われわれが今やっていることのどれも100万後には重要ではない。
しかしもしこれが真ならば、100万年後に事実である何も今重要ではない。
特に、われわれが今やっていることのどれも100万後には重要ではないというそのことは、今重要ではない。
以下のように表記する。
- M(p, t): pは時点tに重要
ネーゲルはここで以下のような図式を認めていると考えられる。
- [N]: ¬M(p, t+k) -> ¬M(¬M(p, t+k), t)
- pがk単位時間のあとに重要でないならば、pがt+kに重要ではないというそのことはtに重要ではない。
対偶。
- [N']: M(¬M(p, t+k), t) -> M(p, t+k)
表にすると、以下のような感じで、t+kにpが重要でないなら、t+kにpが重要でないというそのことは、それ以前のすべての時点で重要でない。
p | ¬M(p, t+k) | |
---|---|---|
t | M | ¬M |
t+1 | M | ¬M |
... | ||
t+k-1 | ¬M | |
t+k | ¬M |
しかし[N]は以下と矛盾する。
- [S1]: M(p, t) -> M(¬M(p, t+1), t)
- pがtに重要ならば、t+1にpが重要でないことはtに重要である。
何かが今重要ならば、その少しあとにそれが重要であるかないかが、今重要である。これは少なくとももっともらしいように思われる。
とりあえず今、pを、今重要であるような何かとしよう。
pは時間とともに重要さを失なう。pが重要でなくなる境界時点t+kを考えよう。
-
M(p, t+k)
-
pは、t+kに重要である
-
¬M(p, t+k+1)
-
pは、t+k+1に重要でない
しかし[N']とmodus tollensより
- ¬M(¬M(p, t+k+1), t+k)
- pが(t+k+1)に重要でないことは(t+k)に重要でない。
これは[S1]に反する。
ネーゲルの言う通り、100万年後pが重要でないことは今重要ではないかもしれない。しかし、問題をpがその時点において重要でないことが今重要であるような未来の時点が存在するかという風に捉え直すと、もっと近い時点(特にpが重要でなくなる境界)を考えるべきであった。
境界部分は以下のようになるはず。多分千年後くらいに、今重要なことが重要でないというそのことが今重要であるので、それについて心配すべきである。
p | M(p, t+k) | ¬M(p, t+k+1) | |
---|---|---|---|
t | M | ¬M | M |
t+k | M | ¬M | M |
t+k+1 | ¬M | ¬M | M |