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@mizchi
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ヴァンサバに至るローグライクとハクスラの歴史

これはポ鯖アドベントカレンダーの1日目の記事。

ヴァンサバはいとこ同士の子だという話をするために、ハクスラとローグライトの話をしたい。

本記事は身内の友人向けの記事なので、主観が強く、記事の正確性は重要視していない。それについてはご勘弁願いたい。


では、話をしよう。

ハックアンドスラッシュ、通称ハクスラには2つの開祖がいる。

ローグと「古典的ローグライク」

https://store.steampowered.com/app/1443430/Rogue/?l=japanese

一つはローグ。古より語り継がれるローグライクの祖だ。ランダム生成のダンジョン、ランダム生成のアイテム、アスキーアートによる見下ろしのマップ描写が特長だ。これは現代のローグライクにも受け継がれている特長だが、これ自体はリプレー性を狙ったものではなく、1980年代当時の少ないコンピューターリソースでなんとかゲームとして成立させようとした苦肉の策だった。

現在ではソースコードが現存せず、それを移植したローグクローン、そしてローグクローンを改造したローグライク(今で言う古典的ローグライク)というジャンルを生み出した。ローグライク系列はプログラマ文化に根ざしているのが特徴で、そもそもが勝手なクローンが始まりなせいだろうか、いわゆるオープンソースとして扱われてきた。特に 1980年代からアメリカのコンピューターサイエンス系の大学生の間で流行したと伝聞している。時代背景もありダンジョンズアンドドラゴンズや指輪物語などのエッセンスを吸収しながら成長していった。

現代でも古典的ローグライクの系統は生き残っている。Tales of Maj'yal や Dungeon Crawl: Stone Soup、, サバイバル系のエッセンスを取り入れた Cataclysm DDA、 マインクラフトの元ネタ一つである Dwarf Fortress、日本で突然変異的に生まれた Elona などがある。

https://store.steampowered.com/app/259680/Tales_of_MajEyal/?l=japanese

https://store.steampowered.com/app/975370/Dwarf_Fortress/?l=japanese

https://crawl.develz.org/

https://store.steampowered.com/app/2330750/Cataclysm_Dark_Days_Ahead/?l=japanese

とはいえ、流石にアスキーアートでは生き残れないのか、グラフィカルタイルにマウス操作対応なのが現代の古典的ローグライクのトレンドだ。

日本で一番有名な系列は不思議のダンジョン系だろう。チュンソフトの中村光一が、キーボードを前提とした複雑な操作体系のローグを、なんとか日本人に受け入れられる簡単な操作体系に落とし込み、成功した。

https://store.steampowered.com/tags/en/Mystery%20Dungeon/?l=japanese

そして Diablo 2 という呪いが生まれた

ハクスラの二番目の祖は Diablo 2。リアルタイムのアクションRPGとしては初代 Diablo で完成していたが、ローグから取り入れたランダム性によってライフタイムゲーム(長期間やり続けるゲーム、他にMMO や モンハン等)に変貌した。この時点では MMOではなくMOだが、そんなことはプレーヤーにとって大きな問題ではない。日夜レアアイテムを掘るプレーヤーたちが大量に生まれた。

https://diablo2.blizzard.com/ja-jp/

大量の敵をなぎ倒しながら、大量のドロップアイテムから装備を厳選して強くなっていく、このスタイルに魅了されてしまったプレーヤーは多く、なんなら「ハクスラ業界」は未だに Diablo 2 の夢を見ているといっても過言ではない。

現代の Diablo 2の直系は、 Diablo 4、 ではない。Grimdawn と Path of Exile だろう。どちらも Diablo 2 の精神的後継として成功している。本家はブリザードという会社が大きくなってしまった弊害で、マス向けのゲームデザインをしようしてカジュアルゲーマー向けにもコアゲーマー向けにも失敗するのを繰り返している。(諸説ある)

Grimdawn

https://store.steampowered.com/app/219990/Grim_Dawn/?l=japanese

Grimdawn はそのまま Diablo 2 直系といってもいい。一応オンライン要素もあるが、基本はソロゲームとして高難度のエンドコンテンツに挑んでいく。職業を2つ選んでどちらのスキルツリーにどれだけ配分するかがビルドの肝になっていて、またチャレンジをこなすと手に入るポイントで成長させる星座スキルがある。今現在のエンドコンテンツは、シャッタードレルム(SR)と呼ばれるアリーナでどれだけ深い深度の敵を倒せるかを競い合うゲームになっている。

2016年発売のやや古くなったゲームだが、開発も続いており 2024年には新拡張 Fangs of Asterkarn も予定されている。

Path of Exile

https://store.steampowered.com/app/238960/Path_of_Exile/?l=japanese

Path of Exile は今のハクスラと言ったらこれ!という作品。人々が Diablo 2 に夢見た部分が全部入っている。

ニュージーランド製のコテコテの洋ゲーなのだが、ゲームの基幹部分がなぜかFFっぽいのも特長で FF7のマテリアのを6リンクまで拡張した複雑なジェムシステムと、FF10 のスフィア盤を極端に拡大したような成長要素がある。一生同じキャラを育てるライフタイムゲームではなく、3ヶ月ごとのシーズン制で環境がリセットされるのも特長だ。

シーズン開始ごとにLv100に最速で到達するタイムアタックシーンがこのゲームの華だ。とはいえ普通のプレーヤーは1シーズンチャレンジして、相場が崩れてくる終盤に強いアイテムをマーケットで集めて Lv100到達できたらいいな、ぐらいのバランスになっている。

最近では中国市場で大当たりして、プレーヤーが爆伸びしてるらしく、今夏には Path of Exile 2 も出る。このゲーム、2013年からシーズンごとに新要素を継ぎ足ししてきた結果、とにかく座学が必要なのがネックなのだが、2 なら一度環境がリセットされるだろうし入りやすいだろう。


ここまでハクスラの話をしてきたが、これらのハクスラはゲームデザイン上大きな難点を抱えている。 それはつまり、効率を求めて同じことを繰り返すのでゲームプレーが硬直しやすい。つまり、飽きやすいのだ。

本質的に PDCA サイクルを繰り返すのがハクスラの本質のため、プレーヤーが望んでその状況に陥ってる側面もあるのだが、それに耐えられるかどうかは個々人の適性が必要だ。「心地よいマンネリ」に数十時間耐えきれるか?

この退屈さを打ち破るために、ゲーム業界はハクスラとは別の路線で「ローグライク」を再発明してきた。ランダム要素があるだけでもある種のローグライクと言ってしまえるのだが、ここでは特に後発の影響の大きさから Faster Than Light を取り上げたい。

FTL が現代にもたらしたもの

https://store.steampowered.com/app/212680/FTL_Faster_Than_Light/?l=japanese

Faster Than Light, FTL はミニマムな美学を感じるゲームだ。反乱軍として敵から宇宙船で逃げる、そのルート選択をするだけ。イベントマスやショップのマスがある現代でよく見るアレだ。敵の撃破やイベントの報酬で、自分の船を改造していく。最後まで逃げ切ったらクリア。

グラフィックは簡素で、自分の宇宙船と敵の宇宙船が映っているだけ。戦闘時はクルーに指示を出して砲座についたり、船内の火災に対応したりする。

1プレーが1時間に収まる短いサイクルになっているのが特長で、その1プレーの中で振れ幅が大きい。手に入る武器は別物だし、仲間になるクルーもランダム。最終的な宇宙船はほとんど別物になる。

ある意味で、ローグのリプレー性を切り取ったのが FTL になっている。インディーのゲーム開発は大手デベロッパーと比べてリソースが避けないので、少ない開発リソースで最大限の効果を得られている。

おそらくFTLだけの影響ではないとは思うが、FTL の「ミニマムなローグライク性」がインディーのゲームシーンに与えた影響は絶大で、現代のローグライトの基礎になっている。影響がわかりやすい作品に Hades や Slay the Spire が挙げられるだろう。

Vampire Survivor: ローグライトはハクスラを思い出した

Vampire Survivor, ヴァンサバがリリースされた時、こんなにも後発が出るゲームだと誰が思っただろうか?

簡素な見下ろしのゲーム画面に、ただ直線的に迫ってくるだけの敵。ハクスラを全部自動操作にして、プレーヤーが考えるのはビルド選択とマップ上の位置取りだけ。こんなゲームの何が面白いのか?

...

ハクスラのマンネリの行き着いた答えの一つに、「アクション要素はおまけでその本質はビルド選択」、というものがある。ハクスラは、極まるとある種のクッキークリッカーと化す。パッシブによるスキル実行、メカニクスに基づいたダメージ属性変換、ステージ特性に応じた綿密なセットアップ、その結果として生まれる、単調なワンボタンプレイ。

もちろんそうでないビルドもあるが、実際にハクスラのプレーヤー達が最初に目指すのが「トレハン用の観点操作お手軽ビルド」なのが、どのゲームでも鉄板だ。よほどゲーム側で縛りを入れないと、どのハクスラも似たようなビルドに行き着く。

そしてヴァンサバはクッキークリッカーであることを否定するのではなく、受け入れてしまった。プレーヤーのアクションが与える影響は弱く、ただインフレしていく画面を眺めて、その報酬でニヤニヤする、それこそがハクスラプレイヤーの「結末」だと。だからゲームの素朴な演出に比して、宝箱の報酬演出がやたら凝っているのはそのためだ。

結果としてヴァンサバはハクスラのエンドコンテンツをお手軽に体験できるゲームになっている。本来、Path of Exile や Grimdawn でそこに至るまで80時間かかる体験が、なんと30分で味わえる。とてつもなくタイパがいい。

ヴァンサバフォロワーとその意義

ヴァンサバをみたプログラマは、これが旧来のゲームと比べて、とてつもなく簡単に作れるゲームであることに気づくはずだ。スキルはほとんど自動発動、マップは平坦、コリジョンすら不要、敵のアルゴリズムは単純で、インベントリの管理も不要。しかも、プレーヤー層がこのジャンルに飢えてて売れる。

ヴァンサバフォロワーの値段が安いのは、本家が安いのもあるが、小規模な開発で参入しやすいのが大きい。

個人的には本家ヴァンサバ自体はあまりビルド幅のあるゲームだと思っていないのだが、ヴァンサバは「ヴァンサバというビルド」が楽しめるゲームだと思う。そして、フォロワーでそれぞれのビルドが体験できる、という感覚がある。だからゲームごとに1キャラクター楽しめるぐらいのお手軽さがある。操作が簡単なので、1ゲームごとに覚えることも少ない。

いくつかおすすめを挙げておく。

Halls of Torment

https://store.steampowered.com/app/2218750/Halls_of_Torment/?l=japanese

とくに Diablo 1 のジャギジャギなアートを再現したヴァンサバフォロワー。

持ち越せるアイテムとポイントを使うパーマネントな成長システムの影響が大きく、これは好き嫌いがわかれると思うが、自分は結構好き。

Death Must Die

https://store.steampowered.com/app/2334730/Death_Must_Die/

ヴァンサバにハデスのビルドシステムを組み合わせたようなゲームで、キャラクター+3人の神を選んでそのシナジーを組み合わせる。

いっき団結

https://store.steampowered.com/app/2061150/_/?l=japanese

あのいっきがMMOになったら、というかヴァンサバがオンラインゲームになったら FF14になってしまった。という異様な体験が味わえるゲーム。リリース初期の混乱期にやるのが面白かったが、今でもプレーヤーがいるのかは知らん。

まとめ

古典的ローグライクはハックアンドスラッシュというジャンルを生んだ。

古典的ローグライクの別解釈であるローグライトは、リプレー性を強調することでローグライトという新しいジャンルを生んだ。

ヴァンサバはハックアンドスラッシュとローグライトという、同じ祖父を持つ従兄弟が結婚したかのようなジャンルである。

ヴァンサバがローグライクの完成形である、という話ではない。さすがにプレーヤー層も似たようなゲームが提供され続けることに飽き始めているし、新機軸を開拓しないといけない。

FTL に続く後継が Slay the Spire を生んだように、ヴァンサバもまたジャンルを開拓し、そして次のジャンルを開拓するための祖となる作品であることは間違いないだろう。

次に続く作品はなんだろうか? 個人的な予想としては、オンラインゲームや配信環境がここまで整った現代ならではの、時間高拘束の少ない、多人数参加型のローグライクなのではないかと予想している。それはバトロワなのかもしれないし、 Backpack Battles 的な非同期系かもしれない。

自分はゲーム開発からは手を引いた人間なので、自分で作るかというと微妙だが、いいゲーム、いいジャンルが生まれる場には居合わせたいとは考えている。

おわり。

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