- 「販売の日程を守れず大変なことになるとの思いで、」
- 「改めて試験を実施する時間も車両もなかったため、試験成績書作成者は、安全性には問題ないとの思いもあって、認証試験に合格するために、」
- 「法規よりも不利な試験条件下で合格している以上は安全性に問題がないものと考え、」
- 「開発日程の都合上、再試験を実施する時間的な余裕がなく、過去の試験実績から、」
- 「試験を実施した後に、計測システム上でデータを差し替えて出力して、審査官に提出した。」
- 「試験実施担当者は、立会試験での結果いかんにかかわらず、認証試験に確実に合格するため、事前に差し替えデータを準備した上、上記不正行為に」
- 「具体的には、開発の各工程が全て問題なく進む想定のもと、」
- 「当初の開発スケジュールを柔軟に先送りすることは到底困難というのが実情であった。」
- 「そして、窮屈なスケジュールで開発日程の死守が求められる状況のもと、」
- 「販売のスケジュールを変更するなどということはあり得ない。」
- 「まさに一発勝負の強烈なプレッシャーに晒されながら業務を行っていた」
- 「極度のプレッシャーに晒されて追い込まれた現場の担当者に問題の解決が委ねられた現場任せの状況になっていた」
- 「報告や相談を行っても認証試験の担当者が抱える問題の解決が期待できない結果、現場の担当者レベルで問題を抱え込まざるを得ない状況が生じた」
- 「専門性の高さから属人化により衝突安全試験の領域が外部から目の届きにくいブラックボックス化した職場環境にあったからこそ不正行為が発生した側面があり」
- 「法規上も問題ないはずと独自に判断して試験結果を流用する不正行為も見られた。」
- 「虚偽の情報や不正確な情報を記載してはならないというごく当たり前の感覚を失うほどコンプライアンス意識が希薄化していった」
- 現場レベルでの問題は、本来、管理職を介した通常のレポーティングラインを通じて管理職や経営幹部まで情報が吸い上げられて経営レベルでの対応が検討されて 然るべきである。
- 「「社員の声」制度が監査部により運営されており、2011 年 1 月から 2023 年 6 月までの期間に合計 1,968 件の利用実績がある。」
- 「事案が発生している部署に調査を依頼する形で運用されている。」
- 「匿名通報は信憑性が低いという考え方等から結果通知を行わない運用が行われている」
- 「法規認証業務において不正が発生する可能性を想定した未然防止や早期発見のための対策を何ら講ずることなく短期開発を推進した。その結果、短期開発の 強烈なプレッシャーの中で追い込まれた従業員が不正行為に及んだものであり、」
- 「全ての設計変更を認証試作車に織り込むためには開発日程の延長が必要との問題提起を経営トップも参加する会議体において行った。しかし、結果的には、現状のプロセスを維持したままの再発防止策が検討され、」
- 「短期開発を「ダイハツらしさ」と捉え」
- 「この点でダイハツの経営幹部のリスク感度は鈍かったといわざるを得ない。」
- ⚫ 現場と管理職の縦方向の乖離に加え、部署間の横の連携やコミュニケーションも同様に不足していること
- ⚫ 「できて当たり前」の発想が強く、何か失敗があった場合には、部署や担当者に対する激しい叱責や非難が見られること
- ⚫ 全体的に人員不足の状態にあり、各従業員に余裕がなく自分の目の前の仕事をこなすことに精一杯であること
- 「認証試験の担当者に対するプレッシャーや部門のブラックボックス化を促進し、リスク情報の経営層への伝達を滞らせる土壌となっていた」
- 「不正対応の措置を講ずることなく短期開発を推進したことにある。」
- 「過度にタイトで硬直的なスケジュールによる「短期開発」の極度のプレッシャーが本件問題の不正行為の原因になっていることからすると、ダイハツとしては、まずもって「短期開発」の弊害を直視し、余裕をもったスケジュール、あるいは多少窮屈でも問題発生時に柔軟に変更できるスケジュールが実現できるように開発・認証プロセスの見直しを行うべきである。」
- 「単なる形式的な組織改正にとどまり、現場では認証試験の合格に向けて協力する関係が継続して何ら変化が生じないことが懸念される。したがって、レポーティングラインの分離や勤務場所の分離等も適切に行って牽制機能が適切に発揮されるよう運用に注視して継続的にモニタリングを行うべきである。」
- 「人事ローテーションや業務上関連性が高い品質統括本部との人事ローテーションの実施・強化は、各部門からの反対の声が強くてもぜひ実施すべき施策である。」