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詫び石職人の朝は早い
「まぁ好きではじめた仕事ですから」
最近は良い障害が起きないと愚痴をこぼした
まず、アラートの入念なチェックから始まる。
「やっぱり一番うれしいのはお客さんのクレームから発覚ね、この仕事やっててよかったなと」
「毎日毎日お客さんとの温度感が違う 機械では出来ない」
今日はリリース日
彼は詫び石をポストに詰め、管理ツールへと向かった
基本的な個数は決まっているが、最近のユーザーの嗜好に合わせ
多数の石を作らなければいけないのが辛いところ、と彼は語る。
「やっぱ冬の仕事はキツイね、愚痴ってもしかたないんだけどさ(笑)」
「でも自分が選んだ道だからね。後悔はしてないよ」
「このリリースはダメだ。ほら、すぐに落ちてしまう」
彼の目にかかれば、見るだけで出来不出来が分かってしまう。
技術立国日本、ここにあり。
今、一番の問題は後継者不足であるという
仕込みに満足できないとその日のリリースをやめてしまうという
3年前は何十もの詫び石工場が軒を連ねたこの街だが
今では職人は彼一人になってしまった
問題は親指を連打して
レベルデザインを確かめるのに、5年はかかると、匠は語る
「自分が気持ちよいのももちろんだけど、
割ってくれる人はもっと気持ちよくないといけないね」
「もちろん出来上がった石は一つ一つ私自信で試しています」
ここ数年は、安価な中国製に押されていると言う。
「いや、ボクは続けますよ。割ってる人がいますから───」
詫び石1個の価値は低い。だが、まだ輝いている。
「時々ね、わざわざ手紙までくれる人もいるんですよ
また障害お願いしますって。ちょっと嬉しいですね」
「別のゲームからわざわざ求めてこられるお客さんが何人もいる。
体が続く限り続けようと思っとります」
「やっぱねえ、手ごねだからこその弾力ってあるんです。
機械がいくら進化したってコレだけは真似できないんですよ。」
2014年、ネイティブショックで開発の価格が3倍にまではねあがり、
一時は店をたたむことも考えたという
「やっぱりアレですね、
たいていの若い人はすぐやめちゃうんですよ。
ツールでやって方が早いとか、猫を吊るからいいとか……
でもそれを乗り越える奴もたまにいますよ。
ほら、そこにいる斉藤もそう。
そういう奴が、これからの詫び石界を引っ張っていくと思うんですね」
最近では海外のWabistonerにも注目されているという。
額に流れる汗をぬぐいながら
「本物に追いつき、追い越せですかね」
そんな夢をてらいもなく語る彼の横顔は職人のそれであった
今日も彼は、新機能のリリースよりも早く詫び石の配布準備を始めた
明日も、明後日もその姿は変わらないだろう
そう、詫び石職人の朝は早い
───――完───――
出典: 虹裏
抽出元は http://beagle3.blog47.fc2.com/blog-entry-83.html とか
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