- 日時: 2015-07-21 19:21-
- 講師:
- 野島 梨恵氏 (東京山王法律事務所)
- 場所: Co-Edo
- 資料
- ハッシュタグ #coedo
- イベントURL: https://coedo-dev.doorkeeper.jp/events/27684
- 私は決してソフトウェア関係、IT関係のプロというわけではない
- たまたま縁があって、システム関係訴訟を2,3件扱うことになった。
- 興味があって調べているうちに、こういう勉強会をやらせてもらうことになった。
- OSS ライセンスとはなんぞや
- 法律家の面から見たらどうなるのか解説した
- 法的拘束力を持つものかどうか?
- おそらく法的拘束力を持つであろう
- まだ判例が蓄積されていない
- 仮に訴訟になった場合には抗弁(反論の根拠) となり得るであろう。
- そもそもプログラムは著作権法上の保護対象になるのか?
- プログラムは著作権の対象となる
- ただしすべてのプログラムが著作権法上の保護を受けるわけではない
- 三国志のデータ書き換え事案
- そもそも日本の著作権は外国から持ってきたもの
- 母法はドイツとアメリカ
- 元ネタはIPAの報告書
- OSS開発者 Robert Jacobsen氏が、ライセンスに準拠していない企業を訴えた。
- 目的は差し止め
- 普通は金銭の支払いを求めるなので、差し止めは珍しい。
- 民法上は差し止めの権利はどこにも書かれていない
- 著作権は比較的新しい法律なので、日本の著作権法には差し止めに関する記述がある
- 判決の流れ
- 一審は著作権侵害を認めなかった
- 高裁は著作権侵害を認めて、差止の審理を一審に差し戻す
- 一審は差止に関する審理をし、認めなかった。
- 高裁に再度控訴 ←イマココ
- 差し戻しについて
- すべての事案は3回まで審理を受ける権利を持つ
- 高裁が自判してしまうと、1回減ってしまうので「差し戻し」て一審で差止に関する審理を行う
- アメリカでは差し止めに関するハードルが高い
- 回復不可能な重大な侵害が原告にあることが立証されていてはじめて差止が認められる
- 日本の著作権法では明文化されているので、それほど高くない
- 一般に法律は「やっちゃったあとの後始末」
- 基本は事後的な処理
- 歯がゆいくらいものが法律の本来的な性質
- 著作権が違うのは、一旦破られてしまうと回復が不可能な性質なので、日本の著作権では差止が認められている。
- 「ライセンス違反は著作権違反」だと高裁が言っている。
- たぶんこれはもうくつがえらない
- 一審の判決理由
- 原告は不特定多数にライセンスを与えている
- これは著作権を放棄しているのと一緒ではないか
- 原告は無料で OSS ライセンスを与えている
- それが破られることで、現実の金銭的な損害が生じているか?
- 損害とは何なのか?
- 原告が GPL ライセンスで配布しているソフトを、ライセンス違反の形で被告が使用
- 原告は調査、被告の製品を購入、リバースエンジニアリングの上、製品の販売を止めろという警告を出した。
- 被告は認めてやめた
- 原告の調査費用、弁護士費用を払えと訴えを起こした
- 被告は拒否
- OSS ライセンスは法的拘束力を持たないからという理由
- 判決は原告の請求を認めた
- 通常の相場の1.5倍の請求額
- 判決は相場の1.3倍だった
- 実際に判決になっているものはかなり少ない
- 日本よりも判例の蓄積が圧倒的に進んでいるにも関わらず
- なぜ出てこないのか
- 侵害行為をやめてくれと警告を送った段階で折れる
- 判決が出るまでいかずに、和解の例が多い
- 「これからはライセンスを守ります」だけではダメ
- 破った方が得と思ってしまう
- いくらかの和解金を支払うことという内容が多い
- コンプライアンス・オフィサーという役職を設けて社内啓蒙に当たる
- ライセンス違反かどうかという争いはほとんどない
- 調べればすぐに白黒がつく
- 違反している方には負けは負け
- 被告が無視して欠席判決になった場合もある
- 日本では簡単に差止は認められるだろう
- OSS の場合はそのもので金銭的な利益を得ていないので、損害賠償は認められにくいのではないか
- 損害の推定規定
- 侵害側がそれにより利益を得ていた場合、とりあえずの額を出して訴訟に上げるという手法もある
- 契約ではないと思われる
- 条件付きの権利の留保的ななにか
- Q: 差止ではなく回収を指示するのは?
- A: 回収を求めるのは難しい。そもそも強制執行が大変
- Q: 違反状態の保守について差し止めることはできるか?
- A: 判決は差止までしかできないが、やったら新たな侵害になるだろう。やらない方が良いかライセンス元に許可をとってやるのが良いだろう。