岡田勇樹氏[サイボウズ]
サイボウズ社におけるリモートワークの取り組みの紹介。
スピーカーの方は大阪出身の方で、入社当時は大阪に拠点は無かった。
大阪で仕事をしたい思いがあり、サイボウズを退職しようとしたところ、社長から「それなら大阪に拠点を作る」の一言で留まることを決断し、今に至る。
拠点の立ち上げを可能にしている背景には、サイボウズ社におけるリモートワークを活用した風土があったからである。
リモートワークを可能にした要因のいくつかはNSPでも実践できており、開発環境の共有(Github)やコミュニケーションツールの活用(SlackやTV会議)などがあれば、ほぼ近いことができるように感じた。
リモートワークがやりたいと言うよりも『様々なツールや働き方が導入しやすい環境』『社員の価値観の尊重などの風土的な部分』が、働き方改革を支える取り組みになっていることが感じられて羨ましかった。
山下真一郎氏/伊藤宏幸氏[ヤフー]
山下氏はヤフオクアプリのプロダクトマネジャーの立場で、アプリ開発時に導入しているテスト駆動開発(TDD)とペアプログラミングについて説明していた。
TDDについては、初めに開発機能をストーリー化して可能な限りタスクを分け、そのタスク単位で開発を進めている点を紹介し、ペアプログラミングでしか開発を認めないようにしているとのことだった。またペアプログラミングにおいては、毎日ペアの一方をローテーションさせて別の機能に携われせるようにしているそうで、つまり同一機能について同じ人は最大でも2日しか携わらない計算になっている模様。こうすることで一機能への属人化を防止すると共に、様々な開発者の考え方を共有できるそうです。(とはいえ、突発的な休みなどでペアが組めないときはどうするのか気になりましたが。)
伊藤氏は、認定スクラムマスターの資格を持っており、スクラム/アジャイル開発を実践する上でテストコードの重要性を説明していた。
(重要性の説明自体は、個人的には一般論と大差が無かったので割愛する。)
またテスト駆動開発を身につけるためのフリーサイトCyber Dojoを紹介されていたので、これを参考にテスト駆動開発に慣れるのもよいと思う。
小川健太郎氏[リクルートライフスタイル]
リクルートライフスタイルのプロダクトは昔は様々なパートナーによって生み出されており、スピーカーの方も含め当初は正社員は数えるほどしかいなかった。そんな中で事業成長し正社員の比率を上げていった中で、既存プロダクトも含め開発やマネジメントの手法を変えていった話をされていた。
あまり詳細な説明はされていなかったが、具体的な手段としてサイボウズと同じようにgithubやSlackなどの導入による情報共有などを行ってきた模様。
できれば既存プロダクトを事業成長にあわせてどのように改善していったかの話も聞いてみたかった。
三人のSpekerによる『越境』をテーマにした公演。
黒田樹氏[リクルートテクノロジーズ]
新規事業のコンサル、マネジメントにおけるエンジニアリングの理想と現実に対し、それをどう乗り越えるかと言った話に聞こえた。(自分がマネジメントに疎いので全てを理解したわけではないが。)
所々で自分の仕事と重なるところがあり、共感できるところもあった。後半のマルチタスクを止めると言う話は自分たちにも当てはまると思え、並行して複数のプロジェクトを消化するのではなく、一つのタスクに注力するといったやり方はスピードだけでなく属人化や情報共有と言った点で有効だと感じられた。
(これを実現するためには、メンバーのコンフリクトしないようにタスクを振り分けたり、コードを改善する必要があるが。)
新井剛氏[ヴァル研究所]
「えきすぱあと」を開発する会社の企業風土についての紹介。感想を一言で表すと『楽しそう』。
"かんばん"でタスクを管理しているところは様々な会社であると思うが、開発部門だけでなく総務や経理などでも同様に行っているのがすごく印象的だった。
他にもその日のタスクの消化量がメンバーの目標通りだったらラーメンを食べにいく"ラーメン駆動開発"などユーモアな取り組みなどもあり羨ましかった。このように日常の業務から楽しみながら開発を進めていくことで、組織内や組織間のつながりも広がっていき楽しい職場が生まれると感じた。
逆に言うと日々の業務に魅力を感じなければ、いくら交流を深めようとしてもうまくいかないとも思った。
市谷聡啓氏[ギルドワークス]
今回のDevsumiでの個人的なベストスピーカーです。正直、感動しました。(Twitterやブログでもそんな感想がちらほら出てました)
ギルドワークスは以前調べたときに「ものすごくプロフェッショナル」な感じがする集団って雰囲気だったのですが、その会社の社長でもあるスピーカーの方の現在に至るまでの様々な戦い?の歴史のような話でした。共感したのは『10年前のデブサミに参加して聴いた公演』と『コミュニティの勉強会への参加』をきっかけに会社の中や外で自分を変えようとしてきたところで、自分も今年度同じように『あるカンファレンスの公演』を聞いたことをきっかけに『コミュニティ』に参加したりもして、NSPの中にいただけでは知りえなかった、考えや技術的なことを知る機会が増えて自分が変われたような気がしたから。
スピーカーの方がやったことと同じことはできないけれども自分も何かを変えていこうと思えたセッションでした。
牛尾剛氏[米マイクロソフト]
牛尾氏は、アメリカのマイクロソフト本社に所属するエバンジェリストで、DepOpsやITにおける欧米の文化を日本に取り入れるべく活動している方。
これまでのブログやプレゼン資料を見ていて、一度公演を見てみたいと思っていた。
今回はスポンサーセッション枠ということでタイトルは上記のようなものであったが、大半はDevOpsを実現し10デプロイ/日を実現するためのプラクティスを紹介されていた。(CI/CD、バリューストリームマッピングなど)
ただ、こういったことを実現するために最初に取り組まなければいけないのは、テストコードを書いてテストの自動化を行うことだと話されており、うちの開発が目指すべきこともテスト駆動開発から始めることの重要性を再認識した。
この人のブログを下記に上げるので一度、読んでもらいたい。 メソッド屋のブログ
小林吉憲氏[TickleCode]
坂田浩一氏[フリュー]
どちらも関西でコミュニティを主催している方が、コミュニティ運営を通したエンジニアの生き方について話されたセッションでした。
前半の方はRubyやSwiftなどのコミュニティを立ち上げたことによって起こったことなどをお話されいました。
後半の方は日本で2番目の規模のjavaコミュニティ"関Java"の会長で(最大規模はJJUGね)、大まかな流れは同じでしたが、個人的には今回の市谷氏と同じくらい良かった公演でした。特にコミュニティを主催し様々なエンジニアと出会う事で、JavaやOSSに対する様々な貢献や意義を熱く語られており、ものすごくJavaが好きなんだなって感じられました。
またOSSも"使うだけのもの"ではなく、"みんなで育てていくもの"であることを再認識でき、自分も微力ながら貢献していこうと思った。 あと、じゅくちょーも10年前位のDevsumiに参加してコミュニティを作ろうと決意して関Javaを作ったって話も市谷氏と同じだなと思いました。
井上誠一郎氏[ワークスアプリケーションズ]
神林飛志氏[ノーチラス・テクノロジーズ]
小野和俊氏[セゾン情報システムズ]
IT屋全力反省会の出版記念トークと題して、SISCOのCTOである小野氏がモデリング(司会)となって、井上氏と神林氏の話を聞くパネルディスカッション形式によるセッションでした。
神林氏の極論とも言える話に対して、井上氏が同意しつつも考えを中和するような感じでトークが進んでいき、とても楽しいセッションでした。 トーク自体はリンク先の対談がベースになっているのでそちらを見てもらうとして、個人的には神林氏の暴言を自分なりに考えたときに"IT屋"という言葉に深いいみがあると感じました。それと小野氏も含め三名とも会社の中でそれなりのポジションにいるにも関わらず、コードに対する愛着や思い入れをスゴク持っているなぁと思い、この人たちは"IT屋"じゃなくて"ITエンジニア"だなぁと感じました。自分も後者でありたいので、これからもコードを書くことにこだわっていきたいと思う。
あと、コーディングは製造ではなく設計という話にも何だか忘れていたことを思い出させるような感じがした。
『エンジニアの生き方』をテーマにしたセッションに多く参加しようと考えており、そのほとんどで共感や学ぶことができたので参加してよかった。
『エンジニアの生き方』のセッションにこだわった理由は、それがIT系の仕事をする上で基礎となる部分であり、ここの考え方を再認識しないといくらツールや技術があっても使いこなすことはできないと思ったから。
またコーディングに対する意識についても、今年度取り組んできたことが間違っていないことが再認識でき、これから更に実践していこうと思った。
最後に今回登壇されたスピーカーの方々が話されたことのほとんどが、10年ほど掛けて辿ってきた道のりの話だった。つまり一朝一夕で実現できる話ではなく、地道にな努力を続けたことで成り立っていると感じた。それならばやろうと思ったことは後回しにしてもゴールに辿りつくのが遅くなるだけだから、今すぐに取り組んでいかなければと思った。
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