Drug Discovery Raid Battle 2018 presented by souyakuchan @ Social Drug Discovery Project.
Assays will be conducted in collaboration with Namiki Shoji Co., Ltd. and Enamine Ltd.
候補化合物リスト提出フォーム
化合物ライブラリ(SDF ファイル)
標的: PD-1/PD-L1 タンパク質–タンパク質間相互作用
※ 当記事は必要に応じて随時更新されます。
近年がん治療において有効性が確立されつつある PD-1/PD-L1 免疫チェックポイント阻害剤は抗体医薬として実用化されているが、低分子化合物によっても実現できる可能性がある。そこで、PD-1/PD-L1 免疫チェックポイントシグナル伝達を阻害する低分子化合物を発見するために、誰でも参加自由な薬剤探索イベント 創薬レイドバトル を開催する。参加者は各自独自に候補化合物の絞り込みを行って運営 (@souyakuchan) に候補を提出し、運営はそれをアッセイし阻害活性を確認する。アッセイ後にヒット化合物の有無を発表し、もし有望なヒット化合物が得られていれば当該化合物提案者と共に薬剤としての開発を目指す。
PD-1 (Programmed cell Death-1) は免疫グロブリンスーパーファミリーの一員であり、T細胞の プログラムされた細胞死 (programmed cell death) 現象に関わる遺伝子として同定された1。その後の研究で PD-1 は、免疫応答を活性化するか抑制するかを決めるチェックポイント機構(免疫チェックポイント)を担う分子であることが明らかとなり、PD-1 のリガンドである PD-L1 を発現している細胞は自己として認識され免疫細胞による攻撃を逃れることが分かった。
免疫チェックポイント分子複合体の構造2 ※平行法ステレオ図 (PyMOL)
Apo 体の PD-1(緑: 3RRQ.PDB)にリガンドである PD-L1(水色)が結合して holo 体の構造(ピンク: 4ZQK.PDB)に変化する様子。
この構造変化によって免疫チェックポイントシグナル伝達が起こる。
免疫チェックポイントは免疫系が自己を攻撃しない(免疫寛容)ようにするために機能するが、一方、PD-L1 を発現する腫瘍細胞も同様に免疫細胞の攻撃を免れてしまう。そこで考案されたのが免疫チェックポイント阻害療法であり、PD-1 とそのリガンドとの相互作用をブロックして免疫応答の抑制シグナルを解除し、腫瘍細胞に対してT細胞が活性化するよう促すことで抗腫瘍効果を期待する。PD-1 は細胞表面に存在する受容体タンパク質なので抗体医薬による介入が可能で、PD-1(もしくは PD-L1)に対する抗体が治療薬として既に上市されている。
抗体医薬として実用化されている免疫チェックポイント阻害剤は抗がん剤として成功を収めているが、コストや経口投与できないといった難点があり、低分子化合物による代替ができれば実用上のメリットは大きい。当イベント参加者におかれては、是非 臨床で使える薬 のタネを探すことを意識して薬剤探索を実施して頂きたい。
- 各参加者がそれぞれ独自の手法で候補化合物の絞り込みを行い、運営 (@souyakuchan) に提出する。
- 今回アッセイ可能な化合物数は合計 100 化合物程度であるため、参加者数は最大 100 名程度迄とし参加者ごとのアッセイ数は総参加者数に応じて決定する(例えば参加者数 30 名であれば1参加者につき3化合物をアッセイする)。※ 事前登録者数が 20 名程度であったためまだ余裕あり。事前登録者にはアッセイ数ボーナスを付けるが、事前登録していなかった参加者も提出可能とする。
- 候補化合物の提出〆切は 2019 年
3 月中まで4 月中までのどこか(未定)とするが提出件数の集まり具合に応じて柔軟に対応する。参加者数が多過ぎても少な過ぎても困るので、一旦 年内〆切で事前参加登録を募る(事前参加登録期間は終了済み)。
PD-1/PD-L1 タンパク質–タンパク質間相互作用
アッセイ系: Human PD1/PD-L1 biochemical interaction assay from CISBIO
ポジコン(予定): 抗 PD-1 抗体および CAS 1675201-83-83
候補化合物は次の化合物ライブラリから選定することを原則とし、運営負担でアッセイを行う。
化合物ライブラリ(SDF ファイル) 提供: ナミキ商事
> md5sum library.tar.gz
a548f761b688b7f5b0dac70487b78f9e library.tar.gz
> md5sum *
fdd0d02ba87e880020b065c5eb756eb2 Enamine_Advanced_collection.sdf
23c7a30b16404cf6fdbb9e713bee15ba Enamine_HTS_collection.sdf
4fce3d51a89f4deff892bad979af66c2 Enamine_Premium_collection.sdf
51845bd1bfad22a82a8057ff86090cd6 UOS_HTS.sdf
なお、参加者自身で化合物を調達し運営に送付可能であれば、上記ライブラリ以外の化合物も受け入れ可能なので応相談とする。構造式の分かっている単離された化合物であれば、参加者自身で合成したもの等でもよい。
参加者各自で化合物調達可能でさえあれば化合物の出処は問わない。
参考: Enamine / Enamine REAL DB / Enamine Express Lead Library / ZINC / ChemNavigator
提出時には以下の情報を Google Forms にご入力頂く予定である。 ※項目内容は提出期間までに微修正する可能性あり
- 事前参加登録時に記載した twitter アカウント ID
- 提出者の属性情報(専門分野など)、所属(任意)
- 候補化合物の絞り込み手法についての簡単な説明
- 候補化合物 ID リスト (1): 500 化合物
- 候補化合物 ID リスト (2): (1) から更に 10 化合物に絞った優先順位付きリスト
参加資格に特に制限はなく所属や本名を明かして頂く必要もないが、無数の化合物の中から候補化合物を選んだ方法・理由をきちんと説明できること は必須。
計算予測による絞り込みはヒット化合物のエンリッチメントを向上させるが、数化合物しかアッセイできない場合、特定の手法でのスコア最良の化合物を単純に選択することが最善である保証は全く無い。候補化合物リスト (1) → (2) と絞る過程にもう一工夫を期待したい。(が、(1) のスコア順位のまま (2) のリストとして頂いても勿論構わない。)
また、参加者は個人でもチームでも構わないし、参加者間での作業分担やデータ共有など、候補選別の過程において共闘しても構わない。
- 参加者同士で腕を競い勝敗を決めるためのフェアなコンテストではなく、あくまで 創薬 することを目的としたイベント(腫瘍免疫回避機構をみんなの力で打倒するレイドバトル)である。ヒトに用いる薬としての有望性の見込めるヒット化合物を探すことを前提とし、明らかに薬剤としての適性が無い化合物や新規性が無い化合物などは運営側の判断にてアッセイ対象から外すことがある。
- 化合物によっては発注時の在庫切れや不溶性、アッセイ系への干渉等の理由でアッセイ対象から外れることがある。
- アッセイの発注は東京大学経由でナミキ商事を代理店として Enamine 社に発注する。知財化の際は運営・当該化合物提案者・大学・Enamine 間で権利が分配される。
参加者からシェアされた、予測に有用なデータ集。(随時更新)
- 現在 特許情報から取得可能な活性化合物群のデータ provided by Masahiro Mochizuki
参加者から提出された候補化合物群を取りまとめてアッセイを発注する。ヒット化合物があれば IC50 を決定する。
発注後2ヶ月程度以内に結果が納品される予定。
参加者全体の手法の内訳や提出された化合物群の chemical diversity の分析等も行う。
有望なヒットが得られた場合、当該化合物提出者と運営との協同にて開発・知財化を目指す。
We thank Namiki Shoji Co., Ltd. and Enamine Ltd. for this collaboration.
Footnotes
-
Ishida, Y., Agata, Y., Shibahara, K., & Honjo, T. (1992). Induced expression of PD‐1, a novel member of the immunoglobulin gene superfamily, upon programmed cell death. The EMBO journal, 11(11), 3887-3895. ↩
-
Zak, K. M., Kitel, R., Przetocka, S., Golik, P., Guzik, K., Musielak, B., ... & Holak, T. A. (2015). Structure of the complex of human programmed death 1, PD-1, and its ligand PD-L1. Structure, 23(12), 2341-2348. ↩
-
Chupak, L. S., & Zheng, X. (2015). Compounds useful as immunomodulators. Bristol-Myers Squibb Co., WO2015034820. ↩