箱から出した直後のNexus 7は、おそらく電源が切れている状態だと思われるが、全盲のユーザーの場合、その確認をすることは簡単ではない。また、電源ボタンを押した後、電源が入ったどうかを確実に知るのも、そのままでは難しい。iPhoneの場合は、マナーモードに切り替えるスイッチを動かしてみると、電源が入っている場合にはバイブレーターが振動するので確実に分かるのだが、少なくともNexus 7にはそのようなスイッチはないので、同じ方法は使えない。
Nexus 7の場合は、本体手前側の側面中央にあるマイクロUSBの端子をPCにつないでみることで、電源の状態を把握できる。電源が入っていなければ特に何も起こらないが、電源が入っていればPC側でディバイスを認識した時の音がして、Windowsであればマイコンピュータに「Nexus 7」が表示されるようになる。
端末によっては、電源が入っていない時にもストレージ・ディバイスとして認識されるようになっているような機種もあるのかもしれないが、この方法が使える端末は少なくないと思われる。
電源が入った状態では初期設定の画面が表示されているものと思われる。Android 4.1以降の初期設定画面では、以下の操作をすることでAndroidのスクリーン・リーダー、TalkBackを有効にすることができる。
- 画面の任意の場所を2本指で触る。このとき、2本の指は少し間隔を開けた位置に触れるようにする。
- しばらく画面に触れ続けていると、英語の合成音声で、「アクセシビリティー機能を有効にするには2本指で画面に触れ続けてください」というような意味のアナウンスがあるので、さらにしばらく同じ位置に触れ続ける。
- 数秒でTalkBackが有効になり、その旨の音声がながれる。
日本語の音声合成エンジンとしては、クリエートシステム開発の「ドキュメントトーカー」(有料、本稿執筆時点の価格は990円)と、KDDI研究所の「N2 TTS」(無料)の二つがあるが、動作の安定性などから前者をインストールするのがよいだろう。以下のいずれかの方法でインストールすることができる。
方法1: Nexus 7上で、「Play Store」を開き、「dtalker Japanese TTS」を検索してインストール。
方法2: PCなど別の端末でGoogle Play Storeにアクセスし、「ドキュメントトーカー」を検索し、インストール。※
※Androidの場合、iOSとは異なり、そのアプリケーションをインストールする端末以外の端末からPlay Storeにアクセスして、インストール対象の端末を指定してアプリケーションをインストールすることができる。これまでAndroidを使ったことがないような場合は、PCからアクセスし、クレジットカードの登録や実際の購入、インストール作業をする方が簡単である。
ドキュメントトーカーの場合も、N2 TTSの場合も、初めて利用する場合には初期化作業が必要となる。ドキュメントトーカーの場合は、読み上げ辞書のダウンロードが必要で、N2 TTSの場合は使用許諾条件に同意する必要がある。
ドキュメントトーカーの読み上げ辞書のダウンロードは、ドキュメントトーカーをインストールした際に作成されるアイコンをタップすると自動的に行われる。
- ホームボタンの真上にある「Apps」をタップ。 (TalBackが有効な場合はダブルタップ、以下同じ)
- ドキュメントトーカーのアイコンをタップ。ドキュメントトーカーのアイコンに付与されているラベルは日本語のため、英語環境では読み上げられないが、画面上を右にスワイプして、YouTubeのアイコンの次のアイコンをダブルタップすればよい。
これで自動的に音声辞書のダウンロードが実行される。
以下の手順で、音声合成エンジンを英語から日本語のものに切り替える。
- 「Apps」をタップ。
- 「Settings」をタップ。
- 「Language and Input」をタップ。
- 「Text To Speech Output」をタップ。
- 「DTalker TTS」をタップ。
- アラートが表示されるので、「OK」をタップ。
以下の手順で、システム言語を英語から日本語に切り替える。
- 「Apps」をタップ。
- 「Settings」をタップ。
- 「Language and Input」をタップ。
- 「Language English (United States)」をタップ。
- 「日本語」をタップ。日本語はリストの最下部にあるので、2本指で上向きにスワイプして画面をスクロールさせる必要がある。