##概要 JAXA(旧NAL)の1984年の航空宇宙技術研究所報告(NAL TR-797)
「非平面翼の最適設計-揚力と翼根曲げモーメントを与えた時の最小誘導抵抗-」
の数値計算部分をMatlab(Octaveで動作確認)で実装しました. 人力飛行機を念頭にした数値を入れてあります. 論文は汎用的なものなのでConstantの部分の数字を変えれば汎用的に使えます.
論文中では非平面翼の計算を行なっていますが,ここに置いているスクリプトは平面翼です. スクリプト中のGeometric Conditionを変更することで非平面翼に対応します.
##ポイント TR-797の個人的なポイントだと思っている点は以下です.
- R.T.Jonesが平面翼において解析的に揚力と構造(翼根の曲げモーメント)を制約にして誘導抗力を最小にする手法まとめた.
- TR-797ではこれを解析的手法から数値計算手法変えている.
- Wingletや上半角のある翼(非平面翼)に対応させた.
- 揚力だけの制約では最小誘導抗力となる循環分布は楕円循環分布となる.
- しかし,揚力と翼根の曲げモーメントを制約に入れると楕円循環分布と異なる循環分布が得られる
プログラムのポイントは以下です.
- Wingletやきつい上半角のある非平面翼の誘導抗力が計算できる渦格子法のサンプルプログラムになっている.(かなり変える必要あり)
- 論文中にはない曲げモーメントの計算を入れている.
##使えるかどうか 『参考にはなる』
飛行機の主翼の平面形を構造も含めて自由に決めることが出来るとき, 多くの場合は,誘導抗力を小さくするために楕円循環分布に従って循環が出来るように{翼型,コード長,取り付け角}の分布を指定します. その後,楕円循環分布に安全率をかけた力に十分耐える構造を考えて設計します.
このプログラムでは楕円循環分布は構造重量も考えると最適な循環分布ではない可能性があることを示せます. betaを0.9や0.8にすると翼根での曲げモーメントが楕円循環分布での値から0.9や0.8倍の値での最小誘導抗力となる循環分布を吐き出します.
同一スパン,同一重量での曲げモーメントの変えての最小誘導抗力となる循環分布ということで,設計に直接使えるかと言うと使えません. 設計用途に耐えるほど使いやすくするには大幅なカスタマイズが必要です.