この記事はFrontrend Advent Calendar 2014 - Qiita 10日目の記事です。
プログレッシブ・エンハンスメントは単にJavaScriptをオフにしているユーザのサポートをするか、否かという意味ではありません。
(ちなみに、Gov.ukによると1.1%のユーザはJavaScriptを利用していない、もしくは利用できないという調査結果となっています)
もちろん、古いブラウザに対するアプローチだけでもありません。
デスクトップ、ラップトップ、スマートフォンやタブレット、そしてスマートウォッチなど、今では多くのデバイスにブラウザが搭載されています。
ディスプレイのサイズも様々で、ピクセルという単位すら変化し、ネットワークも絶対のものではありません。
Brad Frost氏はSupport vs. Optimizationという記事で次のように書いています。
The power of the web is its ubiquity. It is the web’s superpower, and its omnipresence is what sets it apart from native platforms.
普遍性こそがWebの力だ、とFrost氏がここで示した通り、Webに接続できるデバイスを持つ すべての人 に情報を共有できる力は、自分自身がWebに出会ったときの感動の源です。
可能な限り多くの環境に対応すること。
多くの環境は多くのユーザを意味し、多くのユーザは多くの利益をチャンスを作ります。ごく当たり前の単純な原理です。
しかしこの理想に対して現実は、
Browsers are the most hostile software development environment imaginable.
Douglas Crockford氏のこの言葉の通り、過酷なものです。
我々フロントエンド・エンジニアは常に『よく分からないもの』に対峙しているという認識を持っておくべきです。
プログレッシブ・エンハンスメントは過去に縛られ続け、未来をあきらめるためのアプローチではありません。
幸いなことにプログレッシブ・エンハンスメントのアプローチを支える技術もまた多く公開される時代にもなりました。
このブラウザでしか使えないから、使うことを諦めてしまうのではなく、新しい機能を使う為にも解決しようとしている問題の本質がどこにあるのかについて常に考えるようにしていくべきです。
使い慣れたエディタやプログラミング言語の裏に隠れ、本質への道のりを避けることはもちろん私にもあります。
FTLabsの共同創業者であり、ディレクターでもあるAndrew Betts氏が来日した際に彼は私にこう言いました。
我々Webエンジニアは自分たちが関わっているプロジェクトをエンジニアリングしているだけではなく、Webそのものをエンジニアリングしているんだ。
今あるWebが完全に姿を変えてしまうほどの変化した未来が来ると想像するのは楽しいものです。 そんな未来を創るのに、プログレッシブ・エンハンスメントが唯一の方法ではもちろんありませんが、主要な1つのアプローチではあるでしょう。
言うまでもなくAndrew Betts氏ほどの影響力はありませんが、そういう思いだけは常に意識しておきたいものです。