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ワークショップ「哲学的自然主義のメタ哲学的評価」

  • 自然主義者だとみんな自称している.しかしそれぞれ同じ立場ではない.

    • 認識論的(方法論的)自然主義と,存在論的自然主義
    • 自然主義/物理主義/科学主義
    • 最小限の自然主義?
  • 戸田山によれば,哲学とは自然主義の営み.

  • 門脇によれば,哲学とは反自然主義の営み.

  • 自然主義を支持する理由とは?

  • 自然主義ではない立場とは?

井頭,哲学的自然主義は何を排除するのか?

  • どうやって自然主義を規定するか?

    • 物理主義と,第一哲学の放棄,はぜんぜんちがうことのはず.
    • コンセンサスもないし,規定の根拠もないし,認識論的自然主義と存在論的自然主義とがなぜ同じくそう呼ばれるのかもわからない.
  • すでに整理されている,思想史分野の方法論を参照する

    • 歴史性重視:歴史的文脈を限定して内容同定し,意義をはかる.
    • 普遍的本質を重視:歴史的文脈をまたいで,導入・論証経緯や,導入意図・文脈を重視する.

予備問題:科学主義や物理主義は自然主義に本質的に含まれるのか?

  • 歴史的文脈 : 90年代以降は,物理主義や科学主義を排した上で「自然主義」と呼称する文献が増えている.

  • 普遍的本質 : 現代の導入元はQuine(1969, 1981, 1995)だが,これがどういう論証構造をとったかというと……

    • 20c前半の自然主義は,Dewey由来。これは「文化的・社会的自然主義」で,導入経緯からして科学主義や物理主義は本質ではない.

自然主義の本質は何か? を,自然主義を導入した目的から考える

  • 普遍的本質を重視するアプローチで,デューイの自然主義の本質を探ってみよう

    • クワインの自然主義でもほぼ同じ結論になると思われる.
  • 導入・論証経緯に定位する.

    • 我々の科学的主張の真理性に哲学的基礎付けは不要だ,と言いたいらしい.
  • ではどうやってこれを言っているのか?

    • 自然主義には,全体論と体系内在主義との2つの源泉がある.ということから論証しているようだ.
      • なかでも,体系内在主義があればほぼじゅうぶん.

体系内在主義

  • 信念世界と実在世界との両方から身を離して,双方を比較することはできない.

    • 我々が真理を認めるときは体系内部でしか議論できない.
    • たとえば,科学的合理性的には妥当だが,第一哲学的には妥当なのか(基礎づけ),という考えかたを持ち込んで,実在そのものとの対応によって確かめようとする立場がある.こうした照合による評価は失敗する,ということ.
    • 真理の根拠を実在との対応ではなく,体系内在的に,可謬主義的に行う.
  • ここからわかること

    • 科学主義や物理主義は,科学的主張は哲学的文脈でも真だ,という主張を含む. これを哲学的議論の内部において維持するには,体系内在主義への移行が不可欠.
    • 出発点は _反実在論的デフレ主義_っぽくなる. 強い実在論的な形の物理主義 はハードル高いものになる.
  • だから,デューイが「経験的精神で研究されるべき」と言うとき,これは物理主義的一元論を前提にする,という意味ではない.

自然主義と相容れないものはなにか?

  • 体系内在主義に,どんなオプションをつけるか.物理主義的,科学主義的,多元論的……
  • それと相容れないのが第一哲学的構想.現象的還元,デカルト主義,懐疑論,形而上学的実在論……
    • これを維持する方法は?
      • デカルト主義はけっこういる.
      • 形而上学的実在論のなかには,Siderのようなjointを考えた存在論的実在論はたくさんいるし,Loweのようにアプリオリな方法があると主張する者もいる.

鈴木,自然主義者が物理主義者となるべき理由

自然主義から物理主義へ

  • 多様なものが含まれる世界で,Aが生じるとBが生じる,のような法則があるのはなぜか? 世界は一定の構造を持つと考えるべきでは?

  • 物理主義の基本的な発想:

    • 世界は少数の基礎的存在者からなる.
    • 他の存在者は基礎的存在者によって一定の仕方で説明される.
    • (説明の統合,のほうが基本的な動機と思われる.たんに基礎的存在者を減らせばいいというものでもない.)
  • 極端な還元主義ではない.

    • 物理学主義(物理学理論に含まれる存在者だけが実在する)か,科学主義(自然科学理論に含まれる存在者だけが実在する)か,のような還元先の絞り込みは,オプションにすぎない.
  • リサーチ・プログラムであって,実質的・具体的な理論・仮説の細部は変わりうる.

  • この場合,哲学の主要な課題は,身分のあやしいものを基礎的存在者&基礎的関係によって説明可能であると示すこと.(「位置づけ問題」)

物理主義のメタ哲学的含意

  • じゃあ反自然主義はなんで,リサーチ・プログラムとしての物理主義を否定するのか?

    • たとえば,心身二元論.しかし,説明や予測の成果があがっていないのでは?
    • たとえば,そもそもの眼目を共有しない多元論. 科学的説明と合理性とを分けて,理由の空間を解明する,という多元論.これは,眼目を具体的に知る必要がある.
      • おそらく哲学内部の,善悪とか理由とかが問題になる?
  • とはいえ,物理主義にもジレンマがある.(Stoljar, 2010 Physicalism)

    • 厳格な物理主義では日常的事物の実在性を否定してしまう?
    • 穏健な物理主義では物理主義の名に値しない?
      • 機能的性質(DNAによって遺伝子が実現されている), 観察者依存的な性質(絵画鑑賞者による反応依存的な性質である美)……
  • 哲学に固有の方法論は,物理主義によると否定される.

    • 直観や概念分析はダメ.しかし,演繹みたいなふつうの方法は残る.
  • 哲学に固有の対象領域は,物理主義によると否定される.

  • 位置づけ問題が決着したあとの仕事はどうなるか?

    • 観察者依存的性質に関する内在的な実践とかは残りそう.

金杉,反自然主義とは何か? その動機と課題

  • PapineauがSEPに書いているように,自然主義を1つの方向性を持つベクトルのなかの大小としてとらえる.
  • 自然主義:超自然的な ものごと を認めず,あらゆるものごとが _自然_のうちに位置づけられるとする考え方.
    • ものごと?
    • 自然?

存在論的自然主義の本質は,一元論的傾向にある

  • ものごと
    • 存在者,のことととらえると……存在論的基礎づけ.自然界を構成する存在者とはなにで, 存在論的な基礎づけ関係(還元可能性,付随関係?)とはなんのことか.
      • 自然界を構成する存在者:範囲によっていろいろ.
        • 物理主義
        • 狭い科学的自然主義
        • 広い科学主義的自然主義(人文社会科学で措定される存在者も認める)
        • リベラルな自然主義(日常的実践で措定される存在者も認める)
          • マクダウェル 1994のような「理由の空間」の強調や,クオリアに関するチャルマーズ 1996の「自然主義的二元論」もここに含められるかも
      • 範囲が広がると多元化していき,自然主義と認められづらくなってくる

認識論的自然主義の本質は,アプリオリ主義

  • 支持を集めているのは,規範的な哲学的認識論をも自然科学の一部に位置づける規範的な認識論的自然主義.

存在論的自然主義と認識論的自然主義との関係

  • 論理的な含意関係はない.
    • 存在論的には自然主義・認識論的には反自然主義:論理実証主義
    • 存在論的には反自然主義・認識論的には自然主義もありうる.
      • 非科学的実践についても,その実践がその眼目に照らして有効であるかぎり実在性を認める. (反自然主義)
      • しかし,直観に基づく哲学的理論も経験的仮説のひとつと捉えて,ほかの理論とすりあわせる必要がある. (自然主義)

哲学的動機

  • 存在論的自然主義(存在論的には一元論)の哲学的動機は?
    • 単純化だけだと,現象主義とかでも持てる
    • 科学的実践を特別視し,ほかの実践の有効性の評価は,科学的実践の眼目の観点だけから評価するという,単純化の二階建て構造

ワークショップ「戸田山和久『恐怖の哲学』書評会」

  • 企画趣旨:西條

源河,ホラー鑑賞の恐怖と楽しみは複雑な気持ちとして説明した方がよかったのではないか

  • 第II部はプリンツに反することも述べられている.
  • ホラー映画はなぜ楽しいかについての代替案も提示したい.

プリンツ:身体知覚説

  • 情動とは身体知覚だ(ジェームズ-ランゲ説).泣くから悲しいのだ
    • これだと情動の対象を説明できないので,ドレツキの表象理論を使う.
    • ヘビ→ヘビの知覚→身体的反応→情動,身体的反応の知覚(←身体的反応とは,レジスタする関係にある)
    • ここでヘビは中核的関係主題である.情動は中核的関係主題を表象している.
    • 図3-3を参照

戸田山:ホラーの快

  • 「怖いがゆえに」を主張するために,恐怖は快でもありうる,と主張する.
    • 恐怖は「自分に対する脅威」という中核的関係主題を表象しているし,逃げたり避けたりといった行動を動機づけもする,が,恐怖そのものに避けたくなるような感じがある,ということにはならない.
    • 恐怖は快をもたらすこともありうる,と主張する.

情動

  • ほんとうか? ここでカギになるのは「感情価」.

    • 行為の動機づけになっているのは,快とか不快とかいった感情値.
    • 恐怖の快は戸田山の言うとおりに,ホラー鑑賞を動機づけるのか?
    • 恐怖は対象の危険さを表象しているはずでは? もしこれを両立させようとすると,危険との相互作用を動機づける仕組みが進化的に獲得されたように見える.
  • ジェームズ-ランゲ説に逆もどりしているのでは?

    • プリンツは,身体状態と危険とを結びつけていたはず.
  • あるいは,危険の回避を促すのは表象内容であって,表象媒体である身体状態(快に感じられる)のほうは,危険との相互作用を促す,ということなのか?

    • しかし,単なる内容ではだめ.
      • 扁桃体の障害.「ヘビは危険だ」という信念も表象内容を持つし,扁桃体の障害があってもこういう信念は持てるが,恐怖だけが選択的にだめになってしまうことがある.
      • 情動はだめになるのに信念は残るのはなぜか? 情動はオシツオサレツ表象(記述的側面と行為指令が一体化している)だから特別なのか?
        • しかし,行為を促さない身体知覚だっていっぱいあるだろう.かなり進化している人間の表象がすべてオシツオサレツ表象だということはどうしたら言えるのか.
          • 情動回路に訴えてこれを支持できるか?
            • Prinz 2004, p. 115 : 古い神経回路は,新しい脳回路が加わっても以前と同じように機能する,という想定は信じがたい.

代案の提示

  • 感情価を行為指令とみなす場合に,嫌悪刺激を求めることをどう設営できるか?
    • プリンツ:相反過程で説明できる.情動状態の中立性を保つために反対の情動を生じさせるシステム.麻薬中毒(慣れてしまってもっと強い刺激でないと満足できなくなる)などを説明するのに使われる.
      • 恐怖(危険を表象)が快をもたらすのは,恐怖の相反過程として生じる喜び(目標との一致を誤表象)が快だから.
      • つまり,ホラー鑑賞の情動は,恐怖と喜びとが合わさった〈複雑な気持ち〉ではないだろうか.

森,ホラー観賞においてわれわれは本当に恐怖を楽しんでいるのだろうか

  • 美学の文脈では戸田山の立場はどう位置づけられるのだろうか?

ホラー観賞中の情動においては,情動と信念(判断)との関係はどうなっているのか

  • 複雑な情動においても信念は必要ない,と言えるのか? 何か隠された前提が必要なのでは?
  • (実在性に関する)信念は,恐怖システムのなかでは一度その性質・機能を奪われつつ,また行動抑制のために戻ってくる.しかし複雑な恐怖(不在や死を恐れる)についてもこれですむか?
    • ウォルトンは認知主義をとっているので信念に大きな役割を与えている.
    • 戸田山のとっていそうな前提:情動は,作用元の信念でもなければ情動が要請する行動でもなく,そこで作用しているモジュールのちがいにしたがって,カテゴリー区分すべきである.

なぜホラーの「恐怖」は楽しく,他の恐怖は楽しくないのか

  • 情動の感じ(これは身体知覚のはず)はそのものだけでは恐怖にならないのか?
  • 「感覚の快」説がよくあげられるが,戸田山は「感じの解釈」(p. 336)に訴えている.
    • バンジージャンプはよく例にあがるが,恐怖の例ではない(いつ壊れるかわからないバンジージャンプは楽しめる恐怖ではない)とされることもよくある.

身体感覚からもたらされる快は,ホラー観賞においてどれくらい重要なのか

鈴木,意識のハードプロブレムは解決可能に違いないが,もう少し面倒な問題かもしれない

反機能主義ゾンビへの対応は正しいか?

  • 恐怖意識体験を物理主義的に説明できるか?

    • 反物理主義ゾンビが形而上学に可能→因果的機能に違いはない
  • 機能主義者なら,感じを物理的なものによって実現されるものとして理解すべきでは?

正体突き止め仮説の役割

  • 「なぜAIRを,感じを伴う意識状態だと考えるべきなのか」はよい問い.答え:〜を説明できるから,この前提をとるべき,となる.(仮説によって,意味のある問いに答えられる)
  • 「なぜAIRは感じを伴う意識状態なのか」は悪い問いで,答えがない.
  • しかし,反物理主義者なら,「なぜ意識体験は独特の感じを伴うのか」も,よい問いに数えるだろう.
    • この問いはナンセンスと主張するためには,それなりの作業が必要.デネットが 解明される意識 でやっているやつ.

戸田山リプライ

  • まず,快は相互作用を促すとは考えていない.

    • 感情価を動機づけと考えないし,そもそも混乱した概念だと考えている.感情の分類のために使われているだけ.
  • 高級な情動であろうとオシツオサレツ表象である.

  • 相反過程に訴える方針の場合,相反過程にも進化的説明が要求されるのではないか.現象学的にもうまくいかない.

    • 源河リプライ:そもそも相反過程が見つかったのは色の知覚で,これがなぜあるのかはまだよくわかっていない.でもこういう仕組みが知覚にはあるらしい,というのが着想元になっている.
      • 相反過程は時間的前後関係があるので,恐怖と同時に快を覚える,というのだとするとうまく説明できない.
  • 恐怖システムにおいて,ヘビ知覚だけでなく信念も,表象として入力にとってよい.それでも,作動しているのは身体反応とその知覚のシステム.

    • では,快・不快はこのシステムのどこに入ってくるのか?
      • 身体反応知覚に伴う感じがあるが,その感じを知覚することで生じる二次的な解釈.動機づけではない,というのが答え.(快にかんしてもクオリア同様にエピフェノメナリズムに近い立場をとる)
      • 解釈なので,信念によって影響されて変わることもあってよい.誤解釈もありうる(恐怖のシステムが作動している=恐怖なのに,恋だと誤解釈している,など)
      • 森リプライ:プリンツの場合,恐怖は高次の情動カテゴリー(パニック+不安)としている.戸田山は基本情動と考えているが,それは経験的につきとめられることかもしれない.
        • ただし,快がつねに動機づけを果たさない,という主張ではない.恐怖をまえにした行動についての動機づけには働いていない,というだけ.
  • そしてホラーの,身体感覚からもたらされる快は,ホラー観賞において中心的にある.怖くないホラーは失敗作.

  • 心的状態Xとはなにか,を定義するときには機能に言及しなくてはならない,という機能主義はそもそもとっていない.

    • 反機能主義ゾンビを否定する必要はそもそもない.
  • 反物理主義者の問いはナンセンスどころかぼんやりしすぎている.

    • そこで,物理主義者が問いを限定して物理主義的に答え,反物理主義者がべつの形で問いを明確化する,という形で,問いを絞っていくしかない状況に,我々はあるのでは.
  • boxology的な前提(機能で分解すると,時間的な分解にもなっている)はとっている.これは知覚の哲学とかでよくとられている前提.

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