CTF チームの中で話題になったりしたので自分が気を付けていることについてまとめる。異論は認める。
PowerPoint でプレゼンテーション資料を作るときに自分が気を付けていることであり、マルウェアの解析結果など技術的なことを話す場合を想定している。また、作成時の話でありプレゼンテーション時のことについては触れない。
なお、報告会などにおけるプレゼン資料と報告書を兼ねたような資料については一切考慮していない。
おおよそ以下の流れで資料作成を行っている。以降はそれぞれのステップごとの説明と気を付けていることを記述する。
- テンプレートを編集する
- アウトラインを作る
- 本文を作る
プレゼンテーション資料を作るにあたり、最初に編集するのはテンプレートそのものである。なぜなら組織で用意されているテンプレートは多くの場合非技術者がデザイン(といっても背景画像的な意味で)にこだわりを持って作っただけである場合が多く、PowerPoint の機能が正しく使いこなせていない、それに従って作ると読みづらくなる、などプレゼンテーター泣かせの仕様になっている場合が多いからである。また PowerPoint テンプレート形式のファイル(拡張子 .potx)ではフォント情報など一部保存できない情報があるためでもある(最新版 Office だとどうかは不明)。
具体的には以下を調整する。
- フォント
- 全体のフォント設定で既定のフォントを決める
- テキストボックス内だけに設定されている場合があるのでそうならないように
- 各テキストボックスのフォントサイズを変更する
- タイトル・コンテンツが適切に配置されていれば、トップのマスタスライドのフォントサイズを変更するだけで全体に反映される
- タイトル部分は 40ポイントくらい(タイトルスライドはもっと大きくて良い)、本文は 20ポイント以上が目安
- 全体のフォント設定で既定のフォントを決める
- 配色
- デフォルト配色のままではスマートアートや図形の色がデザインに合わないため適切な配色を作成してその中から選択できるようにしておく
- 配色が設定されていても、暗い色を設定すべきところで明るめの色を設定していて白文字が見づらい場合などあるため要確認
- レイアウト
- 位置やコンテンツの高さ・幅が中途半端になっている場合に適切なものに変更する
- タイトルだけのレイアウト、完全白紙レイアウトなど足りないものがあれば作っておく
- ページ番号
- ページ番号挿入をする方法を取るくらいであれば、最初からページ番号をスライドマスタに埋めこんでおくと良い
- ページ番号を挿入して、マスタスライドに貼り付ければ固定される(たぶん)
- ページ番号挿入をする方法を取るくらいであれば、最初からページ番号をスライドマスタに埋めこんでおくと良い
編集後のマスタをテンプレートとして残す場合には、pptx で残さないと前述のとおり一部情報が消えてしまうので注意。
話したいこと・話してもらいたいことがあるからプレゼンをする。まずテーマ・タイトルという大きなものを決定し、次にどういう流れで話すかアウトラインをおおまかに決定する。タイトルはタイトルスライドに書けば良く、アウトラインはセクション区切りレイアウトまたは通常レイアウトのタイトル部分に書いていくと良い。
あとは中身を埋めるだけ。もしテーマについて完全な知識がなく調べながら資料を作成する場合には、調べながら本文を埋めるのではなく調査メモを別の形で作成してからプレゼンテーション資料作成に取りかかると効率が良い気がする。自分は md 形式のメモを作成してからスライドを作るようにしている。
以降、本文を作成する際に気を付けていることを個別に述べるが、全体を通して「PowerPoint を正しく使う」および「聴き手を気遣う」を意識して行えば良いと思っている。
- デザイン
- まずスライドをどういう構成にしたいかを考え、それに合うレイアウトを選択する
- 可能な限りテンプレート(スライドマスタ)のレイアウトに従う
- 変にテキストボックスを挿入することによるデザイン崩れを防ぐ
- 合うレイアウトが無ければレイアウトそのものを作るべき
- SmartArt を使う
- 見栄えだけでなく、箇条書き + インデントだけの見づらいスライドを改善してくれる
- 余白にビビって隙間を埋めようとしすぎない
- "コンテンツの配置が適切であれば" 余白もまた格好良いものである
- セクション区切りレイアウトを使う、今話しているテーマタイトルをスライドのどこかに入れるなどして、話の切れ目は分かりやすくする
- 文章
- 箇条書き形式で文字数を減らす、またそもそも文字量は最小限にするよう心がける
- 読点が多くなったら黄信号
- 図の方が分かりやすい場合には積極的に図を作る
- 読めば分かる最低ラインを保ちつつ、発表者である自分に注目できる余裕を与えられるように
- 強調する場合には太字や赤色にするなどしても良いが、過度な装飾は見づらいので避ける
- アイコンを添えるのも手
- 同じ意味の単語や言い回しは統一する
- 箇条書き形式で文字数を減らす、またそもそも文字量は最小限にするよう心がける
- 画像
- 内容が視認できるレベルまで拡大する
- 不要な余白などは画像メニューからトリミングする
- 画像が大きく、強調したい部分が見えづらいのであればいっそ強調したい部分以外は捨てる
- 背景と一体化させたいなど特別な理由が無い限り、枠線を付けた方が境界線が分かって見やすく感じる
- 引用
- 公開される前提で無駄な引用(ネタ画像など)はしない
- 出典(URL や書籍名)を明記する
- グラフ
- グラフマジックを使用して変な先入観を与えない
- レイアウト上そう捉えられそうな場合には数値を大きく記述するなど正確に伝わるよう配慮する
- グラフマジックを使用して変な先入観を与えない
- 図形
- サイズ・位置をできる限り揃える(Office の位置修正機能などを使う)
- 説明を入れ過ぎない
- 説明が多い場合はそもそも描いた図が失敗している
- 重要な部分は色を変えるなどして強調する
- アニメーション
- 全体を先読みせず今話していることに集中させたい場合や、流れを図で説明する場合にはアニメーションにする方が分かりやすい
- ただし過度な装飾はしない(自分の場合、基本的に高速フェードイン/アウトのみ使用するようにしている)
- 全体を先読みせず今話していることに集中させたい場合や、流れを図で説明する場合にはアニメーションにする方が分かりやすい
- ノート
- 図形や写真が多く資料を読むだけでは分からない場合、ノートに追加の説明を入れてノートごと後日公開する方式がある
なお、テンプレートの整備や文章の書き方など一部は時間短縮に貢献するが、すべての点を意識すると文字だけの資料を作成する場合と比べ時間がかかる。時間を無駄にしないためにも、基礎能力となるタイピング速度の向上やショートカットキーの記憶を行う、スクリーンショットやアイコンといった素材をあらかじめストックしておくなどすると良い。
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