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@yamazakihitoshi
Created December 25, 2021 08:57
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あー、本当に面倒だ

 この記事は2021年匠塾アドベントカレンダーの12/25の記事です。他の方も様々な記事を書いていますので、興味がありましたらそちらの方もご覧ください。

 世の中の役に立ちそうなことは他の方々が書いていますし、そうしたことは他の方々にお任せして、特にテーマを決めずにダラダラ書いていこうかと思います。最後まで読み切れるかどうか、忍耐力を試してみてください。

 さて、匠塾アドベントカレンダーは私が運営に関わっている匠塾という勉強会の企画のひとつです。匠塾というのは匠Methodという方法論を学ぶ場で、毎月一回第二木曜日に開催しています。

 匠Methodとは何かというのを一言で説明するのはとても難しいことです。匠塾の冒頭の説明だと「ビジネスモデリングメソッド」と言ったりするのですけれど、「ビジネスモデリングメソッド」っていったい何なんでしょうね。まったくイメージが湧きません。他の運営メンバーはどうなのか分かりませんが、私はイメージが湧かないまま何年も説明していました。すみません。

 ということで、匠Methodを考案した萩本順三さんが起業した匠BusinessPlaceという会社のホームページから引用させてもらいます。

近年、ビジネスはITの進化により大きく変化しています。

その変化に人が追従しながらやり甲斐のある仕事を複数人で行うための「仕事の考え方」や「仕事の進め方」を身に付けていただくことを目標として作成したのが匠Methodです。

特徴は価値から戦略・業務を見ていくことです。 戦略立案の手法は他にも多くありますが、戦略が絵に描いた餅になったり、他から持ってきたもので現場に浸透しなかったりしがちです。 匠Methodはこういったビジネス企画における問題を価値の視点でまとめ上げ、組織全体が一体となって推進していける戦略・業務をデザインすることができる唯一の手法です。

 うん、こっちの方がしっくりきます。けれど、私の職域はシステムアーキテクチャ設計やプログラミングですのでビジネス企画に関わることはありません。では何のために匠Methodに関わり続けているんだということになると思いますが、匠Methodはビジネス企画に携わらない人も学び活用しています。ビジネス企画でなくても使えるということです。そもそも仕事以外のことに活用している方もいらっしゃいます。

 結局、匠Methodって何なんでしょうかね。困りました。まあ、企画や計画の骨子を決めるときに役立つ手法くらいの理解をしてもらえればと思います。

なんのためにやっているんだったかな?

 私が匠Methodを知ったのは10年くらい前で、当時在籍していた会社の研修のときのことです。その研修のときの強い想いである「あー、本当に面倒だ」を匠Methodに対する私の原点として本記事のタイトルとしました。残業続きで、休日出勤当たり前の状況で、土日に研修なんて言われたので仕方ありません。そんな調子だったので研修もろくに聞いてませんでした。

 こんなところから始まって、よくもまあ今まで関わり続けているものです。

 私が匠Methodに関わり続けているのはあくまでシステム開発のためです。なので、システム開発のことと絡めて匠Methodに何を期待したのかという話を進めます。

 システム開発に携わっていると使われないシステム(やシステムの一部機能)というものに出会うことがあります。要件を満たしていればそんなことはないかというと、不思議なことに、要件を満たしたシステムを開発してもこういったものは発生するものです。

 事情は様々あるのですが、どうせやるからには色々詰め込みたい、その方がきっと色々な状況に対応できる良いシステムになるという想いがあったり、よく分からないけれど聞かれたからには何か要件を出して協力しないといけないという義務感など、前向きな事情も多かったように思っています。

 こうした使われないものというのはとてももったいないものなのです。開発にかかる時間だけではありません。不必要に大きくなったシステムというのは、システム保守の観点からもよいものではありません。システムの改修をしようと思ったら、影響調査などをするのですが、この調査に時間がかかってしまいます。維持費だってかかります。

 つまり、長期間に渡って悪影響を及ぼすものです。

 ただ単に作ったものが使われなかったからといって、作る側の私としては何も言うことはありませんし、特段思うところはありません。

 しかし、時にシステム開発の現場というのは予定通りに物事が進まずに殺伐とした雰囲気に包まれることがあります。大変なストレスを感じる場です。物事が上手くいっていないものですから、ついお客様の口調も強くなってしまいます。さらに殺伐としていきます。打ち合わせに行くのも嫌になってしまいます。

 その原因の一端が使われないもののためだと知った時の感情たるや。

 無くなることはないと知りつつ理想を言えば、こうした不要なものというのはゼロにしたいものです。もしできたら、多くの人が今よりも少しだけ幸せになれる気がします。

 どうすればいいのでしょうか?

 作りながら方向転換しつつ決めていけばいいのかというとそうでもありません。契約の問題なんかもあるのですが、そもそもどこに向かったらいいのか分からないのに方向転換も何もないのです。何度も方向転換して費用をかけても、最終的に目的としていたものが手に入ればまだよいのですが、袋小路にはまってしまいにっちもさっちもいかなくなることもあります。予算が尽きて開発中止ということもあり得ます。

 何が必要なのかというと、向かう先、指針ですね。指針があるからこそこうしたものを作ろうと言えますし、反対に、これはいらないとも言えるものです。システム開発における指針というのは何かというと、要件の前に存在する要求です。それも目の前に見えているものだけでなく、システム開発を取り巻く様々な関係者の要求となります。

 システムには多くの関係者がいるものです。ユーザー企業の経営者、システムを利用する諸部門の方々やIT部門の方々、すぐに思いつくだけでもまだいくらでもあげられます。

 こうした多くの関係者たちに満足してもらうというのはとても大変です。何から手をつけていいのかも分からないこともままあります。

 大変ですし、時間もかかるので目に見えて分かりやすい課題に対してアプローチしてみたり、お客様がこう作れと言うならこう作りましょうという感じで作るものが決まっていってしまいます。本当に欲しいものはなんだったのかという話は忘れられてしまいますし、そんなことを口にすると上司や同僚から嫌な顔をされます。面倒なことを言い出したなと思われるわけです。実際の仕事はそれでなんとかなるわけですし。

 匠Methodにはこうした面倒なことを上手くまとめてくれることを期待しました。

 こうした考えは今もあまり変わっていません。社会がどうのとか、IT業界がとか、変革とか、大きなことを言う人も居るのですが、私はそうしたことに関わることを望んでいません。自分の手の届く範囲の物事が少しだけ良くなればいいと思っています。実際、昔と比べればだいぶましになったと思っています。

受け入れなかった人たち

 匠Methodの考え方や目指していることに賛同しても、匠Methodを受け入れられない人というのは少なからず存在します。そもそも考え方が受け入れられないならば、やりたくないというのはよく分かります。何故だと思いますか? 匠Methodに強く、長く傾倒している人ほど分からない感情のような気がします。

 恥ずかしいという感情です。

 お客様へ提案を行ったり、企画を行うというのは中々精神的に重圧のかかることです。やりなれないと特にです。やれと言われたからやれるというものではなく、自分は実力不足で出来ないだろうと思うこともあると思います。ただ、ここで言う恥ずかしいは、あまりに稚拙な提案をした結果、馬鹿にされるかもしれないという意味の恥ずかしいではありません。

 そんな難しいことではなくもっと単純な話で、匠Methodで使われる用語や言い回しが恥ずかしいんです。

 価値分析モデルを一例にあげておきます。価値分析モデルでは価値を記述していくわけですが、この価値記述の部分だけでも結構な抵抗感を持つ人はいます。書き方はある程度決まっていて、「〇〇は嬉しい」「〇〇だから嬉しい」といった書き方になります(最近は必ずしもそう書かなくてもいいという話になってますけど)。

 ここまでで分かる人には分かるというか、本当に仕事でこれ使うのって思う人がいると思います。匠Methodの勉強会には匠塾の他に匠道場と呼ばれているものがあります。匠道場の参加者の何人かにこの話をしたことがあるのですが、不思議そうな顔をしていました。おそらく周りにそういう人がいないのだと思います。上手く住み分けなされているのか、お互いあまり接触することがないのかもしれません。

 仕事で使う資料、特にIT系のエンジニアが作ったり読んだりする資料に「嬉しい」といった言葉が使われることは少ないものです。また、そうした言葉が散りばめられていると、どこかふざけているような印象を受けることもあります。そうした人たちは、お遊びを顧客に見せるのは恥ずかしいことである、もしくはあってはならないと思うわけです。私もこうした感情はいまだに持っているので、言われるとよく分かります。

 匠Methodには特有の言い回しや、造語、一般的とまでは言えない言葉が多く使われています。

 名付けをすることで概念が明確化され、思考するための材料になったり、仲間内ではすぐに伝わったりするというメリットもあるのですが、それが原因で真面目にやっていないと受け取られるというか、私は言われたことが何度かあります。

 やってみれば真面目に取り組んでおり効果があることは分かると思うのですが、よさそうと思うからやってみるわけで、真面目にやっていないと思われたら受け入れてもらえないのです。やりたくない人に無理にやらせても拒否感が強くなるだけで、間違った印象を強化してしまうだけでしょう。人間って自説を強化するものを見たいものですから。

 匠Methodは財務的なものを扱っていないので会社の数字は登場しません。ですので、この数字が現れないことに対して抵抗感のある人が受け入れられないことは仕方のないことです。しかし、言葉の問題で忌避感を抱くことも、抱かせてしまっていることももったいないと思います。

 こうした言葉は匠Methodを取り巻く世界観を形作るものの重要な要素のひとつでもあります。その割にそのひとつひとつを説明するための言葉が少ないと思います。直接的に言えば伝わるのかというとそういうものではありません。その場限り消費されればいいものではないのです。想いをぶつける、それで分からなければ仕方ないという考え方もよくありません。

 新しい概念や言葉なのですから、時には回り道もしながら、たくさんの言葉を使ってゆっくりと説明しないと理解できないですし受け入れられないのです。おそらく、匠Methodに長く関わっている人が想像している以上だと思います。経験豊かで、自分のやり方というのが確立されている人を相手にする場合は特にです。初めから聞く耳持たない人は別ですよ。

最後に

 随分と長く書いてしまいましたが、もう少しお付き合いください。もしここまで読んだ人がいればですけれど。

 匠Methodは魔法ではないので、扱う人(やグループなどの組織)の実力や性格、考え方なりに成果がでるものです。10の力を持った人が100の結果を出すなんてことはありませんし、成果の方向性も各々の個性によって様々です。

 ひとりよがりなのもダメなのですが、ビジョンに夢がないなどと散々言われて怒っていた人もいます。自分たちのやりたいことに夢がないからダメだのなんだのと言われるのは、見方によっては大きなお世話でしかありません。言葉の表現で印象やその後の行動が変わることは否定できませんが、言葉遊びに興じていると思われることもあります。

 匠道場や匠塾といった匠Methodの勉強会の場で受けのいい考え方というのは確かにあります。しかし、匠Methodの成果物は人によって様々である以上、いいと思う人もいれば、悪いと思う人もいるのが現実です。皆が絶賛しているものを、私がまったく良いと思えないこともありますし、逆だってあります。

 最初のうちは私もどうしたらこうした場に受け入れられやすいものを作れるかや、成果を出せるのかということを考えていました。しかし、それをやっても私の目に入る物事はまったく良くなっていかないんですね。当たり前です。目の前の現実に取っ組み合わない人間が何やっても無意味なんです。

 匠Methodは価値というキーワードのもと企画をまとめ上げたり、価値創造したりするものです。厳格ではないもののある程度のプロセスがあり、プロセスのそれぞれにおいて何を考えなければいけないかがまとまっています。プロセスや考え方が定まっているということは習得でき、上達していけることを意味します。

 個人的な考えや勘でやっていたことがプロセス化されると、後で見返して反省しやすくなります。反省しやすければ、改善もしていきやすいものです。

 そうして少しずつ自分の目の届く範囲のものがよくなっていけばいいのではないかと思っています。

 必ずしも夢のある大きなことを考えることはありません。そうしたことを考える人ばかりではないですし、そうでなければ匠Methodを使えないわけではありません。

 もし多くの人が自分の身の回りの物事を少しだけよくしていくことをできるならば、それはそれでとてもいいことだと思います。

こちらもよろしくお願いします

[1] 匠塾の公開ページ

https://www.facebook.com/takumijyuku/

[2] 匠塾2021年度アドベントカレンダー

https://adventar.org/calendars/6673

[3] 匠Methodとは

https://www.takumi-businessplace.co.jp/takumi-method/index.html?fbclid=IwAR0P2w3kTqjJC2C7MwpQ_gqqi2PJJmkLBUvHXI6Ng7H4VKgLXtJrLxjKEFA

[4] 匠Method 超入門(関西匠塾第一回)

https://www.slideshare.net/hagimotojunzo/method-72390898?qid=e75538a8-e047-45c6-8b09-1cec15fe7a23&v=&b=&from_search=1

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