(本稿には同じタイトルの続編 Part 2 があります。本稿をお読みのあと、ご参照ください。)
(2019年3月21日、草地広場に発泡スチロール(EPS)が搬入され山積みになりました。山積みになった現物を遠くから見るかぎり、上の画像のステッカーを付けてよい "認定品" ではなく、燃えやすい偽物であるようです。(参考: 私@orangkucing の一連のツイート)(2019年3月22日追記))
東京都中野区にある平和の森公園は広域避難場所に指定されています。中断していた公園再整備工事の再開に伴い、2018年11月26日(月)に草地広場を含む第二工区が封鎖されました(12月第2週までの土日祝はフェンスのドアが開いていて入れましたが今は土日祝も閉鎖されています)。
この工事で、平和の森公園の草地広場の地下全体に燃えやすい発泡スチロール(EPSブロック)が敷きつめられる予定であることが判明しました!
付近の住民は震災時には発泡スチロールの上で焼け死ぬ恐れがあります。そして、工事中もここが広域避難場所であることに変わりはありません(下の写真は工事現場のフェンスの掲示物です)。工事期間中は大量の可燃物(発泡スチロール)が野ざらしになり、火気厳禁です。
2019年7月に完工予定の第二工区では、田中大輔前区長のプランによると、
- 300m 陸上トラック新設
- 100m 直線走路新設
- 築山をコンクリートで塗り固めて滑り台にする
- バーベキュー場新設
という工事が予定されていました。しかし、区民の反対運動の結果、工事内容が変更され、上にあげた設備は今回の工事で設置されないことになったようです。
ところで、 2018年11月8日(木) に開かれた中野区議会建設委員会で「1週間後の11月15日(木)に着工予定」と報告された、第二工区の工事内容には、依然として
- 草地広場の全面掘り返し
が含まれています。
中野区は、草地広場の全面掘り返しが必要だという様々な理由を、"語る会”や区民説明会などで列挙するのですが、そのいずれもが嘘くさくて納得できません。そこで、それらの理由のうちでとくに気になった一つ「発泡スチロール」に関して、東京都下水道局に質問をぶつけてみたのです。
下にあるのが、わたし(@orangkucing)が最初に東京都下水道局のお問い合わせフォームに書き込んだ質問です(スクリーンショットと、それと同一内容のテキスト)。
2018年11月13日(火) 16:32
From: @orangkucing
To: 下水道局総務部広報サービス課
タイトル: 平和の森公園再整備の発泡スチロール
お問い合わせ内容:
中野水再生センターの上にある平和の森公園草地広場の再整備が11/15に始まります。お尋ねしたいことが2点あります。
- 中野区の公園担当の職員が「草地広場を掘り返して、いろいろな点検や新設の体育館の為の配管設置をする以外に、発泡スチロールを入れる」と言っています。発泡スチロールは断熱材だと思いますが、この話は中野水再生センターはご存知でしたか。また、もしご存知でしたら、いつ知りましたか。
- 一般的に言って、下水処理施設は下水が外気温に近いため、冷暖房はなされていないと承知しております。断熱により、外気温と施設外壁に温度差ができた場合、夏季に湿度の高い外気を施設に導入すると、内壁に大量の結露ができると思うのですが、これは杞憂ですか。
以上、よろしくお願いします。
(補足: ちなみに、この問い合わせを送った時点では、「発泡スチロール」の用途は断熱材だろうと思っていました。)
東京都下水道局からはすぐに電話で返事があると思っていたのに、なかなか電話がかかってきません。そこでお問い合わせフォームからもう一度催促したところ、メールで丁寧な返事が来ました。
2018年11月15日(木) 10:51
From: 下水道局総務部広報サービス課 S4000009@section.metro.tokyo.jp
To: @orangkucing
@orangkucing様
お問い合わせ頂きましたメールに御連絡差し上げず、大変失礼いたしました。
@orangkucing様から頂きました御質問については、中野水再生センターを所管しております部署に伝えて、回答を待っているところです。
申し訳ございませんが、もうしばらくお時間をいただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。
下水道局総務部広報サービス課
メールで返事が来るのは便利です。電話を録音しなきゃいけないかと用意してましたが、その必要がありませんでした。
2018年11月15日(木) 11:16
From: @orangkucing
To: 下水道局総務部広報サービス課 S4000009@section.metro.tokyo.jp
ありがとうございます。安心してもうしばらく回答を待とうと思います。
— @orangkucing
上のメールに対して数時間のうちに、次のような、おそろしくそっけない、官僚的な返事がきました。これは、中野水再生センターが中野区に聞いて、中野区の回答をコピーして寄越したんだと思われますそのときは思いました。
2018年11月15日(木) 13:34
From: 下水道局総務部広報サービス課 S4000009@section.metro.tokyo.jp
To: @orangkucing
@orangkucing様
お問合せ頂きましたご質問に御回答させていただきます。
ご質問1について
草地広場の再整備計画については、変更になったと聞いております。
変更後の施工内容については、まだ説明を受けておりません。ご質問2について
当局施設において、結露の心配はないと考えています。
今後とも、東京都下水道事業への御理解御協力をお願いいたします。
下水道局総務部広報サービス課
おやおや?「変更後にまだ説明を受けていない」ですか? そういうふうにはぐらかされると、再質問せざるを得ませんね。わたしは直ちにメールを書きました。
2018年11月15日(木) 14:18
From: @orangkucing
To: 下水道局総務部広報サービス課 S4000009@section.metro.tokyo.jp
広報サービス課どの。
私の質問1、2にお答えありがとうございます。 お答えに対して再質問させていただきます。
変更前と現在の再整備計画は、草地広場の地上部に関してはすこし変更がありました。しかし、掘り返しに関しては当初から変更はありません。それを事実として踏まえた上で、草地広場で発泡スチロール(のようなもの)を入れる工事があることを、中野水再生センターはまったくご存知なかったということでよろしいですか。
一般的に、断熱材のむやみな設置はそこで温度分布が跳躍し結露を招く恐れがあります。中野水再生センターの現状が結露していないのは承知しておりますので、草地広場の工事後に限らず、下水処理場における断熱材利用の一般論としてお答えくださいませんか。
--- @orangkucing
上の一連のやりとりが行われた日(2018年11月15日)は、11月8日の建設委員会で第二工区を封鎖し着工すると予告された、まさにその日でした。しかし実際、この日に3m目隠しフェンスや2m金網による封鎖は行われず、夕方になって三角コーンとバーで園路が一部分遮られただけでした。つまり、園内はどこにでもまだ自由に入れる状態でした。
一方、再質問のメールには依然として返事がないので、この5日後に催促しました。
2018年11月20日(火) 19:22
From: @orangkucing
To: 下水道局総務部広報サービス課 S4000009@section.metro.tokyo.jp
広報サービス課どの。
わたくしからの再質問に対しまだ回答がないのですが、担当部署へ問い合わせ中ですか?
お早めにお願いします。
— @orangkucing
すると、翌日の午後、決定的な返事がようやく来ました!(下にスクリーンショットも載せました)
2018年11月21日(水) 14:54
From: 下水道局総務部広報サービス課 S4000009@section.metro.tokyo.jp
To: @orangkucing
@orangkucing様
お問合せに回答させていただきます。
御質問1について
当初計画における内容については、EPS(発泡スチロール排水機能付)を使用した工法で施工計画書に記載されていることを確認しています。変更後の計画については、今後確認を行います。
御質問2について
一般論としては、下水処理場の上部利用において、断熱材の使用により結露の影響を受けることは有りません。
今後とも、東京都下水道事業への御理解御協力をお願いいたします。
東京都下水道局広報サービス課
そして、このメールから5日後の2018年11月26日(月)に、第二工区は3m目隠しフェンスと2m金網で囲まれて封鎖され、草地広場には入れなくなりました(12月第2週までの土日祝はフェンスのドアが開いていて入れましたが今は土日祝も閉鎖されています)。
下水道局からの最後のメールで
「当初計画における内容については、EPS(発泡スチロール排水機能付)を使用した工法で施工計画書に記載されていることを確認しています」
が重大です。中野区は、反対運動のおこった地上部の陸上トラックや滑り台その他はあきらめたものの、地下部に関しては11月に変更を発表する以前の計画(田中大輔前区長案、いわゆる"A案")からまったく変更していません(注1)。しかも、全面掘り返し計画の存在自体、ある区民が9月初旬にそれを暴くまで区は秘密にしていました。つまり、ここでいう”当初計画”は現行計画でもあるのです。
EPS工法(たとえば、アキレスや積水化成品工業などの建材メーカーのサイトに解説があります)は、軟弱地盤などに軽い素材で橋や道路を作るためのもので、不燃化を図るべき防災広場に使うような工法ではありません。過去に火災が起こった事故例の中には、EPS工法で施工した公園が燃えた例(下の画像参照。出典: 危険物等事故防止技術センター)もあります。
ちなみに、平和の森公園が広域避難場所であるとは、東京都震災対策条例で定められた避難場所であるということです。この条例の第49条には、
「知事は、避難場所及び避難道路の周辺に存する建築物その他の工作物の不燃化の促進に努めなければならない」とあるわけですが、EPSブロックは不燃物ではなく、火気厳禁の建材です。中野区が条例違反をして東京都に迷惑をかけていいのですかねえ。
さてみなさん、どう思われますか。
2018年11月29日(木) by @orangkucing
注1: 11月8日(木)に延会となり11月12日(月)に再会となった中野区議会建設委員会での内川区議(自民)の質疑で、掘り返し部分の計画は当初から現在までまったく変わっていないことが明らかになっています。まだ議事録が出ていないので、それまでは @galbraithian999 さんによる傍聴ツイート をご参照ください。
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11月21日の決定的なメールを受け、関連する情報の開示を東京都と中野区に請求しました。たぶん、2週間か4週間で開示してくると思われます。開示され次第、ここに追記していきます。
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2018年11月30日(金) 8:51
東京都下水道局総務部広報サービス課 S4000009@section.metro.tokyo.jp から新たに1通のメールが届き「変更後の計画については、今後、中野区から説明を受けることにしています」と記されていました。中野区、早く都に説明してあげましょうよー。 -
2018年11月30日(金)
(中野区議会第4回定例会 12/14まで) -
2018年12月1日(土)
第二工区のフェンスのドア(第一工区側2ヶ所と平和の森小学校横)が開いており、草地広場に入れました。中で工事をやっていた気配はまったくありませんでした。 -
「EPS工法は知らない人が多いかもしれないけど最近は普通に使われている工法で、EPSブロックは難燃性だ」云々と言うしったかぶりの輩が湧いているようなので。論点をすり替えるな、東京都震災対策条例が要求しているのは不燃性ですよとここで言っておきます。ちなみに、建築基準法施工令第108条の2で不燃性が定義されています: 『建築材料に、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間次の各号(建築物の外部の仕上げに用いるものにあつては、第1号及び第2号)に掲げる要件を満たしていることとする。 1.燃焼しないものであること。 2.防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること。 3.避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること。』 つまり、施工後の状態だけではなく、建築材料としても融けちゃダメです。
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2018年12月4日(火)
第二工区内の中高木に、赤、黄、緑のビニールテープが巻かれました。伐採の目印(赤は切る)であると思われます。 -
2018年12月4日(火)
(中野区議会議会運営委員会に平和の森公園再整備(第二工区)に係る契約変更関連の議案がなぜか提出されませんでした) -
2018年12月6日(木)
(中野区が「平和の森公園再整備(第二工区)に係る排水設備工事設計図」を区議会建設委員会に資料として提出。12月13日の項を参照のこと) -
2018年12月11日(火)
中野区に 『平和の森公園再整備工事(第二工区)において、草地広場の土の掘り返し・盛り替えに関連して使用する、発泡スチロール様の材料について、その素材が何であるか、およびその素材を用いた施工範囲、ならびに設計および施工の意図がわかる、書面、図面、電磁的記録のすべて』 として情報公開請求していたものが開示されました(請求日は11月22日。開示決定は12月7日付。決定が郵送でわたしのところに到着したのは12月11日)。区から貰ったコピーをスキャンして、PDFファイル(2つ)にしてあります。ファイル1。ファイル2。これらの書類の簡単な解説はこのツイートとこのツイートのそれぞれに連なるスレッドをご覧ください。 -
2018年12月13日(木)午前中
第二工区を囲うフェンスのドア(3ヶ所)がドアごと交換され、シリンダー錠がナンバー錠になりました。 これは、防災会に渡していた鍵を無効にするための処置で、土日祝に開放されていた草地広場へはもう入れません。震災時には草地広場へ避難出来る旨の貼り紙も剥がされました。草地広場へは避難できないってことですね。 -
2018年12月13日(木)16:34
東京都下水道局総務部広報サービス課 S4000009@section.metro.tokyo.jp に、地上部変更後の工事計画について都が中野区から説明をうけたかどうか12/7に問い合わせていました。同課より回答が届き「ご質問に御回答させていただきます。変更後の詳細計画については、中野区から説明を受けていません。また、詳細説明の予定については、中野区の予定によるため、まだ決まっていません。今後とも、当局事業への御理解・御協力をよろしくお願いいたします。」と記されていました(スクリーンショット)。中野区、都に説明しないで工事するつもりですか? -
2018年12月13日(木)
中野区議会ホームページに、「平和の森公園再整備(第二工区)に係る排水設備工事設計図」がUP。これは、11/12の区議会建設委員会で請求されていた資料を区が12/6の同委員会にようやく出してきたもの。図面1枚目は地上部。図面2枚目(下の画像はそのスクリーンショット)は地下部で、断面図(左下)に "EPSブロックDF16" の記載がある。地下にはトラックと直線走路と築山が、基礎となるEPSブロックの厚みの違い "450〜0" (単位はmm)として作られることがわかる(簡単な説明はこのツイートに連なるスレッドをご覧ください)。
- 2018年末までに中野区が不存在と開示した区政情報:
- 発泡スチロール(EPSブロック)を草地広場の全面に埋設することに関し、防災上の観点から検討したことが分かる文書は公園分野と防災分野の両方に不存在: 区政情報不存在通知書はTwitterにUPしました。
- "語る会"などで区民の要望を聞きいれ検討した結果、伐採する樹木を1本でも減らしたことが分かる文書は公園分野に不存在: 下の画像(この画像はTwitterにもUPしました)。
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2018年12月26日(月) 東京都下水道局からの新たな情報開示を受け、同じタイトルの続編 Part 2 を書きました。ご参照ください。
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2018年12月28日(水) 中野区が「平和の森公園再整備実施設計報告書」と「平和の森公園再整備工事契約書」を一部非開示で情報開示。(注意: 排水設備に係る書類、図面が非開示決定)
- 広域避難場所である平和の森公園(中野区)に大量の可燃物が埋められます!しかも地下部はA案のまま! Part 1(本稿)
- 広域避難場所である平和の森公園(中野区)に大量の可燃物が埋められます!しかも地下部はA案のまま! Part 2
- 平和の森公園再整備工事で中野区が2018年12月28日付で情報開示した文書
- 捏造の設計図 : 中野区平和の森公園再整備工事(第二工区)に係る排水設備図面の研究
- 中野区の平和の森公園再整備工事(第二工区)の設計段階で初めて発泡スチロール埋設が提案された時の資料
- 中野区の平和の森公園再整備工事(第二工区)に関し東京都下水道局が2019年2月20日付で開示した文書。この文書に含まれる2/1の中野区と下水道局のやりとりが、3/18現在で最新のやりとりであることも判明
- 中野区の平和の森公園再整備工事(第二工区)に関し東京都下水道局が2019年6月5日付で開示した文書
- 中野区の平和の森公園第2工区、白フェンスの御承認願というのは他にあるの?
- 中野区平和の森公園の工事現場(第2工区)に2019年4月3日東京消防庁が防災指導に来た際の記録。中野区と東京消防庁の両方からの情報開示
- 中野区の平和の森公園再整備に投入されている国庫補助金は「東京の防災力を向上させる公園緑地整備(防災・安全)」
- 平和の森公園再整備工事の "変更契約書(第5回目)"
- 平和の森/体育館 - 中野区非公式勝手にお知らせするサイト(by @nakanocitizensさん)
- 中野区の平和の森公園再整備工事に関して情報公開された文書