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フリー音源の無断販売問題について

フリー音源の無断販売問題について

0. 目次

  1. 概要

  2. 免責事項など

  3. 無断販売されると誰が困るのか

  4. 防止策と対応策

  5. 確認された無断販売の事例

1. 概要

フリー音源が第三者によって許可なく有料販売されるという問題が起きています。被害者にはDOVA-SYNDROME、PeriTuneといった大手配信サイトが含まれ、潜在的な被害者も多数いることと予想されます。さらに、不利益は製作者様に限定されず、利用者側も不当に無断使用を疑われる危険性があります。

この記事では、この問題によって誰が困るのか、防止策や対応策はあるのか、実際の販売例はどのようなものか、といった点について纏めます。

2. 免責事項など

2.1 免責事項など

この記事に書かれている全ての内容は、私が単独かつ個人的に調べたものに過ぎず、私の勘違いや理解不足が含まれている可能性が大いにございます。

  • 間違いなどがあれば、ぜひご指摘ください。速やかに訂正致します。(連絡先: @twelfth_note)

  • 新たに分かったことなどがあれば、ぜひお教えください。裏を取った上で追記致します。

  • 各種問い合わせなどをなさる場合や、この記事の内容について議論される場合は、この記事の内容を信用せず、ご自身でまず裏をお取りください。

  • この記事を公開したことで、またこの記事が閲覧されることで、私は如何なる利益も得ません。 この記事を公開しているGitHub Gistには、いわゆるアフィリエイトの仕組みはございません。

  • この記事のURLは将来的に変わる可能性があります。リンク切れを防ぐため、拡散などの際は短縮URL版のhttps://your-diary.com/url_shortener/license_free_bgm_problemをお使いください。

2.2 よくある質問

Q1. この文書が最後に更新されたのはいつですか。

A1. ページ上部に最終更新日時が書かれています。例えば"Last active 1 hour ago"と書かれていれば、最終更新は約一時間前です。

Q2. 久しぶりにこの文書を見に来ました。前に見たときからの変更点を知りたいです。

A2. ページ上部のRevisionsより、文書の更新履歴を見ることができます。(gitコマンドに精通されている方へ: 実はGistは内部的にはGitリポジトリに過ぎないため、git clone 'https://gist.github.com/your-diary/c82562bf96e364e9c9de5252ecc2a8c0'コマンドによりクローンすることで、git diffgit pullといった操作も可能です。)

3. 無断販売されると誰が困るのか

3.1 製作者様

ほとんどの場合、フリー音源はあくまで広い用途に使うことのできる音源に過ぎず、著作権は放棄されていません。そのため、フリー音源の作者が自分であると第三者が主張することで、製作者様の権利が侵害されます。また、特にその第三者が比較的大きな組織の場合、むしろ製作者様側の盗作が疑われるといったことが生じ得ます。

さらに、将来的にご自身の音源をSpotifyなどで配信しようと考えた際に、そのコピー版が既に配信されていると、不当に盗作と見なされて申請が通らない可能性があります[1]。

3.2 利用者(配信者様、動画制作者様など)

ライセンス表記不要で利用可能なフリー音源Xが、音源Yとして第三者によって無断で有料販売されたと仮定します。ある配信者Aが音源Xを利用規約に従って利用した場合、次のようなことが起こり得ます。

  1. 配信者AのリスナーBがその音源の曲名を知りたく思い、Shazam(後述)などのアプリで検索する。

  2. その結果としてヒットするのは音源Yであるが、音源Yは有料販売されているものであり、ライセンスフリーとは謳われていない。

  3. この時点で、リスナーBから見れば「配信者Aの音源Yの無断使用」が疑われる。

  4. リスナーBが配信者Aに問い合わせた場合、配信者Aは不当に時間を割かれる。あるいは、リスナーBが掲示板サイトなどで騒ぎ立てた場合、不当な炎上に発展する恐れがある。

例えば、実際に次のことが起きています。

  1. YouTubeにて200万再生以上されている、バーチャルYouTuber月ノ美兎様の動画「つきのみと没カット集」[2]にて、Kyaai様作曲のフリー音源『夏の思い出』[3]が使用された。

  2. とある視聴者Aが、何らかの方法†1で件の動画のBGMの曲名を探したが、『夏の思い出』ではなく、その無断販売バージョンであるSleepy Catの『bed room』(後述)を見つけた。

  3. 視聴者Aは、動画に使用されていたBGMは『bed room』であると勘違いした†2

脚注

†1: どのように探したかは不明ですが、Shazamを使った可能性はあります。実際、件の動画をShazamに流すと、Sleepy Catの『bed room』がヒットします。

†2: 発言の記録がYouTube上のある動画に残っていますが、視聴者Aが一個人であるため、URLなどのソースを提示しておりません。

参考文献

[1]: PeriTune コミュニティ投稿6 - YouTube

[2]: つきのみと没カット集

[3]: 夏の思い出 - DOVA-SYNDROME

4. 防止策と対応策

4.1 防止策

製作者様にとって、基本的に無断販売の防止策はありません。

フリー音源の利用者側は、たとえライセンス表記が不要であっても、積極的にライセンス表記をすることをおすすめします。そうすることで製作者様が報われますし、仮にその楽曲が非ライセンスフリーで無断販売されていた場合にも、「私が使用しているのは確かにフリー音源である」と主張することができます。

4.2 発見方法

Shazam[1]やSoundHound[2]といった無料のスマートフォンアプリを使うと、マイクから拾った音楽を元に、その曲名を検索することができます。そして、これらアプリが利用する音楽データベースにフリー音源は含まれておらず†1、検索にヒットする楽曲は比較的大きなサイトで配信ないし販売されています†1。よって、フリー音源の製作者様は、ご自身の音源を件のアプリを使って検索し、次のように判定することができます。

  • ヒットしなかった → その楽曲が無断販売されている可能性は比較的低い†2

  • ヒットした → 心当たりのないアーティスト名であれば、無断販売されている可能性が比較的高い

Shazamの詳しい使い方

4.2.1 Shazamの詳しい使い方

  1. お使いのスマホに、Shazamというアプリをインストールしてください。Appleが提供するアプリで、iOS/Android対応です。
iOS版 Android版
  1. Shazamを起動して、ご自身の音源をマイクから聞かせてください。
手順2-1: 画面中央の大きな丸をタップ 手順2-2: 次の画面に切り替わるまで待つ
  1. 結果が出ます。
ヒットしなかったケース (無断販売の可能性は比較的低い) ヒットしたケース (心当たりが無ければ、無断販売の可能性あり)

脚注

†1: 要文献。私の経験上でのお話になります。

†2: 例えばディストリビューターとしてTuneCore Japanを利用している場合、楽曲の配信先からShazamを外すことが可能です[3]。そのため、Shazamなどのアプリでヒットしなかった場合にも、楽曲が無断販売されている可能性を否定することができません。

参考文献

[1]: Shazam

[2]: SoundHound

[3]: Shazam - TuneCore Japan

4.3 対応策

無断販売が判明した場合の対応については、この記事で扱える範疇を超えるため詳細は割愛しますが、例えば以下のような対応が考えられます。

  • アーティストの連絡先を特定し、そちらに問い合わせる。

  • 販売を統括している業者(いわゆるディストリビューター)を特定し、そちらに問い合わせる。

4.3.1 ディストリビューターがTuneCore Japanの場合

ディストリビューターがTuneCore Japanの場合、問い合わせても対応してもらえず†1、当事者同士の解決が求められるという情報があります[1-2]。しかしながら、相手の連絡先が公開されていないことも多々あるものと考えられます。

4.3.2 YouTube上のTopicチャンネルの削除申請

YouTubeにおいて、あるアーティストの楽曲を集めたチャンネルが自動生成されることがあり、これをTopicチャンネルと言います[3]。例えば[4]はninja brainというアーティストのTopicチャンネルです。

TuneCore Japanなどのディストリビューターを介して楽曲を配信している場合、Topicチャンネルが生成される可能性があります[5]。そして、それが無断販売を行っているアーティストの場合、原著作者様はYouTube側に削除申請を出すことができます。しかしながら、PeriTune様からメールにて頂いた情報によると、この申請は却下されるとのことです。ご本人様による許可の下、ご本人様がYouTubeから受け取ったメールを以下に引用致します。

PeriTune フリー音楽素材 様

ご連絡いただきありがとうございます。申し立てをいただいたコンテンツは、YouTube でアートトラックとして使用するために、ライセンスを所有する YouTube パートナーから YouTube へ提供されたものです。ライセンサーの名前は、動画の説明欄にある「Provided to YouTube by [ライセンサー名]」という表示でご確認いただけます。ライセンサーの名前に覚えがなくても、それが販売会社である可能性や、レーベルから許可を受けた会社である可能性がございます。ライセンサーは YouTube にコンテンツを提供する際、そのコンテンツを YouTube で配信する権利を申し立てています。そのため、削除のリクエストにお応えすることはできません。この問題については、ライセンサーとご交渉いただくか、お客様の代理でそのライセンサーと取引を行っているかどうかをレーベルにお問い合わせください。

このコンテンツに対する独占的な権利の所有者はご自身であり、YouTube に掲載されるべきではないとのお考えが変わらない場合は、その旨をこのメールへの返信でお知らせください。その際、レーベルに確認された内容をご説明ください。そのご説明を受けて、リクエストについて再検討させていただきます。

- YouTube チーム

よって現時点では、うまく対応してもらえずとも、根気強くディストリビューター側と交渉を続けることが最良の策と考えられます。

脚注

†1: 「そもそも対応が難しい」という表現が適切かも知れません。TuneCore Japan側からすれば、どちらが本当のことを言っているのか、判断が難しいと考えられます。例えば、オリジナルが一般公開されたのが2015年、そのコピーがTuneCore Japanにアップロードされたのが2020年だとしても、TuneCore Japanはあくまでディストリビューターであり、著作権データベースの類のものではないため、前者の方が先に作られた楽曲である保証はどこにも無いわけです。

参考文献

[1]: PeriTune コミュニティ投稿6 - YouTube

[2]: PeriTune コミュニティ投稿7 - YouTube

[3]: お気に入りのアーティストの音楽を探す - YouTube Help

[4]: ninja brain - Topic

[5]: YouTubeアートトラックを正しく理解する - THE MAGAZINE

5. 確認された無断販売の事例

5.1 Sleepy Cat

Sleepy Catというアーティストが、TuneCore Japanを通してアルバム「always」を有料でリリースしています[1]。アルバムの楽曲は、全て[2]より無料視聴が可能です。

少なくとも、二曲目の『bed room』は、Kyaai様作曲の『夏の思い出』[3]と一致することが判明しており、これが確かに無断販売であることを、TwitterのDMにてご本人様に確認済みです。

また、スタジオ共創曲様のフリー音源『瑠璃色の記憶』[4]を分割したものが、一曲目の『story』、七曲目の『will be fine』、八曲目の『sweet your』と一致することが分かっており、これが確かに無断販売であることを、ご本人様にメールにて確認済みです。また、その問い合わせを受けて、ご本人様が当該動画のコメント欄でアナウンスされています[4]。

ちなみに、Sleepy Catの実体は謎に包まれており、ホームページなどは公開されていません。ただし、次のような情報はあります。

  • Spotify上でVERIFIED ARTISTとなっている[5]。

  • YouTube上に公式アーティストチャンネル(Official Artist Channel)が存在する[6]。

  • そのABOUTタブにてgmailアドレスが公開されている†1

  • SoundCloud上にページがある[7]。

  • 件のアルバムの作曲者はshinji mikami様であるが[8]、その方に関する情報は一切見つからず、実在するかすら不明である。

脚注

†1: 使用されているかは不明です。別件で日本語と英語にて問い合わせしていますが、今のところ返信はありません。

参考文献

[1]: Sleepy Cat - TuneCore Japan

[2]: always - YouTube

[3]: 夏の思い出 - DOVA-SYNDROME

[4]: 瑠璃色の記憶 - YouTube

[5]: Sleepy Cat - Spotify

[6]: Sleepy Cat's Official Music - YouTube

[7]: Sleepy Cat - SoundCloud

[8]: bed room/Sleepy Cat - mysound

5.2 ninja brain

ninja brainというアーティストが、TuneCore Japanを通してアルバム「assassination」を有料でリリースしています[1]。アルバムの楽曲は、全て[2]より無料視聴が可能です。

少なくとも、次の一致が判明しています。これらが確かに無断販売であることを、メールにてご本人様に確認済みです。

  • 一曲目の『shizuka』は、PeriTune様にて公開されている『Flap』[3]と一致。

  • 三曲目の『SUPPA』は、PeriTune様にて公開されている『World_OP』[4]と一致。

  • 十二曲目の『skill』は、PeriTune様にて公開されている『BattleField』[5]と一致。

また、無断販売であることをご本人様に確認はしておりませんが、次の一致も判明しました。つまり、一致が今のところ確認されていないのは、六曲目の『kunoichi』と十曲目の『do the thing』のみです。

  • 二曲目の『lord』は、PeriTune様にて公開されている『Hanagoyomi』[6]と一致。

  • 四曲目の『Princess』は、PeriTune様にて公開されている『Shizima2』[7]と一致。

  • 五曲目の『he said...』は、PeriTune様にて公開されている『Harvest2』[8]と一致。

  • 七曲目の『secret information』は、PeriTune様にて公開されている『Chinatown』[9]と一致。

  • 八曲目の『Breakthrough』は、PeriTune様にて公開されている『Snowy_Day2』[10]と一致。

  • 九曲目の『in his sleep』は、PeriTune様にて公開されている『Desert』[11]と一致。

  • 十一曲目の『done it』は、PeriTune様にて公開されている『Music-box_Gentle2』[12]と一致。

ちなみに、ninja brainの実体は謎に包まれており、ホームページなどは公開されていません。ただし、次のような情報はあります。

  • YouTube上にチャンネルが存在するが[13]、これはTopicチャンネルと呼ばれる、YouTubeによって自動生成されるチャンネルであるため[14]†1、ninja brainが運営しているわけではない。

  • 件のアルバムの作曲者はshinji mikami様である[15]。この名前には先にも触れた†2

脚注

†1: Topicチャンネルについて詳しくは防止策と対応策の節をご参照ください。

†2: 同一人物かは不明。

参考文献

[1]: ninja brain - TuneCore Japan

[2]: assassination - YouTube

[3]: Flap - PeriTune

[4]: World_OP - PeriTune

[5]: BattleField - PeriTune

[6]: Hanagoyomi - PeriTune

[7]: Shizima2 - PeriTune

[8]: Harvest2 - PeriTune

[9]: Chinatown - PeriTune

[10]: Snowy_Day2 - PeriTune

[11]: Desert - PeriTune

[12]: Music-box_Gentle2 - PeriTune

[13]: ninja brain - Topic - YouTube

[14]: [5]のABOUTタブを参照。

[15]: shizuka/ninja brain - mysound

5.3 謎の作曲者shinji mikami様について

mysoundにてshinji mikami様について検索すると、Sleepy Catとninja brainの他にも、次のアーティストがヒットします[1]†1

  • strong samurai[2]

  • New Forms[3]

  • naked force[4]

  • feel so sleep[5]

  • SAMURAI SPIRITS[6]

  • the soul of ninja[7]

これらアーティストのアルバムの販売は、どれもTuneCore Japanが統括しています[2-7]†2。このうち、strong samurai以外については、YouTube内にTopicチャンネルが存在しており[8-12]†3、アルバム内の楽曲を無料視聴できます。

きりがないため詳細は省略しますが、自作スクリプトで確認作業を効率化することにより、以下のことも分かっております。ただし、無断販売であるか、ご本人様に確認は取っておりません。

  • feel so sleepのアルバム「feel so sleep」において、12曲のうち少なくとも6曲はPeriTune様の楽曲と一致する。

  • naked forceのアルバム「naked force」において、13曲のうち少なくとも7曲はPeriTune様の楽曲と一致する。

  • 他の四つのアーティストが販売するアルバムには、私が確認した限りは、PeriTune様が配布しているフリー音源は含まれていない。

脚注

†1: あくまで作曲者名が一致するだけです。単なる同姓同名の可能性もあります。

†2: TuneCore Japanを介した楽曲販売は、特に同人音楽界隈ではデファクトスタンダートといっても過言ではないため、「たまたま複数の同姓同名のshinji mikami様がTuneCore Japanを利用している」可能性は大いにあります。

†3: 何れもTuneCore Japan提供の自動生成チャンネルであるため、これ自体は何も示唆しません。

参考文献

[1]: shinji mikami site:http://mysound.jp/ - Google検索

[2]: strong samurai - TuneCore Japan

[3]: New Forms - TuneCore Japan

[4]: naked force - TuneCore Japan

[5]: feel so sleep - TuneCore Japan

[6]: SAMURAI SPIRITS - TuneCore Japan

[7]: the soul of ninja - TuneCore Japan

[8]: New Forms- Topic - YouTube

[9]: naked force- Topic - YouTube

[10]: feel so sleep - Topic - YouTube

[11]: SAMURAI SPIRITS - Topic - YouTube

[12]: the soul of ninja - Topic - YouTube

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