モンテカルロ法は、粒子系のシミュレーションをする際、とてもよく使われる計算手法です。 静的な性質(ポテンシャルなど)を調べる際の配置サンプリングに使われるのはもちろん、モンテカルロ法のダイナミクスそれ自体が計算されることもよくあります。 ここで言うダイナミクスとは、平均二乗変位や様々な時間相関関数のことです。 分子動力学法(MD)のダイナミクスの計算方法はよく解説を見かける一方、モンテカルロ法(MC)の解説はさほど多くないように思います。 ここでは、粒子系のMCシミュレーションをどう実行し、得られた軌道をどのように解析するのか、簡単にまとめます。
まずは、本稿で考える粒子モデルであるKob-Andersen(KA)モデルを導入します。