日本語スタイルガイド(第3版)から気を付けたほうがよさそうなポイントをピックアップ。
むやみに合成語は作らないほうがいい
- 自動詞と他動詞を意識する
- 述語としての他動詞には「~を」のような目的語を伴う(無意識に省略するのはよくない)
助動詞 | 意味 |
---|---|
れる、られる | 受け身、可能、自発、尊敬 |
せる、さえる | 使役 |
ない(ぬ) | 打ち消し |
た(だ) | 過去、完了 |
う、よう | 推量、意思 |
らしい | 推定 |
たい、たがる | 希望 |
ます | 丁寧 |
た、だ | 過去、完了、存続 |
だ、です | 断定 |
ようだ、みたいだ | 推定、例示 |
そうだ | 伝聞、様態 |
「れる、られる」は意味が多いので、不明確な文にならないように気を付ける。
- 格助詞:活用のない名詞、代名詞などに接続する
- 文節と分節の関係を示す
- が、や、の、を、に、へ、と、で、から、より
- 副助詞:いろいろな品詞に接続する
- いろいろな意味を付け加える
- は、も、さえ、でも、しか、まで、ばかり、だけ、ほど、くらい(ぐらい)、など、こそ、か
- 接続助詞:動詞、形容詞、形容動詞、助動詞に接続する
- 前後の文節(連文節)をつなぐ
- ても(でも)、て(で)、ながら、たり(だり)、から、が、けれど(けれども)、し、t、のに、ので、ば
- 終助詞:文の終わりの語に接続する
- 疑問、禁止などの意味を加える
- か、な、の、よ、ね、さ
格助詞「に」:場所、時、結果、動作、受け身、使役の相手、帰着点、並立など 格助詞「で」:場所、時、手段、原因、理由、限度など
文中に同じ助詞が複数回出てくるとわかりにくい
形式名詞:「故障したとき」の「とき」 補助動詞:「基本である」の「ある」
できるだけ複雑な文は避けよう
- 短文
- 主語・述語の関係が1つで成り立っている
- AはBだ
- 重文
- 主語・述語の関係が2つ以上、並立の関係になっている
- AはBで、CはDだ
- 複文
- 主語・述語の関係が2つ以上、並立の関係になって いない
- AがBなのでCがDだった
- AはBをCします
意味 | 具体例 |
---|---|
順接 | したがって、それで、すると、そこで、よって |
逆接 | しかし、ところが、だが、とはいえ |
並立 | また、および |
添加 | なお、それから、そして、しかも、それに |
説明 | ただし、なぜなら、つまり、いわば |
対比・選択 | あるいは、それとも、または |
転換 | ところで、さて、では |
- 数えられるものや任意の数に置き換えられるものは算用数字を使う
- 熟語、成句、概数、固有名詞などには漢数字を使う
第1四半期、みたいな使い方もあるという
- 主体から見て自動的に行われる動作は受動的に表現する
- なんらかの行為の結果は受動態にする
○○をさせます、じゃなくて、○○をします
文を接続助詞(ば、ので、が、と)でつなぐと複数の内容になりやすいので注意
「〇〇し、」や「○○しており、」みたいに前後の文をつなぐと長くなりやすい。
主語と述語を近づけると何がどうしたのか明確になる。
主語と述語が対応していない文は意味がわからなくなる
入れ子にして日本語のパースを難しくするのはよくない。 意味の切れ目に当店「、」を入れてもいい。
🆖 目立つ赤い色のスイッチ 🆗 赤い色をした、目立つスイッチ 🆗 目立つ赤い色をした、スイッチ
- 長い修飾語・修飾部は前にする
- 時を示す修飾語・修飾部は短くても前に出す
- (状況を俯瞰してより広い範囲を示す言葉を前に出すといいみたい)
🆖 コンパクトな多くの編集機能を搭載した複合機 🆗 多くの編集機能を搭載した、コンパクトな複合機
🆖 価格が約1/2の、先週発売された新製品 🆗 先週発売された、価格が約1/2の新製品
文を2つにしてもいい
- 「が」は格助詞、「は」は副助詞
- 「AはBである」なら同等であることを示す
- このシステムは、セキュリティ機能が充実している
- 「AがBである」なら行為や動作の主体を示す
- 🆖 利用者は変更を行う
- 🆗 利用者が変更を行う
- 「AはBである」なら同等であることを示す
- 「で」には場所や時や道具や手段を示す以外に、限定の意味を示すこともある
- 3つ以上続く場合は言い換えたほうがいい
- 「に」は動作の目標や到着店を示すときに使う
- 「へ」は方向を示すときに使う
- 「より」は比較を示す場合に使うようにして、起点を示す場合には使わないほうがいい
- 「の」は所有を示す
- AのB
- 所有以外で「の」を使っている場合は別の表現にしたほうがいい
- 🆖 弊社の推奨する専用用紙をご使用ください
- 🆗 弊社が推奨する専用用紙をご使用ください
「~ば、」「~ので、」「~が、」「~と、」で文をつなぐと長くなってしまうので分けたほうがいい
「〇〇は」や「〇〇も」という主題の後に読点を打つと明確でリズムが出る
係り受け構造が曖昧なところに読点を打つとよい
漢字が続くとか、平仮名が続くとか、そういうところの境目に打つ
読点が並列を示すことになる
🆗 実は、昨日も目標値をクリアできませんでした
「が」「と」「たり」などの後ろに打つ。
(「たり」は必ず「〇〇たり、〇〇たりする」という表現にする)
🆗 書式を設定したり、罫線を引いたりします 🆗 AをXの後ろに配置し、BをYの先頭に移動します
意味をはっきりさせるため
意味をはっきりさせるため
「~しないと、~しない(できない)」が二重否定。
全体否定(全部を配布しない)、部分否定(全部ではないが一部を配布する)をはっきりさせる
🆖 新製品のサンプルは、全部配布しないでください 🆗 (全体否定)新製品のサンプルは、まったく配布しないでください 🆗 (部分否定)新製品のサンプルは、一度に全部を配布しないでください
全体否定(どれもできなかった)、部分否定(できないものがあった)をはっきりさせる
🆖 テストの問題は、全部できなかった 🆗 (全体否定)テストの問題は、全部ができなかった 🆗 (部分否定)テストの問題は、全部できたわけではなかった
- 一般動詞の可能表現は「~ことができる」を使用する
- 🆖 見られる
- 🆗 見ることができる
- 🆖 読める
- 🆗 読むことができる
- 動作名詞(サ変名詞)は「~できる」を使用する
- 🆖 利用することができる
- 🆗 利用できる
- 🆖 設定することができる
- 🆗 設定できる
- 「~ら」「~をはじめ」「以下」は「~を含む」にする
- 🆖 監督ら12名
- 🆖 監督をはじめとする12名
- 🆗 監督を含む12名
- 🆖 監督他12名
- 🆗 監督を含む13名
- 「未満」「~を超えて」は基準の数値を含む「以下」「以上」にする
- 🆖 20人未満
- 🆗 19人以下
- 🆖 20人を超えた場合は
- 🆗 21人以上の場合は
- 「まで」と「までに」を使い分ける
- (格助詞「に」が付くか付かないかで意味が変わる)
- 「まで」は期間や場所の終端を示す
- 来週まで書類を書く(意味:来週まで書き続ける)
- 「までに」は許容範囲の終端を示す
- 来週までに書類を書く(意味:来週までのどこかで終わらせる)
- 「あいだ」「あいだに」も同様
「これ」「それ」「これら」「それら」などの指示語は使わない。 具体的な言葉で表現する。
複数の解釈ができてしまうから使わない
🆖 AまたはBとCです(A or (B and C) あるいは (A or B) and C) 🆗 Aだけ、またはBとCです(A or (B and C)) 🆗 AまたはB、それにCです((A or B) and C)
「~たり、~たり」は必ず対応させる。 「~と、~を」ではなく「~と、~とを」にする
- まず初めに、電源を入れます
- 「まず」と「初めに」
- 必ず必要です
- 「必ず」と「必要」
- 各部署ごとに
- 「各」と「ごとに」
- あらかじめ予定していた
- 「あらかじめ」と「予定」
- 価格が値下がりした
- 「価格」と「値」
🆖 不足の事態を予測して行動する
不足の事態は予測できない。予測するのではなく備える。
- 「のみ」
- 🆖 効率性のみを優先する
- 🆗 効率性だけを有線する
- 「すら」
- 🆖 文字すら書けない
- 🆗 文字も書けない
- 「だに」
- 🆖 微動だにしない
- 🆗 まったく動かない
- 「~せぬよう」
- 🆖 スイッチを切断せぬよう
- 🆗 スイッチを切断しないよう
- 「いかなる」
- 🆖 いかなる場合も
- 🆗 どのような場合も
大前提に「場合」を、さらに細分化した前提に「とき」を区別して使用する。
🆖 Aに以上があるとき、1年以内にBである場合は、自動的にCできます 🆗 Aに以上がある場合、1年以内にBであるときは、自動的にCできます
動作名詞(サ変名詞)には「行う」を付けない
🆖 初期化を行う 🆗 初期化する
🆖 設定を行う 🆗 設定する
🆖 Aを使用するという方法もある 🆗 Aも使用できる