原文：https://llogiq.github.io/2019/06/07/game.html
この翻訳は、原文と同じくパブリックドメインです。
この文章について：/r/rustのモデレータをやっていると、同名のゲームのための場所だと勘違いしてやってくる人をよく見かけます。そこでネタとしてこんなものを書いてみました。
"Rust"というゲームは、よりにもよってMozillaとかいう名前のメーカーが4年もかけて作っていて、 さらには緩やかに繋がってるゲーム開発者たち（？）からも支持を集めているらしい。 そんな話を前からずっと聞いていたんで、俺もこの度重い腰を上げてやってみることにした。 良かったところ：このゲームは完全無料で落とせる上に、一銭たりともお布施を払う必要もない。ユーザー登録すらいらない。 攻略本も数冊出てるけど、その中でも一番定評のあるやつはこれもまた無料でネット公開されてる。ヤバすぎる。
公式サイトにはrustup.rsからインストーラーを落として実行しろと書いてあるけど、この配布の仕方は割と変わっていると思う （なんで公式サイトで配布しないんだろう？と思ったけど、よく見たらちゃんと最新版のインストーラーが置いてある。 でもこのrustupってサイトからは最新版以外の過去の色々なバージョンのゲームも落として来れる。最新版以外をプレイする人がいるとは思えないけど）。
ゲームを起動すると、操作方法も含めた長いメッセージが出てくる。 まずここからして、このゲームは今まで俺がやってきたゲームとはかなり違っているらしいということが分かる。 このゲームをプレイする時には、まずテキストファイルを作って「コンパイラー」とかいうものに読み込ませないといけない。 するとこの「コンパイラー」が、読み込んだファイルを使って色々とすごいこと（というか、そうであって欲しいこと）をする。 お手軽に遊べるゲームじゃないので要注意だ。
UIはめちゃくちゃ原始的だが、その割にゲームはめちゃくちゃ複雑。 コンパイラーに読み込ませるテキストファイルの書き方はあらかじめ決められていて、プレイするにはまずこの書き方を勉強しなきゃならない。 まともにプレイさせるまいという何かの圧力がかけられているみたいである。とにかく忍耐あるのみだ。
ファイルの書き方を学んだ後、最初に出てくる敵は「シンタックスチェッカー」だ。 これはCPUのエネミーの一種で、ファイルの中に必要なカッコが抜けていたりなんかした時に、プレイヤーがこの後出てくるAIと対戦することを阻止してくる。 ミスが初心者レベルの場合、シンタックスチェッカーはその攻略手順を自分から教えてくれる。 この仕様は他のゲームにも見習って欲しいところだ。特にチュートリアルレベルであれば良い仕様だと思う。
シンタックスチェッカーを倒すと、次のステージでは「型チェッカー」と対戦する。 ファイルの書き方のルールには、それに優先する別の暗黙的なルールがある。それが「型」である。 これが正しく合っていない限り、型チェッカーを倒すことはできない。 このステージをやっていると、壊れたテレビから流れてくる外国語の音声を壁越しに聞きながら語学を勉強しているような気分になってくる。 ちなみに俺はここをクリアするのに四日は溶かした。突破するには型を正しく合わせる以外に方法はない。
型チェッカーもまた、どうすればクリアできるかをプレイヤーに教えてくれる。 この特徴はこのゲーム全体のテーマのようなものなのかもしれない。 このエネミーは時々複数のクリア方法を表示してくることがあり、この時は難易度が少し上がる。
この時点で、俺はこのゲームの複雑さを見くびっていたことに気づいた。 という訳で/r/rustで攻略法について質問したが、 俺の質問はモデレーターに削除され、投稿前にサイドバーの注意をよく読めと言われてしまった。 サイドバーには短いルールと訳のわからない動画のリンクが置いてあるだけだった。
Rustのプレイヤー達はお互いに競っていて（そう見える）、このゲームを使って驚くようなことを無理やり実現させているようだ。 プレイヤーコミュニティではMODの文化が盛んで、MODのアップローダーとしてcrates.ioというものまである。 Rustプレイヤーの行動といいアップローダーのアドレス名といい、一体なんなんだろうか？
この時点で俺はRustに挫折しかけていたが、それにもかかわらず俺はMODに興味をそそられ（攻略本にもざっと目を通してみたが、専門用語のオンパレードではあったがとてもフレンドリーだった）、そこには変態的だが効果的なテクニックが実にたくさん使われていることがわかった。 さらに、俺はRustのプレイヤーが自分たちのことを「Rustaceans」と言っていることと、型チェッカーの先には「ボローチェッカー」というラスボスが存在していることを知った。 この敵を倒せるのは最強クラスのプレイヤーだけで、彼らは神業的なMOD開発の能力を持っていることから大きな評価を受けている。
さらに調べると、SNSや色々なブログ、半公式のウェブサイトなどにRustの豆知識が色々と載っている。 俺はそこで、既存のMODを簡単に導入するための「cargo」というツールを開発元が公開していることを知った。 これは面白いどころの話じゃない。
Rustを始めて三週間後、ついに俺はボローチェッカーに対峙することと相成った。 そしてこれこそがこのゲームをとんでもない難易度にしている主要因である。 Rustには「型」という初心者殺しなルールがあり、これはファイルの書き方のルールよりも優先するものだったが、 実は「型」の裏側にはさらに「ライフタイム」という概念が隠れているのだ。 もしもライフタイムに間違いがあれば、ボローチェッカーはプレイヤーが費やした一日分の努力を全部ぶち壊す。 今のところ、俺はライフタイムの要件が競合していると言われたところで行き詰まっている。 これを修正するには、俺は自分自身の寿命(ライフタイム)を縮めないといけないらしい――ここまで進んできた段階で俺の寿命はもう十分に縮まってんだよ！ もうダメだ！ギブアップ！
まとめ：このゲームはDwarf Fortressを思い出させるものがあるが、こればかりはRustの方が遥かに難しい。 Rustにはグラフィックもサウンドもないが、これは大して重要なポイントではない。 このゲームは初心者に優しくはない――なにしろ最上級に熟練したプレイヤーでさえ苦労しながらプレイしているような代物だ。 全てのエネミーのことを一度マスターすれば、他のあらゆるゲームに匹敵する威力があるMODのパワーを手にすることができる。 このチカラをもってすれば、プレイヤーはゲームの中でゲーム自体のGUIを作ることだってできるのだ。 開発元が未だに公式のGUIを作ろうとしていないのは全く不可解だが、 その代わりに彼らはもっと強大で邪悪なエネミーの開発に取り組んでいるところであるに違いない。
- 総合評価：★★☆☆☆
- ゲーム性：★☆☆☆☆
- ストーリー性：★★★★☆
- グラフィック：☆☆☆☆☆
- サウンド：☆☆☆☆☆