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@gaogao-9
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リンちゃんとプリミュラちゃんの優しい話です
あれは去年の冬の昼下がりのことだった。
ふと外に目をやると、リンちゃんが隅で丸くなっていたのだ。
「そんな所でふさぎ込んで、一体どうしたんだい?」
「総理…。実はですね……」
彼女曰く、最近プリミュラに避けられているとのこと。
「例年であれば、この時期はいつもコタツから一歩も動かないはずなんです。なのに今年は何故か朝から何処かに出掛けちゃって…。」
「何処へ行ってるのかを訊いても、バレバレの嘘ではぐらかされちゃうんです。リンにはお見通しなのに。」
「何か悪いことに巻き込まれていないか、リンは心配で。でも何も話してくれないのが悲しくて…。」
彼女が事情を話し終えた辺りで、後ろの方から能天気な鼻歌が聞こえてきた。
「あ、総理~!……と、リンさん…? 二人共どうしたんですか~?」
「そうそう、さっきキンバリーさんにお菓子をたくさんもらったんですよ~。よかったら二人も食べてください~。」
「それとですね~ ――」
鼻歌の主はシャーロットだった。
何も考えない彼女の明るさは、飽和水蒸気量に達した空気の水分を、一滴残らず読まずに飲んだ。
それにしても彼女がここに来るまでにお菓子が食べ尽くされなかったのは奇跡ではないのか。
彼女が来てからというもの、「予算がー!」「食費がー!」とマーシャが悲鳴を上げない日がないのだが、それはまた別の話。
「リンちゃんも、シャーロットちゃんみたいに難しいことを考えないほうが良いのかもな。」
「そうですね。リン、心配しすぎてたみたいです。総理も、シャーロットさんも、ありがとうございます。」
「んー?よく分からないですけど、元気になったみたいでなによりです~。」
「お、探したぞリン!おい、こっちだ!」
「タルアさん、ありがとうございます。プリミュラちゃんも、隠れてないで出てきて、ね?」
「は、はいですぅ~。」
不意に現れたのはタルア、イシュリーヌ、プリミュラの三人だ。
「プリミュラの奴が、リンさんに渡したい物があるってよ。」
「え?プリミュラちゃんが?」
「リン…これですぅ。」
プリミュラから出てきたのは、赤いマフラーだった。
「リン、最近お気に入りのマフラーを無くして落ち込んでたですー。だから新しいのを用意したら喜ぶと思ったですぅ。」
「それでオレのところに泣きついてきてよぉ。オレも縫い物は得意じゃねーから、イシュリーヌに教わりながら作ってたってわけさ。」
「お二人とも一生懸命作ってて、教え甲斐がありました。タルアさんはもう少し練習が必要かもしれませんが。」
「ま、まあそれなりの形にはなったから、それでいいだろ!な!?」
改めてタルアを見ると、少し不格好な毛糸の手袋をはめていた。
「プリミュラちゃん…皆さん……。」
「何か悪かったです?色が良くなかったりしたですー?」
「プリミュラちゃん違うの。プリミュラちゃんはこんなにもリンのことを思ってくれてて。それなのにリンは避けられていると勘違いしてて。」
「リンさん、それ付けてみたらどうですかー?」
「うお!シャーロット居たのか。全然気づかなかったぞ。」
「タルアさん酷いですー。そんなこと言うならお菓子あげませーん。」
「え、お菓子持ってるのか?悪かった!だから、な?な?」
「……ふふっ。」
「リン、笑ったですぅ。」
「うん、プリミュラちゃんありがとね。暖かいです。とっても、とっても暖かいです。」
まだまだ寒さが続く議事堂にも、少しだけ春の足音が聞こえてきた気がした。
「本当にありがとうね。一生大切にするね、プリミュラちゃん。」
「リンが嬉しそうで良かったですぅ~。」
「そうだ!今度はリンがプリミュラちゃんに編んであげるよ。えっと裁縫セットは…っと」
「あれ?この糸、前もってたマフラーと同じ色…。こんなの買ってたかなぁ?」
「き、気のせいだと思うですぅ!魔法で遊んでたらうっかり糸に戻してしまったとかそんなことはないです~~~。」
「………プ~リ~ミュ~ラ~ちゃ~ん?」
「に、逃げるですぅ!!」
「あっ、こら!待て~~~!!!!」
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