の強力な兵器の開発を推進、一般人でも魔法を使える兵器の研究を促進する」「北海道に限らず、魔物に占領された地域の順次解放を各国団結し進める」「各国の法律によらず、すべてのテロリストの逮捕・解散を目指す」の3点が公表され、裏世界のことは一般には秘匿された。

第9部(2017年1月~3月)

第31話、第32話、探求者

裏世界の双美心が魔物共生派の重要戦力になっている事実を受け、風紀委員たちは岸田眞吾の遺した連続児童誘拐事件の資料をふたたび検討し、やはり資料は裏世界を指したものと確信を深める。一方の報道部では、遊佐鳴子が岸田夏海に「次の裏世界探索で会わせたい人が居る」と伝えていた。鳴子の師にして夏海の父親、岸田眞吾は裏世界で生きているという。

かくて、第7次裏世界探索(※大垣峰ゲートを使用したロンドン探索は欠番)が決行される。雨の降り続ける街「灰街(はいまち)」で探索隊一行を待ち受けていたのは、レジスタンスの一員として宿を営む裏世界の桃世ももだった。表世界の戦力に取り込まれるのを強く警戒する裏のももに対し、鳴子とももは国連決議の4番目、表世界は裏世界を救うと決めたことを話し、改めて表世界への一時避難を打診する。すぐには受け入れられない裏のももは「そのことを皆に話し、伝える」ことをもって最大限の譲歩とする。

岸田眞吾は鳴子の連絡に応じ無事に灰街に現れ、夏海と親子の再会を果たす。かつて一度は裏世界から鳴子と共に霧の嵐で生還した彼は、きわめてまれなはずの霧の嵐に再び遭い、その後の10年以上を裏世界で生き延びてきたのだった。インドのゲートが消失した事件を独自に調べているという眞吾は、ともあれ情報交換と休息のため、夏海たちと共に表世界へ帰還する。

「薔薇、な散りそ」

名家の令嬢・野薔薇姫とその付き人である支倉刀子・小鳥遊自由ら学園生は、お見合いを回避するため転校生を婚約者に仕立てて実家の反賀(そが)へと連れ出すが、到着から間もなく反賀の里全体が大規模侵攻並の魔物の大群に襲われてしまう。別のクエストで近くに来ていた神宮寺初音がすばやく増援を手配した機転もあり、一同は絶望的な戦力差の中を命からがら生還し、国土防衛の重鎮である野薔薇一族の全滅を防ぐ。

時の異邦人 Blossoms

例によって学園地下空間に発生した霧の嵐は、その場にいた転校生と学園生4名……月宮沙那、メアリー・ウィリアムズ、水無月風子、鳴海純を十数年前の裏世界へとさらう。花見会場にはやはり転校生以外の子供時代の面々が偶然遊びに来ていた。偽の制服(裏世界のグリモアとは制服のデザインが微妙に異なる)を着て花見会場をねり歩く一行を見とがめた子供時代の水無月風子をどうにか説得し、転校生たちは表裏の世界の連続児童誘拐事件に関わるかも知れぬ「怪しい人」の情報を持ち帰る。

3周目はここまで: パルチザン接触と間ヶ岾の登場、あと国連総会

  • 光男の護り手行き。以降は間ヶ岾に言葉でボコられるコーナーがたまに入ってくる
  • 裏世界探索 - パルチザンとの接触
    • わりと早期に壊滅してしまうが、メンバーが分散することで叩きにくくなったとされる(UNGAで双美が来ない理由)
    • 「キミアの印象」もこの年
    • 「探求者」ではインドのゲート消失事件が語られ、今後しばらくのキーワードになる
  • 間ヶ岾登場、大活躍する
    • ミネルヴァの梟(科研のデータ強奪)
    • 前年の樹の誘拐(ライに魔物制御技術を伝えるための目くらまし)
      • 日英魔法少女共同戦線、驕れる者(間ヶ岾にライが動かされたともいえる)
      • ラストワルツ、UNGA(裏の双美心が間ヶ岾と通じていることが分かりはじめる)
    • 時の異邦人(もっぱら間ヶ岾か間ヶ岾の手の者の犯罪の情報集め)
  • 魔物の知性について掘り下げ
    • 年度初めの「ヴィアンネ」
    • 「兎ノ助失踪」もこの年。モンスターに対する含み
    • 「薔薇、な散りそ」翌年度はじめの「伊賀炎上」とワンセットでやはり魔物の知性の話

第10部(2017年4月~7月)

兎ノ助あのね2017年4月1日「亀裂」

3月の末、「無意識に転校生の魔力を使って時間停止の発動をしていた術者」と目されている南智花は朱鷺坂チトセを師に時間停止の魔法の習得に成功するが、チトセや武田虎千代からは世界の時間停止はまだ解除してくれるなと念を押される。このまま第8次侵攻を迎えれば人類は負けると考えられていた。

そして迎えた4月1日、兎ノ助をはじめとして多くの者が前年の記憶を保持してしまい、混乱が起こっていた。時間停止はみたび発動したが、効力は明らかに弱っている。おそらく更なるループは無く、それどころか今年にでも第8次侵攻が起こるかもしれない。今後の展開を断言できる者はいなかった。

伊賀炎上

伊賀の里が魔物の攻勢に晒され、服部梓たち風紀委員をはじめとした学園生たちが現地に赴く。故郷を守るために忍軍頭領の上衣を着て決死の囮となる梓だが、彼女の身を案じた転校生や生天目つかさの乱入により陽動は中断され、一同は戦場を脱する。程なくして伊賀の里は壊滅するが、それは反賀襲撃から戦略めいた動きを見せ始めた魔物の力を計るための、国連・国軍・伊賀忍軍の共同作戦の一環であった。

風飛の丘に花は散り-第7次侵攻-

単独で霧の嵐に巻き込まれた転校生は、第7次侵攻の最中に現れる。裏世界の来栖焔・霧塚萌木・越水ソフィア・与那嶺里菜の4人は突然現れたこの怪しい男の処遇で対立し、結論を出せないまま国軍の前線が決壊、孤立する5人の前には魔物の大群がなだれ込み始める。仲間の死の運命を魔力譲渡の力で変えようとしたその時、転校生は霧の嵐に巻き込まれ表世界に戻ってきてしまう。裏世界の萌木が転校生への尋問のなか非現象魔法で得た「あなたと同じ名前と生年月日の人が風飛大深度地下に隠匿されている」という情報を持って、失意の底の転校生は遊佐鳴子のもとを訪ねるのだった。

テイルズ・エンド、第36話

イギリスのネテスハイム魔法学園は特級危険区域「ヘリオット」を踏破し、ゲートを発見した。グリモアの学園生の立ち合いのもと時間停止魔法でゲートを制御し、くぐり抜けた先の裏世界は、霧も人類も存在しない約500年後の埼玉県風飛市付近であった。

出生に謎の多い野生児・相馬レナは変わり果てた世界の風景に反応し、ここで多くの人と暮らした覚えがあると主張する。ゲネシスタワーの痕跡から見つかった記録によれば、現代から120年後、第15次侵攻を境に何故かすべての霧は存在を消し、しかし文明を失った人類も遠からず絶滅するという。最後の記録者のたどたどしい文字は、この地に生まれた最後の人間に「れな」と名付けたと語っていた。

第32話、第34話、第35話、第36話、命の天秤

始祖十家のマーヤー・デーヴィーが非公式に来日し、行方を眩ました。グリモアへの電子的ハックで情報を探ってきた彼女は、幻覚魔法で姿を変え物理的にもグリモアに潜入していた。瑠璃川春乃と風槍ミナに変装を看破されたデーヴィーは風飛市街に潜み、転校生を殺すと宣言する。魔物討伐の名目で人払いが行われ無人となった街を学園生とデーヴィーの魔法が飛び交い、狙撃をかわし切った転校生がデーヴィーのもとへ辿り着くと、負けを認めた彼女は「あなたは第8次侵攻で『ムサシ』になる」と伝えて捕縛される。

デーヴィーは去り際、風飛中心街の大深度地下でジェイソン・デラーが発見した資料を転校生たちに渡す。裏世界のデーヴィーの手になるその資料には、武田虎千代から託されたというパンドラのキーと、裏世界の転校生がムサシに変貌するさまが記録されていた。

七・〇一事件

間ヶ岾昭三に扇動されたテロ組織キネティッカ、およびライ魔法師団のリーダー、デレック・メイスフィールドによって、永田町の議員会館が占拠される。公表された犯行声明文ではゲートと裏世界の存在、それに関する作戦内容などが暴露されていた。陰謀論に凝り固まっているという世間的評価のキネティッカからのリークとはいえ、世界に混乱を呼ぶことは必至であった。

一方、間ヶ岾に連れられ表世界にやってきた裏世界の双見心はネットワークに侵入し、兵器を運用している裏世界のJGJインダストリーの映像を流出させ、更なる混乱をもたらす。その気になれば世界中のネットワークを掌握・破壊できるという裏の双見心は更にグリモアにも侵入し、表世界の心と電脳空間で相まみえ挑発する。

議員会館襲撃事件は警察と協力した冷泉葵や水無月風子ら学園生の活躍もあり鎮圧され、人質となっていた議員の犠牲こそゼロに抑えたものの、職員を含む数名の死者を出す深刻なテロ事件となった。現場に居た間ヶ岾や裏の双美心は逃げおおせ、キネティッカをスケープゴートとした彼らの目的は達成されるのだった。

第11部(2017年7月~9月)

沖縄防衛戦

世界に3人しか居ない予知の魔法使いのひとりレネイ・ネイエスの託宣を受け、魔物迎撃のため学園生たちは沖縄へと向かう。沖縄本島の各所に展開したそれぞれのチームは無事に魔物を打ち破るが、群れが転校生に向かっていくことに現場の海老名あやせや戦闘指揮の楯野望たちが気付き始める。

第39話

間ヶ岾昭三は、地上波テレビのジャックを皮切りに街頭での演説活動を始めた。裏世界の存在を隠していた国連の欺瞞をアピールし、低級の魔物を操って無害性を主張する彼の姿は世間の耳目を集め、魔物共生派は数を増やし始める。

第37話、第38話、第39話、パラディンジェイル

マーヤー・デーヴィーのもたらした資料によれば、裏世界のデーヴィーはインドのゲートを消滅させた虎千代からパンドラのキーを託されたという。霧を噴き出すゲートを消せるならば調べぬ手はないと、グリモア生徒会は岸田眞吾と共に裏世界の生徒会の根拠地を推理し、霧汚染に関わる終末医療施設が秘密裏にあるとされる風飛大深度地下に見当を付ける。

かくして学園地下のゲートから第9次裏世界探索が決行される。地下構造を進む探索隊の前に現れたのは、霧に身体を蝕まれつつある生徒会会計の結城聖奈ひとりだった。裏世界の聖奈によれば、裏の武田虎千代と水瀬薫子はガールスカウトでの経験から、いつか学園生が時空を超えてゲートの消し方を求めに現れると確信していたという。魔物やJGJに包囲される中で、裏の聖奈は、裏の虎千代が現れる日付と場所を渡したのち一行を安全圏へとテレポートさせ姿を消す。

第12部(2017年10月~2018年1月)

第40話、トリック・オア…、第41話

ハロウィンに沸く風飛市が魔物の襲撃を受ける。そんな折にフィンランドから霧の護り手を壊滅させるため、始祖十家の少女ジェンニ・コッコがやってきた。わずか9歳にして、そこに居るだけで周囲の魔物にダメージを与える強力な光系魔法を使うジェンニだが、魔物に囲まれ続けると消耗してしまう未熟ゆえの欠点を持っていた。転校生たちは魔力譲渡で彼女の魔法を強化し市街の魔物を一掃、残る巨大なタイコンデロガ級も松島みちるのホワイト・プラズマで霧散させる。

「オリジナル・テン」の自負から最前線で戦うことにこだわっていたジェンニはグリモアの強さを認め、すったもんだの末に当分のあいだグリモア(の転校生の私室)に滞在するのだった。

時の異邦人 Hallo ween、第41話

転校生が4名の学園生を伴って霧の嵐に巻き込まれた。こちらもちょうどハロウィンに沸く十数年前の裏世界の風飛市街を探索するなか、間ヶ岾の協力者、表世界では警視副総監をしている男性警官の実崎真澄(さんざき・ますみ)が連続児童誘拐事件に関わっていることが判明。転校生らは裏世界の実崎をきつく脅し、間ヶ岾のことを呟いた録音や情報を持ち帰る。その傍らで海老名あやせは、裏世界の自分から始祖十家アイダ・リーヴスの「時が来たら、私のところに来なさい」という伝言を受け取っていた。

大救出

品川の等々力病院に魔物が現れた。椎名ゆかり達保健委員や精鋭部隊らが病院を守りつつ患者の治療・搬出を行う中、間ヶ岾昭三は国軍やグリモアへの協力を宣言し、手勢の魔物を戦闘に参加させる。病院襲撃は自然発生のものだが、この機に乗じた間ヶ岾の「善行」がパフォーマンスでしかないのはグリモアの誰もが知るところだった。

ジェンニ・コッコは間ヶ岾の逮捕という本来の目的を果たすために彼と対峙するが、マスコミの前で魔法使いが一般人に危害を加えることはできないとして我妻浅梨に制止される。生徒会長の武田虎千代は間ヶ岾に対し、いずれ司法の裁きにかけると言い放つのだった。

第42話、オペレーション・サイバリア

ジャーナリスト岸田眞吾が霧の嵐で失踪する以前から追いかけていたのは、警視副総監・実崎真澄と魔物共生派テロ組織「霧の護り手」との内通であった。学園生による幾度かの過去世界への冒険によって強い裏付けを得て、眞吾はついに実崎の告発に至る。

グリモアの活躍に危機感を覚えた裏世界の双美心こと「ウィッチ」は、ネットワークインフラの破壊工作を示唆しグリモアを挑発する。対するグリモアは双見心の固有魔法によって心自身と宍戸結希・遊佐鳴子・楯野望・転校生らを電脳空間にダイブさせ、ウィッチの実体の位置を捜索する。罠にかかりウィッチと一対一の窮地に陥る心だが、転校生の魔力譲渡と、心の二重人格がネット内で分離したことによって逆転しウィッチを殺害する。自身を裏人格と信じる冷静な心は「役目を果たした」として自殺を図るが、普段表層に出ている臆病な心はこれを制止、初めて知ったもう一人の自分に「居てほしい」と訴えるのだった。

約束のキャロル

冬樹イヴ・冬樹ノエルの双子の姉妹は、いつからか裏世界の夢を繰り返し見るようになっていた。互いに入れ替わったまま決裂した仲を演じ続け、第8次侵攻の戦場で互いを庇って死ぬ、最悪の結末であった。そんなある日、両親から家族で会いたいという連絡がふたりに届き、クリスマスに賑わう汐浜ファンタジーランドで待ち合わせることになる。

汐ファンでもノエルを避け続けたイヴは、根を詰めた生活と悪夢が重なっての体調不良もありついに捕まる。両親も裏世界の夢をたびたび見ていた、汐ファンに誘ったのもふたりを心配してのことだとノエルから聞かされたイヴは、悔恨の念を話し始める。自分がトップエリートとなって活躍すれば妹の期待は下がり、ノエルは戦場に送られずに済む……そんな浅はかな考えで妹を何から守ろうとしていたのか? 努力が報われないかも知れない怖れから目をそらし、意固地になり続けたイヴには自分にも自分のことが分からなくなっていた。「あなたのことが大切だったはずなのに」と胸の内を吐き出したイヴは、入学したときの大喧嘩以来初めてノエルの謝罪を受け入れ、家族と穏やかな時を過ごす。

風飛の丘に花は散り-巨星墜つ-

裏世界の結城聖奈の指示に応じて裏の大垣峰へとやってきた転校生と武田虎千代・生天目つかさ達は、現地の虎千代・つかさ・聖奈に導かれて大垣峰中心部のゲートを目指す。裏の虎千代とつかさの身体は霧の侵食で得た力と引き換えに魔物化の限界に近付いていた。ゲートに辿り着いた一同の前で、裏の虎千代は「ゲートから噴き出す霧を全て身体に吸収し尽くせばゲートは消滅する」ことを裏のつかさと共に実践する。果たして裏世界の大垣峰ゲートは消滅し、裏の虎千代とつかさは生涯最後の決闘で命を燃やし尽くすのだった。

第13部(2018年1月~4月)

第43話、第44話、インベイジョン

間ヶ岾昭三は、JGJの神宮寺光男を後継者と見込んで敢えて手元に置き続けていた。しかしあくまで穏健な姿勢を崩さない光男は、双見心(ウィッチ)を喪ってもなお過激な手段を辞さない間ヶ岾の活動に見切りをつけ、世間に向けてテロ組織としての「霧の護り手」とその隠れ蓑である穏健派組織「ライフストリーム」の関係を暴露し出頭する。以前逮捕された実崎から累が及ぶのも時間の問題となり、護り手本体からもパージされ絶体絶命の間ヶ岾は、ウィッチの遺した「裏世界の『検体A』がマーヤー・デーヴィーの前でムサシに変わる映像」を検分した際に何者かの声を聞く。

声に導かれて魔物と霧の真実を知ったという間ヶ岾は、大量の魔物を引き連れてグリモアに正面から侵攻する。自らの身体をもムサシ級の魔物と化して転校生を味方に引き入れようとするが、浦白七撫の傍らのモンスター・メノコ姉さんが人の姿をとり七撫に新たな魔法の命令式を教えたことで形勢は逆転、間ヶ岾は霧散するのだった。

(この頃(第45話)、「巨星墜つ」で虎千代の遺した言葉もあり、パルチザンと結城聖奈はグリモアに協力の意志を示す。間ヶ岾の死と転校生の発熱での混乱が落ち着いた後、グリモアはパルチザンの受け入れを徐々に開始し、「表裏戦争」で魔法使いの介入を避ける為におおよそのメンバーが表世界に避難することになる)

スターゲイザー、第46話

以前から魔物の謎を解く手がかりを宇宙に求めていた宍戸結希は、宇宙へ行けという間ヶ岾の最後の言葉もありNASAへ赴くが、現地でのミーティングの最中に魔物の大群が現れる。転校生と天文部ら護衛一同によって魔物は退けられるも、突如ネット上にアップロードされた陰謀論作家ジェイス・カルマンの機密告発文書が始祖十家や魔法使い全体への不信を呼んだことで、NASAの説得は一旦断念せざるを得なくなった。

ジェイス・カルマンの正体は、間ヶ岾昭三が世論操作のために使い分けていたペンネームであった。生前の彼が用意していた文書とは、魔物と人を繋ぐ「霧の切れ端」……ムサシに変わる可能性のある人間の存在を暴くと同時に、それを隠していた始祖十家たち魔法使いへの不信を煽るもので、間ヶ岾からグリモアへの最後の攻撃であった。

第46話、風飛の丘に花は…ジョンバール分岐点、転校生倒れる!4人の看護人

ひとりで霧の嵐に遭った転校生は、第8次侵攻の最中の裏世界、廃墟となった風飛市街地に放り出される。とっさに音無律の危機を救ったものの、生徒会の服部梓からは「偽の制服を着て、絵空事のような『裏世界』を騙り、誰も知らない魔力譲渡の力を持つあからさまな不審者」として警戒されてしまう。転校生の処遇で不和を抱えつつも一行は間宮千佳、野薔薇姫と国軍の生き残りを救いつつ合流し、現生徒会長の水無月風子の居る本部に向かおうとするが、本部は破棄され神凪神社への撤退が指示される。

やがて転校生の知る通りにムサシが出現し、一行は更に撤退を急ぐ。南智花の所在を知った転校生は、間もなく命を落とす智花たちのために撤退命令を無視して走り出すが、梓に気絶させられ神凪神社で目覚めた時には既に智花達は戦死していた。程なくして霧の嵐が巻き起こり、梓は魔力譲渡という希望を見せてしまったままこの世界を去る転校生の無責任をなじり、泣き叫ぶ。表世界の風飛市街で目を覚ました転校生は、学園に辿り着くなり高熱を発して倒れるのだった。

4周目はここまで: 間ヶ岾の死。霧と人、ムサシと人の関わりの掘り下げ

  • ムサシに始まりムサシに終わる年
    • 年度初めの花散り7次侵攻~命の天秤
    • 年度末近くのインベイジョン、ジョンバール分岐点
  • 裏世界探索 - 裏の生徒会への接触
    • 「命の天秤」でデーヴィーから回収した資料から、「裏生徒会がゲートを閉じられるらしい」とわかり目的が再設定される
  • テイルズ・エンドから始まり直す感のある間ヶ岾の描写
    • 500年後の絶滅を知る学園生。既に知っている間ヶ岾。絶滅の運命を回避するために間ヶ岾が動いているのが読者に提示され始める
      • 七・〇一事件~大救出あたりのデモ活動につながる
    • 時の異邦人第1期が完結
      • 集めた証拠が眞吾の手で警視副総監の告発につながる
      • 後ろ盾を失い、ウィッチを殺され、光男にまで逃げられた間ヶ岾は終わりを迎える
  • 魔物の知性
    • 伊賀炎上、沖縄防衛戦、巨星堕つ(虎千代が霧に憑依される)あたり

間ヶ岾が死んで以降はストーリーが伏線消化と完結に向けて動き出すためか、視点の複雑な並行といった要素はやや薄れてゆく。

第14部(2018年4月~7月)

第45話、兎ノ助あのね2018年4月1日「流れ出す時間」

表世界にかかっていた時間停止の魔法は、ついに効力を失った。

この時に備えていた学園長の犬川寧々と生徒会長の武田虎千代は、年度の繰り返しを経てかつてない強さとなったグリモワール魔法学園を残すため、期間限定でグリモア執行部配下の私設軍隊を設立、虎千代を含む卒業生を組み入れる格好で現体制を強引に維持した。

時間の繰り返しに加えて更に1年余分に生徒会長を続けることになった虎千代率いる生徒会、そして学園生一同は、第8次侵攻が起こることを前提に行動を始める。

上海防衛舞踏

中国からの留学生・雀明鈴と李小蓮の留学期間更新の手続きのついでに、中国へ旅行することになったグリモア一同だが、上海の街に魔物の大群が出現する。始祖十家の我妻梅や周万姫の援護を得つつこれを撃退する中、転校生は自らの意識に直接「霧の魔物」が呼びかけてきていることに気付く。

1679

ISSの22倍の広さを持つ国際宇宙基地(ISB)アポロンにゲートと魔物が発生した。居住区に立てこもるスタッフを救出するため宍戸結希、如月天、楯野望、双美心ら宇宙・工学に明るい学園生と転校生が宇宙に飛ぶ。任務を果たしアポロンの窓から地球を見る転校生の目には、他の一般人はおろか魔法使いからも見えない、地球を覆う軟体生物のような「霧の魔物」の正体が映るのだった。

(この直後(第46話)、グリモアでアポロンから持ち帰った他の映像データを検討する。ゲートから現れた魔物によって避難民の全滅する様子は3年後のもので、おそらく裏世界の映像と見当付けられた)

第49話

霧の魔物は宇宙から来たガス状生命体であった。双美心の固有魔法によって転校生の記憶から映写された魔物本体の画像を見た者には、どういうわけか衛星写真越しでも魔物の正体がはっきりと見えるようになった。宍戸結希は、魔物が自然現象でなく生物ならば倒すことができると自信を持つ。

第49話、第50話、第51話

突如18世紀の裏世界から現れて逗留し始めたアイザック・ニュートンの協力により、聖ジャン=マリー・ヴィアンネの手記、学園地下でゲートと化しているTESTAMENTが一時的に本に戻った。ゲートに覆われていた内容があらわになった結果、「霧の切れ端」であった聖ヴィアンネは霧の呼び声を強い信仰と精神力でかわし続け、逆に魔物に信仰を教えていたことが判明する。

表裏戦争

グリモアを支援する複合大企業JGJインダストリーは、裏世界で魔物共生派に転向している同社(便宜上「ジャベリン」と称された)への攻撃を決定したが、創業者一族の末妹でグリモア生徒の神宮寺初音は人間同士の争いをよしとしない。初音と転校生たち協力者は、魔法使いの関与の許されない戦場を幻覚魔法と隠密行動で立ち回り、ジャベリンの代表者を投降させる。

霧の出現以後では初となる軍隊同士の戦争は(実質的な戦闘はほぼ回避されつつも)表世界の勝利に終わり、ジャベリンは表世界のJGJに組み込まれ新たな戦力となった。

第15部(2018年7月~10月)

時の異邦人 OCEAN

霧の嵐に巻き込まれ十数年前の裏世界へと飛ばされる転校生たち。音無律、朝比奈龍季、冬樹イヴ、南智花は、十川海岸で遊ぶ過去の自分達と出会う。

浜辺の洞窟に出現した魔物と戦う直前、智花は裏の自分から「前にもおかしな人に会った」と告げられる。その人の特徴が今の海老名あやせによく似ていることを、智花と転校生は訝しむのだった。

あした、死ぬとしたら

国際魔法師団IMF長官ビオレート・ピノチェトの招聘に応じ、転校生を含む数名の学園生がキューバへと向かう。しかし時を同じくして戦術の強化された魔物がなだれ込み、南米の戦線はメキシコ~キューバまで後退しつつあった。転校生を中心に魔物の戦術に対応する学園生たちや、増援に駆けつけた始祖十家の我妻梅、マーヤー・デーヴィー、ジェイソン・デラーらの協力もあり戦線は回復してゆく。

戦いの一方でピノチェト長官はグリモア精鋭部隊のメアリー・ウィリアムズを呼び出し、「あなたは、明日死ぬとしたら、生き方が変わるでしょうか」「第8次侵攻で死ぬと知って、あなたの生活は変わりましたか」と問いかける。裏世界という破滅の未来を目の当たりにしたグリモアが、なぜ最前線で戦っていられるのか。なぜ、魔物に勝つなどと途方もないことを信じられるのか。メアリーがある一人の男子生徒の不屈の戦いを語り、「そいつ」が諦めていないからだと答えると、ピノチェト長官はグリモアへの協力を約束するのだった。

サンクチュアリ-語り部はここにあり-

表世界に避難している「パルチザン」のメンバーから「聖域」の情報を得た生徒会は、第11次裏世界探索を計画する。争いを嫌ってふうびきっず跡地のシェルターに隠れ棲む一般人と、彼らを守る白藤香ノ葉は、十数年間の過酷な生活に疲れ切っていた。魔法が使えても良いことなんて何も無かった、希望を見ることすら辛いのだと表世界への避難を拒否する裏の香ノ葉。しかし聖域の中で生まれ育った子供を見つけた表の香ノ葉は、それでも此処の人達は希望を失ってなどいないと説得し、皆を表世界へと連れ出すのだった。

第51話、第52話

ここ数年で街への魔物出現は珍しくもなくなった。そして世界各地の魔法学園で魔物との戦闘が起こり、いよいよ第8次侵攻は目前と誰もが信じることとなる。上海戦以降何度も霧の呼び声に引きずられて気絶している転校生は、ムサシになるという最悪の事態を防ぐために南智花・東雲アイラ・朱鷺坂チトセから時間停止の魔法を施術される。

兎ノ助あのね2018年9月下旬、第8次侵攻

第8次侵攻は日本以外の人類生存圏から発生した。各国の戦いが行われるまま数日が過ぎると、海外への増援派遣を検討していた日本にも魔物が集中する。危ういタイミングで魔物と最大戦力で相対できたグリモア・国軍・JGJ・パルチザンらは、世界各地で霧散しては風飛市で再集結してくる魔物を相手に死闘を繰り広げる。

侵攻終盤、ついに転校生は霧の声に捕まり「霧と人類を結ぶもの」ムサシ級に変貌するが、グリモア全生徒の強い呼びかけにより霧の声を跳ねのけ、人間の姿に戻ったのち体内の全魔力で世界規模の魔力譲渡を行う。転校生の力を受けた学園生や始祖十家のひと押しもあり第8次侵攻は人類側優勢で終結するのだった。

第16部(2018年10月~12月)

第53話

裏世界のグリモアが壊滅する際に生徒会長をしていた事実は、水無月風子の心に影を落としていた。第8次侵攻時に武田虎千代から次期生徒会長へと誘われたことに悩む風子は、裏世界のゲネシスタワーで「生徒会長・水無月風子」の日記を見つける。その記録はタワー撤退戦の直前に書かれた遺書で終わっていた。

裏世界の風子は、不思議な男子生徒のおかげで第8次侵攻に勝つ、そんな都合の良い夢を夜ごと見てしまう自分自身に苛まれていた。不甲斐ない自分を支え頼ってくれる学園生や民間人を守り切れない苦しみに「生徒会長になったのは間違いだった」という彼女は、タワーの撤退戦で命を捨てることで、贖罪と、苦しみからの解放を望んでいた。

第53話、第54話

裏世界の学園生の生き残りから託されてきたキーによって、「パンドラ」データの秘匿領域の封印は解かれた。第8次侵攻が終わったら開示するとしていた遊佐鳴子の約束通り、生徒会や東雲アイラ、宍戸結希たちはパンドラに記録されていた裏世界のムサシ=転校生=霧の魔物へのインタビューを検分する。

裏の鳴子が記録した霧の言葉によれば、個々の「霧の魔物」の正体は大気中の霧が人間の恐れを写し取ったもので、「魔法」の正体は人間の制御された理性にやはり霧が反応したものだという。そして宇宙の長旅を経て死にかかっている霧の生体反射、発熱や痙攣のような発作こそが、人間にとっての大規模侵攻の正体であった。

Note: パンドラのキーの持ち主

  • 風槍ミナ(パルチザン)
  • 仲月さら(ラストワルツ)「最低でも4人に渡した」と証言
  • 桃世もも(探求者)
  • 武田虎千代 → 裏世界マーヤー・デーヴィー → 表世界マーヤー・デーヴィー(命の天秤)
  • 白藤香ノ葉(サンクチュアリ)

越水温泉 熱闘編

戦勝記念の魔法祭(学園祭)を経て、学園生一同は越水ソフィアの実家、大分県別府市の温泉旅館への修学旅行を決行するが、案の定別府市が魔物の襲撃を受けてしまう。戦いの中で霧は一箇所に集中し、巨大な魔物の虚像となって転校生に音声で呼びかける。莫大な魔力を備える「霧の切れ端」である転校生と、彼を「わがとも」と呼ぶ魔物の姿は程なくしてリークされ、世界中に衝撃を与えるのだった。

第54話

宇宙で宍戸結希らの得たデータから、魔物の中枢はニュージーランドの裏側……国ごと特級危険区域になっているスペインにあると考えられていた。IMFは第8次侵攻後、冒険著述家のアンドリュー・ロカと始祖十家マーヤー・デーヴィーをスペインに派遣していたが、区域内でロカとデーヴィーは絶望的な通信を最後に消息を絶つ。最早これ以上霧を成長させてはならぬと判断した生徒会長・武田虎千代は、翌年1月中のスペイン攻略を学内に宣言する。

ブレイクアウト・クリスマス

国連本部に召喚された武田虎千代と宍戸結希が魔物の正体と今後について報告するさなか、クリスマスムードの風飛市に魔物の大群が現れる。瑠璃川姉妹ら学園生による迎撃戦の終盤、別府市の時と同様に音声での呼びかけを始めた魔物に対し、国連事務総長ジェレミー・ショインカは転校生のデバイスを通じて魔物との対話を試みる。

交渉によって魔物と人類の共存できぬことが確認された。他種族との生存競争に敗れて地球に流れ着いた霧はもはや力尽きるまで身をよじるしかなく、その苦しみは人の敵意と混ざり合って魔物を生む。瞬時に全人類の記憶を読み取り攻略作戦の準備が進んでいることを知った霧の魔物は、自身が理性をとどめているうちにスペインの核を壊せと、人類が健やかに生き延びるためにはこの「侵略者」を殺すしかないと宣言する。

第55話

魔物の人語による呼びかけによって世論はゆらぎ、一時は危ぶまれたグリモア支援の流れだったが、その魔物自身による宣戦布告を受けて主戦派急先鋒のグリモアは引き続き重要な存在となっていた。ネテスハイムの首席レティシア・ハミルトン、清ロマノフの始祖十家・周万姫を呼びスペイン決戦への決意を一層固めるも「他に方法は無かったのか」と武田虎千代は思いにふける。

一方、神宮寺光男は初の地球外知的生命体とのコンタクトが300年以上の争いだけで終わって良いはずがない、「他に方法は無かったのか」と思い共生派論壇を焚きつける。その光男から間ヶ岾のことを探り出すよう生徒会からの指令を受けた間宮千佳は「他に方法は無かったのか」と呆れるのだった。

第17部(2019年1月~3月)

VSコズミックシューター、第56話

スペイン攻略戦を目の前に控え、学園生たちは世界最強の魔法使いコズミックシューターこと始祖十家ジェイソン・デラーの特訓を受ける。生天目つかさは必殺技の身体強化魔法「鯨沈」の新たな領域に到達し、ジェイソンに手傷を負わせられるまでに成長する。特訓を終えたジェイソンは、互いの背中を預けられる仲間たちの集まるグリモアこそ人類最強の戦力であると転校生に保証するのだった。

間宮千佳が神宮寺光男から聞き出した「間ヶ岾は魔物の中で生きているはず」という確信めいた情報、転校当初から予知使い西原ゆえ子の感じていた「最終儀式で我妻浅梨が命を落とす」という未来、不確かなことの多い中で学園生を乗せた船はついに出航する。

スペイン突入、第57話

橋頭保を確保し、先行する国連軍との合流を急ぐグリモアと各国魔法学園の前に、12年後の裏世界の我妻浅梨が現れる。凛々しく成長した浅梨によれば、裏世界では残った始祖十家で魔物本体に最後の決戦を挑みに行ったものの、浅梨ひとりを残し全滅したという。

裏世界の浅梨が居るならば、魔物の本体付近にゲートがあるか、または魔物本体がゲートそのものではないかという可能性が示唆されつつも、一行はこの浅梨の助言を得て軍との合流を果たし、また満身創痍のアンドリュー・ロカとマーヤー・デーヴィーを見つけ回収する。

一方、周辺偵察を行っていた南智花・宍戸結希・遊佐鳴子の前には予想されていた通り魔物の一部が間ヶ岾昭三の姿をとって現れていた。奇妙な情報交換を行う中で、かつて「メノコ姉さん」から伝えられ間ヶ岾に致命傷を与えた浦白七撫の命令式、そして西原ゆえ子が転校間もない頃から予言していた最終儀式が鍵になると結希たちは考える。

最終儀式

ついにグリモアの攻略メンバーが特級危険区域スペインの中心部、魔物の核心に辿り着く。総攻撃の中で浦白七撫による「メノコ姉さんの魔法」が心臓部に炸裂し魔物は倒されたかに見えたが、それは魔物のカムフラージュだった。罠にかかった転校生は突如開いたゲートに吸い込まれてしまう。

ゲートの先で目覚めた転校生の前には、風飛市によく似た幻のような空間が広がっていた。南智花、そして大小ふたりの我妻浅梨と大垣峰のような場所で合流した転校生は、しきりに「この浅梨たちは魔物の作り出した偽物だ」と主張する智花こそを霧の魔物本体と見破る。

この異空間にこそ魔物の心臓部があり、負けを悟った魔物は転校生を体内に取り込んでの最後の賭けに出たのだった。大垣峰をまねた空間で、南智花をまねた霧の魔物は、せめて最後の時を穏やかに過ごすためには友が欲しいと、最も霧に近くしかし最も人間らしく戦い続けた「我が友」転校生ひとりがここに残ってくれれば他に何も要らないと懇願するが、転校生の反応にそれはできないことだと悟り、微笑みながら自ら心臓部を破壊する。

そのころ現実のスペインでは、転校生を助けたいと強く願う智花が幾重にもなる黄金の命令式を発動していた。神凪怜につけさせた魔物の傷を広げるかのように智花がゲートをこじ開ける中、咄嗟の西原ゆえ子の呼びかけに反応した転校生はふたりの浅梨を掴みながら空間の狭間を漂い、崩れる幻世界から現実世界に生還する。智花の命令式はさらに輝きを増し、スペインを覆う魔物を宇宙へと吹き飛ばすのだった。

人類軍凱旋、第58話、生徒会長交代記念 代表選抜戦、みまわり魔法少女! ~Finale~

風飛に戻ったグリモア一行は世界の熱中を凝縮したかのような歓待を受けることになった。1週間に渡った凱旋パレードもひと段落すれば、卒業式が間近に迫ってくる。

武田虎千代は水無月風子へと生徒会長職を引き継ぎ、正式に常設される軍の代表に収まる。南智花のような今年度卒業するほとんどの生徒も「グリモア軍」に進路を決めていた。

霧の濃度は決戦前の12%まで下がり、魔物の出現率も魔法の威力も格段に低下した。魔法使いが霧と密接に関係している以上、今後は覚醒率も下がっていくだろうという予想もある。魔法を決戦前の水準へと増幅できる転校生はより重要になるだろうと警告する虎千代。人類に天敵が居なくなったことから内輪の争いが300年ぶりに再開するのではないかと危惧する精鋭部隊の軍人エレンとメアリー。魔法使いの地位低下と魔導科学の衰退を予測し、天と結希を招いて復興と魔導科学博物館のプロモーションに余念のない神宮寺樹。魔法が思ったほど有能でないことから精神の平静を欠く「メイガスギャップ」現象がより広く大きく起こることだろうと警戒する風紀委員たち。「戦後」の捉え方もさまざまだ。

自我を持ち人類に協力的な魔物である「モンスター」の今後は予断を許さないが、今のところは卯衣、兎ノ助、シロー、メノコ姉さんらには特段異常は見られない。

本来虎千代らと共に去年卒業するはずだった海老名あやせは、「自分が卒業していない、今年も卒業しない、そして誰もそれを疑問に思わない」という事実にスペイン攻略戦の頃に本格的に気付き、疑問を強めてきている。

スペインから帰還中の国連軍の一部隊が全滅したという怪事件の調査のために、始祖十家は動き始めている。

あらたな波乱の予感をはらみつつも、魔物との生存競争を終わりへ導いたグリモアでは卒業式が行われるのだった。

グリモアA だいたいのあらすじ

第18部(2019年4月~8月)

アフターミスト

霧の濃度が戦前の5%まで下がり、街中に魔物が出ることはなくなったと思いきや、魔導科学博物館が襲撃を受ける。奇怪な動きを繰り返す低級の魔物や、一瞬だけ感知されたタイコンデロガ級の反応に転校生らが困惑していると、突如として館長の死体が出現、放送室からは「Damne-toi, Humains.」地獄に落ちろ一般人……と女の声が響く。殺害犯と目される女は追手の警官数十人をも殺しつつ逃走するのだった。

第59話

魔導科学博物館の襲撃犯は、館長の死体を放り出す際にタイコンデロガ級相当の霧を発していた。犯人は新種の霧の魔物ではないかと宍戸結希は指摘するが、しかしシャルロット・ディオールは、敵は霧を操る能力を持つ「強化人間」だろうと語る。50年前に朱鷺坂チトセの工作で大きく飛躍した機動兵器「デク」に主流を追われながらも、国連でひそかに運用されてきた人工の魔法使い。スペイン戦直後にフランス軍部隊を全滅させたのも彼女たちだと、ヴィアンネ教司会は考えていた。

第59話、おしゃべりな夢

海老名あやせは在学9年を超え今年で20歳になる。「6年在籍、18歳以上」の卒業資格を満たしているのに卒業する気配がないこと、誰もそれを疑問に思わないこと、何より今になって自分がそれに気付いたことに彼女は悩んでいた。そんなあやせを突如として開いたゲートが飲み込み、世界中の名所を無秩序に集めたような空間へと運ぶ。

程なくして女子寮に開いた同様のゲートからやってきた転校生たちと合流、謎の世界を調べてゆく中で、あやせ達は今までとは形態や性質・耐久力の異なる魔物の群れに遭遇する。「魔物」をかき分けながら、何者かによって書かれた「転校生について書かれた本」と、空に浮かぶ全長50kmの魔法陣を発見するも、それらの創造主には会えぬまま一行は夢のような空間を後にするのだった。

コキュートス

スペイン決戦後、ユーラシア大陸の15分の1の平面積を持つ広大な氷の洞窟が突然現れた。ロシアの始祖十家・ソニアとジリアのイエヴレフ姉妹に導かれて内奥に入り込んだ軍長・武田虎千代と転校生たちを待っていたのは、氷漬けの「霧」、そして倒したはずの霧の魔物だった。人類を脅かすつもりは既にない魔物本体ではあったが、自分を故郷から追いやった「あれ」に立ち向かう力も持たず追い殺されるのは避けたいと、決戦前に力を分割して眠りについていたという。そんな折に何者かが眠りを妨げ、霧の一部を持ち去ったと魔物は訴えるのだった。

第61話

魔導科学博物館の襲撃犯が栃木県のコンビナートを爆破、更には反魔法使いの言動をしていたコンビナートの所長を殺害する。犯人は武装組織・新ノーマルマンズの「ごみくず」リゼット・オーデュラーを名乗り、「魔法使いこそ正常な人間だ、それ以外はすべて殺す」と犯行声明を行う。

先日解散したノーマルマンズは「正常な人間」の地位を主張する反魔法使いの過激派組織だったが、リゼットたち新ノーマルマンズは逆に魔法使い派であり、しかも一切の暴力・殺人を厭わない。ロシアから持ち出した霧によって強力な魔法を使いこなす、きわめて危険な集団と目された。

リゼット

裏世界の宍戸博士のアドバイスに従い旧科研施設・盛山研究所の跡地で強化人間の資料を探す宍戸結希たちは、同じ目的で先行していたリゼット・オーデュラーと鉢合わせる。リゼットは逃走のかたわら盛山市街一帯に火を放ち、グリモアの増援と激突。学園最強の一角である武田虎千代に重傷を負わせ、東雲アイラたちの囲みを破り、「最高傑作」の強さと異常性を存分に見せつけて逃げおおせるのだった。

時の異邦人 Festa

霧の嵐で十数年前の裏世界、夏祭り会場に飛ばされる転校生たち。これまでの経験から表裏の世界の差を探す一行は、裏のエミリアの知る「エビナ」なる人物、そして霧塚萌木が表よりも早い時期に魔法に覚醒していたことに注目する。特に裏の萌木は表と違い、運命を見通す強力な非現象魔法を習得していた。裏の萌木は「転校生たちはアイダ・リーヴスに既に会っている」という謎かけのような言葉、そして「テロリストは説得して」と助言を残す。

第62話、シチリアの悲劇

以前から自分の出生に疑問を抱いていた来栖焔は宍戸結希を問い質し、盛山研究所での実験のあらましと、自身が強化人間の失敗作であることを知る。結希はその情報と引き換えに焔に休暇を取らせ、しばらくシチリアで休むよう指示する。

イタリアはシチリア島では、一般人と魔法使いの友好のための大祭が開かれていた。国連事務総長ジェレミー・ショインカの演説の最中、過激派組織「新ノーマルマンズ」によって一般市民が人質に取られ、島中で大規模な破壊活動が行われる。警備のグリモア生徒と別行動を取った焔は頭目のリゼット・オーデュラーと出会い、「89号」ホムラ・クルスがリゼットと同じDNAから造られたことを知る。同じ強化人間ならばと焔は説得を試みるが、会話すら満足に噛み合わないリゼットはシチリア市街を気ままに破壊し逃亡する。

一方、新ノーマルマンズの一味エリーことトラッシュは、カメラの前でジェレミー・ショインカ事務総長に強化人間の決起に至った国連軍の罪を告白させていた。人道にもとる実験、数で数えられ擦り潰される過酷な戦闘……それ以上に、戦後強化人間を人類に向けて運用するつもりだった国連軍たち一般人は、強化人間の、魔法使いの尊厳を奪った。ショインカの告白を引き継いだトラッシュは魔法使い以外の者、「異常な人間」たちをすべて殺すと改めて宣言する。ショインカ事務総長は、グリモアのような良心を持った魔法使いたちが必ず新ノーマルマンズを止めるだろうと告げ、トラッシュの凶弾に重傷を負ってしまう。

始祖十家マーヤー・デーヴィーや南智花たち別働隊の活躍により、人質や破壊の被害を受けた一般市民の多くは救出されたものの、助けられた人々は助けた魔法使いを恐れの目で見つめ、石もて罵声を浴びせる。魔法使いによるテロ活動は、一般人から魔法使いへの恐怖と混乱を呼び覚ましていた。

第19部(2019年8月~2020年3月)

第63話

新ノーマルマンズの存在は反魔法使いの世論を強め、スペイン決戦前以上に魔法使いの危険性が公然と議論されるようになっていた。「魔物以外に魔法を行使してはならない」という原則から新ノーマルマンズと表立って事を構えられないグリモアやIMFたち体制側の魔法使いのひずみもまた問題であった。始祖十家ジェイソン・デラーは、国連事務総長ジェレミー・ショインカが命を賭けて世間にグリモアの戦えない理由を示してくれたと、「果たして魔法使いは、人類の敵なのか」という問いかけが投じられたと漏らす。しかし中国の始祖十家・周万姫は、今まで魔法使いの権利を制約し続け強化人間まで生み出した人類のこと、どうせ「魔物の次」の敵として魔法使いを見定めるだろうと悲観していた。

永遠の夢、第64話

海老名あやせと転校生たちは再び謎のゲートからおかしな世界「夢空間」へと転移させられる。前回と様相を変えた夢空間が「魔物」のみならず富士山噴火の火山弾で一行を襲う中、あやせたちは「時が来てしまった」と呼びかける始祖十家アイダ・リーヴスの元へ辿り着く。アイダはこの夢空間に地球や転校生の歴史を記録していたという。そして今この空間には、かつて霧の魔物を故郷から放逐した「魔物の敵」の尖兵を封じ込めているのだと、裏世界と違いアレシボメッセージや魔物を大気圏外に吹き飛ばす黄金の命令式を発動していた表世界は、その魔物の敵に目をつけられるのが数百年早まってしまったとアイダは語る。

夢空間を維持する力が失われつつあると知らされた転校生が魔力を補充したことで、アイダは再び僅かな期間、表世界に戻れるようになった。今まで「ただの始祖十家」を偽装してきたアイダは他の始祖十家たちに、自分が300年以上魔法の力も借りず生き永らえてきた不死者であり、その「魂の残量」が尽きつつあると告白する。あやせは自らがアイダと同じ運命にあると互いに確信し、しばらく学園を離れ行動を共にすることを決めるのだった。

第64話、割れた窓

「テロリストは説得して」という裏世界の幼い霧塚萌木の言った意味とその方法を、図書委員の霧塚萌木と七喜ちひろ、友人の与那嶺里菜は考えていた。かつて魔物共生派組織・ライフストリームや霧の護り手に身を置いていた神宮寺光男にまで新ノーマルマンズの説得は難しいと諭され気落ちする矢先、反魔法使いのデモに沸いていた永田町が魔物の襲撃を受ける。

永田町で魔物を操る新ノーマルマンズのトラッシュを説得しようとする萌木とちひろだが、トラッシュに根ざす深い怒りと不退転の信念を言葉で変えることはできなかった。魔物との戦闘と避難誘導を行う萌木たち魔法使いにデモ参加者が罵声を浴びせる中、彼ら民間人を魔物から庇ったちひろは深手を負う。ちひろ達の必死の戦いを見た反魔法使い派の姉原議員は民間人の避難に協力し、その後日、立場を考え直すとして「今まで魔法使いに対し心の中で壁を作っていた」「彼女らを兵器だとは言えません」という談話を残した。

第64話、割れた窓、第65話

永田町を襲ったトラッシュは、ごく短時間ゲートを創り出して撤退する離れ業を披露した。抜け目なくゲートに滑り込んだ生天目つかさは、数日間(彼女たちの主観時間では3ヶ月間)の追跡の末、トラッシュを捕獲して学園に帰還する。その少し前、糸の切れた凧のようにロシアの「霧の洞窟」にやって来ていたリゼットを始祖十家イエヴレフ姉妹が捕え、新ノーマルマンズの代表格2名は共に国際魔法師団IMFに移送されていた。

一方、シチリア事件の直前に脱獄して以来新ノーマルマンズとの協力関係にある、過激派組織ライ魔法師団の指導者デレック・メイスフィールドは、フランスで頻発する政府要人の失踪事件「ジェヴォーダンの獣事件」への関わりを示唆しリゼットとトラッシュの釈放を要求する。

ジェヴォーダンの獣

フランスの要人失踪事件を捜査していた始祖十家ジャンヌ・エイメが消息を絶った。国連軍フランス部隊、政府要人、始祖十家と立て続けに被害を受けたフランス国民の正義感と怒りが「魔法は人を傷つけてはならない」という原則を覆させる。対人戦闘の許可が政府から下り、ジャンヌの手がかりの残るフォンテーヌブロー城を捜索するグリモアとネテスハイム魔法学園の戦力はライ魔法師団と衝突する。いずこかで戦闘の真最中だったジャンヌとデレックが共にゲートから姿を現すが、グリモアに人質を救出され不利を悟ったデレックは、捕えられる同胞を惜しみつつも逃走するのだった。

第66話

始祖十家ジャンヌ・エイメは、彼女たちヴィアンネ教司会とグリモア元報道部・岸田夏海が進めていた研究の成果をグリモアに報告する。曰く、霧の嵐やゲートは魔法使いの無意識下の欲求が集まって暴走したものだという。新ノーマルマンズたち「暴走の制御」を体得している強化人間は「魔物の敵」の思念を使ってゲートを作り出し、魔物の敵の本拠地を介して地球上の任意の場所に現れると考えられていた。

第66話

シベリア地下の巨大洞窟に赴いた遊佐鳴子、岸田夏海、岸田眞吾は霧の魔物の残滓とのコンタクトを試みる。霧の魔物は彼の敵を、人間の言葉で「怪物」、または「ベヒモス」と名付けた。更に強化人間が空間を渡る際に経由する「本拠地」の正体……リゼット達が逃走経路に使い、生天目つかさや始祖十家ジャンヌが突入したこともある不気味な異空間、つかさが「ミクロの世界」と表現したそれが、怪物の体そのものであると告げる。

最期の夢

アイダ・リーヴスの「魂の残量」はいよいよ底を尽き、彼女は再び夢空間へと姿を消した。同種の力を得つつあった海老名あやせはゲートを開き、生徒会長・水無月風子と急遽集めた人材を伴ってアイダを追うが、崩れかける世界でかつての不死者は塩の柱に変わり始めていた。

アイダは一行へ、怪物は小さな分身を送り出して地球の正確な位置を探ろうとしていると、怪物本体の到着を遅らせるためには新ノーマルマンズたちを殺し地球と怪物世界の接続を絶てと伝える。1ヶ月ほどに迫っていた怪物到着の猶予は、この夢空間が尖兵ごと消えることによって数ヶ月は延びるだろうとアイダは言い残し、最後の力であやせ達をもとの学園正門まで転移させる。

あやせはアイダ・リーヴスの使命を引き継ぐことを決意し、一度消えた世界は新たな番人の力で復元された。今後現れる怪物の尖兵も引き続き封じられるだろうと、怪物襲来の猶予は引き延ばされたとあやせは信じるのだった。

第67話、アガルタ大五芒

IMFで拘束されていたリゼットとトラッシュには来栖焔の説得も通じないどころか、焔は隙を突かれトラッシュに負傷させられてしまう。間もなくトラッシュたちはムサシ級サイズの魔物を召喚、始祖十家をキューバに引きつけつつ、ニュージーランドのオークランドへと瞬間移動で逃亡する。

新ノーマルマンズの起こしてきた数々の事件は布石と目くらましに過ぎなかった。オークランドの地下空洞に敷設した大五芒星と多人数の詠唱からなる結束魔術で巨大なゲートを開き、怪物自身を地球に転送するのが人類殲滅の手段であった。キューバとニュージーランドで同時に発生した事件を前にグリモアは、ゲートの扱いを修得した海老名あやせの力で戦力を送り、オークランド大空洞を強襲する。科学者にしてグリモア生徒唯一の非魔法使い・如月天は強固な結束魔術を破壊しようとする中で突如魔法に覚醒し、暴れる魔力の全てを自身の魔法発動機械「デウス・エクス」に流し込んで破壊力に変換、結束魔術を粉砕する。

かくしてデレック・メイスフィールドや多くの強化人間たちは逮捕され、アフターミスト最大のテロリスト「新ノーマルマンズ」の最後の作戦は潰えた。人類全滅を諦めないリゼットは、戦意の失せたトラッシュを見捨てて殺そうとするが、遅れて到着した焔に制止される。1ヶ月待てばリゼットと同じくらいに強くなって「遊んで」やる、だからそれまでは人を殺すなという焔の言葉を聞き入れたリゼットは、トラッシュと共にイギリスのゲートから500年後の裏世界に隠遁するのだった。

第68話

オークランド大空洞の戦いでグリモアは、新ノーマルマンズの強化人間たちに「静かな生活を望むのならば、500年後の裏世界に送る」という提案をほとんど独断で持ちかけていた。法によらぬ罰(あるいは救済)を下すことは正しいのか? 各国首脳の意見は批判と称賛とに分かれた。決断を委ねられた始祖十家は、魔法使いの意志と責任を示すため、強化人間の裏世界への追放という超法規的措置を発表する。

第68話、ヘヴン

決闘の日までの1ヶ月間、来栖焔は魔法の暴走を意識的に起こすための特訓で身体を痛めつけ続けた。一方500年後の裏世界で時を待つリゼットは強化手術と戦闘による心身のダメージが止まらず、トラッシュことエリーを忘れるまでになっていた。もはやリゼットには殺しと「ホムラ」のことしかない。「エリーのことを忘れた時は殺されてやる」という在りし日の約束は失われていた。

怪物の体内で戦い始めてから24時間、転校生の力で魔力を回復させながら「遊んで」きた二人にも限界が訪れた。先に動きを止めたリゼットに向け焔のとどめの一撃が放たれるが、どうしても約束を果たすことのできないトラッシュが割り込む。身体が崩れ始めたリゼットは、最期に「エリー」のことを思い出し、眼前の相棒に呼びかけながら息を引き取るのだった。

第69話

「怪物」ベヒモスは着実に地球に迫っている。人類社会は今度こそテロリストとの戦いに一段落をつけたが、強化人間事件で国連が求心力を失う中、リーダーシップを取る一勢力が今は必要と始祖十家では考えられていた。ジェイソン・デラーは、多くの実績を持ち魔法学園には珍しい私立組織であるグリモアにその役を担ってほしいと周万姫、我妻梅に心中を明かす。

BEHEMOTH

魔物との情報交換のためシベリアに訪れた転校生たちは、荒れ狂う竜巻の中から現れた怪物ベヒモスの尖兵と戦闘になる。リゼット・オーデュラーの姿を借りて現れた霧の魔物は、残された力でこの竜巻を起こし、怪物の群れをシベリアに閉じ込めて地球の被害を抑えていたという。怪物の空間に居た者のかかる「呪い」で動けなくなった転校生に「リゼット」は霧を纏わせ、身体の自由を回復させる。霧の力は同行する他の学園生の魔法をも飛躍的に強化し、発動した合体魔法は地球に出現しつつあったベヒモスの触手を退けるのだった。

第70話、第71話

生前のリゼット・オーデュラーに押し付けられた「死んだら身体を好きにしていい」という約束に従って彼女の容姿を模した霧の魔物は、「リゼット・オーデュラーではない、ただのリゼット」としてグリモアにやってきた。これまでの遺恨を承知の上でグリモアや人類と協力関係を結びたいと訴える彼女に、生徒会長の水無月風子は学園を回って生徒に挨拶して来るよう命じる。

魔物に肉親や友人を殺された者、住む世界を追われた者、転校生を「我が友」と呼び慕うリゼットを見て慌てる者、さまざまな反応の中、人の世界を謙虚に学ぼうとするリゼットの態度と怪物の迫る状況により、グリモアはおおむね一致団結する。

「グリモアA」前半戦はここまで: 大まかなラインは上の2つ

  • 盛山の強化人間の掘り下げ
    • 怪物とコンタクトできた謎が残っているが、宍戸博士との会話で強化人間の組成には未知の構成要素があるとされているので恐らくこれ
      • 強化人間計画の当初から怪物と相性のいい物体(怪物の欠片?)を持ってこられたのが誰なのかは、もうわからん……
  • 海老名あやせ留年問題の解決
    • ただ、アイダの出る回の「時の異邦人」の機能があまりはっきりしない(特にOcean)
      • アイダ・リーヴスが裏世界と通じていたか、またはいずれかの世界のあやせが過去世界で暗躍していた可能性がある
  • 一般人と魔法使いの不和
    • 怪物の登場で意識的にうやむやにされていった感
  • 代表選抜戦で世界各国の「モンスター」を討伐してたのは割と謎
    • 「いい魔物も居るのかもしれない」から本当にいい魔物(リゼット)が出てきてしまうという前フリとしては一応機能してる
      • 「頭目を失って野に馴染む、妖怪のような魔物が居るという。ひょっとすると彼らは今も地球のどこかで人知れず暮らしているのかもしれない」……みたいな線もあるかも、ないかも

第20部(2020年4月~7月)

第70話、兎ノ助あのね2020年3月31日「年度末」、2020年4月1日「決意」

怪物襲来までの時間を稼ぎたいリゼットの提案により、南智花は初めて自覚的に世界全体への時間停止魔法を試みる。時間停止が発動するかどうか、怪物の時間も戻ってくれるのか。どちらも賭けではあったが、まずは魔法は発動し、地球の暦はまた1年戻っていた。野薔薇姫に生徒会長を引き継ぐ予定だった水無月風子は、また1年学園を率いて怪物迎撃の準備を進める。

第70話、風飛の丘に花は散り ゲネシスタワー、風飛の丘に花は咲き ゲネシスタワー

怪物が地球に到達するまでに、グリモアと表世界はできる限りの裏世界を救うと決めていた。リゼットが海老名あやせからゲートの扱いを習得したことで、計画は急速に具体化する。

表世界に滞在する「パルチザン」らの後悔の念を読み取り、ゲネシスタワー撤退戦の直前に向けてゲートが開かれる。タワーの外れに展開して魔物の群れに打撃を与えた転校生たちは、籠城する未来の宍戸結希に連絡を取りグリモアの生き残りを説得、合流を果たす。未来の服部梓やヤヨイ・ロカたちと防衛線を死守し始めて1週間後、リゼットが魔物本体の説得を成し遂げると、タワーを囲む魔物の群れは消え去った。

現在から約5年後にあたるこの裏世界でのゲネシスタワー陥落の運命は覆されるが、更に未来のパルチザンたちの世界が連動して変わることはなかった。異なるゲート、異なる時代、違う裏世界(そこは転校生と思しき「おかしな学園生」の噂の残った世界だという)をわざわざ救う意味はあったのかと問う裏世界の宍戸結希に対し表世界の結希は、怪物を迎え撃つための戦力を求めていたとした上で、それ以上に「観測できてしまったからには救いたい」というエゴがあったと答える。

一方、指導者の重責に耐えかね自室に閉じこもって久しい裏世界の生徒会長・水無月風子は、ゲネシスタワーとそこに生きる人々が救われたことを見届けたのち「過去の自分にも、夢に出てきたあの転校生という男子生徒にも会いたくない」と書置きを残し出奔する。会長に殉じる覚悟の服部梓も、間もなく風子を探すためにタワーを去っていった。

リバースレコード、兎ノ助あのね2020年5月上旬、風飛の丘に花は咲き 第8次侵攻

裏世界救済の活動は続いていた。リゼットが次に開いたゲートは生徒会長・水無月風子たちの無意識を読み取ってか、第8次侵攻初日の風飛中心街に接続される。風子は世界各地に始祖十家らの増援を送り込んだ後、裏世界の自分自身を説得し市街に学園生を投入、幾人もの運命を変えてゆく。かつて南智花が夢で見た、子供を庇って魔物に殺される瞬間……「もし、やり直せたら」と願ったいつかの自分のため、智花はムサシ級の前に立ちはだかる。

一方でリゼットはムサシに宿る霧の魔物の意識に呼びかける。しかしリゼットが人を理解して「リゼットになった」影響か、検体として実験に曝され続けた裏世界の転校生の怒りによるものか、対話は難航していた。ムサシの意識をリゼットに向けるため、ふたりの智花は「黄金の命令式」による強大な攻撃魔法をムサシに直撃させる。果たしてリゼットは裏世界の魔物との対話を行い、霧は人類への侵攻を止め、人の姿に戻った裏世界の転校生は拘束された。

この新たに開いた裏世界は、以前の転校生が霧の嵐で2度訪れた世界であった。学園でメアリー達に匿われて第8次侵攻勃発に居合わせたこと、風飛市街で服部梓たちの撤退を支援したこと、それぞれの事件に居合わせた裏世界の学園生たちは転校生との再会を喜び、異世界の自分自身と向き合うことで復興の意志を強める。彼女たちや裏世界の生徒会長・水無月風子は、表世界の必要な時には力を貸すと約束するのだった。

第72話

魔物を超える力を持つ「怪物」ベヒモスの接近が公表されて数週間が経った。国際魔法師団IMFに召喚されたリゼットは、始祖十家のジェイソン・デラーや我妻梅そして共生派組織ライフストリームの神宮寺光男と共に、世界に向けて人類の協力者として名乗りを上げる。リゼットはかつて宣戦布告というかたちで打ち切ってしまった人類との対話を再開したいと訴え、あらゆる人々とのチャンネルを開くと宣言する。しかし「テロリストの姿の魔物」が存在することと、更にはグリモアがいち早くそれと手を結んでいたという二つの事実は、人類社会を激動の渦に叩き込んだ。

「今までの魔法使いの戦いそのものが茶番だったのではないか? テロリストどころかスペインの決戦も魔法使いが仕組んだのでは?」と極論まで発生し、内閣総辞職に発展しかねない騒ぎとなった日本において、グリモアへの批難は確実だろうと学園生たちは予想する。殲滅派と共生派というイデオロギー、一般人と魔法使いという人種、果ては人と魔物という生物種をも超えて立ち向かわねばならない、まだ見ぬ怪物ベヒモスの脅威を人々に信じさせられるのか? 東雲アイラは「グリモアのこれまでの行いが試されるだろう」と考えていた。

運命改変

かつて霧の嵐にさらわれた転校生がほんの一時滞在した、第7次侵攻時点の裏世界。あとに残された裏世界の学園生である越水ソフィア・来栖焔・与那嶺里菜・霧塚萌木の4名は魔物の大群を前に死を覚悟する。そこにリゼットの開いたゲートから転校生や表裏の世界の学園生たちが続々と現れ、4人の運命は変わってゆく。一方、特級危険区域スペインに向かったリゼットは三度霧の魔物本体との対話を試みていたが、彼女の変質は予想以上に進み、魔物との意思疎通は困難になりつつあった。リゼットを脅威と見なした魔物は、風飛大深度地下の検体=裏世界の転校生をムサシに変え、風飛市を襲わせる。

裏世界のソフィアの機転により、ムサシを元いた風飛大深度の大穴に水没させて動きを封じる作戦が決行されるが、始祖十家のコズミックシューターたち世界随一の魔法使いでもムサシを転倒させるのは至難であった。前線が苦戦する中、霧を纏う技術と転校生の魔力を借りた裏世界の里菜は、強化魔法「鯨沈」と高出力攻撃「ホワイトプラズマ」の複合技を編み出し、始祖十家をも戦慄させる命懸けの一射をムサシに浴びせる。バランスを崩したムサシはついに水没し、多くの世界の力を結集した丸7日間の総攻撃によって霧散するのだった。

第73話

裏世界の救済が一段落する中(12年後の世界の武田虎千代と生天目つかさの死に様に手を出せる者はおらず、ゲートは開かなかった)、如月天と宍戸結希たちは考えうるあらゆる手段で怪物ベヒモスの観測を続ける。天は自身の遠隔観測魔法に加え、西原ゆえ子の予知や相馬レナの野生の勘をも併用しての超光速観測でベヒモスの航跡を追うが、「すぐにでも来るかもしれない」以上の正確な到着予測は未だ困難であった。

多くのJGJのオペレーターと感覚を共有し人類ひとりひとりとの対話を続けるリゼットは、いずれ消える身を密かに惜しみ、感傷を覚え始める。悩むリゼットのもとにも、ついにニュージーランドを怪物が急襲したと報せがもたらされるのだった。

怪物の掌、兎ノ助あのね2020年6月26日~7月5日、幸運のパレード

怪物ベヒモスは急減速しながら太陽系内に到達し、土星周辺の本体から魔物の目の届きにくいニュージーランドへと分身を送り込んだ。海老名あやせのゲートで急ぎ向かったグリモアの戦力は、オークランドを廃墟にした無数の怪物と戦いながらもわずかな生存者を救出する。怪物の群れをゲートの向こうの夢空間に隔離、周万姫の天槌砲で一掃する作戦が奏功しニュージーランドの戦闘は終了するが、学園で指揮を執る生徒会長・水無月風子は早くも次の戦場をカリフォルニア州のデス・バレーと見定め、国連や各国首脳と共に戦力を移動させ始めていた。

Note: 特にレイド中は本編と兎ノ助あのねの内容が密接にリンクすることが多かったが、このあたりからレイド以外の日でも話自体を進めることが増える(話数、または話の密度の調整のように見える)

第21部(2020年7月~9月)

第74話、兎ノ助あのね2020年7月6日~7月31日

ロシアとニュージーランドで尖兵を撃退されたことで魔物と人類に警戒心を持ったであろう怪物ベヒモスは、手薄な地域よりもまずデス・バレーに集中する人類戦力を優先的に叩くと考えられた。不確かな仮説ではあったが策は概ね的中し、リゼットの起こす竜巻の誘導も手伝い、デス・バレーは怪物の分身が無数に現れる最前線、地球最大の戦場となる。

いまだ太陽系内を進む怪物本体に向けて、遊佐鳴子の発案で長距離核攻撃が行われる。魔物への焦土作戦のために保管されていた大量の核ミサイルは、海老名あやせのゲートを介して宇宙に転送され、怪物表面の霧にわずかずつ打撃を与えた。数日にわたる攻撃により怪物はコアを露出させるに至るが、しかしその頃には地上戦力の疲弊と消耗はピークに達しようとしていた。

HISTOIRE、兎ノ助あのね2020年8月上旬

リゼットの起こす霧の竜巻に引き寄せられたか、あるいは弱点を露出させられた怒りか、怪物は更に地球へ近付き月軌道の内側に入り込んでいた。ますます矢継ぎ早に送り込まれる怪物の分身により、デス・バレーの人類軍は破綻寸前となる。海老名あやせは、かつてアイダ・リーヴスが命と引き換えに使った攻撃、取り込んだ敵ごと夢空間を破壊する大技によって群れに大きな打撃を与え、一時の隙を作り出す。

時間停止の魔法による減速をもってしても怪物の落着は避けられず、2~3日後には地球に接触すると予想された。それを逆手に取り、最接近したタイミングでなら地上からコアを攻撃できるとリゼットは言う。彼女と転校生を擁する最大の残存戦力であるグリモアは、再びデス・バレーを埋め尽くしつつある群れを分け入ってコアの落着予測地点へと進軍する。

怪物激突まで数時間、グリモアの突入部隊は落下ポイントまで数十メートルに迫った。リゼットは転校生に別れを告げ、怪物のコアを引き寄せる竜巻の中心に独りで入り込むが、彼女だけに戦わせまいと南智花や転校生たち突入部隊もあやせのゲートを通って竜巻の内側へと進む。リゼットと合流した学園生たちの魔法は低空に迫るコアへ次々と命中し、その攻勢に乗じたリゼットは怪物に向けて「お前は、私のように喜びに満ちて、その終わりを迎えられるか」と一喝、光となって飛び上がった。

暗雲渦巻く怪物の中枢で何が起きたのか、地上からは窺い知れない。怪物の雲と魔物の竜巻の全ては消滅し、デス・バレーは晴天を取り戻した。リゼットの痕跡は、デス・バレーで会ったシローたち「モンスター」に託された、また別れ際の転校生に託された幾つかの欠片、それのみであった。

第75話

リゼットがデス・バレーから消えて以来、表世界の地球全体から魔物と霧の発生は確認できなくなっていた。魔力の源となる霧が無く魔法の訓練もままならない以上、最後に残った12年後の裏世界を速やかに解放せねばならないとグリモア生徒会は考える。

パルチザンと共に裏世界に乗り込んだグリモアの戦力と兎ノ助・立華卯衣・シローらモンスターたちは、リゼットから預かっていた欠片を与えることで、ムサシの中に僅かに残っていた他者との触れ合いを求める心を呼び覚ます。理性を取り戻し、異世界の自身の救いを知ったムサシが世界中の魔物と共に自らを消滅させたことで、パルチザンの戦いは幕を下ろすのだった。

Epilogue

学園地下で新たなゲートを密かに見つけていた東雲アイラは、転校生ひとりを連れて調査に向かう。ゲートの向こうはアイラの願望を反映してか、約300年前……第1次大規模侵攻直前、人が魔法に目覚め始めた頃のロンドンに繋がっていた。

第1次侵攻時の日本でムサシを倒せば、魔物との300年の争いを回避できる。「吾妻村のあい」だった頃のアイラも不死に囚われずただの人として生きられる。そんな世界を一つくらいこの手で生み出したいと希望を語るアイラに、武田虎千代、生天目つかさ、遊佐鳴子、水無月風子、宍戸結希、野薔薇姫と支倉刀子・小鳥遊自由、そして朱鷺坂チトセら、アイラを尾行していたグリモアの魔法使いが同調する。どの世界のためでもない、自分たちのエゴで為す秘密の歴史改変であった。

かくして江戸に到着した学園生たちの前で第1次侵攻が勃発する。現れたムサシに転校生がリゼットの最後の欠片を与えたことで、ムサシは記憶を再生、新たな「リゼット」となった。魔物と人との戦争、そして300年後に訪れる救いを知った魔物=リゼットは戦闘を停止し、アイラの「このまま地球を去ってはくれないか」という願いを聞き入れる。人ひとり分の分身、新たな歴史を見届けたい自身を地上に残し、リゼットの本体は転校生から受け取った思い出と共に宇宙へと旅立つのだった。

アナザーレコード

霧の嵐に巻き込まれた転校生は、霧の魔物や魔法の存在しない世界に飛ばされてしまう。そこでは南智花、岸田夏海、神凪怜、椎名ゆかり、守谷月詠、音無律、間宮千佳らが普通の学生として生活していた。この世界には風飛市もグリモワール魔法学園もない。自称「転校生」の説明を訝しむ彼女たちだったが、魔力を通じてか彼の世界の記憶が流れ込んできたことで納得し、元の世界に送るための手助けをする。神凪神社で見つかったゲートから表世界へ戻る転校生を見送る面々の背後には、300年ぶりのリゼットの姿が、人知れずあった。

兎ノ助あのね2020年9月

霧が消えたことで、魔法使い特有の能力は体内の魔素から生み出せる極僅かな魔法と一般人を上回る筋力だけになっていた。一抹の寂しさを覚える学園生たちだが、一般人との違いを感じにくくなるのは魔法使いにとって概ね好ましくあり、それは噂の広まりつつある一般人たちにも同様であった。

長く学園に逗留していたパルチザンの面々は元の世界に帰り、復興への道を歩み始める。学園生やグリモア軍の卒業生たちも、新たな日常に向けそれぞれの区切りを付けようとしていた。

最終話(第76話)

クエストも魔法実技も無くなり通常の学科中心の授業へとシフトしたグリモワール魔法学園は、毎年恒例の魔法祭を開催する。例年にも増して、まるで普通の学園祭のように多くの一般人で賑わう学園には、復興の合間をぬって駆けつけたそれぞれの世界の学園生たちの姿もあった。

魔法祭と同じ頃、ヒーロー「コズミックシューター」にして始祖十家の代表ジェイソン・デラーは国際魔法師団IMF本部で会見を行い、世界から魔法の源がほぼ失われたことを正式に公表する。そして今後のヒーローの方針として、アメリカに限らずJGJなど多くの民間企業のバックアップを得て復興や災害救助に力を役立ててゆくと宣言する。魔導科学の衰退と純科学の成長の間に起こるタイムラグ「マジック・ショック」と向き合い、魔法使いの範として世界の発展を助けるのがこれからの始祖十家の意志であった。

グリモア軍も当分は北海道や世界各地の復興に力を尽くす方針を定めていた。遊佐鳴子は軍長・武田虎千代へ、一私立組織の独立をいつまでも維持するのは難しいと、グリモアやその軍とは利害を異にする監視体制の構築を進言する。

生徒会長の水無月風子は来年度の混乱を予想していた。「魔法の力は魔法使いにとってかけがえのないアイデンティティであり、だからこそすべての魔法使いは一般人と世界のため奉仕せねばならない」……魔法使いたちに生きる自信をつけさせると共に、ある種の洗脳として機能していた現代の教育体制は、人の天敵も魔法も無くなったのだから変わらざるを得ない。その流れに立ち向かえるよう、風子は野薔薇姫・支倉刀子・小鳥遊自由の3名を生徒会に招き、いち早く引き継ぎを行う。

魔法が力を失った以上、グリモアがいつまで存続するかはわからない。地球にはこれからも人を脅かす敵が現れるかもしれない。もしかしたら一般人と魔法使いとの溝はついに埋まらないかもしれない。それでも転校生は、南智花たちは、風飛の丘に生きた魔法使いとして、どこにでも居る若者として、新しくあり続ける明日の幸せを信じた。

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