この記事は、pyspaアドベントカレンダー2016の 22 日目の記事です。
みんなー!成年後見制度やってるー!
というわけで人生の実績を多く解除している私ですが、今回は成年後見制度の話をしたいと思います。
え?なんで成年後見制度の話をするかって?
それは私が成年後見人をやったり、後見の申請で家裁とドンパチやりあったりしたという話をしたいからです。
まず成年後見制度とはどういうものなのでしょうか?
法務省のサイトには以下のようにありました。
認知症,知的障害,精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産を管理したり,身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり,
遺産分割の協議をしたりする必要があっても,自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また,自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい,悪徳商法の被害にあうおそれもあります。
このような判断能力の不十分な方々を保護し,支援するのが成年後見制度です。
要は判断能力不十分な方の財産を守るという制度です。
現状だと認知症の方を守るケースがほとんどではないでしょうか。
この制度を利用すれば代理ですべての財産管理をすることもできます。
成年後見制度は大きく2つに分類されます。
- 法定後見制度
- 任意後見制度
私は任意後見に関してはやってないのでなんとも言えません。
ですが、多くの人がこの制度を使おうとなると法定後見制度になると思います。
実はこれは誰にでも起こり得ることなのです。
私の父は40代で脳梗塞で脳の半分を失い、半身不随となりましたが、それでも歩いたり、会話などもするところまで回復しました。 ですが、細かいお金計算などそういったことは全くできませんでした。
またある程度回復してるとはいえ高次脳機能障害がありました。
誰でもある日突然認知障害になってしまい、後見人をつけないといけないようになってしまう可能性があるのです。
法定後見制度では代理権の範囲によって 後見
保佐
補助
の3つに分かれています。
これは本人の判断能力などに応じて制度が変わる、代理権の範囲が変わるということです。
法務省のサイトには 判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。
と書いてありますが選べるわけではなく実際に決めるのは家庭裁判所です。後見申請はできますが実際は補佐などになることも十分にありえるのです。
また申請した後見人がそのまま後見人になるとも限りません。
近年では親族の使い込みなどが問題となったりしているため、後見人が親族であった場合には代理人が選出されるケースも増えてきています。
ではそれぞれの制度を簡単に説明したいと思います。
一番大きな代理権を与えられるのが後見です。
後見相当とは判断能力が欠けているのが通常の状態の方
ぐらいのレベルです。しうまちとか。
多くの場合は重度認知症、胃ろうなど寝たきりの状態の方があてはまります。
後見は財産に関するすべての法律行為を代理で行うことができます。
本人署名などもすべて代理で行うことができます。
後見の大きなとこは本人の同意を得ずに多くのことができる点です。
(根本後見レベルの方は同意を得ることが難しい)
但し、被後見人の財産に対し大きな変更を行う場合(不動産売買など)は家庭裁判所に許可が必要になります。
(私は後見でも大きな財産の移動には裁判所に許可が必要であるという説明を受けました)
私は寝たきりで植物状態の祖母の後見人を2年ぐらいやりました。
後見ほどではないですが、同意を得れば不動産売買などもできるのが補佐です。
補佐人ができる範囲もそれなりに大きいのですが、多くの場合は被保佐人の同意を得る必要があります。
補佐の劣化版です。
不動産など大きな財産に関しては何も権利を有しません。
さて、この制度を利用する人はどういう人たちでしょうか?
多くは本人の生活、財産を守るためにこの制度を使うのです。
ですが、本人が認知症で著しく認知能力が低いのに補佐の権限しか与えられなかった場合、どうなるのでしょうか?
本人をそれなりの介護施設を入れるにはとてもお金がかかります。
ですが、本人が同意しない限り様々なものを売ってお金を作ることができません。
そうなると介護人自体の負担が増え続けることになってします。
当の本人は財産があるのにそれが使えないといった地獄が待っています。
また認知症だと本人を前もって説得していても別の日に家庭裁判所の調査員が来ると全く別のこと言い始めます。
全く意味がありません。
家庭裁判所の調査員はそこしか見ないで判断するのでその日の機嫌によってすべてが決まってしまうことがあるのです。
本当に後見相当であるならばそれなりの準備をしてから申請しないとろくなことが起きないということです。
さてここからはそうならないようにどうしていけばいいのか少しお話したいと思います。
まあ様々なケースがるのであくまで参考程度の情報です。
まず困った場合には相談できる先を探しましょう。
この手の問題は地域の包括支援センターなどでもアドバイスしてもらえると思います。
(介護とセットになる話なので)
また市が行っている無料の法律相談に行って話を聞いてもらうのもいいかも知れません。
駆け込みでやらせること幾つかあります。
それは保険の受取人などの名義変更です。
認知症と診断されてしまうとすべての手続きが無効化されます。
使ってない銀行口座の整理などもこの時点行うべきです。
もし、本人が親で、遠くに離れている場合には全国どこでも使えるゆうちょなどに一本化すべきです。
地方の銀行の手続きをリモートで行うのは本当に骨が折れます。
認知症なるならない関係なく年をとったらある程度、財産、名義人などの整理を行うように親などに話をしましょう。
保険の名義変更などは本人と保険の人が立会で行うことがあります。
もし、その時点で怪しい場合には事前にしっかりと説得しましょう。
後見などの申請時には医師の診断書が必要です。
もし、既に本人がグループホームなどに入所していた場合、ホームに定期的に来てくれる医師に安易に頼んではいけません。
彼らはあくまで健康管理レベルの処置しかしていませんし、専門家でもなんでもありません。
診断書はしっかり専門家を探し、事情をしっかり説明し専門家に書いてもらうことです。
安易に専門外の医師に頼んでもテストのやり方なども全然わかってなかったりロクでもない診断書があがってくることになります。
診断書の内容いかんでは本当は後見レベルなのに補助レベルしか降りなかったりといったことが容易に起こります。
準備はしっかりとすべきです。
(私は診断書のこの部分をよくわからずにホームの医師に頼んでしまったのでロクでもないことになった)
医師と話す際には事前に資料などをまとめてもっていくことをおすすめします。
私は認知症の認定をとる際には Evernote にまとめてそれを医師と見ながら話をしました。
補佐などであった場合にはどれだけの権利を与えるか本人の同意を得るため、家庭裁判所から調査員が派遣されてきます。
そして本人と話して同意する意思があるかなどの確認を行います。
調査員はあくまでその同意の確認しかしません。
本人が明らかに他の言動がおかしく、認知能力にかけてるように見えてもその同意に反対と言えば反対になってしまいます。
前日説得して、その時は了承していても調査員が来た時にその意思を伝えない限りは全く意味がないのです。
申請したものの家庭裁判所からの裁定の内容に納得がいかない場合には精神鑑定を依頼することができます。
家庭裁判所が選出した第三者の専門的な医師が精神鑑定を行い、本当に認知能力があるのかを再度判定します。
私はこれを使って補佐レベルの裁定を申請時同様の後見にしたのですが、医師は選べるわけではないので賭けになるかも知れません。
私の場合は担当の医師の決定通達があり、その担当医師のとこに状態や事情などを詳しく話しに行ったのですが場合によるのかも知れません。
費用は10万です。これは規定の金額だと思います。
これはあとから被後見人に請求することも可能な場合もあります。
私の場合、後見申請がとおったのですが、後見人は申請書に書いた私ではなく第三者の司法書士の方が担当することになりました。
調査員の派遣のあとに不服だったので家庭裁判所と延々やり取りし、精神鑑定などもしたりしてこじれたのも原因のひとつでしょう。
これはある意味ラッキーなことです。後見人の仕事は大変です。
財産管理のために通帳をまとめたり、引き落とし内容や郵便物から無駄遣いなどがないか確認し、それらを止めたり人によってはやることが多く大変です。
特に施設入所などすると、実家空き家になるのでそれらの管理もする必要があります。
施設に入った時点でもう家に戻ることはなくなるので処分を検討したりするのですが、そうそう売れるものでもありません。
空き家問題にあるように危険な状態になった場合には管理している後見人に責任がおよぶ可能性もあるのです。
なので可能な限り第三者にお願いするのが良いと思います。
ざっくり成年後見制度について書きました。
来年は葬儀、相続、死後発覚した借金問題、相続放棄など話できればいいなあと思います。
というわけで次は @takabow です。