アニメや映画などを見ていると、「博士」と呼ばれる人が出てくることがあります。ポケモンにもオーキド博士がいますね。多くの場合物語に登場する「博士」は一人だけで、たんに「はかせ」と呼ばれます。物語に出てくる博士はだいたい物知りで、年配であることが多く、「○○じゃよ」みたいな話し方をしたりします。この「博士」、実際にはどうやってなるのでしょうか?本稿では、「博士」にあまり馴染みのない人向けに博士の仕組みを説明してみようと思います。なお、博士号のとり方は分野によりかなり違います。以下は筆者の知る理工系、特に工学系に限った話だと思ってください。
物語では「博士」を「はかせ」と呼ぶことが多いですが、称号としての「博士」は「はくし」と呼ばれます。大学などの高等教育機関は、学術上の知識、能力が十分にあると認めたものに対して学位(degree)を授与することができます。学位にはいろいろありますが、その最高位に位置づけられるのが「博士号」です。戦前は博士号を授与できる機関が帝国大学に限られていたために希少性が高かったようですが、現在は学校教育法により、大学院を置く大学は課程修了者に修士または博士の学位を授与できることが定められています。他にも学位授与機構という、大学以外で学位を授与できる機関があります。