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 ままならない心なんて持たない機械になりたい。そんな思いを抱く不登校の女子大生、青山希海の前に突然現れたアンドロイドの少女リコ。主人と記憶を喪い廃棄寸前のリコを引き取った希海は、次第に彼女と心を通わせていく。
 しかしあるときリコの裸を目撃した希海は、彼女の製造目的に不信を抱きながらメーカーを訪れる。そこで閉律症と呼ばれる病のアンドロイドの少年に出会い、行きがかり上施術を担う。閉律症とは、心の中に形成された精神空間から目覚めなくなる病気。その治療方法は脳どうしを電子的に接続し、精神空間でだけ発揮できる異能力によって連れ戻す〈ルーミング〉。施術に成功した希海は、担当者からリコの設計思想を聞き出す。「人間に限りなく近い心の機械を造ること」それは希海の思いと相容れないものだった。なぜ人はアンドロイドを人の似姿として造ったのか? そんなリコの問いに希海は答える言葉がない。
 クリスマスイブを一緒に過ごし、心が近づくのを感じたふたりのもとに鳴り響く電話。希海は大学に戻らざるをえなくなり、時を同じくしてリコの記憶が戻る。かつての主人の死という真実に打ちのめされたリコと諍いになる希海。そしてリコは、精神的ショックから閉律症に罹患してしまう。
 リコを助けるためルーミングに挑む希海だったが、それを拒むリコの強力な能力に為すすべもない。幾度となく斃され、それでも立ち上がる希海の耳にリコの独白が響く。「心なんてない機械に生まれたかった」それは、希海の思いと同じものだった。同じ存在であるリコを、だからこそ救わなければと決意した希海は、最後の力で閉じた精神空間を打ち破る。
 その後、回復したリコとともに歩く希海は、ひとつの答えをリコに語る。人はどうしようもない喜びや悲しみを、それでも分かち合う存在が必要だったのだ、と。そして、同じ心(ハードプロブレム)を抱えるふたりは、ともに手を握り合う。
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