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みなさまRubyKaigiお疲れ様でしたー。素敵なKaigiに再会できてうれしかったです。
RubyKaigiまわりで、同じ分野の問題提起が二つありましたねぇ。
一つはKaigi中での、「台湾の女の子はKawaii、だからRubyKaigi Taiwanに来るべき」という発言、
それを笑いで迎えた場内に対して、女性への配慮が足りないだろうという意見。
https://gist.github.com/kyanny/5694201
もう一つは、続くRubyHirobaでの、ポルノに関しての情報処理技術についてのLTがあったこと。
(そして、実際にそれを聞いて傷ついた女性が存在し、問題が提起されました)
RubyhirobaはRubyKaigiとは独立した、せっかく東京にRubyistがたくさん居るんだから交流しよう!という、
LTとWorkshopと交流の場を提供するイベントです。
ここからごく個人的に、「そこに何があったのか」ついて考えたことを、ちょっとまじめに話そうかなーと思います。
わたしはRailsGirls Tokyo2ndのオーガナイザーだったり女性の多いことで有名な開発会社、株式会社万葉の社員だったりしますが、
今回はその辺を背負っての発言ではないです。あくまで個人的に。
とはいえ、実際に「どんな批判が起こるか」をすべて予測して発言することなんて無理ですので、発言者を責める意図ではないです。
わたしが考えていることで、あまりまだ言われていない側面があったので、その側面から問題を整理できたらなーというエントリです。
台湾についてのKawaii発言には、いくつか(海外でも)反応が分かれているようです。
もっともだ、という賛意から、「何が問題なのか分からない」「そういうあなたは女性なのか」といった反対意見まで。
問題がはっきりしないと議論もうまくかみ合いませんよね。
今回のふたつの問題について、わたしは二つの問いを立てたいと思います。
- その言説は人を排除するものか?
- 言われた側、排除された側は、同様の言葉を、言った側に対して、言った側と同じだけの気軽さでいうことができるか?
まず、「お前らあっち行け」っていう排除の言葉はいやですよね。
でも、それに対して「何言ってんだばーか」とか、「お前らこそあっち行けよ」と気軽に言い返せるなら、
少なくともまだそれは、コントロール可能な排除です。
けれど、一方が言い返せない、非対称の立場での排除は根が深いものになります。
この問いをわたしの判断の基準とすることで、今回の問題を整理していきます。
「台湾の女の子はKawaii、だからRubyKaigi Taiwanに来るべき」についてはどうでしょう。
残念ながら、そこに「女性がこの場にいること」「その女性たちがどう思うか」についての想像はあまりされていないように思います。
これは、いないものとして扱う、という意味で、「排除」の一種です。
排除の意図の有無ではなく、発言を笑いで迎えた会場を含め、コミュニティが無意識の排除を行ったという意味です。
Peter Evjanのエントリーも、そこを問題にしたものです。
では、排除された側は、この言葉と同様のことを、同様の気軽さでいえるでしょうか。
つまり、ええと、「海外のRubyistはイケメンばっかりだからRubyConfは行くべきだよ!」とか。
...まぁ、言えないことはなさそうです。
「気軽に言い返せる」は、その問題について、ある程度立場が対等であることを示しています。
この排除はある程度コントロール可能である。
Kawaii発言について「何が問題かわからない」というひとは、
程度問題でこの発言を「あり」だと思い、問題だと思う人は「なし」だと思う。
これはどこに線を持ってくるのか、今後議論を熟成させていけたらいい、という話だと思っています。
もう一つ、LTで情報処理の題材としてポルノが扱われた問題について。
内容は、ポルノデータ管理をモチベーションとした技術獲得の経緯とその最新技術について、であって、かなり高度な技術にも触れたものでした。
まずLTのはじめに、「ここにRailsGirls参加者の女性などいたら帰られた方がいいとおもうのですが...」といった内容の前置きがありました。
発言者は十分気を遣った結果でしょうし、善意を疑うつもりはありません。
けれど、それは、「あなたはこの場にいる資格がない」と、とても分かりやすく一部の人間を排除している言葉なのです。
RubyHirobaのような場所では、性別を理由に退場を促されるのは、「おかしな」ことです。
さらに、扱われた内容に関して、女性は同様の内容の発言が、同程度の気軽さで(あるいはコストで)発言できるでしょうか。できませんね。
女性は現状摩擦を起こさずに公の場でポルノの話はできないし、男性のポルノの話に踏み込むこともできない。
この問題に対しては、女性は対等な立場にはないのです。
立場が対等でいないというのは、発言者の意図や発言の程度を超えた、構造の問題です。
発言者は、
「思っている事を発して、誰かに伝えるという時に、結果、誰かを傷つけてやっちゃならない領域を越えるかどうかは、どんな発言であっても濃淡の問題なんだと思う。」
のように今回の問題を理解してらっしゃいます。
どんな発言も程度問題だ、ととらえる場合、そこには「構造的に人を対等に扱えていない」という認識が欠けているように思います。
けれど、対抗出来ない非対等の排除は、線引きや程度の問題ではない。そういう認識が共有出来ればいいな、と思います。
とはいえ、わたしが立てた二つの問いは、だいぶ恣意的に、自分の関心、ひっかかりポイントに合わせたものです。
人の数だけ関心ごとはあり、それぞれに問いが立てられます。
ジェンダーなど、関心が集中しやすい問題はあります。けれど言葉を発する時、すべての問いを想定することはできません。
ですから、繰り返しになりますが、「なぜこの問題について考えずに発言したのか」をさらに問うことに意味はないと思います。
わたしの発言も、いろんなひとの問いにひっかかり、いろんな人を傷つけてゆくでしょう。
言葉は発せられた瞬間、さまざまな問いに開かれるものです。
その時、向けられた問いについて閉ざさないこと、考え続けること、
それが敬意をもって他者と向かい合うということかもしれない、と思っています。
が、実行はむずかしいですよね...。
なんかもにゃもにゃした結論ですみません...。
最後に、わたしが多少なりと関わるRubyコミュニティの多くの人々が、
この問題について真摯に考え、議論されている現状は、とても嬉しいです。
その中の一つの意見になれたらと、この文章を書きました。
これからもっと、いろんな人にとって居心地の良い場所に変わっていけますように :)
@mrkn
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mrkn commented Jun 3, 2013

「台湾の女の子はKawaii、だからRubyKaigi Taiwanに来るべき」についてはどうでしょう。残念ながら、そこに「女性がこの場にいること」「その女性たちがどう思うか」についての想像はあまりされていないように思います。

なんでこう思ったんですか? (純粋に分からないので質問)

@yakitorii
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Author

そうですねぇ、まず発言時の意識を想像して、「女の子がKawaiiことをモチベーションにどこかに来る」人の想定に女性はあまり含まれてなさそう、というのはありますよね。もちろん想像なので違っている可能性もあります。

そして、こちらがメインなんですが、「女の子がKawaiiから来る」とか、それを反転させて「女の子がKawaiくないから来なくていい」とかって、まぁ、その人の都合というか、勝手じゃないですか。でも、言葉の上では、女性の容姿に原因があるようにも受け取れる形になる。
かつ、容姿がKawaiiことを良しとする言葉はつねに、可愛くないことを非とする言葉になりうる。
こちらのほうは、発言者の意図がどうだったか、という問題ではないです(たいていの場合、そんなこと考えてないでしょう)。言葉がそういう形をとってしまう、という話をしています。

女性が男性よりも弱い立場であった時代が長く、今はそれを改善しようと努力している途上です。Peter EvanのPostに大きな反響があったように、そういう言葉の圧力にセンシティブに「ならざるをえない」段階とも言えます。

容姿という生得条件の割合が大きい要素で一方的に査定されて、動機付け(原因)にされてってなんだそれ、ずいぶん男性の都合によった言葉だなぁ、と思う女性がいてもおかしくないね、そのことを考えてなかったね、という意味です、「排除」って。

ちなみに、この発言を聞いた時わたしは、上記のような文脈がちらっと胸をよぎって「あーあ」とは思いましたが、笑ってしまいました。じゃあ行こうかな、と発言したような気もします。(あたたかみのあるいいLTで、台湾に行きたくなったことも事実です)
ということで、このエントリは分析である前に自分の反省でもあるのでした。
なんかいろいろ難しいですよねぇ...すみません、聞かれてないことまでいっぱい書いて...。

@mrkn
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mrkn commented Jun 6, 2013

詳しく解説して下さって、ありがとうございます。

「女の子がKawaiiから来る」とか、それを反転させて「女の子がKawaiくないから来なくていい」

この発想は無かったので、新たな視点を得られました。

@nappan23
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今更ながら、この記事をとあるきっかけで見つけました。
当日あったことは伝聞でしかわかりませんが、鳥居さんが当時感じたもやもやをきちんと言葉にしてくださっていたことにありがたさを感じました。私もその時いたらもやもやしていたと思うので…。
また、自分の無自覚な(ジェンダー以外の目に見えづらい)問題についても真摯な鳥居さんの姿勢に「私もこうありたい」と思いました。

鳥居さんがRubyコミュニティに長くいらっしゃってくださって本当にありがたいなあと思っています(なんだか偉そうですみません)
Rubyコミュニティが多様性を受け入れられるコミュニティになっていることに鳥居さんの功績は大きく、後世の(2020年の)わたしにとって救いになっていると感じます。

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