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@yuta-aoyagi
Created August 24, 2012 23:52
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\newtheorem{definition}{定義}[section]
\newtheorem{theorem}[definition]{定理}
\title{圏論を学ぶ}
\author{青柳 悠太}
\date{2012年7月8日~}
\begin{document}
\maketitle
\section*{はじめに}
[2012-08-25 Sat.]
この文章は私が圏論を勉強している過程で取ったノートを清書したものである.
勉強中の私が書いているため誤りがあるかもしれないので, 見つけた場合は指摘していただけると大変ありがたい.
教科書としては「層・圏・トポス」(竹内外史)を中心に用い, 「檜山正幸のキマイラ飼育記」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama)を随所で参考にしている.
\section{圏の定義と具体例}
[2012-07-08 Sun.]
\begin{definition}
集合あるいはクラス$\Obj(\mathbf{C})$, $\Mor(\mathbf{C})$について以下の条件が成り立つとき, $\mathbf{C}$を{\bf 圏}という.
$\Obj(\mathbf{C})$と$\Mor(\mathbf{C})$はそれぞれ, 混乱が生じない限り短く$|\mathbf{C}|$や$\mathbf{C}$そのものと書く.
また, $|\mathbf{C}|$と$\mathbf{C}$の元のことを, それぞれ{\bf 対象}, {\bf 射}という.
\begin{itemize}
\item {\bf 域・余域}.
写像$\dom, \cod: \Mor(\mathbf{C}) \to \Obj(\mathbf{C})$が定義される.
射$f \in \mathbf{C}$について$\dom(f) = A$かつ$\cod(f) = B$であることを$f: A \to B$あるいは$A \stackrel{f}{\to} B$と表す.
\item {\bf 合成}.
射$f, g \in \mathbf{C}$について, $\dom(g) = \cod(f)$のとき, またこのときに限り$g \circ f$なる射が存在する.
$g \circ f$は短く$gf$とも書く.
\item {\bf 合成射の域・余域}.
$g \circ f$が定義されるならば, $\dom(g \circ f) = \dom(f), \ \cod(g \circ f) = \cod(g)$が成り立つ.
したがって, $f: A \to B, \ g: B \to C$ならば$\xymatrix{A \ar[r]^f \ar@/_/[rr]_{g \circ f} & B \ar[r]^g & C}$となる.
\item {\bf 合成射の結合律}.
$A \stackrel{f}{\to} B \stackrel{g}{\to} C \stackrel{h}{\to} D$のとき$h \circ (g \circ f) = (h \circ g) \circ f$が成り立つ.
したがって, 3つ以上の射の合成は合成の順序によらず一意であり, 式から括弧を省略することができる.
\item {\bf 恒等射}.
任意の対象$B \in |\mathbf{C}|$について{\bf 恒等射}と呼ばれる射$\id_B: B \to B$が存在する.
恒等射は, 合成が定義される任意の$A, C, f, g$について
\[\xymatrix{
A \ar[r]^f \ar[dr]_f & B \ar[r]^g \ar[d]^(0.4){\id_B} & C \\
& B \ar[ur]_g &
}\]
の図が可換となる.
すなわち, $f = \id_B \circ f, \ g = g \circ \id_B$が成り立つ.
\end{itemize}
\end{definition}
[2012-09-06 Thu.]
\begin{definition}
$\Obj(\Sets)$をすべての集合のクラス, $\Mor(\Sets)$を集合の間の写像すべてからなるクラスとする.
$f: A \to B$を写像とするとき$\dom(f) := A, \ \cod(f) := B$で域・余域を定義する.
$f, g$を写像として合成写像$g \circ f$が存在する条件は$\dom(g) = \cod(f)$なので, これを射の合成と定義する.
すると対象$A$に対応する恒等射$\id_A$は集合$A$上の恒等写像となる.
以上で定められた$\Sets$が圏をなすことはほとんど自明であろう.
この圏は{\bf 集合の圏}などとよばれる.
\end{definition}
[2012-09-08 Sat.]
\begin{definition}
対象を任意の群あるいはAbel群として, $f: A \to B$なる射は$A$から$B$への群準同型あるいはAbel群の準同型とすれば圏が得られる.
この圏はそれぞれ{\bf 群の圏}, {\bf Abel群の圏}とよばれ, $\Gr, \Ab$と表す.
\end{definition}
\begin{definition}
$\mathbf{C}_1, \mathbf{C}_2$を圏とするとき, 新しい圏$\mathbf{C}_1 \times \mathbf{C}_2$を次のように定義する.
まず対象全体の集合またはクラスを
\[\Obj(\mathbf{C}_1 \times \mathbf{C}_2) := \{ (A, B) \ | \ A \in |\mathbf{C}_1|, B \in |\mathbf{C}_2| \}\]
で定義する.
次に射全体の集合またはクラスを
\[\Mor(\mathbf{C}_1 \times \mathbf{C}_2) := \{ (f, g) \ | \ f \in \mathbf{C}_1, g \in \mathbf{C}_2 \}\]
で定義する.
そして$\dom(f, g) := (\dom(f), \dom(g)), \ \cod(f, g) := (\cod(f), \cod(g))$で域・余域を定義する.
ただし, この式においてペアの前半は$\mathbf{C}_1$に関する, 後半は$\mathbf{C}_2$に関する域・余域である.
ここまで定義すれば合成は$(h, k) \circ (f, g) := (h \circ f, k \circ g)$, 恒等射は$\id_{(A, B)} := (\id_A, \id_B)$と自然に定義され, $\mathbf{C}_1 \times \mathbf{C}_2$は圏となる.
この圏を$\mathbf{C}_1$と$\mathbf{C}_2$の{\bf 直積の圏}という.
\end{definition}
[2012-09-09 Sun.]
\begin{definition}
$\mathbf{C}$が圏のとき, 次のように定義される圏を$\mathbf{C}^{\op}$で表し, $\mathbf{C}$の{\bf 双対圏}という.
まず, 対象と射は$\Obj(\mathbf{C}^{\op}) := |\mathbf{C}|, \ \Mor(\mathbf{C}^{\op}) := \mathbf{C}$であるとする.
そして$f \in \mathbf{C}^{\op}$について$\dom(f)$は$\mathbf{C}$における$\cod(f)$であり, $\cod(f)$は$\mathbf{C}$における$\dom(f)$であるとする.
すなわち, $\mathbf{C}^{\op}$で$f: A \to B$であるための必要十分条件を$\mathbf{C}$で$f: B \to A$であることと定める.
すると, $\mathbf{C}$で$C \stackrel{g}{\to} B \stackrel{f}{\to} A$であるとき$\mathbf{C}^{\op}$では$A \stackrel{f}{\to} B \stackrel{g}{\to} C$となり, 合成$g \circ f$が定義できる.
また, 簡単な考察により, $\mathbf{C}$での恒等射はそのまま$\mathbf{C}^{\op}$で恒等射となる.
以上より, $\mathbf{C}^{\op}$は圏をなし, そして$\mathbf{C}$における射の矢印と合成の向きを反対にしたものであることが分かる.
\end{definition}
[日付不明だが少なくとも2012-07-08 Sun.から2012-07-10 Tue.の間]
この文章で初めての定理は, 次に示す簡単なものである.
\begin{theorem}
$B$を圏$\mathbf{C}$の任意の対象とし, $h: B \to B$を任意にとる.
もし任意の$A \in |\mathbf{C}|, \ f(: A \to B) \in \mathbf{C}$について$f = h \circ f$が成り立つか, あるいは, 任意の$C \in |\mathbf{C}|, \ g(: B \to C) \in \mathbf{C}$について$g = g \circ h$が成り立つならば, $h = \id_B$である.
proof.
前者の条件, すなわち任意の$A$と$f: A \to B$について$f = h \circ f$が成り立つとする.
$A$として$B$を, $f$として$\id_B$をおくと, $\id_B = h \circ \id_B$である.
恒等射の定義より$h \circ \id_B = h$であるから, 前の式と合わせて$h = \id_B$である.
後者の条件に関しても同様である.
QED.
\end{theorem}
この定理からただちに, 合成される射を変えないという性質を持つ射は恒等射に限るということが分かる.
\section{monic射}
[2012-07-08 Sun.]
\begin{definition}
ある圏において
\[\xymatrix{D \ar@/^/[r]^{f_1} \ar@/_/[r]_{f_2} & A \ar[r]^m & B}\]
なる任意の$D, f_1, f_2$について, $m \circ f_1 = m \circ f_2$ならば$f_1 = f_2$であるとき, そのときに限り, 射$m: A \to B$は{\bf monic}であるという.
\end{definition}
[2012-07-14 Sat.]
\begin{theorem}
圏$\Sets$の射$m: A \to B$について, $m$がmonicであるための必要十分条件は$m$が写像として単射であることである.
proof.
(必要性)
$m$をmonicであると仮定する.
もし$A = \emptyset$ならば$m$は定義域が空の写像であるから単射である.
よって以下では$A$が空でない場合を考える.
$m(a) = m(b)$なる$a, b \in A$を任意にとる.
そしてこのような$a, b$は$a = b$に限るということを以下で示す.
$D := \{ a \}$とおくと$D$は集合だからこの圏の対象である.
次にこの圏の射, すなわち写像$f_1, f_2: D \to A$を$f_1(a) = a$, $f_2(a) = b$で定義する.
以上のように定めると, $(m \circ f_1)(a) = m(f_1(a)) = m(a) = m(b) = m(f_2(a)) = (m \circ f_2)(a)$が成り立つから$m \circ f_1 = m \circ f_2$である.
$m$はmonicであると仮定したから, これより$f_1 = f_2$が成り立つ.
したがって, $m(a) = m(b)$ならば$a = b$が言える.
以上より, $m$がmonicならば$m$は写像として単射である.
(十分性)
$m$を単射であると仮定する.
対象$D$と射$f_1, f_2: D \to A$を$m \circ f_1 = m \circ f_2$が成り立つようにとる.
$D = \emptyset$ならば$f_1, f_2$はともに定義域が空の写像であるから$f_1 = f_2$が言える.
そうでなければ, 任意の$d \in D$について$m(f_1(d)) = m(f_2(d))$であるから, $m$が単射であることより$f_1(d) = f_2(d)$が成り立つ.
したがって$f_1 = f_2$である.
よって$D$が空であるか否かに関わらず, $m \circ f_1 = m \circ f_2$ならば$f_1 = f_2$が成り立つ.
以上より, $m$が写像として単射ならば$m$はmonicである.
QED.
\end{theorem}
[2012-07-29 Sun.]
\begin{theorem}
圏$\Gr, \Ab$の射$m: A \to B$について, $m$がmonicであるための必要十分条件は$m$が写像として単射であることである.
proof.
十分性の証明は上の定理とほぼ同様であるから, 必要性のみ示す.
$m$をmonicであると仮定する.
この圏の対象は群・Abel群であるからいつでも単位元が存在するので$A \neq \emptyset$である.
$m(a) = m(b)$なる$a, b \in A$を任意にとる.
そしてこのような$a, b$は$a = b$に限るということを以下で示す.
$a, b, a^{-1}, b^{-1}$の0個以上の積すべてからなる集合を$D$とする.
すなわち
\[ D := \bigcup_{n = 0}^{\infty} \{ a, b, a^{-1}, b^{-1} \}^n \]
とする.
これは圏が$\Gr$ならば$A$の部分群, 圏が$\Ab$ならば$A$の部分Abel群となるので, 圏の対象である.
$D \subseteq A$であるから, $f_1: D \to A$をその包含写像とする.
また$f_2: D \to A$を次のように定義する.
\[ \begin{array}{l}
f_2: d \mapsto \overline{d_1} \ \overline{d_2} \cdots \overline{d_n} \\
\text{ただし, }d \text{と等しくなる}a, b, a^{-1}, b^{-1} \text{の積のうち, 標準順序で最小のものを}d_1d_2\cdots d_n \text{で表す.} \\
n \text{はその積の因子の数である.} \\
\text{また, } \overline{t} =
\begin{cases}
b & (t = a) \\
a & (t = b) \\
b^{-1} & (t = a^{-1}) \\
a^{-1} & (t = b^{-1})
\end{cases}
\text{とする.}
\end{array} \]
定義より明らかに, $f_1, f_2$はともに群準同型またはAbel群の準同型であるから, 圏の射である.
$m$は群準同型であるから$m(a^{-1}) = m(a)^{-1}, m(b^{-1}) = m(b)^{-1}$である.
これに仮定$m(a) = m(b)$を用いると$m(a^{-1}) = m(b^{-1})$が分かる.
したがって$t = a, b, a^{-1}, b^{-1}$について, $m(\overline{t}) = m(t)$が成り立つ.
さて, 任意に$d \in D$をとり$\{ d_i \}$と$n$を定めると,
\begin{eqnarray*}
m(\overline{d_1} \ \overline{d_2} \cdots \overline{d_n}) &=& m(\overline{d_1}) m(\overline{d_2}) \cdots m(\overline{d_n}) \quad (m \text{は群準同型であるから}) \\
&=& m(d_1) m(d_2) \cdots m(d_n) \quad (\text{上のパラグラフより}) \\
&=& m(d_1 d_2 \cdots d_n) = m(d)
\end{eqnarray*}
が成り立つ.
$f_1(d) = d = d_1 d_2 \cdots d_n, \ f_2(d) = \overline{d_1} \ \overline{d_2} \cdots \overline{d_n}$に注意すると, 上の式から$(m \circ f_1)(d) = m(f_1(d)) = m(d) = m(f_2(d)) = (m \circ f_2)(d)$を得る.
これは任意の$d \in D$について成り立つから$m \circ f_1 = m \circ f_2$である.
$m$はmonicであると仮定したから, これより$f_1 = f_2$が成り立つ.
よって, $a = f_1(a) = f_2(a) = b$となる.
したがって, $m(a) = m(b)$ならば$a = b$が言える.
以上より, $m$がmonicならば$m$は写像として単射である.
QED.
\end{theorem}
\section{同等な対象}
[2012-07-08 Sun.]
\begin{definition}
圏$\mathbf{C}$の対象$A, B$について, 射$f: A \to B, \ g: B \to A$が存在して$g \circ f = \id_A, \ f \circ g = \id_B$が成り立つとき, またそのときに限り$A$と$B$は$\mathbf{C}$の中で{\bf 同等}であるという.
[2012-09-20 Thu. この部分はWikipedia - 圏\_(数学)による]
$A$と$B$が$\mathbf{C}$の中で同等であることは{\bf 同型}であるともいい, $A \cong B$と表す.
\end{definition}
[2012-09-21 Fri.]
同等性の定義と集合論の定理より, 圏$\Sets$の中で同等である対象(集合)の間には全単射が存在し, したがってそれらの濃度は等しいことが分かる.
また一般に次のことが言える.
[2012-07-24 Tue.]
\begin{theorem}
圏$\mathbf{C}$の対象において, $\mathbf{C}$の中で同等であるという関係は同値関係である.
proof.
任意の$A \in |\mathbf{C}|$について, $f := g := \id_A$とおくと, $g \circ f = f \circ g = \id_A$であるから$A \cong A$であり, $\cong$は反射的である.
同等性の定義から明らかに, $\cong$は対称的である.
$A \cong B, \ B \cong C$なる任意の$A, B, C \in |\mathbf{C}|$をとると, 射$f: A \to B, \ g: B \to A, \ h: B \to C, \ k: C \to B$が存在して,
\[ g \circ f = \id_A, \ f \circ g = \id_B, \ k \circ h = \id_B, \ h \circ k = \id_C \]
\[\xymatrix{A \ar@/^/[r]^f & B \ar@/^/[r]^h \ar@/^/[l]^g & C \ar@/^/[l]^k}\]
となる.
よって,
\[ (g \circ k) \circ (h \circ f) = g \circ (k \circ h) \circ f = g \circ \id_B \circ f = g \circ f = \id_A \]
\[ (h \circ f) \circ (g \circ k) = h \circ (f \circ g) \circ k = h \circ \id_B \circ k = h \circ k = \id_C \]
が成り立ち, $A \cong C$となる.
したがって$\cong$は推移的である.
以上より$\cong$は同値関係である.
QED.
\end{theorem}
\section{対象の直積}
[2012-07-08 Sun.]
\begin{definition}
圏$\mathbf{C}$の対象$A, B$について, 次の性質を満たす対象$X \in |\mathbf{C}|$が存在するとき, $X$を$A$と$B$の{\bf 直積}という.
(1)$\xymatrix{A & X \ar[l]_{\pi_1} \ar[r]^{\pi_2} & B}$なる射$\pi_1, \pi_2$が存在する.
(2)
\[\xymatrix{
A & X \ar[l]_{\pi_1} \ar[r]^{\pi_2} & B \\
& C \ar[ul]^f \ar[ur]_g \ar@{-->}[u]_h &
}\]
上の図の実線部が可換になるような任意の$C, f, g$について, $f = \pi_1 \circ h, \ g = \pi_2 \circ h$となるような$h$が一意に存在する.
この$h$を$\langle f, g \rangle$で表す.
\end{definition}
\begin{theorem}
$\mathbf{C}$を圏とする.
対象$A, B \in |\mathbf{C}|$の直積であるような対象は, 存在すればすべて互いに$\mathbf{C}$の中で同等である.
[2012-07-24 Tue.]
proof.
$A$と$B$の直積を任意にとり$C, D \in |\mathbf{C}|$とする.
この$C$と$D$が$\mathbf{C}$の中で同等であればよい.
まず, 直積の定義から射$\pi_{c1}: C \to A, \ \pi_{c2}: C \to B, \ \pi_{d1}: D \to A, \ \pi_{d2}: D \to B$が存在する.
$C$は直積であり$\xymatrix{A & D \ar[l]_{\pi_{d1}} \ar[r]^{\pi_{d2}} & B}$であるから, 射$d: D \to C$が一意に存在して
\[ \pi_{d1} = \pi_{c1} \circ d, \ \pi_{d2} = \pi_{c2} \circ d \]
が成り立つ.
同様にして, $\pi_{c1} = \pi_{d1} \circ c, \ \pi_{c2} = \pi_{d2} \circ c$なる射$c: C \to D$が一意に存在する.
したがって, $\pi_{c1} = \pi_{c1} \circ d \circ c, \ \pi_{c2} = \pi_{c2} \circ d \circ c$である.
$C$と$D$は対称であるから, これらが$\mathbf{C}$の中で同等であることをいうには, $d \circ c = \id_C$を示せば十分である.
\[\xymatrix{
& C \ar[dl]_{\pi_{c1}} \ar[dr]^{\pi_{c2}} \ar@{-->}@/_/[dd]_c \\
A & & B \\
& D \ar[ul]^{\pi_{d1}} \ar[ur]_{\pi_{d2}} \ar@{-->}@/_/[uu]_d
}\]
ここで$f := \pi_{c1}, \ g := \pi_{c2}$とおくと, $f: C \to A, \ g: C \to B$であるから
\[ f = \pi_{c1} \circ h, \ g = \pi_{c2} \circ h \]
なる射$h: C \to C$が一意に存在する.
ところで, 恒等射の定義から$f = \pi_{c1} \circ \id_C, \ g = \pi_{c2} \circ \id_C$であり, $h$は一意であるから$h = \id_C$である.
また, 前の段落より$f = \pi_{c1} \circ d \circ c, \ g = \pi_{c2} \circ d \circ c$でもあるから, $h = d \circ c$である.
したがって$d \circ c = \id_C$が成り立つ.
QED.
\end{theorem}
対象$A, B$の直積の一つを$A \times B$と表す.
$X$を$A$と$B$の任意の直積とすると, 上の定理より$A \times B$の選び方に関わらず$X \cong A \times B$が成り立つ.
すなわち, $A \times B$は同型を除いて一意に定まる.
\end{document}
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