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@jiuya /未定_第八章.md Secret
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未定 第八章 急回転


### 12月5日
  それはある休日のことだった。 高校教師というものに休日などというものは存在せず、授業で使うプリントを作るために学校に来ていた。
「ふー、一通り終わったかな。」
朝から作業してる割にあまり疲れていないしこういう資料作りは性に合っているのかもしれない。 一息いれようと背伸びをしていると、外から野球部が練習する声が聞こえてくる。
「アイツの声は拡声器か何かか。もはや人外だな。」
校内の問題児、野球部の沢木である。 グラウンドから職員室まではそこそこ離れているのにこれだけの騒音を出せるのは、もはや才能と言っていいかもしれない。

職員室でお弁当を食べ、またPCに向かう。 作り終わったプリント資料たちの確認作業を行っていると、それは唐突にやってきた。
プルルル… プルルル…
誰からの電話だろうかと着信相手を見てみる。 着信先は佐伯かなと出ている。 佐伯さんとは全校地域清掃のとき、なにかと不便だったので電話番号を交換したのだ。
「もしもし。佐伯さん?こんな休日にどうかしたの?」

「あの…相談があるんですが…」
弱々しく呟く声はどこか不安げな印象を与える。 いつも元気な佐伯さんとは思えない歯切れの悪さだ。 私は少し動揺しながら聞いた。
「なにかな?なんでも聞くよ?」
何か悩んでる佐伯さんを安心させようと精一杯先生らしく振る舞ったつもりだった。
「最近体調が良くなくって、よくお腹が痛むし…それに…」
確かに最近は体調不良で授業を欠席することが何度かあった。 でも、保健の先生はちょっとした貧血って言ってたし特に病気とかではなさそうと言っていたのを憶えている。
「生理も来なくなったし…」

「え?」
その瞬間あまりの動揺に私の思考は一瞬停止した。 確かに体調不良程度で先生に電話してくるような子じゃないよなとは思っていた。 保健の先生でもなんでも無いけど、さすがの私でも彼女の身に何が起きているかは想像できる。 とりあえず先生としてアドバイスすべきことはしなければ。選択を誤れば学校規模の大問題になってしまうことは容易に理解できた。
「えっと、それはいつから来てないのかな?」

「先々月あたりから来てないです」

「それは…」
もうほぼ確定だった。 その後はとりあえず病院に行くこと、信頼できる人以外にそのことを言わないことを約束させ電話を切った。



### 12月6日
病院に言ったら電話するようにと言っておいたので今日は一日そわそわしながら電話が来るのを待っている。 今日が日曜で良かった。無理に休みを取って行かなくて良くなったのだから。 昼も過ぎて太陽が傾き始めた頃、電話が鳴った。 佐伯さんからの着信だ。 電話の内容を要約するとこんな感じだ。 - 今日産婦人科に行けたらしい。 - 妊娠検査薬では__陰性__だった。 - ただ、陽性でも場合によっては陰性として出てしまうこともあるらしく、まだ分からないので経過を見てほしい。

このような電話があった。 なんとも対処に困る結果である。 結果が出る前に派手に動いて、結果何も無ければそれはそれで面倒くさいことになる。
とりあえず今はちょっとずつ聞き込みを始めて行くしかないということかな。

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